エアコンの取り付け工事は、業者に任せておけば終わるものと思われがちです。
けれども実際には、壁に穴をあける位置、室内機の高さ、室外機をどこに置くかといった「あとから直せない判断」が、工事開始からわずか十数分のあいだに次々と決まっていきます。
このとき施主が黙って見ているだけだと、使い始めてから「風が届かない」「室外機の音が寝室に響く」「配管が窓にかかって見栄えが悪い」といった不満が残りやすくなります。
一方で、確認すべき点さえ分かっていれば、専門知識がなくても工事の質はかなりの部分まで見届けられます。
この記事では、エアコン取り付け当日の立ち会いで施主が押さえておきたいポイントを、工事前の位置決めから、標準工事と追加費用の境目、真空引きや電源まわりの確認、試運転、工事後の書類チェックまで、実際の工程順に整理します。
立ち会いで最優先すべきは「壁穴の位置」と「真空引きの有無」
先に結論をお伝えします。
エアコン取り付けの立ち会いで、施主が最も注意を向けるべきなのは壁穴(スリーブ穴)の位置決めと、真空引きが行われているかの2点です。
理由は単純で、この2つはあとから取り返しがつかない、あるいは不具合が出るまで気づけない工程だからです。
壁の穴は一度あけてしまえば埋め戻すしかなく、原状回復には別途費用がかかります。
真空引きは配管内の空気と水分を抜く工程ですが、省略されても当日は普通に冷えてしまうため、数か月から数年後に「冷えが弱い」「エラーが出る」という形で表面化します。
逆に言えば、その他の項目(化粧カバーの色、室内機の水平、配線の取り回しなど)は、気づいた時点で声をかければ調整してもらえる余地があります。
まずはこの2点に意識を集中させ、余裕があれば他の項目にも目を配る、という優先順位で立ち会うのが現実的です。
なお、エアコンの取り付け・取り外しといった工事について、製品評価技術基盤機構(NITE)は専門の知識や資格を持つ業者に依頼するよう呼びかけています。
施主が自分で作業に手を出すのではなく、「見る・聞く・伝える」の3つに徹するのが立ち会いの正しい姿勢です。
📎 出典:製品評価技術基盤機構(NITE)|暑くなったら手遅れです!~早めのエアコン試運転で事故と熱中症を防ぎましょう~
工事開始前の10〜20分で、やり直しのきかない位置がすべて決まる
多くの業者は、到着後すぐに室内を見て、室内機の設置位置・壁穴の位置・配管ルート・室外機の置き場所を判断します。
この段取りの時間はおおむね10〜20分ほどです。
ここで施主が何も言わなければ、業者は「一般的に無難な位置」「作業しやすい位置」を選びます。
それが必ずしも住まい手にとっての最適解とは限りません。
室内機は「上5cm・左右5cm」の余白と、風の通り道で位置を決める
室内機は、本体の上部と左右に一定のすき間を確保する必要があります。
機種によって差はありますが、上方に5cm以上、左右にも5cm程度の余裕を求める製品が一般的です。
カーテンレールや天井の梁、造作棚と干渉すると、設置位置を数十センチずらすことになります。
位置決めの際に施主が伝えておきたいのは、次のような点です。
- 普段どこに座って過ごすか(風が直接当たり続ける位置は避けたい)
- ベッドや机の真上を避けたいか、あるいは真上でも構わないか
- カーテンレールの上にかかっても問題ないか
- 将来的に家具の配置を変える予定があるか
「どこでもいいです」と答えてしまうと、業者は施工しやすさを優先します。
たとえば配管を最短で外に出せる位置が、部屋の隅で風が届きにくい場所ということもあります。
生活動線を知っているのは施主だけなので、希望は工事開始前に口に出しておくことが重要です。
壁穴は開けたら戻せない|位置と高さは必ず目視で合意する
配管を屋外に出すための壁穴は、直径65〜75mm程度が一般的です。
新築や築浅の住宅では、あらかじめスリーブ(配管用の筒)が入った穴が用意されていることも多く、その場合は既存の穴を使います。
問題になるのは、新たに穴をあけるケースです。
穴をあける前に、業者は必ず壁の中に柱や筋交い、電気配線がないかを確認します。
このとき施主側も、次の点を確認しておくと安心です。
- 屋外側の穴の出口が、隣家の窓や通路に面していないか
- 外壁の見た目として問題ない位置か(正面ファサードのど真ん中になっていないか)
- 室内側で、家具の裏や目立つ位置に配管が走らないか
