SaaS企業とは?特徴・仕組み・主要サービスまでわかりやすく解説

SaaS企業とは?の文字とクラウド・分析・ビジネスツールを表すアイコンが並んだ青背景のイラスト
目次

そもそも“SaaS企業”って何?

最近、ビジネスの現場でも日常的に「SaaS(サース)」という言葉を耳にするようになりました。
とはいえ、「SaaS企業ってITっぽい会社なんだよね?」「クラウドでソフト提供してるんでしょ?」というように、何となくのイメージで止まっている人も多いのではないでしょうか。

実際、SaaSという仕組み自体は、私たちの生活や仕事の中で日々触れているものです。
たとえばGmailやGoogleドライブ、Zoomなどもその一部。でも「それがSaaSなのか」とまで理解できている人は、意外と少ないのが現実です。

そして、こうしたサービスを開発・提供しているのが、いわゆる「SaaS企業」
単なるITベンチャーとは異なり、継続課金モデルやクラウド技術を武器に、今やグローバルにスケールするビジネスの代表格となっています。

本記事では、「SaaS企業とはそもそもどんな会社なのか?」を軸に、その定義・仕組み・ビジネスモデル・サービス例などを詳しく解説します。
難しい専門用語は使わず、できるだけかみ砕いて紹介するので、ITに詳しくない方でも安心して読み進めてください。


SaaS企業とは?定義と仕組みをやさしく解説

SaaSの仕組みを説明するビジネスマンと、クラウド上にサービスを提供する3台のノートパソコンを描いたイラスト

SaaS(Software as a Service)は「サービスとして提供されるソフトウェア」のことを指し、SaaS企業とは、クラウド経由でこのソフトを提供する企業のことです。

かつてはソフトウェアといえば、CDで購入してパソコンにインストールするものでした。それが今では、Webブラウザを通じてアクセスすればすぐに使える「クラウド型サービス」が主流に。

この形式でサービスを提供しているのがSaaS企業です。例えば、以下のようなサービスはすべてSaaS型

  • Google Workspace(ドキュメント・スプレッドシートなど)
  • Dropbox(クラウドストレージ)
  • ChatGPT(対話型AI)
  • Canva(デザインツール)
  • Zoom(Web会議ツール)

これらを提供している企業(Google、OpenAI、Zoom社など)が、いわゆる“SaaS企業”です。


SaaS企業の主な特徴とは?

SaaS企業は、他のIT企業や製造業と比べて以下のような特徴を持っています。

特徴説明
サブスクリプション型の収益モデル月額や年額で継続課金される仕組み
クラウドを前提とした提供ユーザーはソフトをインストールせず、Web上で利用
常時アップデート&バグ修正サーバー側で更新されるため、ユーザーは最新版を常に利用可能
世界中に顧客を持てるオンライン完結のため、物理的制限が少ない
無料プランやトライアルが多いフリーミアムモデルで間口を広くしている

特に注目されているのが「スケーラビリティ」です。
開発したサービスは1つでも、ユーザーは数百人〜数百万人まで拡大可能。その分、優れたUXや安定性、サポート力が問われるビジネスでもあります。

また、SaaS企業の多くはベンチャーからスタートし、短期間でIPO(株式上場)する例も珍しくありません。
顧客数と課金額が指数関数的に増える仕組みを作れば、資本を集めて大きくスケールできる。それがSaaS型ビジネスの魅力でもあります。


SaaS企業が展開している主なサービスジャンル

SaaS企業が提供するサービスは非常に多岐にわたります。以下に代表的なジャンルと具体例を紹介します。

スクロールできます
ジャンルサービス例提供企業
ドキュメント・共同作業Google Workspace, NotionGoogle, Notion Labs
ストレージ・ファイル共有Dropbox, OneDriveDropbox, Microsoft
会計・請求・経理freee, マネーフォワードfreee株式会社, マネーフォワード株式会社
CRM・営業支援Salesforce, HubSpotSalesforce, HubSpot
MA(マーケティング自動化)カスタマーリングス, b→dashプレイド, フロムスクラッチ
Web会議・チャットZoom, Slack, ChatworkZoom Video, Salesforce, Chatwork
デザイン・制作支援Canva, FigmaCanva Pty Ltd, Figma Inc.
AI・業務効率化ChatGPT, Notion AIOpenAI, Notion Labs
Eラーニング・教育Udemy, SchooUdemy Inc., スクー株式会社

このように、SaaS企業は「特定の業務課題をクラウドで解決する」プロフェッショナル。その対象はビジネスの現場にとどまらず、教育・医療・建築・自治体などにも広がっています。

最近では、建設業向けの現場進捗管理ツールや、飲食店専用の予約・売上管理アプリなど、「業種特化型SaaS」も増加中。
それぞれの現場課題を深く理解した上で、使いやすさ・連携性・業務効率に直結する機能が評価されています。


SaaS企業のビジネスモデル|なぜ注目されるのか?

