ガスFF暖房機は、壁に取り付けて使う、据え付け型のガスストーブです。
ガスファンヒーターのように換気をしなくてよいと聞いて気になったものの、「FF式」とは何なのか、どんな工事が必要なのかが分からない方も多いのではないでしょうか。
FFは「Forced Draft Balanced Flue」の略で、屋外から空気を取り込み、燃やしたあとの排気も屋外へ出す、密閉式の仕組みです。
この記事では、仕組み、リンナイ現行機種の仕様、必要な工事、安全装置、向いている家と向かない家を、メーカーの情報をもとに整理します。
ガスFF暖房機とはどんな暖房機か
ガスFF暖房機は、壁に固定して使う、ガスの暖房機です。
壁に開けた穴に、給気と排気を兼ねた筒(給排気筒)を通し、屋外とつなぎます。
燃やすための空気は屋外から取り込み、燃えたあとの排気も屋外へ出します。
室内の空気は燃焼に使わず、室内には温風だけが出ます。
「ガスストーブ」という呼び名で売り場やネットに出てくることもありますが、ガスファンヒーターのように持ち運ぶことはできません。
種類の整理は、ガスストーブとガスファンヒーターの違い|呼び方と種類の見分け方にまとめています。
| 項目 | ガスFF暖房機 |
|---|---|
| 燃焼方式 | 密閉式(強制給排気) |
| 空気の取り入れ | 屋外から |
| 排気 | 屋外へ |
| 暖め方 | 温風 |
| 置き方 | 壁に固定 |
| 電源 | AC100Vが必要 |
| 設置 | 工事が必要 |
仕組み:なぜ換気がいらないのか
ガスを燃やすと、室内の酸素が使われ、二酸化炭素などの排気が出ます。
ガスファンヒーターや赤外線ストーブは、この燃焼を室内の空気で行い、排気も室内に出す「開放式」です。
そのため、1時間に1〜2回程度の換気が欠かせません。
ガスFF暖房機は、燃焼に必要な空気を屋外から取り込み、排気も屋外へ出す仕組みです。
燃焼用の空気を室内から取らないので、室内の酸素は減りません。
燃焼に使う空気も排気も室内を通らないため、換気の回数を気にしなくてよい点が、開放式との大きな違いです。
リンナイは、ガスFF暖房機の特長として、外気温に左右されにくく、寒いときほどパワーを発揮できる点を挙げています。
温風で暖める仕組みなので、部屋全体を暖めやすい暖房機です。
📎 出典:リンナイ ガスFF暖房機 特長
ただし、換気が不要でも、部屋の空気が入れ替わらなくなるわけではありません。
24時間換気の給気口や換気扇を、ふさがないようにしてください。
現行機種の仕様を比べる
リンナイのガスFF暖房機の現行機種は、RHF-310FT、RHF-570FT、RHF-580FT、RHF-1006FTの4機種です。
暖房能力や消費電力が大きく異なるため、部屋の広さに合わせて選びます。
| 機種 | 暖房能力 | 暖房のめやす(木造・温暖地) | 消費電力 |
|---|---|---|---|
| RHF-310FT | 2.88kW | 8畳 | 23W |
| RHF-570FT | 5.28kW | 14畳 | 30W |
| RHF-580FT | 5.29kW | 14畳 | 37W |
| RHF-1006FT | 9.30kW | 24畳 | 59W |
数値は、リンナイのカタログに掲載されている値です。
暖房のめやすは、日本ガス石油機器工業会(JGKA)の基準にもとづいた表示で、寒冷地では畳数が小さくなります。
「温暖地」は、室内外の温度差を15℃として計算した地域、「寒冷地」は同じ温度差を30℃とした地域で、東京などが温暖地、札幌などが寒冷地にあたります。
📎 出典:リンナイ ガスFF暖房機 総合カタログ
機種によって、加湿皿の容量にも違いがあります。
加湿皿は、水を入れておくと蒸発して室内の空気に水分を加えるパーツで、容量はおおよそ0.8〜3.0Lの範囲です。
電源が必要で、運転中の消費電力は23〜59Wです。
暖房能力の大きさに比べて消費電力が小さく、電気代の負担は大きくありません。
設置に必要なもの:工事と電源
ガスFF暖房機は、置くだけでは使えません。
次の3つが必要です。
| 必要なもの | 内容 |
|---|---|
| ガス配管 | ガス栓、または専用の接続。ガスの種類は都市ガス/LPガスのどちらか |
| 給排気筒 | 壁を貫通させて屋外とつなぐ。穴あけと取り付けが必要 |
| 電源 | AC100Vのコンセント。待機中も含め、電気がないと動かない |
設置は、ガスと電気の工事に必要な資格を持つ事業者が行う必要があります。
自分で取り付けることはできません。
壁の材質や厚さ、外壁側に障害物がないかなど、設置できる場所には条件があります。
取り付けられる位置は、機種ごとの施工説明書で定められています。
賃貸では、壁に穴をあける工事が必要なため、貸主や管理会社の許可が必要です。
許可なく設置することはできません。
安全装置:給排気のトラブルに備える
ガスFF暖房機は、屋外と筒でつなぐ仕組みのため、筒がふさがったり外れたりした場合の安全装置があります。
リンナイの現行機種には、次のような装置があります。
| 安全装置 | 働き |
|---|---|
| 給排気閉塞検知装置 | 給排気筒がふさがって燃焼が不安定になったことを検知し、運転を止める |
| 排気筒外れ検知装置 | 排気筒が外れたことを検知し、運転を止める(エラー表示は「90」) |
給排気筒の出口が、雪や落ち葉、荷物などでふさがれると、燃焼が不安定になるおそれがあります。
屋外側の給排気口の周りには、物を置かず、雪が積もったときは取り除いてください。
