石油ファンヒーターは灯油で部屋を暖める機器ですが、電源プラグが必要な以上、電気も使っています。
「灯油代は気にしていたけれど、電気代は考えたことがなかった」という方も多いのではないでしょうか。
実はこの電気代、点火するときと燃焼しているときで、使う電力がまったく違います。
さらに、同じ石油ファンヒーターでも機種によって運転中の消費電力に大きな差があります。
この記事では、メーカーが公表している数値をもとに1時間・1か月・1シーズンの電気代を試算し、電気代を抑える使い方まで整理します。
石油ファンヒーターが電気を使う3つの場面
石油ファンヒーターの電気は、主に次の場面で使われます。
| 場面 | 役割 |
|---|---|
| 点火時 | 気化部を予熱し、灯油を気化できる温度まで上げる |
| 燃焼中 | 送風ファン、電磁ポンプ、制御基板などを動かす |
| 待機時 | 時計表示や操作の受け付けを維持する |
このうち電力を大きく使うのが点火時です。
灯油は温度を上げなければ気体になりません。
その加熱を電気で行うため、点火のタイミングだけ消費電力が跳ね上がります。
点火時は650W、燃焼中は10W前後という差
メーカーが公表している数値を見ると、この差がはっきりします。
コロナは、点火時の消費電力を650Wとしたうえで、バーナーの最適化によって点火時間を約55秒まで短縮し、点火までにかかる消費電力量を従来機種と比べて約30%低減したとしています。
また、運転中の消費電力については、上位機種で4W〜9.5Wという数値を示しています。
| 状態 | 消費電力の目安 |
|---|---|
| 点火時(予熱) | 650W・約55〜75秒 |
| 燃焼中(低消費電力タイプ) | 4〜10W程度 |
| 燃焼中(一般的なタイプ) | 50〜60W程度 |
| 待機時 | 1W以下 |
待機時については、コロナが電源プラグを差し込んだ状態での待機時消費電力を1W以下としています。
つまり、電気代を左右するのは燃焼中の消費電力が何Wの機種かという点です。
4Wと60Wでは15倍の開きがあり、長時間使うほど差が積み上がります。
実際の電気代を試算する
ここでは電力料金目安単価31円/kWhを使って計算します。
これはコロナが試算条件として用いている単価です。
1時間あたり
| 燃焼中の消費電力 | 1時間の電気代 |
|---|---|
| 10W | 約0.3円 |
| 60W | 約1.9円 |
点火1回分は、650Wで55秒とすると約0.3円です。
75秒かかる機種でも約0.4円で、1回あたりの負担としては小さい金額です。
1日8時間・1か月使った場合
| 燃焼中の消費電力 | 1日(8時間) | 1か月(30日) |
|---|---|---|
| 10W | 約2.5円 | 約75円 |
| 60W | 約15円 | 約450円 |
点火を1日2回とすると、1か月で20円前後が加わる計算です。
1シーズン使った場合
コロナは試算条件として、1シーズンの燃焼時間1,900時間、燃焼回数700回という想定を用いています。
この条件は一般社団法人日本ガス石油機器工業会の自主基準によるものとされています。
この条件で計算すると、燃焼中の電気代は次のようになります。
| 燃焼中の消費電力 | 1シーズン(1,900時間) |
|---|---|
| 10W | 約590円 |
| 60W | 約3,500円 |
点火700回分を加えると、いずれも200円程度が上乗せされます。
つまり機種の違いだけで、1シーズンに3,000円近い差が出るということです。
なお、これらはあくまで公表値と目安単価による試算です。
契約している電力プランの単価、実際の運転時間、火力の使い方によって変わります。
予熱機能を使うときの電力
点火を早める機能を搭載した機種では、予熱のあいだ電力を使い続けます。
コロナの場合、秒速点火を使うと約75秒の予熱時間に平均約80Wの電力を消費し、秒速タイマーではセット時刻の5分前から予熱を開始して、タイマーセット時刻より2時間持続すると案内されています。
予熱を2時間続けた場合の電力量は約0.16kWhで、電気代にすると約5円です。
毎日使えば1か月で150円程度になります。
すぐ点火できる利便性と引き換えに電力を使う機能なので、必要なときだけオンにするのが無駄のない使い方といえます。
停電時に使えるかどうか
石油ファンヒーターは電気がなければ点火も送風もできません。
そのため、停電時には基本的に使用できません。