- 賃貸物件の場合、穴あけの許可を管理会社から取っているか
賃貸住宅で無断の穴あけを行うと、退去時に原状回復費用を請求される可能性があります。
既存の穴がない部屋にエアコンを設置する場合は、工事日より前に管理会社・オーナーへ確認しておいてください。
穴あけの直前には、業者から「ここでいいですか」と声がかかるのが通常です。
声がかからないまま作業が始まりそうなときは、遠慮せずに「穴の位置を先に見せてください」と伝えて構いません。
室外機の置き方は4パターン|置き場所によって費用も騒音も変わる
室外機の設置方法にはいくつかの型があり、標準工事に含まれるかどうかが分かれます。
| 設置方法 | 内容 | 標準工事の扱い |
|---|---|---|
| 平地置き(直置き) | 地面やベランダにプラロック等を敷いて置く | 標準工事に含まれることが多い |
| ベランダ置き | 集合住宅のベランダに直置き | 標準工事に含まれることが多い |
| 壁面設置 | 外壁に金具を取り付けて吊る | 追加費用が発生することが多い |
| 屋根置き・天吊り・2段置き | 屋根上や、他の室外機の上に架台で重ねる | 追加費用が発生することが多い |
置き場所を決めるときは、次の点を確認しておきましょう。
- 寝室や隣家の寝室の窓に、吹き出し口が向いていないか
- 前面(吹き出し側)に20cm以上、背面に5cm以上の空間があるか
- 洗濯物の動線をふさいでいないか
- 冬季に雪が吹き込みやすい位置ではないか(積雪地域の場合)
室外機の吹き出し口をふさぐと、熱がこもって運転効率が落ち、エラー停止につながることがあります。
また、室外機の周囲に段ボールや自転車などの可燃物が置かれた状態は、火災事故の背景としても報告されています。
設置直後の見た目だけでなく、そこに物を置かずに使い続けられる場所かどうかで判断してください。
標準工事に含まれるのは配管4mまで|追加費用が出やすい条件を先に聞く
量販店やネット通販の「標準取付工事費込み」は、多くの場合おおよそ次の範囲を指します。
- 配管(冷媒管・ドレンホース・電線)4mまで
- 壁穴あけ1か所(木造・モルタル壁)
- 室外機の平地置きまたはベランダ置き
- 既存の専用コンセントを使用
- 配管化粧カバーなし(配管テープ巻き仕上げ)
この範囲を超えると追加費用になります。
当日にその場で提示されると、断りにくい状況で判断を迫られることになりがちです。
| 追加費用が発生しやすい条件 | 内容 |
|---|---|
| 配管の延長 | 4mを超える分を1mごとに加算 |
| 化粧カバーの設置 | 屋外・屋内それぞれ、長さに応じて加算 |
| 壁の材質 | ALC・コンクリート・タイル壁などの穴あけ |
| 室外機の特殊設置 | 壁面・屋根置き・2段置き・公団吊りなど |
| 電源工事 | コンセント形状の変更、専用回路の増設、電圧切替 |
| 高所作業 | 2階以上でハシゴや足場が必要な場合 |
| 既存機の取り外し・処分 | リサイクル料金・収集運搬料金 |
追加費用のトラブルを避けるには、工事開始前に「今日の工事で、標準以外の費用が出そうな箇所はありますか」と一度だけ尋ねるのが有効です。
配管を切ってしまってからでは引き返せませんが、着工前であれば「化粧カバーは今回なしで」「配管延長が必要なら金額を教えてください」と条件を整理できます。
真空引きは10〜15分が目安|「エアパージ」で済ませていないかを見る
エアコンの配管内には、空気と水分が残っていてはいけません。
残った水分は運転中に凍って冷媒の流れをふさぎ、空気が混ざると圧縮機に余計な負担がかかります。
これを防ぐために、真空ポンプで配管内をほぼ真空状態にする工程が真空引きです。
現在の家庭用エアコンで主流の冷媒(R32など)では、真空引きが前提の施工とされています。
一方、古くから行われてきた簡易な方法に「エアパージ」があります。
これは室外機に封入されている冷媒を少量放出して、その圧力で配管内の空気を押し出す方法です。
作業時間は数十秒で済みますが、水分は十分に除去できず、冷媒を大気に放出することにもなります。
見分け方は「真空ポンプが動いていたか」の1点
専門知識がなくても、次の様子があれば真空引きが行われていると判断できます。
- 室外機の脇に、モーター付きの箱型機械(真空ポンプ)が置かれている
