MENU

エアコン工事は部屋が汚いと断られる?当日までに片付ける範囲

エアコン工事前に片付けが必要な範囲をイメージした、荷物のある室内とエアコンのイラスト
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

エアコンの取り付け工事の日が近づいてきて、「この部屋の状態で来てもらって大丈夫だろうか」と気になっていませんか。
床に物が置きっぱなし、壁際には本棚や衣装ケース、ベランダにはプランターや物置——そんな状況で工事を断られたらどうしよう、と不安になる方は少なくありません。
結論からいえば、エアコン工事の可否を分けるのは部屋がきれいかどうかではなく、作業員が脚立を立てて安全に作業できる空間があるかどうかです。
この記事では、断られる・追加料金になる具体的な境目、室内機まわりと室外機まわりに必要な空きスペースの目安、前日までに動かしておくべき物と片付けなくてよい物、そして当日に作業できなかった場合の費用の扱いまでを整理します。

目次

部屋が散らかっているだけで工事は断られない|断られるのは作業スペースが作れないとき

まず押さえておきたいのは、工事業者は部屋の生活感や散らかり具合を評価しに来ているわけではないという点です。
訪問した作業員が確認しているのは、次の3点にほぼ集約されます。

  • 室内機を取り付ける壁の前に、脚立を安定して立てられる床面があるか
  • 室内機・室外機・配管材を運び入れる通路が確保できているか
  • 作業中に落下物・粉じん・水滴が当たって困る物が、作業範囲に置かれていないか

つまり判断基準は「清潔さ」ではなく「安全性と作業の可否」です。
床にラグや衣類が広がっていても、脚立の脚が乗る範囲さえ空けられるならそのまま作業に入れることがほとんどですし、家具が多い部屋でも当日30分ほどで一緒に動かせる程度なら問題になりません。

一方で、以下のような状態は工事の中止や日程変更につながることがあります。

  • 床面が物で埋まっていて、脚立の4本脚を接地させられない
  • 壁際まで天井近い高さの家具が積み上がり、当日中に動かせない
  • 玄関から設置予定の部屋まで、人が荷物を持って通れる幅がない
  • ベランダに私物が積まれ、室外機の設置場所そのものが確保できない
  • 明らかな異臭・害虫の大量発生・ペットの排せつ物の放置など、衛生面のリスクがある

最後の項目だけは性質が異なります。
いわゆるゴミ屋敷に近い状態や、床が汚水で濡れているようなケースでは、作業員の健康・安全上の理由から通常の取り付け工事の範囲外と判断されることがあります。
ただしこれは「片付いていない部屋」とはまったく別の水準の話で、一般的な生活の中で物が増えてしまった部屋であれば、心配しすぎる必要はありません。

不安がある場合の最も確実な方法は、設置予定の壁と室外機置き場をスマートフォンで撮影し、購入店に事前に見せておくことです。
写真があれば、当日になって「これでは付けられません」と言われる事態はほぼ避けられます。

必要なのは室内機の前におよそ幅2m・奥行き1mの床、室外機の周囲は数十cmの空き

では具体的にどれだけ空けておけばよいのか。
現場で使われる脚立は3尺〜4尺(高さおよそ90〜120cm)のものが中心で、開いた状態の接地幅はおおむね60〜80cmです。
これに作業員が立ち位置を変える余地と、床に敷く養生シートの広さを加えると、室内機を付ける壁面の前に幅2m・奥行き1m程度の床が空いているのが理想的な状態といえます。
これはあくまで作業しやすさの目安であり、機種や住宅の条件によって前後します。

あわせて、機器そのものが要求する据付スペースも確認しておくと安心です。
たとえばダイキンのコンパクトモデルでは、カーテンレールなどの障害物がある場合は室内機の下に5mm以上、背面で配管を接続する場合は室内機の上に75mm以上の据付スペースが必要とされています。
壁付けの棚やカーテンボックスが取り付け予定位置に近い場合は、この寸法が確保できるかが焦点になります。

📎 出典:ダイキン工業「ルームエアコン Eシリーズ コンパクト」

室外機側も同様です。
室外機は前面から風を吹き出す構造のため、吹き出し側に物が密着していると設置できないか、設置できても能力が落ちます。
必要な距離は機種や設置形態によって異なりますが、メーカーは据付所要スペースを公表しているので、ベランダや犬走りが狭い場合は事前に確認しておくとよいでしょう。

