MENU

エアコンのカビ臭い匂いはなぜ起きる?健康への影響と防ぎ方

カビ臭いエアコンの風に鼻を押さえる女性と、カビの発生をイメージしたイラスト
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

夏の朝、エアコンのスイッチを入れた瞬間に、雑巾のような、あるいは土のようなカビ臭い匂いがふわっと部屋に広がる。

数分で薄れていくとはいえ、その空気を毎日吸っていることを思うと落ち着かないものです。
とくに小さなお子さんや高齢のご家族、ぜんそくやアレルギーを持つ方が同じ部屋にいる場合、「単なる不快な匂い」で片づけてよいのか判断に迷う方は少なくありません。
この記事では、エアコンがカビ臭くなる仕組みを結露・ホコリ・温度の3条件から整理し、匂いの質によって原因を見分ける方法、公的機関が公表しているカビと健康の関係、そして自分でできる範囲とプロに任せるべき境目までを順に解説します。

読み終えるころには、今の匂いが「様子見でよいもの」か「手を打つべきもの」かを、ご自身で判断できる状態になっているはずです。

目次

エアコンのカビ臭さは「冷房で濡れた内部が乾かないまま放置される」ことで起きる

結論から述べます。
エアコンのカビ臭い匂いのほとんどは、冷房・除湿運転でできた結露水が内部に残ったまま停止し、湿ったままの状態で何時間も放置されることによって生じます。
故障でも、機種の当たり外れでもありません。
冷房というのは、室内の空気を冷たい熱交換器に触れさせて熱と水分を奪う仕組みですから、内部が濡れるのは避けようのない正常な動作です。
問題は、その水分が運転停止後にどう扱われるかにあります。

匂いの正体は、内部で増えたカビ(真菌)そのものと、カビや細菌が有機物を分解するときに出す揮発性の物質です。
つまり匂いは「汚れのサイン」ではなく、すでに微生物が繁殖して活動しているサインと捉えるのが正確です。
フィルターを洗っても匂いが消えないケースが多いのは、繁殖の中心がフィルターより奥にあるためです。

なお、匂いが毎日つけ始めだけに出るのか、運転中ずっと続くのかで、内部の状態はかなり違います。
つけ始めの匂いに絞った詳しい見分け方はエアコンのつけ始めが毎日臭いのはなぜ?原因と今すぐできる対処・防ぐ方法とはでも解説しています。

結露・ホコリ・温度の3条件がそろうため、エアコン内部はカビにとって好条件の場所になる

カビが増えるには水分・栄養・適温の3つが必要です。
エアコンの室内機は、この3つが同時に、しかも人の目が届かない場所でそろってしまう数少ない家庭内設備です。

冷房1時間で数百ミリリットル規模の結露が発生する

冷房運転中、熱交換器(アルミフィン)の表面温度は室温よりかなり低くなります。
そこに湿った空気が触れると、コップの表面と同じ原理で水滴がつきます。
この水はドレンパンに集まり、ドレンホースから屋外へ排出されますが、運転を止めた直後の内部にはフィンや送風ファンの表面に薄い水膜が残っています。
就寝前に冷房を切ってそのまま朝まで、という使い方をすると、濡れた状態が数時間から半日近く続くことになります。

ちなみに、この排水経路が詰まるとポコポコという音や水漏れとして表面化します。
音が気になる場合はエアコンのポコポコ音の原因と止め方とは?自分でできる対処法を解説を参考にしてください。

栄養源はホコリ・皮脂・調理油・ペットの毛

カビは水だけでは増えません。
エアコンはフィルターで大きなホコリを捕らえますが、フィルターの目より細かい粒子は奥へ通り抜けます。
リビングやダイニングに設置されている場合は、調理由来の油分がわずかずつ内部に付着していきます。
これらが結露水と混ざると、微生物にとって栄養価の高い層ができあがります。

メーカー側も、におい成分が室内から持ち込まれる点を説明しています。
パナソニックは、家具やじゅうたん、壁にしみこんだにおい成分が熱交換器に付着し、運転時ににおいとして出てくることがあると案内しており、化粧品・芳香剤・たばこの煙・食品・汗・ペット臭などを発生源として挙げています。

📎 出典:エアコン本体のにおいが気になるときは(パナソニック 修理・サポート)

