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待機電力とは?電源オフでも電気を使い続ける仕組みを正しく理解する

スーツ姿の人物が指で電源マークのアイコンを押しているイメージ写真
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

「電源を切っているのに、なぜ電気代がかかるのか」。
この疑問を持ったことがある家庭は少なくありません。
毎日使っている家電のスイッチを確かにオフにしているのに、思ったほど電気代が下がらない。
その原因として、多くの家庭で見落とされがちなのが待機電力です。

待機電力とは、家電製品が実際には使用されていない状態であっても、内部で消費され続けている電力のことを指します。
リモコン操作を受け付けるための受信待ち状態、時刻や設定内容を保持するための内部メモリ、異常が起きていないかを監視する安全回路など、表からは見えない動作が常に続いています。
見た目上は「止まっている」家電でも、内部では完全に電源が切れていないケースが多いのが実情です。

ここで重要なのは、「使っていない=電気を使っていない」わけではないという点です。
操作していない時間が長いほど電気代はかからないはず、という感覚は自然ですが、待機電力が存在する以上、その前提は必ずしも成り立ちません。
この認識のズレが、「節電しているつもりなのに電気代が下がらない」「原因がよく分からないまま請求額だけが高い」と感じる大きな要因になりやすいのです。

さらに厄介なのは、待機電力は1台ごとの消費量が小さく、体感しにくいという点です。
24時間・365日、複数の家電が同時に待機状態を続けていると、その積み重ねは決して無視できません。

そんな気づかないうちに家全体の電気使用量を底上げしてしまう、待機電力について解説していきましょう。


目次

待機電力が発生する理由|なぜ完全にゼロにならないのか

電源タップに複数の電源プラグが差し込まれ、その上に木製の人形が置かれている状態

家電の多くは、「使う瞬間にすぐ動くこと」を前提に設計されています。
スイッチを入れてから起動するまでに時間がかかると不便になるため、完全に電源を遮断せず、最低限の回路だけを常に動かしておく構造が一般的です。
その結果、主電源をオフにしていても、内部の一部には電気が流れ続ける状態が生まれます。

この仕組みは決して欠陥ではなく、利便性と安全性を優先した結果でもあります。
待機電力は「無駄」というより、快適に使うための代償として発生している側面があるのです。

具体的に、待機電力が必要とされる理由は次のとおりです。

リモコン信号を常に受信する必要がある

テレビやエアコンのようにリモコン操作が前提の家電は、「電源オフ」の状態でも、リモコンからの信号を待ち続けています。
もし完全に電源が切れてしまうと、リモコン操作自体ができなくなり、本体のスイッチを毎回押す必要が出てしまいます。

この“待ち受け”状態を維持するために、わずかな電力が使われ続けています。

時計・タイマー・設定情報を保持する必要がある

電子レンジや炊飯器、レコーダーなどは、時刻表示や予約設定、前回の動作設定を内部に記憶しています。
これらの情報は、電源を完全に遮断すると消えてしまうため、常に通電が必要です。

特にタイマー機能を使う家電では、待機電力がなければ「予約自体が成り立たない」ケースもあります。

安全装置やエラー検知回路を常時監視している

給湯器や暖房機器、電子レンジなどの一部家電では、異常が発生していないかを確認するための安全回路が常に動作しています。
これは事故や故障を未然に防ぐための仕組みで、意図的に設けられているものです。

待機電力は、安全を確保するための最低限の電力として使われている場合もあります。

ネットワーク接続(Wi-Fi・LAN)を維持している

近年増えているスマート家電やネット対応機器では、通信待機のために待機電力が発生します。
外部からの操作指示や更新情報を受け取る必要があるため、完全にオフにできない構造になっています。

このタイプの家電は、従来型に比べて待機電力がやや高くなりやすい傾向があります。


待機電力はどれくらい電気代に影響するのか

床の上に置かれた電源プラグと電卓が並び、電気代計算を連想させる構図

待機電力は、1台あたりで見るとごくわずかな消費に見えます。
実際、多くの家電では数ワット程度であり、「これくらいなら大丈夫だろう」と感じやすいのが実情です。

しかし、問題はその状態が24時間×365日続いている点にあります。
さらに、テレビ・エアコン・レコーダー・電子レンジなど、複数の家電が同時に待機状態になっている家庭は少なくありません。
この「少量×長時間×複数台」の積み重ねによって、待機電力は無視できない金額に変わっていきます。