📎 出典:ダイキン工業「室外機の必要スペース|ルームエアコン設置事前チェック」

場所ごとに必要な空きスペースを整理すると、次のようになります。

場所空けておきたい範囲主な理由
室内機を付ける壁の前幅2m・奥行き1m程度の床脚立の設置と養生シートを敷くため
室内機の取り付け位置の上・左右天井から5cm以上、左右の壁から5cm以上(機種による)吸い込み性能と据付作業の確保
配管穴の内側・外側直径30cm程度の作業範囲穴あけ・パテ処理・配管の取り回し
玄関から設置部屋までの通路幅60cm以上室内機・室外機・工具の搬入
室外機の設置予定地室外機本体より一回り大きい平らな面据付台の設置と水平出し
室外機の前面(吹き出し側)障害物のない空間風の吹き出しと能力の確保

数値はいずれも一般的な目安で、機種・住宅の構造・配管ルートによって変わります。
狭小地やアルコーブ設置など条件が厳しい場合は、購入前の段階で販売店に相談しておくのが確実です。

前日までに動かしておきたいのは壁際の家具・カーテンレール上の物・ベランダの私物

当日の朝に慌てないために、前日までに済ませておきたいのは次の範囲です。
「部屋を片付ける」と考えると気が重くなりますが、実際に必要なのは作業に関係する場所だけを局所的に空けることで、部屋全体を整える必要はありません。

室内機まわり

  • 取り付け予定の壁に接している本棚・タンス・衣装ケースを、壁から1m以上離す(または別室へ移す)
  • 壁面や取り付け位置の近くに掛けてある額縁・時計・棚の上の小物を外す
  • カーテンとカーテンレール上のホコリよけ布、レール上に載せている物を撤去する
  • 取り付け位置の真下にあるテレビ・パソコン・オーディオ・観葉植物を移動する
  • 床のラグ・座布団・段ボール・脱いだ衣類を、脚立を立てる範囲から退ける

穴あけを伴う工事では、量は多くないものの壁材の粉じんが出ます。
精密機器や布製品は移動が難しければビニールを掛けるだけでも十分ですが、可能なら別の部屋に移しておくと安心です。

室外機まわり・ベランダ

  • 設置予定地のプランター・すのこ・物置・自転車・タイヤなどを移動する
  • 室外機を運ぶ動線上に置いてある物を退ける
  • ベランダの排水口の上に物が載っていないか確認する

ベランダは室内より見落とされやすい場所です。
特に買い替え工事では既存の室外機を撤去して搬出する動線も必要になるため、室内以上に通路の確保が重要になります。

搬入経路

  • 玄関から設置部屋までの廊下に置いた収納ケース・傘立て・靴を寄せる
  • 階段の途中に置いてある物を撤去する
  • 玄関のたたきに、作業員が靴を脱ぎ履きできる程度の空きを作る

室内機は10kg前後、室外機は機種によって30〜50kg程度になります。
人が荷物を抱えて通る前提で、幅60cm程度を確保しておけば大きな支障は出にくいでしょう。

片付けなくてよいのは部屋全体の掃除・収納の中身・生活感のある日用品

逆に、頑張らなくてよい部分もはっきりしています。
以下は工事の可否にほぼ影響しません。

項目対応の要否
部屋全体の掃除機がけ・拭き掃除不要(工事後に粉じんが出るため、掃除はむしろ後がよい)
押し入れ・クローゼットの中身原則不要(配管が内部を通る特殊なケースを除く)
本棚の中の本、食器棚の中身不要(家具ごと動かす場合のみ、上段の物を降ろす)
干してある洗濯物室内機まわりとベランダの作業範囲だけ外す
生活感のある日用品・子どものおもちゃ作業範囲外なら不要
ゴミ袋・段ボール通路と脚立の範囲だけ移動

工事後は壁の穴あけで出た粉じんや、養生シートに付いた汚れが残ります。
そのため本格的な掃除は工事前ではなく工事後に回したほうが合理的です。
前日にやるべきは「掃除」ではなく「移動」だと考えると、負担はぐっと軽くなります。