- ホースと丸い計器(マニホールドゲージ)が室外機のバルブにつながれている
- そのポンプが「ブーン」という音を立てて数分〜十数分ほど連続で回っている
作業時間の目安は、家庭用の一般的な配管長でおおむね10〜15分程度です。
配管が濡れていた場合や、長めの配管を使った場合は、これより長くなることもあります。
逆に、室外機のバルブを六角レンチで一瞬だけ操作して「シュッ」という音がしただけで配管作業が終わっているようなら、エアパージで済ませている可能性があります。
その場で問い詰める必要はありませんが、「真空引きはしていただけますか」と作業前に一言確認しておくだけで、施工の丁寧さは変わります。
真空引きが不十分だった場合、症状はすぐには出ません。
数か月〜数年後に、冷えが弱くなる、冷媒不足を示すエラーが表示されるといった形で現れることが多く、そのときには原因の切り分けが難しくなっています。
旧エアコンを外す日は「ポンプダウン」とリサイクル料金の2点を確認する
買い替えで旧機を取り外す場合、取り付けとは別の確認事項があります。
ひとつはポンプダウンです。
これは、配管内に残っている冷媒を室外機側に回収してから配管を外す作業を指します。
この工程を省くと、冷媒がそのまま大気中に放出されてしまいます。
作業としては、室外機のバルブを操作しながら数分間運転させる形になるため、取り外しの前に室外機が一度動いていれば、ポンプダウンが行われていると考えてよいでしょう。
もうひとつはリサイクル料金です。
家庭用エアコンは家電リサイクル法の対象品目で、処分にはリサイクル料金と収集運搬料金がかかります。
金額はメーカーや依頼先によって異なるため、当日ではなく見積もりの段階で「取り外し費・リサイクル料金・運搬料金の合計いくらか」を確認しておくのが確実です。
取り外し後は、次の点も見ておきましょう。
- 壁に残った穴のふさぎ方(新しい機種で同じ穴を使わない場合)
- 据付板を外した跡のビス穴の処理
- 室外機を置いていた場所の汚れ
同じ位置に新しい機種を付ける場合は問題になりませんが、設置場所を変える買い替えでは、旧位置の穴と据付板の跡が残ります。
どう処理するかは当日の話し合いになるため、事前に希望を決めておくとスムーズです。
既存配管の流用は「冷媒の種類が同じか」で判断が分かれる
買い替えの際、前の機種で使っていた配管をそのまま使う「配管流用」を提案されることがあります。
配管を新しく引き直す手間が省けるため、工事時間も費用も抑えられます。
ただし、条件によっては避けたほうがよい場合があります。
判断の軸になるのは、次の3点です。
| 確認項目 | 流用しやすい条件 | 流用を避けたほうがよい条件 |
|---|---|---|
| 冷媒の種類 | 旧機・新機ともにR32またはR410A | 旧機がR22(2000年代前半以前の機種が中心) |
| 配管の状態 | 屋外部分がカバーで保護され、劣化が見られない | 断熱材が破れている、つぶれ・折れがある |
| 使用年数 | 設置から10年程度まで | 15年以上経過している |
古い冷媒であるR22の配管には、現行の冷媒と相性の悪い鉱物油が残っています。
そのまま新しい機種につなぐと、圧縮機の不具合につながる可能性があるため、洗浄か引き直しが必要になります。
配管を流用する場合でも、接続部(フレア部)は必ず作り直すのが基本です。
以前の締め付け跡が残ったまま再利用すると、そこから冷媒が漏れる原因になります。
「フレアは切り直していただけますか」と一言確認しておくと確実です。
なお、壁の中を配管が通っている「隠蔽配管」の住宅では、そもそも引き直しが難しく、流用が前提になります。
この場合は、事前に業者へ隠蔽配管であることを伝えておかないと、当日「対応できない」と持ち帰りになることがあります。
マンション・賃貸で追加確認が必要な3点
集合住宅では、戸建てにはない制約が加わります。
工事日の前に、次の3点を確認しておいてください。
- 室外機の置き場所:ベランダは共用部分にあたることが多く、避難ハッチや隔て板の前をふさぐ置き方は認められません
- 壁への穴あけ:外壁への穴あけを禁じている管理規約は珍しくありません。既存のスリーブ穴がない部屋は、事前に管理会社へ確認が必要です
- 作業時間・搬入経路:工事可能な曜日・時間帯、エレベーターの養生の要否が定められていることがあります