一般家庭では、家庭全体の消費電力量のうち5〜10%前後が待機電力とされるケースが多く見られます。
割合としては小さく見えても、電気代に換算すると現実的な負担になります。

仮に、月の電気代が8,000円の家庭で考えると、

  • 約400〜800円分が、実際には家電を使っていない時間帯の電気代

という計算になります。

これを1年単位で見れば、数千円〜1万円規模になることも珍しくありません。
節電を意識しているつもりでも、待機電力を見直さない限り、電気代が大きく下がらない理由がここにあります。


待機電力がほとんど発生しない家電もある

スイッチ付き電源タップのスイッチを指で操作している手元の様子

待機電力という言葉を知ると、「すべての家電が対象なのでは」と不安になる方も少なくありません。
しかし実際には、待機電力をほとんど消費しない、または気にする必要がない家電も確かに存在します

一方的に「全部対策すべき」と考えるのではなく、構造上、待機電力が発生しにくい家電を見極めることが現実的な考え方です。

代表的なのは、次のようなタイプの機器です。

スイッチ付き電源タップで完全遮断できる機器

電源タップ側に物理スイッチがあり、オフにすると通電自体が止まる構造のものは、待機電力が発生しません。
この場合、家電側の設計に関係なく、確実に電力を遮断できます。

構造がシンプルな家電

  • 扇風機
  • 一部の電気ストーブ
  • 卓上ヒーターなど

これらは内部構造が単純で、リモコン受信・時計・通信機能を持たないものが多く、電源を切ればそのまま電力消費が止まるケースがほとんどです。

機械式スイッチのみで制御される製品

ダイヤル式・押し込み式など、物理的なスイッチでオンオフを切り替える家電は、スイッチが切れている状態では待機電力が発生しにくい傾向があります。

このような家電まで含めて神経質に管理する必要はありません。
「対策すべき家電」と「気にしなくていい家電」を分けて考えることが、無理のない節電につながります。


待機電力を減らすためにできる現実的な対策

エアコン、洗濯機、冷蔵庫、オーブン、掃除機など複数の家電が並んだ室内イメージ

待機電力対策というと、「面倒そう」「続かなそう」と感じる方も多いかもしれません。
しかし、実際に効果が出やすい対策は限られており、すべての家電を対象にする必要はありません
ポイントは、手間をかけずに“確実に減らせるところだけ”を押さえることです。

使わない家電は電源タップでまとめて遮断する

最も効果的で、現実的に続けやすい方法がスイッチ付き電源タップの活用です。
テレビ周りやデスク周りなど、複数の家電が集まっている場所では、
電源タップ側のスイッチを切るだけで、一括して待機電力を遮断できます。