断られる・追加料金になるのは片付け不足そのものより設備条件が理由になることが多い

実際に工事が止まる原因を並べてみると、片付けが直接の理由になるケースは限られており、多くは設備側の条件です。
状況ごとに何が起きるかを整理します。

当日の状況起こりうること
床に物が多いが、10〜30分で動かせるそのまま作業。施主が移動を求められる
壁際に大型家具があり動かせない取り付け位置の変更、または日程変更
搬入経路が塞がっていて室外機を運べない作業中止・再訪問
ベランダに私物が多く室外機置き場がない設置方法の変更(壁面・置き台など)で追加費用
衛生上のリスクがある状態作業をお断りされる場合がある
エアコン専用コンセントがない電気工事が別途必要になり、当日は取り付け不可のこともある
配管が標準の長さで届かない配管延長の追加料金
壁の材質が想定と違う(コンクリート等)穴あけの追加料金

家電量販店の標準取付工事は範囲が明確に決まっており、たとえばケーズデンキでは配管パイプ4mまで、木造・モルタル壁の穴あけ1か所、貫通スリーブ1個、既存アース端子への接続などが標準の内容とされ、エアコン専用コンセントが必要である点も明記されています。
この範囲を超える作業は追加費用の対象です。

📎 出典:ケーズデンキ「エアコン購入前のチェックポイント」

専用コンセントがない場合の電気工事については、コンセント増設の費用はいくら?工事内容・相場・業者選びの完全ガイドで費用の目安と工事内容を解説しています。

買い替え工事は取り外し分の動線が加わり、片付ける範囲が新規設置より広くなる

同じ「エアコン工事」でも、新規に1台付けるだけの場合と、既存機を外して付け替える場合とでは、必要な準備の量が変わります。
買い替えでは次の工程が追加で発生するためです。

1. 既存の室内機・室外機からの冷媒回収(ポンプダウン) 2. 既存機の取り外し 3. 取り外した室内機・室外機・配管の屋外への搬出 4. 配管穴・配線の再利用可否の判断 5. 新しい機器の搬入と取り付け

このうち片付けに直結するのが3番です。
取り外した機器を運び出す動線と、屋外での一時仮置き場所が必要になるため、玄関前や通路に旧機を一時的に置ける空間まで意識しておくと当日が滞りません。
古い室外機は30〜50kg程度あり、途中で持ち替える場面も出てきます。
廊下に置いた収納ケースや玄関の靴が想像以上に邪魔になるのは、この搬出のときです。

また、買い替えでは旧機に家電リサイクル法上の手続きが伴います。
リサイクル料金と収集運搬料金は取り付け工事費とは別枠で扱われるため、見積もりの内訳を確認しておきましょう。
旧機を屋外に出したあと、引き取りまでの間に一時保管が必要になる場合もあります。

引っ越しに伴う移設も同様で、外す側の家と付ける側の家、両方で作業スペースを確保する必要があります。
搬出側は「もう住んでいないから片付いている」と思われがちですが、荷造りした段ボールが通路を塞いでいるケースが多く、実際には新規設置より条件が厳しくなることもあります。

取り付け位置を先に決めておくと、当日の作業と片付けの範囲が確定する

片付けと同時に済ませておきたいのが、取り付け位置の見当をつけることです。
位置が決まっていないと、当日その場で相談することになり、結果として「もう1か所も片付けてください」という展開になりかねません。
位置決めで見るべき点は次の通りです。

確認項目判断の目安
エアコン専用コンセントの位置室内機の上部付近にあるか。床付近の一般コンセントは使用不可
既存の配管穴(スリーブ)室内機の右下または左下にあるか。あれば新規の穴あけを避けられる
室外機の設置場所との距離標準工事の配管長(4m前後)で届くか
ベッド・ソファ・食卓の位置就寝・着席位置に風が直撃しないか
天井・カーテンレール・梁との干渉機種が要求する上下左右のスペースが取れるか
窓・掃き出し窓の位置開閉や出入りの妨げにならないか

特に見落とされやすいのが、専用コンセントの有無です。
床に近い一般のコンセントや、他のコンセントから分岐された配線はエアコンには使えません。
専用回路が引かれていない住宅では、電気工事が別途必要になり、当日は取り付けまで進めないこともあります。
分電盤に「エアコン」と表示された専用のブレーカーがあるかどうかを、片付けのついでに確認しておくと安心です。

工事に立ち会えない・遠方から手配するときは写真での事前共有が効く

親の家のエアコンを子どもが手配する、遠方の物件に設置するといったケースでは、現地の状況を伝える手段が限られます。
このとき有効なのが、設置予定の壁全体・コンセント・分電盤・室外機置き場・搬入経路の5点を撮影して購入店に渡しておくことです。
撮影のコツは次の通りです。

