冬の請求書を見て、「床暖房を使い始めてから電気代が跳ね上がった」「やばい金額になっている」と驚いた経験がある人は少なくありません。
床暖房は足元から暖かく快適な反面、長時間使うことが多く、負担が目に見えて増えやすい暖房です。
実際に請求額を見て、ためらってしまう人もいます。
ただ、電気代が高く感じる理由は一つとは限らず、使い方、住まいの条件、電気料金の単価、機器の状態など、いくつかの要因が重なっていることがほとんどです。
この記事では、床暖房の電気代が高いと感じたときに、まず使用量と単価を切り分け、原因を順に点検して見直す方法を解説します。
床暖房の電気代が高いと感じる人は多い
日本冷凍空調工業会が2020年1月に行った温水床暖房の満足度調査(戸建て住宅の居住者410名が対象)では、床暖房のランニングコストについて、燃焼ガス式で「満足・やや満足」が20.4%、「不満」が36.5%でした。
ヒートポンプ式では、「満足・やや満足」が50.9%、「不満」が15.8%で、方式によって差がありました。
また、どちらの方式でも、最も多い不満は「ランニングコストが高い」でした。
なお、ヒートポンプ式の回答者は57名のため、参考値として見てください。
それでも、「床暖房は光熱費が気になる」と感じる人が一定数いることは、この調査から読み取れます。
電気代が高いと感じるのは、特別なことではないので、原因を整理して、一つずつ見直していくことが大切です。
慌てて床暖房を止める前に、冷静に原因を探してみましょう。
まず「使用量」と「単価」に切り分ける
電気代が上がったと感じたら、最初に、増えた理由が「使った量」なのか「単価」なのかを切り分けます。
電気代は、使用量(kWh)に単価(円/kWh)を掛けた金額に、基本料金などが加わって決まります。
そのため、使用量が増えていなくても、単価が上がれば請求額は上がります。
| 確認する点 | 見る場所 | 考え方 |
|---|---|---|
| 使用量(kWh) | 検針票・マイページ | 前年同月と比べて増えているか |
| 単価の動き | 検針票の従量料金、燃料費調整額、再エネ賦課金 | 単価が上がっていないか |
| 契約の内容 | 料金プラン、契約アンペア | 契約が変わっていないか |
使用量が前年と同じなのに請求額が上がっているなら、床暖房ではなく、単価の変動が原因の可能性があります。
検針票の見方は、電気代の計算方法を解説した記事で詳しく取り上げています。
反対に、使用量そのものが増えているなら、床暖房の使い方や、住まいの条件を点検する段階に進みます。
原因を点検する
使用量が増えている場合は、次の点を順に点検してみてください。
設定温度が高すぎないか
設定温度を高くするほど、床暖房は多くのエネルギーを使います。
家族のうち一人が寒がりで、設定を高めにしているケースもあります。
体感を見ながら、少しずつ設定を下げて、快適さが保てる最も低い設定を探してみましょう。
運転時間が長すぎないか
誰もいない時間や、寝ている間も運転していないでしょうか。
床暖房は、立ち上がりに時間がかかるため、つけっぱなしにする人も多くいます。
ただし、使わない部屋や時間帯まで運転していると、電気代は増えます。
つけっぱなしの考え方は、別の記事で詳しく取り上げます。
暖める範囲が広すぎないか
使っていない部屋の床暖房まで運転していないでしょうか。
部屋ごとに運転を切り替えられる機種であれば、使う範囲に絞るだけで、使用量は減ります。
断熱が不足していないか
窓や壁、床下から熱が逃げていると、同じ暖かさを保つために、より多くの電力が必要になります。
特に、大きな窓や、冷気が入り込む玄関まわりは、熱の逃げ道になりやすい場所です。
断熱カーテンや内窓、すきま対策などで、熱の逃げを減らすと、使用量の削減につながります。
敷物や家具が熱を妨げていないか
床暖房に対応していない敷物や厚手のカーペット、家具で床がおおわれていると、熱が部屋に伝わりにくくなります。
その結果、表面が暖まらず、設定を上げてしまう悪循環になることがあります。
床暖房の上に置く敷物や家具は、必ず床暖房に対応した製品かどうかを確認してください。
対応していないものを使うと、熱がこもって変形・変色したり、機器に負担がかかったりするおそれがあります。
エアコンなど他の暖房を併用していないか
日本冷凍空調工業会の調査では、床暖房にエアコンを併用している人は、燃焼ガス式で65.8%、ヒートポンプ式で74.1%でした。
併用自体は珍しくありませんが、床暖房とエアコンの両方を高い設定で長時間使えば、電気代は増えます。
どちらを主役にするか、役割を決めて使うと、無駄を減らしやすくなります。
機器に不具合がないか
運転しているのに床が十分に暖まらない、設定を上げても変わらない、といった場合は、機器の不調で効率が落ちている可能性があります。
その場合は、使い方の見直しだけでは改善しません。
熱源機のエラー表示や、異音がないかを確認し、必要に応じて点検を依頼してください。
単価が上がるしくみを知っておく
電気料金の単価は、契約した料金メニューの従量料金だけでなく、燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)などが加わって、実際の請求額が決まります。
燃料費調整額は、発電に使う燃料の価格の変動を反映して、毎月変わる仕組みです。