20〜30℃という温度帯がそのまま繁殖適温にあたる

多くのカビは20〜30℃前後で活発に増えます。
冷房を使う夏場の室内は、まさにこの帯に収まります。
つまり、エアコンを最も使う季節が、カビにとって最も増えやすい季節と重なっているという構造的な問題があります。
冬の暖房中心の使用で匂いが出にくいのは、暖房運転では室内機側に結露が起きないためです。

カビが集中するのは熱交換器・送風ファン・ドレンパンの3か所

「エアコンの中」と一口に言っても、汚れ方は場所ごとにまったく違います。
匂いの原因になりやすい箇所を整理します。

場所状態自分で掃除できるか匂いへの影響
エアフィルターホコリが目に見えて溜まるできる(水洗い可)中:詰まると風量が落ち湿気が残りやすくなる
熱交換器(アルミフィン)結露で常に濡れ、微細な汚れが固着できない(変形・故障の危険)大:カビ発生の中心
送風ファン(シロッコファン)黒い点状の汚れが羽根に付着ほぼできない(分解が必要)大:風に乗って匂いと胞子が拡散
ドレンパン・ドレンホース水が滞留しぬめりが出る一部(ホース出口の確認のみ)中〜大:滞留するとにおいが逆流

このうち、家庭で安全に手を出せるのは実質的にフィルターと吹き出し口まわりだけです。
匂いの主因である熱交換器と送風ファンは、市販の道具では届かない位置にあるため、「掃除したのに匂いが消えない」という結果になりやすいのです。

吹き出し口を懐中電灯で照らして、羽根の奥に黒い点々が見えるようなら、送風ファンまで汚れが及んでいると考えてよい状態です。
部屋全体がカビ臭い場合の切り分けについてはカビ臭い部屋の対策完全ガイド|原因・場所別の除去方法と再発防止策とは?もあわせてご覧ください。

匂いの質で原因は絞り込める|すっぱい・雑巾・焦げ臭いは意味が違う

「臭い」とひとくくりにせず、どんな匂いかを言葉にすると原因の見当がつきます。
とくに焦げたような匂いだけは、カビとはまったく別の電気系統の異常を疑うべきです。
この場合は換気や掃除で対応せず、運転を止めて点検を依頼してください。

匂いの質主に考えられる原因対応の方向
雑巾・生乾きのような匂い熱交換器・送風ファンのカビ送風乾燥+清掃、改善しなければ分解洗浄
すっぱい・酸っぱい匂い細菌の繁殖、ドレンパンのぬめり分解洗浄の検討
土・ほこりっぽい匂いフィルターの目詰まり、室内のハウスダストフィルター清掃と室内の換気
たばこ・調理臭が強くなった匂い室内のにおい成分が熱交換器に吸着換気と送風運転、においケア機能の活用
焦げくさい匂い電装部品・配線の異常ただちに運転停止し点検依頼

また、匂いの出方にも意味があります。
つけ始めの数分だけ強く出て収まるなら、停止中に内部で増えた匂い成分が最初の風で押し出されているパターンです。
一方、運転中ずっと匂いが続く場合は、汚れの量そのものが多く、風が通るたびに匂いが発生し続けている状態と考えられます。
後者は、フィルター掃除だけで解決する可能性が低い段階です。

エアコン内のカビと健康の関係|公的機関は「調査中」としつつ注意を促している

ここは読者の関心が最も高く、同時に断定が難しい部分です。
まず、カビ全般が健康に影響しうることは公的機関が明確に述べています。
NITE(製品評価技術基盤機構)は、カビが体内に入ると健康被害を生じさせることがあり、重い症状につながる場合もあること、またカビを吸入することでアレルギー反応が起き、ぜんそくの悪化や難治化が問題になることがあると説明しています。
そのうえで、Aspergillus属のカビによるアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)や、キノコ類なども含めたアレルギー性気管支肺真菌症(ABPM)といった疾患名を挙げています。

一方で、NITEはエアコン内のカビと、これらの疾患との関係については「明らかになっていない」と明記しており、大学と共同で調査を進めている段階だとしています。

📎 出典:エアコン内の真菌(カビ・キノコ)(製品評価技術基盤機構 NITE)

つまり現時点で正確な言い方をすれば、「エアコンのカビが原因で必ず病気になる」とは言えませんが、「カビの胞子を室内に吹き出し続ける状態が望ましくない」ことは確かです。
匂いを恐れすぎる必要はないものの、放置してよい理由にもならない、というのが実態に近い理解です。