  • 壁は正面からだけでなく、床から天井まで入る引きの構図でも撮る
  • コンセントは形状(縦穴・横穴・アース端子の有無)が分かるように近接で撮る
  • 分電盤は扉を開けて、ブレーカーの表示ラベルが読める距離で撮る
  • 室外機置き場は、置く予定の場所とその周囲の広がりが分かるように撮る
  • 搬入経路は玄関から部屋まで、通路の幅が分かる角度で撮る

写真を共有しておけば、追加工事が必要かどうかを事前に見積もってもらえる可能性が高くなり、当日の想定外を減らせます。
高齢の家族が立ち会う場合は、追加費用が発生したときの判断を誰がするのかも決めておくとトラブルを防げます。

当日に作業できなかった場合は再訪問費やキャンセル料が発生することがある

片付けが間に合わず作業を中止した場合、費用がどうなるかは購入店・工事会社の規約によって異なります。
一律の決まりはないため、「必ず〇円かかる」とは言えませんが、実務上は次のような扱いになることが多いと考えられます。

  • 出張費・再訪問費の請求
  • 日程の再調整(繁忙期は数週間先になることもある)
  • 追加工事が発生した場合、当日その場での精算

たとえばヤマダウェブコムでは、当日に追加工事が必要になった場合の代金は現地の工事担当へ現金で支払う旨が案内されています。
金額や支払い方法は販売店ごとに異なるため、注文時の書面や購入店の案内ページを確認しておくと確実です。

📎 出典:ヤマダウェブコム「エアコン工事料金の目安」

特に注意したいのが夏の繁忙期です。
6〜8月は工事枠が詰まりやすく、一度流れると次の日程が大きく先送りになることがあります。
猛暑のさなかに数週間エアコンなしで過ごすことになりかねないため、この時期の工事日は特に準備を前倒しにしておきたいところです。
どうしても待つ期間が発生する場合の暑さ対策は、エアコンのない部屋を涼しくする方法13選|夏の暑さを大幅に軽減できる対策とは?が参考になります。

賃貸・分譲マンションでは片付けより先に管理会社の許可を取る

見落とされがちですが、賃貸住宅や共同住宅では、片付け以前に確認しておくべき手続きがあります。
壁に新規で穴を開ける工事、専用回路やアース回路の増設、共用部分にあたる場所への室外機設置は、管理会社や大家の許可なく行うと原状回復の費用を請求される可能性があります
ヤマダウェブコムでも、賃貸・共同住宅での専用回路増設やアース回路増設、共用スペースへの室外機設置については事前に管理会社や大家の許可を得るよう案内されています。

確認しておきたいのは次の点です。

  • 新規の壁穴あけが認められているか
  • 室外機をベランダ・共用廊下・壁面のどこに置いてよいか
  • 退去時の原状回復の範囲(配管穴のパテ処理、化粧カバーの扱いなど)
  • 工事の日時・作業音について、事前届け出が必要か

既存の配管穴(スリーブ)がすでにある物件なら、多くの場合そのまま利用できます。
判断に迷ったら、工事の申し込み前に管理会社へ一報を入れておくのが結果的にいちばん早い方法です。

片付けが間に合わないときは範囲を絞る・日程をずらす・外部サービスを使う

前日になって「終わらない」と気づいたときも、打つ手はあります。

1. 作業範囲だけに絞って集中する

部屋全体をあきらめ、取り付け壁の前・搬入経路・室外機置き場の3か所だけに労力を集中させます。
移動先は別の部屋・浴室・玄関で構いません。
工事中の2時間だけ物の置き場が変わっていても、なんら問題はありません。

2. 工事日をずらす

繁忙期を外せるなら、余裕をもって日程を再設定するほうが結果的に安く済みます。
買い替えのタイミング自体を見直す場合は、エアコン2027年問題で何が変わる?値段・在庫・工事費から考える買い替え基準も判断材料になります。

3. 片付け・養生の道具をそろえて短時間で終わらせる

一時的に物をまとめる収納ケースや、床・家具を保護する養生シートがあると、片付けの時間そのものを短縮できます。
特に養生シートは工事当日に業者が敷くものとは別に、動かせない家具へ掛けておく用途で役立ちます。

