北海道のように冬の寒さが厳しい地域では、暖房器具の選び方や使い方に、独自の注意点があります。
「雪や凍結で気をつけることは何か」「灯油はどう保管するか」「寒冷地ではどのタイプが多いのか」と迷う人は少なくありません。
この記事では、北海道(寒冷地)で石油ストーブを使うときのポイントを整理します。積雪、凍結、換気の3つが、寒冷地の主な注意点です。
数字による「暖房事情」の説明は避け、設置・保管・点検の注意点を中心にまとめます。
あわせて、換気の回数や灯油缶の重さ、積雪と給排気筒の高さの関係を、仮の条件で計算して当サイトの表にしました。
寒冷地の注意点の全体像
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 積雪とFF式の設置 | 給排気筒トップが積雪でふさがれない場所に設置 |
| 煙突式の凍結 | 結露水の凍結で煙突がふさがるおそれ |
| 中古品の事故 | 北海道の中古品事故で、石油ストーブが最多 |
| 灯油の保管 | 凍結、水の混入に注意 |
| 高地の制限 | 標高1,300m以上では使用しない |
積雪とFF式の給排気筒
FF式ストーブの設置についての注意です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設置場所 | 積雪で給排気筒トップがふさがれない場所に設置する |
| 雪囲い | 給排気の妨げになるため、設けない |
| 給排気筒トップ | 閉そくしない場所に設置する |
| 排気 | 必ず屋外に行う。屋内や床下への排気は禁止 |
| 据付け | 販売店または据付業者が行う |
雪で給排気筒がふさがれると、燃焼に必要な空気が入らず、排気も出せなくなるおそれがあります。積雪の多い地域では、雪の積もり方を考えた位置に設置する必要があります。FF式については、FF式石油ストーブの記事をご覧ください。FF式のエラーについては、当サイトのFF式のエラーの記事で整理しています。
積雪と給排気筒トップの高さ
給排気筒トップが、積雪でふさがれるかどうかは、地面からの高さと積雪の深さの関係で決まります。
次は、仮の数字での考え方の例です(当サイト計算。
高さと積雪はすべて仮定で、実際の設置条件や基準とは異なります)。
| 仮の給排気筒トップの高さ | 仮の積雪の深さ | 余裕(高さ − 積雪) | 考え方 |
|---|---|---|---|
| 100cm | 60cm | 40cm | ふさがらない |
| 100cm | 100cm | 0cm | ちょうど埋まる |
| 100cm | 120cm | −20cm | ふさがる |
| 60cm | 60cm | 0cm | ちょうど埋まる |
積雪が増えると、余裕が小さくなり、ふさがるおそれが出ます。設置時の高さだけでなく、その冬の最も深い積雪を想定して、位置を決める必要があります。
さらに、屋根からの落雪や、除雪した雪の置き場所にも注意が必要です。
設置の条件は販売店に確認する
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| その地域の積雪の目安 | 販売店・据付業者に聞く |
| 設置位置 | 積雪、落雪、除雪の置き場所を考えて決める |
| 雪囲い | 給排気の妨げになるため、設けない |
| 冬の間の点検 | 大雪のあとに、給排気筒トップが埋まっていないか確認 |
煙突式ストーブと凍結
煙突式ストーブについての注意です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 結露と凍結 | 外気温が低い場合、煙突内の排ガスの水分が結露しやすくなり、結露水が凍結して煙突をふさぐ。不完全燃焼や排ガス漏れの原因になるため、日常的な点検が必要 |
| 使用前点検 | 雪や小鳥の巣などで煙突がふさがれていないかを確認する |
| 日常点検 | 燃焼中に排ガスのにおいがしないか、煙突からすすが出ていないかを確認する |
煙突がふさがれると、排ガスが室内に漏れるおそれがあります。煙突式の取付や掃除は、煙突の付け方と掃除の記事で整理しています。仕組みは、当サイトの煙突式石油ストーブの記事をご覧ください。
煙突式の点検の頻度
| タイミング | 点検すること |
|---|---|