とくに賃貸物件では、無断で外壁に穴をあけると、退去時に高額な原状回復費用を求められる可能性があります。
「エアコンを付けるだけだから」と自己判断せず、書面またはメールで許可を残しておくと安心です。
また、室外機をベランダに置く場合は、下階への振動や、風向きが隣戸に向かないかも見ておきましょう。
設置してしまってから位置を変えるには、再度の工事費がかかります。
電源が届かないときの延長コード使用は避ける|コンセント形状と専用回路を当日に確認
意外に見落とされやすいのが電源まわりです。
エアコンは消費電力が大きく、原則として専用回路のコンセントに直接差し込んで使うことが前提になっています。
当日に確認しておきたいのは、次の3点です。
- エアコン用のコンセントが室内機の近くにあるか
- コンセントの形状(15A・20A、100V・200V)が機種と合っているか
- ブレーカーに、そのエアコン専用の回路があるか
コンセント形状が合わない場合、変換アダプターでしのぐことはできません。
100Vと200Vの切替や、コンセントの交換・増設は電気工事にあたり、第二種以上の電気工事士の資格が必要です。
取り付け業者が有資格者であればその場で対応できることもありますが、そうでなければ別日に電気工事を手配することになります。
📎 出典:経済産業省|電気工事の安全
延長コード・電源コードの継ぎ足しは火災事故につながる
エアコン用コンセントが遠いからといって、延長コードやテーブルタップでつなぐ使い方は避けてください。
エアコンの電源コードには「中間接続・延長禁止」と表示されており、延長コードの接続部や継ぎ足し接続部が異常発熱して火災に至った事故が報告されています。
NITEに寄せられた事故情報のなかには、延長コードのコネクター内部で異常発熱が起きたとみられる火災や、電源コードを切断して継ぎ足し接続(ねじり接続)したことで接触不良から異常発熱し焼損した事例が含まれています。
「工事の日だけ仮に」という使い方も含め、延長コードでの接続は行わないでください。
コンセントが届かない場合は、その場で無理をせず、電源工事を別途依頼するのが正解です。
費用感はコンセント増設の費用はいくら?工事内容・相場・業者選びの完全ガイドを参考にしてください。
工事中に見ておきたい5つの工程|どこで何をチェックするか
工事は、おおむね次の順序で進みます。
所要時間は1台あたり1.5〜3時間程度が目安ですが、配管の状況や設置条件によって変わります。
| 工程 | 内容 | 施主が見るポイント |
|---|---|---|
| ① 養生・段取り | 床や家具を保護し、位置を決める | 家具の移動が必要な範囲、位置の最終合意 |
| ② 据付板の取り付け | 室内機を掛ける金属板を壁に固定 | 水平が取れているか、下地に留まっているか |
| ③ 穴あけ・配管通し | 壁に穴をあけ、配管を屋外へ出す | 穴の位置、屋外側の出口、防水処理 |
| ④ 配管接続・真空引き | 室内機と室外機を配管でつなぐ | 真空ポンプが回っているか |
| ⑤ 試運転・仕上げ | 冷房運転で動作確認、片付け | 冷風・異音・水漏れ・パテ処理 |
据付板の水平は、後の水漏れに直結する
室内機を掛ける「据付板」がわずかでも傾いていると、内部で結露した水が正しくドレンホースへ流れず、室内機の端から水が垂れる原因になります。
据付板を取り付ける段階で、業者が水平器(気泡が入った工具、またはレーザー)を当てているかを見ておくと安心です。
ドレンホースは、屋外に向かってわずかに下がる勾配が必要です。
配管が途中で持ち上がっていたり、屋外のホース先端が地面に接していたりすると、排水がうまくいきません。
設置後に水漏れが起きたときの見方はエアコンから水が垂れる原因とは?今すぐ確認すべきポイントと正しい対処判断で詳しく解説しています。
壁穴のパテ処理と、配管の勾配を最後に見る
穴あけをした場合、室内側・屋外側の両方をパテやカバーでふさぐ処理が必要です。
ここが甘いと、雨水の侵入、すきま風、虫の侵入といった問題が起こります。
特に屋外側は、上から下へ水が伝わらないよう処理されているかを見ておきましょう。
試運転は冷房の最低温度で10分以上|引き上げ前に見る6項目
工事の最後に、業者が試運転を行います。
このとき施主も一緒に立ち会い、次の項目を確認してください。
- リモコンで操作でき、本体が反応するか
