リンナイ製の給湯器を使っていて、突然リモコンに「11」や「111」と表示されると、多くの人が「故障したのでは」と不安になります。
しかし、この2つのエラーはどちらも「点火できなかった」ことを示す安全停止であり、必ずしも機器の故障を意味するわけではありません。
エラー11と111は、表示のされ方が違うだけで本質的には同じ「点火不良」です。
機種やリモコンの仕様によって表示桁数が異なり、本体にリモコンが付属している機種では「11」、浴室リモコン+台所リモコンがある機種では「111」と表示されるケースが多く見られます。
ここでは、専門的な内部部品の話には踏み込まず、実際の家庭で起こりやすい原因と、安全に確認できる対処の順番を整理します。
エラー11・111の意味は「点火できなかった」
リンナイ給湯器のエラー11・111は、いずれも次の状態を示しています。
- お湯を出そうとした
- 点火動作に入った
- しかし、燃焼が成立しなかった
- 安全のため運転を停止した
重要なのは、「火がつかなかった理由」は給湯器の内部だけに限らない、という点です。
実際にはガスが供給されていない状態でも、同じエラーが表示されます。
そのため、修理を疑う前に「ガスが本当に使える状態か」を切り分けることが非常に重要です。
まず確認すべきは「ガスが来ているか」

点火不良エラーが出たとき、最初に見るべきポイントは給湯器そのものではありません。
ガスコンロは使えるか
もっとも簡単な確認方法は、ガスコンロを点けてみることです。
- コンロが普通に点火する
→ ガスは供給されている可能性が高い - コンロも点かない
→ 家全体でガスが止まっている可能性が高い
コンロも使えない場合、給湯器側でいくら再操作してもエラーは解消しません。
コンロがない場合は他のガス器具で試してみましょう。
配管工事などはしていないか
外壁の補修工事やリフォームなどで一時的にガス配管を撤去した場合、後日にガス配管を組み立てなければなりません。
その際に配管内に空気が入ってしまい、結果としてエラー11・エラー111が発生する場合があります。
基本的に施工業者が点火試験まで行ってくれますが、可能性の一つとして覚えておきましょう。
ガスメーターが遮断しているケース

点火不良エラーで非常に多いのが、ガスメーターの自動遮断です。
ガスメーターは、安全のために次のような状況でガスを止めます。
- 長時間ガスを使い続けた
- 短時間に大量のガスを使った
- 地震などの揺れを感知した
- 異常な使用パターンを検知した
この場合、給湯器は正常でもガスが供給されないため点火できず、エラー11・111が表示されます。
メーター遮断時の特徴
- ガスコンロも点かない
- 給湯器だけでなく、すべてのガス機器が使えない
- メーターの表示部に「止」や赤ランプが出ていることがある
メーターを確認し、復帰操作を行ったあとに給湯器を再操作すると、正常に使えるケースが多くあります。
ガス栓・元栓の閉め忘れ・閉まり

意外と多いのが、ガス栓が閉まっているだけというケースです。
- 給湯器本体のガス栓
- 屋外の元栓
- 工事後・点検後に閉められたまま
これらが閉じていると、給湯器は点火できずエラーを表示します。
特に、引っ越し後・ガス点検後・別の工事をした直後は要注意です。
ガス料金未納による供給停止

見落とされがちですが、ガス料金の未納による供給停止も点火不良エラーの原因になります。
この場合も症状は同じです。
- 給湯器が点火しない
- エラー11・111が出る
- コンロも使えない
メーターが遮断状態になっていることが多く、復帰操作をしても改善しない場合は、ガス会社への連絡が必要になります。
再操作で改善するケース・しないケース
リンナイの表示にもある通り、エラー11・111は「ガス栓確認後再操作」が基本です。
再操作で改善するケース
- 一時的なガス供給不安定
- メーター遮断を解除したあと
- ガス栓を開け直したあと
この場合は、リモコンの運転スイッチを一度切り、数秒待ってから再度操作します。
再操作しても繰り返す場合
- ガスが供給されていない状態が続いている
- メーター遮断が解除されていない
- ガス会社側で供給が止まっている
何度も再操作を繰り返しても、状況が変わらなければ改善しません。
エラー11と111の違いはあるのか?
結論から言うと、意味の違いはありません。
- エラー11:点火不良
- エラー111:給湯点火不良
表現が少し違うだけで、原因も対処の考え方も同じです。
表示桁数は、給湯器本体やリモコンの仕様差によるものと考えて問題ありません。
自分でできる確認はここまで
エラー11・111が出たとき、利用者が安全に確認できる範囲は次の通りです。
- ガスコンロが使えるか
- ガスメーターが遮断していないか
- ガス栓・元栓が開いているか
- 料金未納がないか
これらを確認しても改善しない場合、無理な操作や分解は行わず、専門業者への相談が必要になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. リンナイ給湯器のエラー11・111は故障ですか?
いいえ、必ずしも故障ではありません。エラー11・111は「点火できなかった」ことを示す表示で、ガスが供給されていない状態でも発生します。ガスメーターの遮断やガス栓の閉まり、料金未納などが原因の場合も多く、まずはガスが使える状態かを確認する必要があります。
Q2. エラー11・111が出ていても、お湯以外は使えますか?
多くの場合、使えません。点火不良の原因がガス供給停止であれば、ガスコンロなど他のガス機器も使用できない状態になります。コンロが点火するかどうかを確認することで、原因の切り分けが可能です。
Q3. リセット(再操作)すれば必ず直りますか?
いいえ、直るとは限りません。再操作で改善するのは、一時的なガス供給の乱れや、メーター遮断を解除した直後などに限られます。ガスが供給されていない状態が続いている場合、何度再操作してもエラーは解消しません。
Q4. ガスメーターが遮断されているかはどうやって分かりますか?
メーター本体の表示部を確認してください。「止」表示やランプ点灯が出ている場合、ガスが遮断されています。この場合はメーターの復帰操作を行い、その後に給湯器を再操作します。
Q5. エラー11と111で対処方法は変わりますか?
変わりません。エラー11も111も意味は同じ「点火不良」です。表示桁数は機種やリモコンの違いによるもので、確認すべきポイントや対処の順番は共通です。
まとめ:エラー11・111は「ガスが使えるか」の確認が最優先

リンナイ給湯器のエラー11・111は、給湯器が異常停止したことを示す表示ではなく、「点火できなかった」という事実を伝えるためのサインです。
そのため、表示を見た瞬間に「給湯器が壊れた」と決めつけてしまうのは、判断として早すぎます。
実際には、ガスメーターの遮断、ガス栓や元栓の閉まり、料金未納による供給停止など、給湯器の外側に原因があるケースが非常に多く見られます。
こうした状況では、給湯器自体は正常でも、ガスが届かなければ点火は成立せず、エラー11・111が表示されます。
重要なのは、修理や交換を考える前に、
「家全体でガスは使える状態か」
この一点を冷静に切り分けることです。ガスコンロが点火するか、メーターが遮断されていないかを確認するだけでも、原因の方向性ははっきりします。
点火不良エラーは、確認の順番を誤らなければ、不要な修理依頼や出費、不安を避けることができます。
エラー表示に振り回されるのではなく、ガス供給 → 再操作 → それでも改善しなければ相談という流れを意識することが、正しい対処につながります。