まとめて一時退避させるなら、蓋つきの折りたたみコンテナが扱いやすく、工事後は元に戻すだけで済みます。

工事当日は1〜2時間の立ち会いと試運転の確認を前提に予定を空けておく

新規1台の標準的な取り付けであれば、作業時間の目安は1〜2時間程度です。
既存機の取り外しや配管の延長、化粧カバーの取り付けが加わると、さらに時間がかかります。

当日に意識しておきたい点を挙げます。

  • 立ち会いは基本的に必須。取り付け位置の最終確認と、追加工事が発生した場合の同意が必要になるため
  • 貴重品は作業する部屋から出しておく
  • ペットや小さな子どもは別室に。工具や配管材、脚立は危険物になり得る
  • 穴あけ作業中は作業員の周囲に立ち入らない。粉じんの飛散と工具の危険がある
  • 作業後は必ず試運転に立ち会い、冷房・暖房が出ること、ドレン水が排水されること、異音がないことを確認する
  • 追加費用が発生した場合は、内訳の説明を受けてから支払う

試運転の確認は特に重要です。
その場で異常に気づけば当日中に手直しできますが、後日になると再訪問の調整が必要になります。
数分でも立ち会って、風が出ること・室外機が回っていることを自分の目で確かめておきましょう。

片付けをめぐって誤解されやすい3つのポイント

準備の負担を必要以上に大きくしてしまう思い込みが、いくつかあります。

「きれいな部屋でないと失礼だから、徹底的に掃除しないといけない」
工事は住宅設備の作業であり、来客の応対ではありません。
作業員が見ているのは床の空き・通路・壁面の3点だけです。
掃除に費やす時間があるなら、家具を1m離すほうがはるかに工事の進行に貢献します。

「当日、業者が家具を動かしてくれるはず」
軽い物なら手を貸してもらえることはありますが、大型家具の移動は依頼主側の準備範囲とされているのが一般的です。
家財を破損した場合の責任の所在が曖昧になるため、業務範囲外としている工事会社が多いという事情もあります。
「当日動かせばいい」と残しておくと、作業開始が遅れ、後続の訪問先の予定にも影響します。

「片付けが理由で工事費が上がることはない」
直接的に「片付け料金」を請求されることはまずありませんが、片付け不足が原因で取り付け位置を変更すると、配管の延長や新規の穴あけが発生し、結果として追加費用につながることがあります。
標準工事の範囲を外れるかどうかは、当日の現場条件で決まる点を意識しておくとよいでしょう。

工事前日に確認しておきたいチェックリスト

前日の夜、次の項目を上から順に確認すれば、当日に慌てる場面はほぼなくなります。

区分確認項目
室内取り付け壁の前に幅2m・奥行き1m程度の床が空いている
室内壁際の大型家具を壁から1m以上離した(または別室へ移した)
室内カーテン・額縁・棚の小物など、取り付け位置まわりの物を外した
室内取り付け位置の真下から精密機器・観葉植物を移動した
搬入玄関から設置部屋まで、幅60cm程度の通路が確保できている
搬入玄関のたたきに、靴を脱ぎ履きできる空きがある
屋外室外機の設置予定地と前面の空間が空いている
屋外買い替えの場合、旧機の搬出動線と仮置き場所がある
設備エアコン専用コンセントの位置と形状を確認した
設備分電盤にエアコン用のブレーカーがあるか確認した
手続き賃貸なら管理会社・大家の許可を取った
当日1〜2時間の立ち会い時間を確保した
当日ペット・小さな子どもを別室に移す準備ができている

すべてに手が回らない場合は、上から順に「室内」「搬入」「屋外」の3区分を優先してください。
この3つが押さえられていれば、作業自体はほぼ問題なく進みます。

よくある質問

Q1. 部屋が散らかっていることを理由に、工事を断られた例はありますか。
A. 一般的な生活の中で物が増えた程度の部屋であれば、それだけを理由に断られることはまず考えにくいです。作業員が判断しているのは脚立を安全に立てられるか、搬入経路が通れるかという点だけです。ただし、床面が物で埋まっていて当日中に動かせない場合や、強い異臭・害虫の大量発生といった衛生上のリスクがある場合には、安全確保の観点から作業を見送られることがあります。不安があれば、設置場所の写真を購入店に事前に送っておくと確実です。

Q2. 工事の前に掃除機をかけておいたほうがよいですか。
A. 掃除は工事前より工事後に行うほうが合理的です。壁に配管穴を開ける工程では壁材の粉じんが出ますし、養生シートの出し入れでも床に汚れが付きます。前日に必要なのは掃除ではなく、物の「移動」です。取り付ける壁の前、搬入経路、室外機の設置場所の3か所だけを空けておけば、作業自体は問題なく進みます。仕上げの掃除は工事が終わってから、粉じんを拭き取る形で行ってください。