毎回コンセントを抜き差しする必要がなく、
「使わない時間帯だけスイッチを切る」という習慣にしやすい点が大きなメリットです。

特に、

  • テレビ
  • レコーダー
  • ゲーム機
  • オーディオ機器

などが集まる場所は、待機電力対策の効果が出やすいポイントです。

常時使用しない家電は「抜いてよい」

すべての家電を通電したままにしておく必要はありません。
使用頻度が低い家電は、使わない期間中にコンセントを抜くだけで十分な対策になります。

代表的なのは、

  • 来客時しか使わない家電
  • 季節限定で使用する機器
  • サブ用途として置いている家電

これらは、コンセントを抜いても日常生活に支障が出にくく、
待機電力対策としても非常に効率的です。

抜かないほうがよいケースもある

一方で、すべての家電を「抜けばいい」という考え方は危険です。
待機電力が発生していても、通電を前提としている家電も存在します。

たとえば、

  • 録画予約中のレコーダー
  • 常時通信が必要なルーターやネットワーク機器

これらを遮断すると、
録画が失敗したり、通信が切れたり、設定がリセットされるなどの不具合が起きる可能性があります。

待機電力対策では、
「減らすこと」よりも「正常に使えること」を優先すべき家電がある
という点を理解しておくことが重要です。

迷ったときのシンプルな判断基準

「この家電は抜くべきか?」と迷った場合は、
次の3点で判断すると失敗しにくくなります。

  • 毎日使っているか
  • 常時動作が必要な機能があるか
  • 抜いたことで不便や不具合が出ないか

この3つすべてに当てはまらない家電であれば、
待機電力対策の対象として問題ありません。


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待機電力を減らすことの本当のメリット

電球と木製の家型オブジェが並べられ、家庭の電力使用をイメージした構図

待機電力対策というと、「電気代を少しでも下げるための工夫」と捉えられがちです。
しかし実際には、待機電力を減らすことのメリットは、電気代だけにとどまりません

無駄な通電を減らすことで安全性が高まる

家電に電気が流れている限り、わずかながらも発熱や電気的負荷は発生しています。
待機電力を減らすということは、「使っていない時間に電気を流さない状態をつくる」ということでもあります。

これにより、不要な通電による発熱やトラブルのリスクを抑えられ、家庭内の安全性を高める効果が期待できます。

雷・過電流による故障リスクを下げられる

雷や突発的な電圧変動は、コンセントにつながった家電にダメージを与える原因になります。
特に精密な電子回路を持つ家電は、待機状態でも影響を受ける可能性があります。

電源タップで遮断したり、長期間使わない家電のプラグを抜いておくことで、こうした予期せぬトラブルから家電を守ることにつながります。

家電の劣化を抑えられるケースもある

待機電力は少量とはいえ、内部回路が常に動き続けている状態でもあります。
そのため、長期間にわたって通電し続けることで、部品の劣化が進むケースも考えられます。

待機電力対策は、必ずしも寿命を大きく延ばすものではありませんが、無駄な消耗を減らす一因になる可能性はあります。

長期間不在時は「節電」以上に意味を持つ

旅行や出張などで家を空ける場合、待機電力対策は節電というより安全対策の意味合いが強くなります。

  • 使わない家電への通電を止める
  • 想定外のトラブルを減らす

こうした観点からも、長期間不在時の待機電力対策は非常に有効です。


FAQ(よくある質問)

Q1. 待機電力は本当に電気代に影響しますか?

1台あたりの消費電力は小さいものの、24時間365日続くため、家庭全体では無視できない金額になります。
一般的には、家庭の消費電力量の5〜10%前後が待機電力とされることが多く、年間では数千円規模になるケースもあります。


Q2. 待機電力をゼロにするにはコンセントを抜くしかありませんか?

必ずしも毎回コンセントを抜く必要はありません。
スイッチ付き電源タップを使えば、ワンタッチで通電を遮断でき、手間なく待機電力を減らすことができます。


Q3. 待機電力を気にしなくていい家電はありますか?

あります。
リモコンや時計機能を持たないシンプルな家電や、機械式スイッチで制御される製品は、待機電力がほとんど発生しない場合があります。
すべての家電を一律に管理する必要はありません。


Q4. ルーターやレコーダーは抜いたほうがいいですか?

常時通信が必要なルーターや、録画予約中のレコーダーは、基本的に抜かないほうが安全です。
無理に遮断すると、通信断や録画失敗、設定リセットなどの不具合が起きる可能性があります。


Q5. 待機電力対策は電気代以外にも意味がありますか?

あります。
無駄な通電を減らすことで、雷や過電流による故障リスクを下げたり、家電の不要な劣化を抑えたりする効果が期待できます。
特に長期間家を空ける場合は、安全対策としても有効です。

まとめ:待機電力とは「意識すれば確実に減らせる電力」

黒板に描かれた照明のアイコンと、電気代の上昇を示す矢印と円マークのイラスト

待機電力には、

  • 見えにくい
  • 1台あたりでは小さい
  • 日常生活の中で気づきにくい

という特徴があります。

そのため、多くの家庭では、存在を知っていても対策が後回しになりがちです。

しかし実際には、家電の使い方を少し整理するだけで、確実に削減できる電力でもあります。
すべてを完璧に管理する必要はありません。

  • 対策すべき家電を選ぶ
  • 抜かなくていい家電は無理に触らない
  • 続けられる方法だけを取り入れる

この考え方だけでも、無理のない節電と安心につながります。

待機電力は、「我慢して減らす電力」ではなく、知っていれば自然に減らせる電力です。

この記事をきっかけに、一度だけ家電の使い方を見直してみる。
それだけでも、十分な価値があります。


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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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