SaaSビジネスモデルの仕組みを解説するビジネスマンと、クラウド・契約・定額課金・利用者を組み合わせた図解風のイラスト

急成長するスタートアップの多くが、この「SaaSモデル」を採用しているのをご存じでしょうか?

SaaS企業の魅力は、単なるクラウド提供にとどまりません。従来のソフトウェア企業とはまったく異なるビジネス設計によって、低コスト・高利益・拡張性を両立しているのです。

初期費用ゼロで始められるのに、なぜ企業側は利益を出せるのか?」「なぜ株式市場でSaaS企業の評価が高いのか?

この章では、SaaS企業が注目される理由を“ビジネスモデルの観点”から深掘りしていきます。

継続課金=安定収益

多くのSaaS企業は、サブスクリプション(月額/年額)モデルを採用しています。この形式は「1回きりで終わらない」ため、LTV(顧客生涯価値)を高めやすく、企業の収益が安定しやすいのが特徴です。

BtoC型では月500円〜1,500円、BtoB型では月数万円〜数十万円といった高額プランもあり、対象によって柔軟な価格設定が可能です。

顧客基盤の拡張と“乗り換えコスト”

一度業務フローに組み込まれると、他のサービスへ移行するのが難しくなる(ロックイン効果)ため、継続率が高いというメリットもあります。

さらに、ユーザーの声をリアルタイムで反映しやすく、「週次アップデート」や「ベータテスト→即本番反映」といったスピード感ある開発文化が根付いているのも、SaaSの特徴です。


代表的なSaaS企業紹介【国内・海外】

ここまででSaaS企業の仕組みやビジネスモデルについて理解が深まったところで、実際にどんな企業がこの分野をけん引しているのかを見てみましょう。

ここでは、世界的に有名な海外SaaS企業と、日本国内で注目されているSaaS企業をそれぞれ紹介します。

「聞いたことはあるけど、これもSaaSだったのか!」という発見があるかもしれません。

海外のSaaS企業

企業名主なサービス
GoogleGoogle Workspace、Google Driveなど
Salesforce顧客管理(CRM)SaaSの代表格
Zoom Video CommunicationsWeb会議ツールZoom
MicrosoftOffice365、OneDriveなどのSaaS展開
OpenAIChatGPT(AI対話型SaaS)

国内のSaaS企業

企業名主なサービス
freee株式会社会計・給与計算のクラウドサービス
マネーフォワード経理・請求・確定申告などの業務支援ツール
Chatwork中小企業向けビジネスチャット
Sansan株式会社名刺管理・営業支援クラウド
株式会社SmartHR労務管理・人事手続きのオンライン化

FAQ(よくある5つの疑問と回答)

Q1:中小規模でも費用対効果あるの?

A:はい、あります。むしろ中小企業こそ“SaaSの恩恵”を最大化できるケースが多いです。

SaaSは初期費用を抑えつつ、業務の自動化や人件費削減に大きく貢献します。たとえば勤怠管理や請求書発行を手作業で行っていた企業が、月額5,000円程度のSaaSを導入するだけで、1人分の作業時間(=数万円の人件費)を削減できることも。
さらに、スモールスタートできるので、規模に応じて「必要な機能だけ」「使いたい人数だけ」から始められるのも魅力。使い方次第で数十倍のリターンが見込めます。


Q2:無料プランと有料版はどこが違う?

A:無料プランは“お試し用途”に特化しており、本格運用には制限が多いケースが一般的です。

多くのSaaSでは、無料版で利用できるのは「1ユーザーのみ」「保存期間に制限あり」「一部の機能が使えない」など、業務へのフル活用には向いていません。一方で、有料版は複数人での同時利用、ワークフローの自動化、連携ツールとの統合、履歴管理など、業務効率を最大化する機能がそろっています。
まずは無料版で操作性を確認し、自社の運用スタイルにフィットするかを検証してから有料プランへ移行するのが鉄板です。


Q3:セキュリティ面は大丈夫?