- 冷房(最低温度設定)にして、10分以上運転したあとに冷たい風が出ているか
- 運転ランプ・タイマーランプが点滅していないか
- 「ガラガラ」「カタカタ」といった異音がしないか
- 室内機の吹き出し口や本体下部から水が垂れていないか
- 屋外のドレンホース先端から水が出ているか
冷房運転を続けると、室内の湿気が結露してドレンホースから水が排出されます。
「屋外のホースから水がポタポタ出ていること」は、排水経路が通っている何よりの証拠なので、必ず外に出て確認してください。
季節によっては冷房の試運転がしにくいこともあります。
外気温が低い時期は冷房が正常に立ち上がらないことがあるため、その場合は暖房での確認になります。
暖房は起動から2〜5分ほど冷たい風が出ることがありますが、これは室外機が温まるまでの正常な動作です。
なお、メーカー側も冷房シーズン前の試運転を推奨しており、確認手順として「冷房モードで運転し、冷たい風が出ているか、ランプが点滅していないか、異音・異臭・水漏れがないか」を挙げています。
設置当日の確認も、基本的に同じ観点で問題ありません。
引き上げ後に気づいたときの連絡先を必ず確認する
試運転で問題がなくても、数日使ってから不具合に気づくことがあります。
帰り際に、次の情報を控えておいてください。
- 工事を担当した業者名・担当者名・連絡先
- 施工店経由の場合、量販店・販売店の窓口番号
- 施工に関する保証の有無と期間(多くは1年程度)
本体のメーカー保証と、工事の施工保証は別物です。
水漏れやガス漏れなど施工に起因する不具合は施工業者、本体の故障はメーカーという切り分けになるため、両方の窓口を控えておくと、あとで「どちらに言えばいいのか分からない」という状態を避けられます。
工事後に受け取る書類|保証書・リサイクル券・追加料金の内訳
工事完了後は、その場で次の書類を確認しましょう。
| 書類 | 確認すること |
|---|---|
| 保証書 | 販売店名・購入日・型番が記入されているか |
| 工事明細・領収書 | 追加費用の項目と金額が記載されているか |
| 家電リサイクル券(控) | 旧エアコンを引き取った場合、管理票番号が記載されているか |
| 取扱説明書 | 室内機に貼られたシールの型番と一致しているか |
旧機を引き取ってもらった場合、家電リサイクル券の控えは処分が適正に行われたことを示す書類です。
その場で受け取り、保管しておいてください。
追加費用が発生した場合は、口頭ではなく項目ごとの内訳が書面に残っているかを確認します。
「配管延長 2m」「化粧カバー 屋外1m」のように内容が特定できる書き方になっていれば、後日の照合がしやすくなります。
当日までに施主側で用意しておくと、工事がスムーズに進むもの
工事に必要な部材や工具は業者が持参しますが、施主側で先に準備しておくと当日の段取りが早くなるものがあります。
室外機を直置きする場合の「プラロック(据置台)」
土の上や砂利の上に室外機を置く場合、据置台がないと沈み込みや傾きの原因になります。
標準工事で簡易的な台が付く場合もありますが、地面が柔らかい場所では、あらかじめしっかりした据置台を用意しておくと安定します。
振動音が気になる場所には「防振ゴム」
室外機の運転音そのものより、振動がベランダの床や壁に伝わって響くことのほうが気になるケースがあります。
寝室のすぐ外や、集合住宅のベランダに設置する場合は、据置台と室外機の間に防振ゴムを挟んでおくと、振動の伝わり方が軽減されることがあります。
室内側の準備
- 室内機を取り付ける壁の前を、1.5m四方ほど空けておく
- 壁際の家具は、あらかじめ移動しておく(当日の移動は基本的に施主側の作業)
- 脚立を立てるスペースを確保する
- 貴重品・割れ物は別室へ移しておく
家具の移動が終わっていないと、その分だけ工事開始が遅れます。
複数台をまとめて設置する日は、後続の現場が控えていることも多いため、準備しておくと余裕を持って確認の時間が取れます。
よくある行き違いと、その場で伝えるとよい一言
| 場面 | 起きやすい行き違い | 伝え方の例 |
|---|---|---|
| 位置決め | 施主の希望を聞かずに位置が決まる | 「普段この辺りに座るので、風の向きを見てもらえますか」 |
| 穴あけ直前 | 気づいたら穴があいている | 「穴の位置、先に一度見せてください」 |