とくに配慮したい人

同じ室内でも、影響の受けやすさには個人差があります。
以下に当てはまる方が長時間過ごす部屋では、匂いが出た段階で早めに手を打つ判断が妥当です。

  • ぜんそく・アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎などの既往がある方
  • 乳幼児、および呼吸器が弱い高齢の方
  • 治療などで免疫の働きが落ちている方
  • 在宅勤務などで同じ部屋に一日中いる方

受診を考える目安

エアコンを使う季節にだけ、あるいはエアコンのある部屋にいるときにだけ、せき・鼻づまり・目のかゆみ・息苦しさが出るという傾向がはっきりしている場合は、環境要因を疑う手がかりになります。
とくに、乾いたせきが数週間続く、階段の上り下りで息切れするといった症状がある場合は、自己判断で様子を見ず、呼吸器内科やアレルギー科への相談をおすすめします。
症状の原因特定は医療機関の領域であり、この記事の情報で診断を代替することはできません。

自分でできるのは「送風乾燥・フィルター・吹き出し口」までと考える

匂いへの対処は、安全にできる範囲から順に試すのが鉄則です。
効果が高く、かつリスクの低い順に並べます。

1.冷房を切る前に送風運転で内部を乾かす

最も費用がかからず、効果が出やすいのがこれです。
冷房を止める前に、送風運転(または設定温度を高くした運転)を30分〜1時間ほど回して内部を乾燥させます
濡れたままの時間を短くするだけで、カビの増え方は目に見えて変わります。
内部クリーン機能が付いている機種なら、それを自動で行ってくれるので設定を有効にしておいてください。

就寝時にタイマーで冷房が切れる設定にしている場合、切れた瞬間から朝まで内部が濡れたまま放置されます。
これはカビにとって最も好条件です。
就寝中の使用が多い方は、切タイマーではなく設定温度を上げた連続運転に切り替えたほうが、匂いの面では有利になります。

2.フィルターは2週間に1回を目安に

フィルターが詰まると風量が落ち、内部に湿気が残りやすくなり、結果として匂いが悪化します。
掃除機でホコリを吸ったあと、汚れが強ければ水洗いし、完全に乾かしてから戻すのが重要です。
生乾きのまま取り付けると、そこが新たな繁殖起点になります。

作業前は必ず運転を停止し、電源プラグを抜くかブレーカーを切ってください。
フィルターの目に詰まったホコリは、乾いたブラシで裏側から軽く掃き出すと落ちやすくなります。

3.吹き出し口とルーバーは固く絞った布で拭く

手が届く範囲の吹き出し口とルーバー(風向き板)は、水で固く絞った布で拭き取れます。
ルーバーは無理に大きく動かすとモーターや軸を痛めるため、手で動く範囲だけにとどめてください。
奥の送風ファンに指や布を突っ込むのは、羽根の破損や部品の脱落につながるため避けます。

なお、機種によっては空気清浄機能でにおい対策を補える場合があります。
仕組みや使い方はダイキン エアコンのストリーマとは?効果・電気代・掃除まで解説でまとめています。

市販の洗浄スプレーは発火事故が報告されている

ここは安全に直結するため、はっきり書きます。
市販のエアコン洗浄スプレーを熱交換器に吹き付ける方法は、発煙・発火事故が実際に報告されています
NITEは、使用者が洗浄スプレーでエアコン洗浄を行った際、洗浄液が内部の電気部品に付着してトラッキング現象が発生し、発火に至ったと考えられる事例を公表しています。
トラッキング現象とは、付着したほこりや水分によって電気の通り道ができ、異常発熱する現象です。

📎 出典:製品安全情報マガジン Vol.384「エアコンの事故」(製品評価技術基盤機構 NITE)

問題は「洗剤が危ない」ことではなく、構造上の理由にあります。

  • 熱交換器のすぐ近くに電装部品や基板が配置されている機種が多く、養生が難しい
  • 家庭では十分にすすげないため、洗剤成分がフィンに残る
  • 残った洗剤成分と湿気が、かえって新しい汚れの土台になる
  • 流しきれなかった汚れがドレンホースに詰まり、水漏れを招くことがある

政府広報も、エアコン洗浄によって洗浄液が機器内部に侵入しトラッキング現象が起き、発煙・発火に至るケースを注意喚起の対象として挙げています。

📎 出典:扇風機やエアコンで火災発生!安全に使うための注意点とは?(政府広報オンライン)