| 使う前(毎回) | 雪、小鳥の巣などで煙突がふさがれていないか |
| 燃焼中 | 排ガスのにおい、煙突からのすす |
| 大雪・厳寒のあと | 煙突の先端と接続部に、雪・氷が付いていないか |
| シーズン前 | 煙突の接続部のゆるみ、さび、すすの付着 |
においがする、すすが出ているといった異常があれば、すぐに消火して使用をやめてください。原因が分かるまで、再び使わないでください。
灯油の保管と凍結
| 項目 | 内容 | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| 保管場所 | 雨水が当たる室外での保管は不適切 | 灯油の保管方法 |
| 凍結 | 寒冷地では、灯油内の水の凍結に注意 | 灯油内の水の凍結 |
| 水の混入 | 水が混ざった灯油は使わない | 灯油への水の混入 |
| 古い灯油 | 前のシーズンの灯油は使わない | 灯油の劣化 |
| ホームタンク | 洗浄の必要性など | 灯油タンク洗浄 |
灯油の価格は、北海道では毎月公表されています。最新の価格は、公表されている情報で確認してください。
灯油缶の重さの目安
灯油の運搬は、凍った地面や雪道で行うことも多くなります。
灯油の比重を約0.8kg/Lとして、重さを計算します(当サイト計算。容量は例)。
| 灯油缶の容量(例) | 灯油の重さ |
|---|---|
| 10L | 約8kg |
| 18L | 約14.4kg |
18Lの灯油は、約14.4kgになります(缶そのものの重さは含みません)。雪道や氷の上で、重い灯油缶を持つ際は、転倒とこぼれに注意してください。こぼれたときは、すぐにふき取り、火気から離してください。
保管と運搬のチェックリスト
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 保管場所 | 雨水が当たらない場所。火気から離す |
| 容器 | 灯油用の容器か。ふたはしっかり閉まっているか |
| 水・雪の混入 | 容器のふたまわりに雪や水がたまっていないか |
| 運搬 | 滑りにくい靴。小分けにして運ぶ |
| 給油 | 消火して冷めてから。屋内での給油は換気に注意 |
中古品・古い製品の注意
北海道で2016〜2020年の5年間に発生した、中古品の事故の集計です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 中古品の事故 | 18件(うち16件は火災を伴う) |
| 最も多い製品 | 石油ストーブ(9件) |
| 事故例 | 譲渡品の石油ストーブが、使用期間約12年ですすの堆積により異常燃焼し、火災 |
北海道では、使い込んだストーブを長く使ったり、譲り受けたりする場面もあるかもしれませんが、古い製品や譲り受けた製品は、状態を確認してから使ってください。
詳しくは、中古の石油ストーブの記事をご覧ください。
数字の読み方
| 項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 石油ストーブが占める割合 | 9件 ÷ 18件 | 50% |
| 火災を伴う事故の割合 | 16件 ÷ 18件 | 約88.9% |
| 石油ストーブの1年あたりの平均 | 9件 ÷ 5年 | 年1.8件 |
(当サイト計算)この数字は北海道の中古品事故の件数で、北海道のストーブ全体の事故率を示すものではありません。
換気と一酸化炭素
寒い時期は、窓を開けた換気をためらう人が多くなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開放式の換気 | 使用中は1時間に1〜2回(1〜2分)換気する |
| 窓が凍結している場合 | 窓が凍結している場所、換気が十分にできない場所では使用しない |
| 一酸化炭素 | 一酸化炭素中毒の記事 |
| 換気の目安 | 当サイトの換気の記事を参照 |
| 結露 | 窓の結露が凍る場合もある。当サイトの結露の記事を参照 |
窓が凍って開けられない状態で、開放式のストーブを使い続けないでください。
換気の回数を計算する
「1時間に1〜2回、1〜2分」という目安から、使用時間ごとの換気の回数を計算します(当サイト計算。
使用時間は仮定)。
| 使用時間(仮) | 換気の回数 | 換気時間の合計 |
|---|---|---|
