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灯油と軽油の違いとは?用途・値段・入れ間違いの危険を解説

灯油と軽油の用途・値段・入れ間違いの危険性の違いを示したイラスト
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

「灯油と軽油って、見た目も似ているけど何が違うの?」
「うっかり入れ間違えたら危ないのかな?」

そんな疑問をお持ちではないでしょうか。

灯油と軽油は、どちらも同じ原油からつくられる石油製品で、色も臭いもよく似ています。
しかし、成分・用途・値段・税金がそれぞれ異なる、まったく別の燃料です。

そして両者を取り違えて使うと、機器の故障だけでなく、火災や一酸化炭素中毒といった重大な事故につながることもあります。
この記事では、灯油と軽油の違いを一覧表でわかりやすく整理し、見分け方や入れ間違いの危険性まで、公的機関やメーカー団体の情報をもとに解説します。

目次

灯油と軽油はどちらも「石油製品」

まず前提として、灯油も軽油も、地下から採れた原油を製油所で加熱・蒸留してつくられる石油製品の一種です。
原油を加熱すると、沸点(沸騰しはじめる温度)の低いものから順に、LPガス・ガソリン・灯油・軽油・重油などに分かれて取り出されます。

つまり両者は「同じ原油から生まれたきょうだい」のような関係で、性質が近いのはこのためです。
石油という大きなくくりや、原油との関係については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

📎 出典:ENEOS 石油便覧 第2編第1章第4節 灯油同 第5節 軽油

灯油と軽油の違いを一覧表で比較

灯油と軽油の沸点・引火点・消防法上の分類・色・用途・JIS規格・軽油引取税・給油ノズルの色の違いを比較したイラスト

似ているようで異なる灯油と軽油の主な違いを、まず表で整理します。
(数値は種類・規格・時期により幅があるため、おおよその目安としてご覧ください)

スクロールできます
項目灯油軽油
沸点のおおよその範囲約170〜250℃約240〜350℃(灯油より重い留分)
引火点約40℃以上約45℃前後以上
消防法の分類第4類危険物・第2石油類第4類危険物・第2石油類
見た目の色無色透明(白灯油)やや黄色〜淡い褐色
主な用途家庭の暖房・給湯ディーゼルエンジンの燃料
品質規格(JIS)JIS K 2203JIS K 2204
軽油引取税かからないかかる(本則15円/L)
スタンドのノズルの色

どちらも引火点が常温より高く、消防法では同じ「第2石油類」に区分されます。
性質が近い一方で、使う機器と課税のしくみが根本的に違うのがポイントです。

成分・つくられ方の違い

灯油は、沸点がおおよそ170〜250℃の範囲で取り出される、比較的軽い(さらさらした)留分です。
不純物や硫黄分が少なくなるよう精製度を高めたものが、家庭用として広く流通している「白灯油」です。

一方の軽油は、灯油よりも沸点が高い(重い)留分で、おおむね240〜350℃程度で取り出されます。
軽油には灯油にはない潤滑成分が含まれており、これがディーゼルエンジンの燃料噴射装置を保護する役割を果たしています。

「軽油」という名前は、より重い「重油」に対して付けられたものです。
「軽自動車用の燃料」という意味ではないため、軽自動車に軽油を入れてはいけません(軽自動車の多くはガソリン車です)。この点はよくある勘違いなので注意しましょう。

📎 出典:ENEOS 石油便覧 第2編第1章第4節 灯油同 第5節 軽油

用途の違い|暖房の灯油、エンジンの軽油

もっとも実感しやすい違いが「何に使うか」です。

灯油は、石油ストーブや石油ファンヒーター、灯油ボイラー(給湯器)など、家庭の暖房・給湯に使われるのが中心です。
そのほか、工業用の洗浄剤や溶剤としても用いられます。

軽油は、その大部分がトラック・バス・鉄道・船舶などのディーゼルエンジンの燃料として消費されます。
一部は農業機械や建設機械、発電の補助燃料としても使われています。

つまり、「暖める灯油」「動かす軽油」とイメージすると整理しやすいでしょう。

📎 出典:JOGMEC 用語辞典「軽油」

値段が違う理由|税金のしくみ

灯油と軽油にかかる税金の違いを、石油石炭税や消費税とともに比較したイメージイラスト

同じスタンドで買っても、灯油と軽油では1リットルあたりの価格が異なります。
その大きな理由のひとつが、軽油にだけかかる「軽油引取税」という税金です。

軽油引取税は、都道府県が課す地方税で、道路整備などの財源に充てられてきました。
2026年3月末までは本則税率15円/Lに「当分の間税率(旧暫定税率)」17.1円/Lが上乗せされ、合計32.1円/Lが課税されていましたが、2026年4月1日にこの上乗せ分が廃止され、本則の15円/Lになりました。

一方、暖房用の灯油にはこの軽油引取税はかかりません。
これが、灯油のほうが軽油よりも安く販売されやすい理由のひとつです。

なお、店頭価格は原油相場や為替、補助金などの影響も受けて日々変動します。
税制も改正されることがあるため、最新の状況は公的機関の情報でご確認ください。

灯油と軽油の見分け方

いざ目の前にすると、灯油と軽油は見分けがつきにくいものです。
それでも、いくつかの手がかりがあります。

色で見分ける

灯油(白灯油)は無色透明ですが、軽油はやや黄色〜淡い褐色をしています。
ただし照明や容器によっては判別しにくいため、色だけで断定するのは避けましょう。

スタンドのノズルの色で見分ける

セルフスタンドでは、誤給油を防ぐためノズルやノズル受けが色分けされています。
一般に、軽油は「緑」、灯油は「青」、レギュラーガソリンは「赤」、ハイオクは「黄」です。
給油前にこの色を確認する習慣をつけると、取り違えを大きく減らせます。