すでにスプレーを使ってしまった場合は、しばらく送風運転で内部を乾かし、その後に焦げくさい匂い・異音・動作不安定といった変化がないかを確認してください。
少しでも異常があれば運転を中止し、販売店またはメーカーに相談するのが安全です。

内部クリーン運転は「予防」であって「除去」ではない

匂い対策としてよく挙がる内部クリーン運転ですが、期待する内容を間違えると「使っているのに臭い」という不満につながります。
パナソニックは、内部クリーン運転を本体内部を高温で加熱して乾燥させ、内部のカビの成長を抑制する機能と説明したうえで、すでに付着した臭いやカビ菌を取り除くことはできないと明記しています。
また、同社は1回あたりの運転時間の目安を約40分〜240分、電気代の目安を約1.7円としています(機種・使用条件により異なります)。

📎 出典:エアコンの内部クリーン運転のしくみと運転条件は(パナソニック 修理・サポート)

つまり内部クリーンは、まだカビが定着していない状態を保つための機能です。
すでに匂う段階では、予防機能を回しても手遅れというのが正しい理解になります。

メーカーによって呼び名が異なるため、取扱説明書で該当機能を探すときの参考として整理します。

メーカー主な名称
パナソニック内部クリーン運転/におい除去運転
ダイキン内部クリーン運転
三菱電機内部クリーン
日立内部クリーン運転(加熱乾燥)
シャープ内部清浄運転
富士通ゼネラル内部クリーン

いずれも目的は共通で、運転後の内部を乾燥させることにあります。
運転中に温風が出たり、こもった匂いが一時的に強く出たりすることがありますが、これは乾燥のために内部を加熱している過程で起きる現象です。
途中で止めてしまうと乾燥が中途半端に終わるため、始まったら最後まで回すのが基本です。

冷房の効き自体が落ちていると感じる場合は、内部の汚れが原因になっていることもあります。
その切り分けはダイキンのエアコンが冷えない原因|自分でできる確認と業者依頼の目安で解説しています。

「フィルター自動お掃除機能付き」でもカビ臭くなる

高価格帯のモデルを選んだのに匂うため、故障を疑って相談されるケースがあります。
しかしこれは機能の役割を実態より広く受け取っていることが原因で、異常ではありません。

フィルター自動お掃除機能が行っているのは、エアフィルターに付いたホコリをブラシでかき取り、ダストボックスに集めるか屋外へ排出することです。
対象はあくまでフィルターであり、その奥の熱交換器や送風ファンには手が及びません。
先に整理したとおり、匂いの主因はこの奥側にあります。
つまり自動お掃除機能付き機種であっても、カビ由来の匂いに対する耐性は基本的に変わりません。

むしろ注意点が2つあります。

  • ダストボックス方式の場合、溜まったホコリを定期的に捨てないと、そこ自体が湿気を含んで匂いの発生源になる
  • 内部構造が複雑なぶん、分解洗浄を依頼した際の作業費が標準タイプより高くなる傾向がある

「自動お掃除機能があるから何もしなくてよい」ではなく、フィルター掃除の手間が減るだけで、乾燥の習慣は変わらず必要と理解しておくと、匂いの発生を抑えやすくなります。
なお、お掃除ユニットの動作音を故障と勘違いする例もあります。
音の切り分けについてはダイキン エアコンのカタカタ音の正体|自分で直せる音と業者依頼の判断とは?を参考にしてください。

除湿(ドライ)運転はカビ対策になるのか

「湿気を取るのだからカビにも効くのでは」と考えられがちですが、ここは誤解が生じやすい部分です。

除湿運転は室内の空気から水分を取り除く運転です。
その仕組みは冷房と同じで、熱交換器を冷やして空気中の水分を結露させ、水として排出します。
つまり除湿運転をしている間も、エアコン内部は冷房時と同様に濡れています
室内の湿度を下げる効果はありますが、エアコン自身のカビ対策にはなりません。

一方で、室内の湿度を下げること自体はカビ全般の抑制に有効です。
一般に室内の相対湿度を60%以下に保つとカビは繁殖しにくくなるとされており、これは壁・押し入れ・家具裏など部屋全体に効いてきます。
除湿運転を使う場合も、運転後に送風で内部を乾かす手順は冷房と同じように必要だと考えてください。