| 配管作業 | 真空引きの有無が分からない | 「真空引きはしていただけますか」 |
| 追加費用 | 完了後に金額を提示される | 「標準以外の費用が出そうなら、着工前に教えてください」 |
| 化粧カバー | 付ける前提で進んでいた | 「カバーは今回なしで大丈夫です」 |
| 試運転 | 短時間で終わってしまう | 「外のホースから水が出ているか一緒に見てもいいですか」 |
いずれも、作業を止めさせるための言葉ではありません。
着工前・穴あけ前・完了前という3つのタイミングで一言ずつ挟むだけで、大半の行き違いは防げます。
言いにくさを感じる場合は、「素人なのでよく分からないのですが」と前置きを付けると、質問として自然に受け取られやすくなります。
FAQ|エアコン取り付け当日の立ち会いに関するよくある質問
Q1. エアコンの取り付け工事に、施主は必ず立ち会う必要がありますか。
原則として立ち会いが必要です。室内機の設置位置、壁に穴をあける位置、室外機の置き場所など、施主の判断を求められる場面が工事の序盤に集中するためです。また、追加費用が発生する場合の承諾や、完了後の試運転確認も立ち会いの場で行われます。どうしても不在になる場合は、家族に判断を委ねたうえで、位置の希望や追加工事の可否をあらかじめ具体的に伝えておいてください。
Q2. 工事にはどのくらいの時間がかかりますか。
1台あたりおおむね1.5〜3時間程度が目安です。既存の壁穴を使い、室外機をベランダに直置きするような標準的な条件であれば短く済みます。一方、新たに穴をあける、配管を延長する、化粧カバーを取り付ける、室外機を壁面や屋根に設置するといった条件が加わると、時間は延びます。旧機の取り外しを伴う場合も、その分の作業時間が加算されます。
Q3. 追加費用を当日に提示されたら、断ってもよいのでしょうか。
内容によります。配管延長や特殊な壁の穴あけのように、それをしなければ設置が完了しない項目は避けにくいものです。一方、化粧カバーのような美観に関わる項目は断っても機能上の問題はありません。判断に迷うときは、その場で決めずに「一度持ち帰って検討したい」と伝え、設置自体を後日に回す選択肢もあります。金額と内訳を書面で示してもらったうえで判断してください。
Q4. 真空引きをしているかどうかは、素人でも分かりますか。
判断できます。真空引きでは、室外機の脇にモーター付きの真空ポンプを置き、ホースと丸い計器をつないだ状態で数分から十数分ほど連続で運転します。ポンプが「ブーン」と音を立てて回っている時間があれば、真空引きが行われていると考えてよいでしょう。反対に、配管をつないだ直後に短い噴出音がしただけで作業が終わる場合は、簡易的な方法で済ませている可能性があります。
Q5. 冬に取り付けた場合、冷房の試運転はできないのでしょうか。
外気温が低い時期は、冷房運転が正常に立ち上がらない機種があります。その場合は暖房運転での動作確認になります。暖房では、起動から数分間は冷たい風が出ることがありますが、これは室外機が温まるまでの正常な動作です。ただし、冷房時に働くドレン排水の確認は暖房ではできません。翌シーズンの冷房開始前に、水漏れや排水の状態をあらためて確認しておくと安心です。
まとめ|安全に使い続けるためのポイント
エアコン取り付け当日の立ち会いは、工事を監視するためのものではありません。
住まい手しか知らない情報を業者に渡し、あとから直せない部分だけを一緒に確認する時間だと考えると、負担なく臨めます。
最後に、当日の要点を整理します。
- 着工前に、室内機の位置・穴の位置・室外機の置き場を目視で合意する
- 標準以外の費用が出そうな箇所を、着工前に確認しておく
- 壁穴は開けたら戻せないため、直前に必ず位置を見せてもらう
- 真空引きの有無は、真空ポンプが回っている時間があるかで判断する
- 電源は専用コンセントに直結し、延長コードや継ぎ足し接続は使わない
- 試運転では、冷風・異音・水漏れに加え、屋外ホースからの排水を確認する
- 保証書・工事明細・リサイクル券を受け取り、連絡先を控えておく
設置直後は問題がなくても、使い始めてから気づく不具合もあります。
気になる音や水漏れがあれば、繁忙期に入る前の早い段階で施工業者に連絡してください。
最初のひと手間が、その後10年前後の使い心地を左右します。