Q3. 家具は自分で動かす必要がありますか。当日手伝ってもらえますか。
A. 原則として、家具の移動は依頼主側の準備範囲です。工事会社によっては軽い物なら一緒に動かしてくれることもありますが、大型家具の移動や家財の破損リスクを伴う作業は業務範囲外とされているのが一般的です。当日に動かす前提で残しておくと、その分だけ作業開始が遅れ、後の予定に影響することもあります。壁際の大きな家具は前日までに離しておくのが安心です。

Q4. ベランダの物置やプランターも動かす必要がありますか。
A. 室外機の設置予定地と、そこまでの搬入経路にかかっている物は移動が必要です。室外機は前面から風を吹き出す構造のため、吹き出し側に物が密着していると設置できないか、設置できても冷暖房の効きが落ちます。買い替え工事の場合は、既存の室外機を運び出す動線も必要になります。ベランダは室内より見落とされやすいので、前日に一度、実際に人が通れるか歩いて確かめておくとよいでしょう。

Q5. 賃貸で壁に穴を開ける場合、事前に何を確認すればよいですか。
A. 新規の穴あけが認められているか、室外機をどこに置いてよいか、退去時の原状回復の範囲がどこまでかの3点を、管理会社または大家に確認してください。専用回路やアース回路の増設、共用部分への室外機設置も許可が必要になるのが一般的です。既存の配管穴がある物件なら、多くの場合そのまま利用できます。無断で工事を進めると原状回復費用を求められる可能性があるため、工事の申し込み前に確認しておくのが確実です。

工事が終わったあとに片付けと掃除を仕上げると効率がよい

工事直後の部屋は、前日に想像していたよりも作業の跡が残ります。
穴あけで出た壁材の細かい粉、養生シートを外したあとの床、配管を切った際の切りくずなどです。
前日に掃除を済ませていても結局やり直しになるため、掃除は工事後にまとめて行うほうが手間が少なくて済みます

工事後に順に済ませたいのは次の内容です。

  • 室内機の下と壁際に落ちた粉じんを、掃除機で吸い取る(乾拭きだと壁に擦り付けてしまう)
  • 配管穴まわりのパテ処理が隙間なく行われているか目視で確認する
  • ドレンホースの先端が地面に埋まっていないか、水が流れているかを確認する
  • 室外機が水平に据え付けられ、がたつきがないか手で軽く押して確かめる
  • 別室に移した家具や小物を元に戻す
  • 保証書・工事伝票・リサイクル券の控えを保管する

配管穴のパテは、隙間があると雨水の侵入や虫・小動物の侵入につながるため、必ず確認しておきたい箇所です。
標準工事にはパテによる隙間の埋め込みが含まれていますが、施工直後は形が整っていないこともあり、気になる点があればその場で作業員に伝えるのが確実です。

なお、室内機の下に家具を戻す際は、フィルター掃除のために手が届く状態を保っておくと後々が楽になります。
背の高い家具を真下に戻してしまうと、2週間に一度のフィルター清掃が面倒になり、結果として効きの低下や電気代の増加につながります。
片付けを元に戻す段階で、室内機の前面が開けられる程度の空きを残しておくと、その後の維持管理まで見据えた配置になります。

まとめ

エアコン工事で見られているのは部屋の清潔さではなく、安全に作業できる空間があるかどうかです。
前日までに手を付けるべき場所を、あらためて整理します。

  • 室内機を付ける壁の前に、幅2m・奥行き1m程度の床を空ける
  • 壁際の大型家具は壁から1m以上離すか、別室へ移す
  • カーテン・額縁・棚の小物など、取り付け位置まわりの物を外す
  • 玄関から設置部屋まで、幅60cm程度の搬入経路を確保する
  • 室外機の設置予定地と、その前面の空間を空ける
  • 賃貸なら、穴あけ・室外機の設置場所について管理会社の許可を取っておく

逆に、部屋全体の掃除や収納の中身は手を付けなくて構いません。
掃除はむしろ工事が終わったあとに回したほうが効率的です。
どうしても間に合わないときは、範囲を3か所に絞るか、日程をずらす判断も選択肢になります。
当日は1〜2時間の立ち会いを見込み、最後の試運転まで確認して工事を終えましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

目次