エラー表示が出たときは、取扱説明書に従い、原因を確認します。
改善しない場合は、メーカーや販売店に連絡してください。
リンナイは、ガスFF暖房機について、3年ごとの点検を案内しています。
給排気筒の接続部やファンまわりなど、使い続けるうちに状態が変わる場所を確認するためです。
向いている家と向かない家
ガスFF暖房機が向いているかどうかは、換気のしやすさと、工事ができるかで決まります。
| 向いている家・部屋 | 理由 |
|---|---|
| 高気密・高断熱の住宅 | 窓を開けた換気を減らしたい |
| 窓が凍りつきやすい寒冷地 | 換気ができない状況でも使える |
| 寝室や書斎など、換気しにくい部屋 | 就寝中や集中したい時間に換気を中断しなくてよい |
| 毎日長時間、同じ部屋で暖房する家 | 据え付けで使い続けやすい |
| 事務所や教室、店舗 | 人の出入りが多く、換気の手間を省きたい |
| 向かない家・部屋 | 理由 |
|---|---|
| 賃貸で許可がもらえない | 壁の穴あけ工事ができない |
| 外壁に面していない部屋 | 給排気筒を屋外に出せない |
| 数日しか使わない部屋 | 本体価格と工事費に見合わない |
| 部屋を頻繁に変えたい | 壁に固定されるため移動できない |
導入前には、設置したい壁が外壁に面しているか、近くにガス配管と電源があるか、屋外側に障害物がないかを確認しておくと安心です。
本体の価格に工事費が加わるため、見積もりの内訳を確認してから決めるようにしてください。
開放式との違いを一覧で比べる
ガスFF暖房機が選ばれる理由は、開放式のガス暖房機との違いを並べると分かりやすくなります。
| 項目 | ガスFF暖房機 | ガスファンヒーター | ガス赤外線ストーブ |
|---|---|---|---|
| 燃焼の空気 | 屋外から | 室内から | 室内から |
| 排気 | 屋外へ | 室内へ | 室内へ |
| 換気 | 原則不要 | 1時間に1〜2回 | 1時間に1〜2回 |
| 移動 | できない(壁に固定) | できる | できる |
| 工事 | 必要 | 不要 | 不要 |
| 費用の考え方 | 本体+工事費 | 本体のみ | 本体のみ |
毎日同じ部屋で長時間使うなら、換気の手間がかからないFF式は暮らしやすい暖房機です。
一方、短い時間だけ使う部屋や、季節ごとに置き場所を変えたい場合は、置くだけで使える開放式のほうが合っています。
まずは「その部屋で何時間使うか」を考えると、判断しやすくなります。
使うときの基本:加湿皿と日常の注意
加湿皿に水を入れておくと、運転中に水が蒸発し、室内の空気に水分が加わります。
水の量が少なくなったら、取扱説明書に従って補給してください。
加湿皿は、機種によって容量が異なるため、入れる量の目安は機種ごとの説明書で確認します。
日常では、次の点に気をつけます。
- 本体の周りに、カーテンや衣類、紙類などの燃えやすい物を近づけない
- 吹き出し口の前をふさがない
- 屋外側の給排気口をふさがず、雪や落ち葉があれば取り除く
- 点検の時期(3年ごと)を過ぎていないか確認する
燃えやすい物を本体の近くに置かないでください。
離す距離は機種ごとに決まっているため、設置時に事業者へ確認しておくと安心です。
よくある質問
Q1. ガスFF暖房機は換気が必要ですか?
燃焼用の空気を屋外から取り込み、排気も屋外へ出す密閉式のため、ガスファンヒーターのような定期的な換気は必要ありません。
ただし、屋外の給排気口がふさがれると不完全燃焼のおそれがあるため、周りに物を置かないようにしてください。
室内の24時間換気は、そのまま使い続けます。
Q2. ガスFF暖房機は停電すると使えませんか?
使えません。
ファンや制御にAC100Vの電気を使うため、停電時は運転できません。
停電に備えて暖房を確保したい場合は、電気を使わずに点火できるガス赤外線ストーブなど、別の暖房を用意しておくと安心です。
Q3. 自分で取り付けられますか?
取り付けられません。
ガスの接続と電気の接続に、資格を持つ事業者の工事が必要です。
給排気筒を通す壁の穴あけも伴うため、必ず販売店や工事業者に依頼してください。
Q4. 賃貸でも設置できますか?
壁に穴をあける工事が必要なので、貸主や管理会社の許可を取る必要があります。
許可がない状態での設置はできません。
退去時に原状回復が求められる場合もあるため、費用の負担についても事前に確認しておきましょう。
Q5. ガスファンヒーターと比べて、何が違いますか?
大きな違いは、換気の要否、置き方、工事の有無です。
ガスFF暖房機は換気が不要で、壁に固定し、工事が必要です。
ガスファンヒーターは換気が必要ですが、ガス栓があれば置いて使えます。
部屋の使い方と住まいの条件に合わせて選びます。
まとめ
ガスFF暖房機は、屋外の空気で燃やして屋外へ排気する、壁付けの密閉式ガス暖房機です。
最後に、要点を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 仕組み | 屋外から給気し、屋外へ排気する |
| 換気 | こまめな換気は不要 |
| 電源 | 必要(停電時は使えない) |
| 工事 | ガス・電気・壁の穴あけが必要 |
| 暖房のめやす(リンナイ現行) | 木造・温暖地で8〜24畳 |
検討するときは、設置したい壁が外壁に面しているか、賃貸なら許可が取れるか、屋外側の給排気口をふさがない環境かを、先に確認してみてください。