ただし、ポータブル電源での使用を想定した機種も登場しています。
コロナは、点火時に必要な電力を抑えることで低出力のポータブル電源にも対応し、運転時の消費電力が8.5〜14Wであるため、定格容量が少なくても長時間運転が可能な製品を発表しています。
手持ちの機種で使えるかどうかは、点火時の消費電力とポータブル電源の定格出力を見比べて判断することになります。
点火時に650W必要な機種であれば、それを上回る定格出力が求められます。
災害への備えとして用意するのであれば、対応の可否を必ず確認してから選んでください。
電気代を抑える使い方
電気代の大部分は燃焼中の消費電力で決まるため、できることは限られますが、押さえておきたい点があります。
- 短時間で何度も入り切りを繰り返さない(点火のたびに650W前後を使う)
- 予熱機能は必要な場面だけ使う
- 長期間使わない時期は電源プラグを抜く
- 買い替えるときは燃焼中の消費電力(W)を仕様表で確認する
点火のたびに電力を使うとはいえ、1回あたりは0.3円程度です。
つけっぱなしを避けることによる灯油の節約のほうが、金額としては大きくなります。
灯油側の節約についてはストーブの灯油代が高い?燃費を良くするために知っておきたい基本と実践ポイントで詳しく解説しています。
買い替えを検討する段階であれば、暖房出力だけでなく消費電力の欄も比較してみてください。
判断の時期については石油ファンヒーターの寿命は何年?正しい買い替えタイミングはいつ?が参考になります。
なお、フィルターにほこりが詰まると送風の効率が落ち、燃焼も不安定になります。
電気代というより機器の負担を減らす意味で、ファンヒーターの掃除方法を完全解説|ほこりを安全に取る手順と注意点も確認しておくと安心です。
よくある質問
Q1. 石油ファンヒーターの電気代は1時間いくらですか
燃焼中の消費電力によって変わります。
低消費電力タイプで10W程度なら1時間あたり約0.3円、50〜60Wのタイプなら約1.9円が目安です。
これは電力料金目安単価31円/kWhで計算した金額で、契約プランによって前後します。
仕様表の「消費電力」の欄に燃焼中の数値が記載されているので、そこで確認できます。
Q2. 点火のときだけ電気代が高いと聞きました
点火時は気化部を予熱するため、650W前後の電力を使う機種があります。
ただし予熱の時間は1分前後のため、1回あたりの電気代は0.3〜0.4円程度にとどまります。
金額としては小さいものの、短時間で何度も入り切りを繰り返せばその分は積み上がります。
こまめに消すより、必要な時間帯をまとめて運転するほうが効率的です。
Q3. 使わない時期もプラグを差したままで大丈夫ですか
待機電力は1W以下とされており、金額としてはわずかです。
1か月差したままでも20円程度の計算になります。
ただし、シーズンオフに長期間放置する場合は、ほこりの付着や思わぬ通電を避ける意味でプラグを抜いておくほうが安心です。
片付けの際は、本体が冷えてから抜いてください。
Q4. エアコンと比べて電気代は安いですか
石油ファンヒーターの電気代だけを見れば、エアコンより大幅に少なくなります。
ただし石油ファンヒーターは灯油代が別にかかるため、暖房費全体では比較の仕方が変わります。
灯油の価格は時期によって変動し、部屋の広さや断熱性能によっても結果が変わります。
電気代だけで判断せず、灯油の使用量とあわせて考える必要があります。
Q5. 消費電力が小さい機種の見分け方はありますか
仕様表の消費電力欄を確認するのが確実です。
燃焼中の消費電力が数W台と記載されていれば低消費電力タイプ、50〜60Wであれば一般的なタイプにあたります。
機種によっては、点火時と燃焼時が分けて記載されています。
長時間・長期間使う予定があるほど、この差が効いてきます。
まとめ
石油ファンヒーターの電気代は、点火時と燃焼中で性格が異なります。
点火時は650W前後を使いますが時間が短く、1回あたり0.3円程度です。
一方で燃焼中の消費電力は機種によって4Wから60W程度まで幅があり、長時間使うほどここで差がつきます。
1シーズン1,900時間という想定で計算すると、10Wの機種で約590円、60Wの機種で約3,500円という試算になります。
金額としては灯油代ほど大きくありませんが、機種選びの段階で見ておく価値のある項目です。
使い方の面では、短時間の入り切りを繰り返さないこと、予熱機能を必要な場面だけ使うことが中心になります。
そして暖房費全体を考えるなら、電気代と灯油代を切り離さず、あわせて見ていくことが近道です。