再エネ賦課金は、使用量に応じて加算される項目で、単価は年度ごとに見直されます。
そのため、床暖房の使い方が同じでも、燃料価格の動きや制度の見直しによって、請求額が上下することがあります。
冬は使用量そのものが増える季節でもあり、単価の影響が大きく見えやすくなります。
請求額が増えた理由を、使用量と単価に分けて見る習慣をつけると、無駄な不安を減らせます。
方式によって原因の見方が違う
床暖房の方式によって、電気代が高くなる理由の見方は異なります。
| 方式 | 電気代が高いときの見方 |
|---|---|
| 電気式 | 使った分がそのまま電気代になる。運転時間・設定・暖める範囲の影響が大きい |
| ヒートポンプ式 | 外気温が低い時期は効率が下がりやすい。霜取り運転や設定も確認する |
| ガス温水式・灯油式 | 電気代は熱源機や循環ポンプ分が中心。高いのは燃料費の可能性もある |
ガスや灯油で温水をつくる方式の場合、電気代が高いと感じても、実際には燃料費のほうが大きいこともあります。
その場合は、電気代だけでなく、ガス代や灯油代も合わせて見ないと、全体の負担は分かりません。
方式ごとの仕組みの違いは、床暖房の仕組みを解説した記事でも整理しています。
見直しの順番
多くの見直し項目を一度に試すと、どれが効いたのか分からなくなります。
効果が出やすく、取り組みやすい順に進めるのがおすすめです。
| 順番 | 見直す内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 使用量と単価の切り分け | 原因が床暖房かどうかを確かめる |
| 2 | 運転時間・暖める範囲の見直し | 費用をかけずに、すぐ試せる |
| 3 | 設定温度の調整 | 体感を見ながら、少しずつ変えられる |
| 4 | 敷物・家具の見直し | 熱の伝わりを改善できる |
| 5 | 断熱の強化 | 効果が長く続くが、費用や手間がかかる |
| 6 | 機器の点検 | 不具合が疑われる場合に実施する |
具体的な節約の方法は、床暖房の電気代を節約する方法を解説した記事で整理しています。
金額の目安については、床暖房の電気代1ヶ月の目安を解説した記事も参考になります。
相談の目安
次のような場合は、メーカーや施工業者に相談することをおすすめします。
- 設定や使い方を変えても、電気代がまったく下がらない
- 以前より、明らかに床が暖まりにくくなった
- 運転中に、異音や異臭、エラー表示がある
- 使い始めて数年たち、機器の劣化が疑われる
異音や異臭、水漏れなどの異常を感じたら、運転を止めて、メーカーや施工業者に連絡してください。
よくある質問
Q1. 床暖房の電気代が高いのは、普通のことですか?
調査でも、床暖房の不満として「ランニングコストが高い」が最も多く挙げられており、高く感じる人は少なくありません。
ただし、使い方や住まいの条件を見直すことで、改善できる場合も多くあります。
まずは、使用量と単価に切り分けて、原因を確かめましょう。
Q2. 電気代が急に上がったのは、床暖房のせいですか?
床暖房が原因とは限りません。
単価の変動や、燃料費調整額の増加、他の機器の使用量の増加が原因のこともあります。
前年同月の使用量と比べると、床暖房を含む使用量が増えているのかが分かります。
Q3. 設定温度を下げると、どのくらい安くなりますか?
下げ幅や機種、住まいによって異なるため、一概には言えません。
一般に、設定温度が高いほど消費エネルギーは増えるため、体感を保てる範囲で下げると、電気代の抑制につながります。
少しずつ下げて、快適さを確かめながら調整してください。
Q4. つけっぱなしにするのと、こまめに切るのと、どちらが安いですか?
住まいの断熱性能や、使う時間によって異なります。
断熱性能が高い住まいでは、つけっぱなしの負担が小さい場合もあり、断熱が低い住まいでは、こまめに切るほうが有利な場合もあります。
詳しくは、つけっぱなしの考え方を取り上げた記事で整理します。
Q5. 電気代を気にして、床暖房をやめたほうがよいでしょうか?
やめる前に、使い方と住まいの条件を見直してください。
運転時間、設定温度、暖める範囲、断熱、敷物を調整するだけで、負担を抑えられることがあります。
それでも負担が大きい場合は、エアコンとの役割分担や、他の暖房との組み合わせも検討できます。
我慢して寒い思いをするより、負担と快適さのバランスを探るほうが、長く続けやすくなります。
まとめ
床暖房の電気代が高いと感じたときは、使用量と単価の切り分けから始め、原因を順に見直すことが大切です。
最後に、この記事のポイントを整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 最初にすること | 検針票で使用量と単価を切り分ける |
| 点検する原因 | 設定温度、運転時間、暖める範囲、断熱、敷物、他の暖房、機器の不具合 |
| 見直しの順番 | 費用のかからない運転の見直しから始め、断熱や点検へ進む |
| 相談の目安 | 改善しない、床が暖まらない、異音・異臭・エラーがある場合 |
床暖房の電気代全体の考え方は、床暖房の電気代を解説した記事で整理しています。
まずは、前年同月の検針票と見比べて、使用量が増えているかどうかを確かめてみてください。