識別剤で見分ける(不正軽油対策)

軽油に安価な灯油を混ぜて税金を逃れる「不正軽油」を防ぐため、灯油には識別剤「クマリン」が添加されています。
検査ではこのクマリンの有無を調べることで、軽油に灯油が混ぜられていないかを判定できるしくみになっています。

📎 出典:新居浜市消防本部「危険物の取扱いについて」(ノズルの色分け)

【重要】灯油と軽油の入れ間違い(誤給油)は絶対に避ける

灯油と軽油は性質が近いだけに、入れ間違いによる事故が毎年起きています。
用途の違う燃料を入れると、機器の故障だけでなく、火災や一酸化炭素中毒につながるおそれがあります。

石油ストーブに軽油を入れてはいけない

石油ストーブや石油ファンヒーターには、必ず灯油を使用してください。
軽油は灯油より重い成分を多く含むため、芯にタール状の汚れがたまりやすく、不完全燃焼を起こして黒煙や一酸化炭素が発生するおそれがあります。

なお、灯油と間違えてガソリンを入れると、揮発性の高さから引火・爆発的に燃え上がり、火災に直結します。
石油ストーブによる火災の原因の一定割合が、ガソリンや軽油を灯油と取り違えた誤給油によるものと報告されています。
給油前には燃料の種類と色を必ず確認しましょう。

📎 出典:日本ガス石油機器工業会(JGKA)「ガソリン、混合油の使用厳禁」

ディーゼル車に灯油を入れてはいけない

逆に、ディーゼル車(軽油車)に灯油を入れるのも避けなければなりません。
灯油には軽油に含まれる潤滑成分が乏しいため、燃料噴射装置やエンジンの故障・不調を招くおそれがあります。

さらに重要なのは、灯油を自動車の燃料として使う行為は、軽油引取税の脱税にあたり法律で禁じられている点です。
前述のクマリン検査によって発覚し、追徴課税などの対象となる可能性があります。
「安いから」といって灯油をディーゼル車に使うことは、故障・違法の両面から絶対に行わないでください。

まとめ|似ているが役割はまったく違う

最後に、灯油と軽油の違いを整理します。

  • 灯油も軽油も、同じ原油からつくられる石油製品で、性質が近い
  • 灯油は家庭の暖房・給湯用、軽油はディーゼルエンジンの燃料用と、用途が異なる
  • 軽油には軽油引取税がかかるため、灯油より高くなりやすい
  • 見分けにくいときは、スタンドのノズルの色(軽油=緑・灯油=青)が目安になる
  • 石油ストーブに軽油、ディーゼル車に灯油といった入れ間違いは、故障・事故・違法につながるため厳禁

見た目が似ていても、灯油と軽油は使う機器も税金のしくみもまったく異なります。
「暖める灯油」「動かす軽油」という役割の違いを押さえ、給油の際は燃料の種類を必ず確認して安全に使い分けましょう。

引火点や発火点といった「燃える温度」の基礎を知っておくと、燃料をより安全に扱えます。あわせてこちらもご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 灯油と軽油は同じものですか?

いいえ、別のものです。どちらも原油からつくられる石油製品で性質は近いのですが、灯油は沸点が約170〜250℃の比較的軽い留分で家庭の暖房・給湯に使われ、軽油はそれより重い留分でディーゼルエンジンの燃料に使われます。用途・値段・税金がそれぞれ異なるため、同じものとして扱うことはできません。

Q2. 灯油と軽油はどちらが安いですか?

一般的には灯油のほうが安くなりやすい傾向があります。軽油には道路財源などに充てられる「軽油引取税」という地方税がかかる一方、暖房用の灯油にはこの税がかからないためです。ただし、店頭価格は原油相場・為替・補助金などによって日々変動するため、実際の価格差はその時々の状況によって変わります。

Q3. 石油ストーブに軽油を入れても使えますか?

使用してはいけません。石油ストーブや石油ファンヒーターは灯油専用に設計されており、軽油を入れると芯が汚れて不完全燃焼を起こし、黒煙や一酸化炭素が発生するおそれがあります。灯油と間違えてガソリンを入れた場合は火災の危険がさらに高まります。給油前には燃料の種類と色を必ず確認してください。

Q4. ディーゼル車に灯油を入れても走りますか?

一時的に走る場合もありますが、絶対に行わないでください。灯油には軽油の潤滑成分が乏しく、燃料噴射装置やエンジンの故障・不調を招くおそれがあります。さらに、灯油を自動車の燃料に使う行為は軽油引取税の脱税にあたり、法律で禁じられています。識別剤による検査で発覚すれば、追徴課税などの対象となる可能性があります。

Q5. 灯油と軽油はどうやって見分ければよいですか?

色では、灯油は無色透明、軽油はやや黄色〜淡い褐色ですが、判別しにくいこともあります。もっとも確実なのは、ガソリンスタンドのノズルの色を確認することで、軽油は緑、灯油は青に色分けされています。給油前にこの色を確認することが、取り違えを防ぐ最も簡単で有効な方法です。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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