再熱除湿方式(除湿した空気を温め直して吹き出す方式)を搭載した機種では、運転後の内部が比較的乾きやすい傾向がありますが、機種による差が大きいため、取扱説明書で内部乾燥に関する記載を確認するのが確実です。

今日すぐ匂いを抑えたいときの応急対応

来客の予定がある、寝室で使いたいなど、根本対処を待てない場面もあります。
その場での軽減策を挙げます。

  1. 窓を開けた状態でエアコンを10〜15分運転し、押し出された匂いを外へ逃がす
  2. その後に窓を閉め、通常運転に戻す
  3. フィルターを外して掃除機をかけ、乾いた状態で戻す
  4. 吹き出し口とルーバーを固く絞った布で拭く
  5. 就寝前に切る場合は、切タイマーではなく送風運転で終える

最初の「窓を開けて回す」は、匂い成分を室内にため込まない点で効果が実感しやすい方法です。
ただし冷房効率は大きく落ちるため、短時間で切り上げてください。

芳香剤や消臭スプレーを吹き出し口に向けて噴射するのは避けてください
匂いを覆い隠すだけで原因は残り、噴射物が内部に入り込めば新たな汚れや電気部品への付着リスクになります。

賃貸住宅で入居直後からカビ臭い場合

自分の使い方に問題がないのに最初から匂う、というケースもあります。
前の入居者の使用状況や、空室期間の湿気がそのまま残っていることが原因になっている可能性があります。

この場合、まず確認したいのは設備の扱いです。
エアコンが物件の付帯設備として賃貸借契約に含まれているなら、清掃や修繕の負担区分は契約書の記載によって決まります
入居直後の不具合であれば、貸主側の負担で対応してもらえる場合があります。

自己判断でクリーニング業者に依頼してしまうと、費用の請求先が曖昧になったり、設備を勝手に扱ったとみなされたりすることがあります。
順序としては、まず管理会社または貸主へ状況を伝え、対応方針を確認してください。
その際、いつから・どんな匂いが・どの運転モードで出るのかをメモしておくと、話が早く進みます。

プロの分解洗浄を検討する判断基準

自力の対処には明確な限界があります。
次のいずれかに当てはまるなら、専門業者による分解洗浄の検討段階です。

  • フィルター清掃と送風乾燥を1〜2週間続けても匂いが変わらない
  • 吹き出し口の奥や送風ファンの羽根に黒い点々が見える
  • 運転中ずっと匂いが続く(つけ始めだけではない)
  • 3年以上、内部の分解洗浄をしていない
  • その部屋にいるときだけ、せきや鼻の症状が出る家族がいる

費用は依頼先や機種によって幅がありますが、壁掛けの標準タイプでおおよそ10,000〜20,000円程度、フィルター自動お掃除機能付きの機種はその1.5〜2倍程度が目安として案内されることが多いようです。
ただし、これは地域・作業内容・繁忙期かどうかで変動します。
実際の金額は複数の業者から見積もりを取り、作業範囲(送風ファンまで分解するか、ドレンパンを外すか)を確認したうえで判断してください。

洗浄しても1年ほどで汚れは戻る前提で考える

見落とされがちな点として、分解洗浄は永久的な解決ではありません。
NITEと大学の共同研究では、家庭用エアコンの洗浄1年後の真菌再汚染について継続的な調査が行われており、学会でも繰り返し報告されています。
使用環境である以上、洗浄はリセットであって免罪符ではないと考え、洗浄後こそ送風乾燥と内部クリーンを習慣化する意味があります。

カビ臭を再発させないための年間の使い方

匂いは「発生してから消す」より「発生させない」ほうが圧倒的に手間もお金もかかりません。
季節ごとの目安をまとめます。

時期やること
5〜6月(冷房開始前)フィルター清掃、試運転、匂いのチェック
6〜9月(冷房シーズン中)フィルター清掃を2週間に1回、運転後は送風乾燥または内部クリーン
9〜10月(冷房終了時)送風運転を数時間回して完全に乾かしてからシーズンオフ
11〜3月(暖房期)フィルター清掃を月1回、室内の換気と湿度管理
3〜4月(オフシーズン)分解洗浄を依頼するなら閑散期で費用・日程とも有利

加えて、室内側の湿度を下げておくとエアコンへの負担も減ります。
洗濯物の部屋干しをエアコンのある部屋で常態化させている場合、室内機に入る空気の湿度が高くなり、結露量が増えます。
サーキュレーターで空気を回し、湿気が一か所に滞留しない状態をつくると、カビの発生条件から外しやすくなります。

シーズンオフに入る前の「乾かしてから止める」というひと手間は、翌年の匂いの出方をはっきり変えます。
冷房最終日に送風運転を数時間回してから電源を落とす、これだけでも十分に意味があります。

よくある質問

Q1.エアコンのカビ臭い匂いは、体に害があるのでしょうか?