| 4時間 | 4〜8回 | 4〜16分 |
| 8時間 | 8〜16回 | 8〜32分 |
| 12時間 | 12〜24回 | 12〜48分 |
8時間使えば、8〜16回、合計8〜32分ほど窓を開ける計算です。
寒い日は負担に感じるかもしれませんが、換気は、一酸化炭素中毒を防ぐために必要な操作です。
換気が難しい状況なら、換気の手間が少ないタイプ(FF式など)を検討する選択肢もあります(この点は、タイプの特徴からの整理です)。
寒冷地で使うときの確認事項
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 設置したストーブのタイプ | 開放式か、FF式か、煙突式か |
| 給排気筒・煙突 | 雪、氷でふさがれていないか |
| 灯油の保管 | 雨水・水の混入、凍結の対策 |
| 換気 | 窓を開けられる状態か |
| 停電時 | ファンヒーター、FF式、煙突式は電源が必要な機種が多い。対流式・反射式との違い。当サイトの停電時の記事も参照 |
| 点検 | シーズン前に、取扱説明書の点検を確認。分解掃除は当サイトの分解掃除の記事を参照 |
停電時は、暖房が使えなくなる影響が大きい季節です。電源が必要な機種かどうかを、事前に確認しておいてください。
シーズン前後の点検チェックリスト
| 時期 | 確認すること | 済 |
|---|---|---|
| シーズン前 | 対流式・反射式は、取扱説明書を確認し、しん・点火ヒーターの状態を見る | □ |
| シーズン前 | 前のシーズンの灯油が残っていれば使わない | □ |
| シーズン前 | FF式の給排気筒、煙突式の煙突に傷や詰まりがないか | □ |
| シーズン中 | 使用前に、給排気筒・煙突に雪・氷がないか | □ |
| シーズン中 | 換気ができる状態か(窓が凍っていないか) | □ |
| 大雪・厳寒のあと | 給排気筒・煙突の先端を確認 | □ |
| シーズン後 | 灯油を使い切るか、抜く | □ |
| シーズン後 | 取扱説明書の保管、点検の記録 | □ |
タイプ別の違い
| タイプ | 寒冷地での考え方 |
|---|---|
| 対流式・反射式 | 換気が必要。窓の凍結に注意 |
| 石油ファンヒーター | 電源が必要。ストーブとの違いは当サイトのファンヒーターとの違いの記事を参照 |
| FF式 | 積雪で給排気筒をふさがない設置 |
| 煙突式 | 煙突の凍結・つまりの点検 |
どのタイプでも、開放式は使用中に1時間に1〜2回を目安に窓を開けて換気してください。就寝中や、長時間その場を離れるときは必ず消火し、給油は消火して冷めてから行ってください。ガソリンは絶対に入れないでください。
よくある質問
Q1. 北海道ではどのタイプの暖房が多いですか?
世帯によって違い、普及率は言い切れません。
建物の断熱や暖房方式に合わせて、タイプを選んでください。
Q2. 雪でFF式が止まることはありますか?
給排気筒トップが雪でふさがると、止まるおそれがあります。
積雪でふさがれない場所に設置し、雪囲いは設けないでください。
Q3. 煙突式で注意することは何ですか?
結露水が凍結して煙突をふさぐおそれがあるため、日常的な点検が必要です。
Q4. 灯油は外に置いても大丈夫ですか?
雨水が当たる室外での保管は不適切です。
凍結については、灯油の凍結をご覧ください。
Q5. 古いストーブを使い続けてもよいですか?
約12年使用した譲渡品の石油ストーブが火災になった事例があります。
異常を感じたらすぐに使用を中止してください。
まとめ
北海道(寒冷地)では、積雪、凍結、換気の3つに注意して石油ストーブを使います。 最後に、この記事のポイントを整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| FF式 | 積雪で給排気筒トップをふさがない。雪囲いは設けない |
| 煙突式 | 結露水の凍結で煙突がふさがるおそれ。日常点検 |
| 灯油 | 雨水・水の混入、凍結に注意 |
| 換気 | 1時間に1〜2回。8時間で8〜16回(当サイト計算) |
| 中古・古い製品 | 北海道の中古品事故18件のうち石油ストーブ9件 |
まずは、お使いのストーブのタイプと、給排気筒や煙突のまわりの積雪・氷の状態を確認してみてください。