A:大手サービスはISO27001やSOC2などの国際規格に準拠しており、一定以上の安全性は確保されています。

ただし、注意すべきは“すべてのSaaSが安全とは限らない”ということ。無料サービスの中には、通信の暗号化がされていなかったり、ログイン履歴の確認ができなかったりするものもあります。
導入前には、以下のようなポイントを確認しましょう:

  • 通信はSSL(https)で暗号化されているか
  • アカウントに二段階認証があるか
  • 利用データの保存場所(国内or海外)は明示されているか
  • 万が一の障害時の復旧体制が明記されているか
    これらをクリアしていれば、十分に業務利用可能です。

Q4:解約後のデータはどうなる?

A:多くのSaaSでは“データエクスポート機能”が用意されていますが、形式や保存可能期間には差があります。

たとえば、CSV・Excel・PDF形式での出力が可能なものもあれば、「解約から30日以内にしかダウンロードできない」といった制限があるケースも。さらに、画像やファイルなど添付データは別途保存が必要になることもあります。
そのため、契約前には「データ引き出しの仕様」を必ず確認しておきましょう。また、解約後のデータ保持期間や、第三者提供ポリシーなども含めてプライバシーポリシーを読み込むことが大切です。


Q5:カスタマーサクセスって何?

A:SaaSを「契約して終わり」にせず、“継続的な成果につなげる”ための支援チームです。

従来のソフト販売は「買ってもらったら終わり」でしたが、SaaSは月額モデルなので、解約されない限り契約が続きます。だからこそ、SaaS企業にとっても「顧客の成功=継続利用」が最重要。
このために、導入後に活用方法を提案したり、使いこなせていない機能を案内したりと、サポート以上に“伴走型”の対応をしてくれるのが「カスタマーサクセス」の役割です。優良なSaaS企業ほどこの体制が手厚く、結果として導入後の定着率も高くなっています。

最後に|SaaS企業を知ることで“これからの当たり前”が見えてくる

SaaSをきっかけに気づきを得るビジネスマンと、ひらめきの電球、クラウド、チェックマークを組み合わせた未来志向のイラスト

SaaS企業は、単なる「IT企業」という枠を超え、社会インフラに近い存在になりつつあります。
私たちが日常的に使っているメールやチャット、スケジュール管理や書類作成も、実はほとんどがSaaSとして提供されているものです。

企業活動においても、営業・マーケティング・会計・労務などの業務領域を支えるSaaSが次々と登場し、特に中小企業のDX推進に大きく貢献しています。

その一方で、SaaS企業側も「使われて終わり」ではなく、カスタマーサクセス重視の時代に突入。導入支援、UI改善、継続利用の仕組みなど、あらゆる工夫で長期的な顧客との関係を築いています。

こうした背景から、「SaaS企業を理解すること」は単なるITトレンドの把握にとどまらず、今後のビジネスの方向性や業界変化を読み解く鍵にもなります。


要点まとめ:SaaS企業とは?

カテゴリ概要
提供形式ソフトウェアをクラウド経由で提供(Webブラウザで利用)
主な収益モデル月額・年額課金によるサブスクリプション型
対象領域業務全般(会計・営業・チャット・教育・AIなど)
特徴継続課金・スケーラビリティ・高LTV・高速改善サイクル
社会的役割中小企業のDX支援、社会インフラ化、デジタル格差の縮小

SaaSという形態は、もはや一部のIT企業だけのものではなく、すべての業種・業界にとっての“当たり前”になりつつあります。

今後のトレンドを読み解くうえでも、「どんな企業がSaaSを提供しているか?」「その背景にどんな課題解決の意図があるか?」といった視点を持つことで、より広く・深くビジネスを理解することができるでしょう。

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この記事を書いた人

「調べることで、ビジネスは強くなる」をコンセプトに、SaaS導入・Web集客・DX推進に役立つ実用コンテンツを届けています。
選定の迷いや導入のつまずきに寄り添いながら、“現場で使える知識”をわかりやすく解説します。

検索順位の上がらないブログ、問い合わせが来ないホームページ、反応がない導線設計…
そんな課題を“仕組みから見直す”ノウハウを、実例ベースでお届けします。

担当領域: SEO戦略/コンテンツ設計/導線改善/検索からの問い合わせ導線づくり など

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