カビの胞子を吸い込むことでアレルギー反応が起こり、ぜんそくの悪化などにつながる場合があることは公的機関も指摘しています。ただし、エアコン内のカビと特定の疾患との因果関係については、現時点では調査が続いている段階であり、断定はできません。健康な方が短時間吸い込んだだけで直ちに病気になるとは考えにくい一方、アレルギー体質の方や乳幼児、高齢の方が長時間過ごす部屋では、早めに対処するのが望ましいといえます。エアコンを使うときだけ症状が出る場合は、医療機関にご相談ください。

Q2.フィルターを掃除しても匂いが取れないのはなぜですか?

匂いの発生源の多くが、フィルターより奥にある熱交換器や送風ファンだからです。フィルターは大きなホコリを捕らえる部品であり、内部で増えたカビを取り除く役割はありません。フィルター清掃と送風乾燥を1〜2週間続けても変化がないなら、内部にカビが定着していると考えられます。吹き出し口を懐中電灯で照らし、羽根の奥に黒い点々が見えるようであれば、分解洗浄を検討する段階です。

Q3.市販のエアコン洗浄スプレーを使ってもよいですか?

積極的にはおすすめしません。洗浄液が内部の電気部品に付着してトラッキング現象が起き、発煙・発火に至った事故がNITEから公表されています。また家庭では十分なすすぎができないため、洗剤成分が残って新たな汚れの土台になったり、流れた汚れがドレンホースを詰まらせて水漏れを招いたりすることもあります。使う場合は取扱説明書の指示に従い、電装部分にかからないよう養生してください。すでに使用して異音や焦げた匂いがある場合は、運転を止めて点検を依頼してください。

Q4.内部クリーン運転をしていれば、カビは生えませんか?

内部クリーン運転は、運転後に残った水分を乾燥させてカビの成長を抑える予防機能です。メーカーも、すでに付着した匂いやカビ菌を取り除くことはできないと説明しています。したがって、まだきれいな状態を保つには有効ですが、すでに匂う段階では効果が限定的です。予防機能として毎回働かせつつ、フィルター清掃を組み合わせるのが現実的な使い方になります。途中で止めると乾燥が不完全になるため、最後まで回してください。

Q5.エアコンクリーニングはどのくらいの頻度で依頼すべきですか?

使用状況によりますが、1〜2年に1回を目安にする方が多いようです。喫煙者やペットがいる家庭、キッチンに近い設置場所、ほぼ通年運転している部屋では、より短い間隔が必要になる場合があります。洗浄後も時間の経過とともに内部の汚れは戻っていくことが研究で報告されているため、洗浄を前提にするより、日常の送風乾燥とフィルター清掃で汚れの進行を遅らせるほうが結果的に負担は軽くなります。

まとめ

エアコンのカビ臭い匂いは、冷房でできた結露が乾かないまま放置されることで、熱交換器や送風ファンにカビが増えて生じます。
匂いは汚れの前触れではなく、すでに繁殖が進んでいるサインです。
最後に、取るべき行動を整理します。

  • まず匂いの質を確認する。焦げくさい匂いだけは電気系統の異常を疑い、運転を止めて点検を依頼する
  • 冷房を止める前に送風運転で内部を乾かす習慣をつける。内部クリーン機能があれば有効にしておく
  • フィルターは2週間に1回、完全に乾かしてから戻す
  • 洗浄スプレーの内部使用は発火事故の報告があるため避ける
  • 送風ファンに黒い点々が見える、運転中ずっと匂うなら分解洗浄を検討する
  • 洗浄後も汚れは戻るため、乾燥の習慣づけをセットで続ける

匂いが気になり始めた段階なら、送風乾燥とフィルター清掃だけで改善することも珍しくありません。
まずは今日、冷房を切る前に送風を回すところから始めてみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

目次