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エアコンの配管カバーは必要?後付けの可否と選び方を解説

住宅の外壁に設置されたエアコン室外機と配管カバーを示したサムネイル画像
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

エアコンを取り付けたあとに外壁を見上げて、「配管がテープでぐるぐる巻きになっているだけだけど、これで大丈夫なのだろうか」と気になったことはないでしょうか。

結論から言えば、配管カバーはエアコンを動かすために必須の部材ではありません。
ただし、日当たりや設置場所によっては、あるかないかで配管の傷み方と外観の劣化速度がはっきり変わります。

この記事では、配管カバーが何を守っている部材なのか、付けたほうがよい設置条件はどこで線が引けるのか、すでに設置済みのエアコンに後付けできるのか、そしてサイズや色をどう選ぶのかまでを、自分で判断できる形で整理します。

目次

配管カバーは必須ではないが、テープ巻きのままでは数年で保温材が傷み始める

最初に結論をまとめます。
配管化粧カバーは、エアコンの性能や安全に直結する必須部材ではなく、配管の保護と外観のための「任意のオプション」です。
カバーがなくてもエアコンは正常に冷暖房できますし、標準工事の範囲でも配管はテープで巻いて保護されています。

問題は、その保護がどれくらい持つかという点です。
配管をテープで巻いただけの仕上げは、紫外線の影響を受けて比較的短期間で劣化し、テープと保温材が傷んで中の銅管が露出することがあります。
銅管がむき出しになると外観が悪いだけでなく、断熱が効かなくなるためエアコンの効率低下も懸念されます。

📎 出典:因幡電工「スリムダクトSD?LD?MD?配管化粧カバー一般用についてご紹介!|INABA note vol.11」

つまり判断は「必要か不要か」の二択ではなく、その配管が紫外線と雨風にどれだけさらされる場所を通っているかで決まります。
判断の目安を先に表で示します。

状況カバーの優先度理由
南面・西面の外壁を長く配管が這っている高い紫外線と熱の影響を最も受けやすく、テープの劣化が早い
2階の室内機から1階の室外機へ配管を下ろしている高い露出距離が長く、劣化と美観の影響範囲が広い
道路・玄関アプローチから配管がよく見える高い外観への影響が大きく、住宅全体の印象に関わる
積雪・強風の多い地域中〜高落雪や飛来物によるテープ破れ・配管の物理的な傷を防げる
北面で配管の露出が1m未満低め直射日光が当たりにくく、テープ仕上げでも比較的長持ちしやすい
ベランダ内で室内機と室外機がほぼ真裏の位置低め配管が短く、屋根や手すりで日射がある程度さえぎられる

「絶対に付けるべき」でも「付けても意味がない」でもなく、露出距離と日当たりで優先度が変わる、というのが実態に近い整理です。

配管カバーの中には冷媒管・ドレンホース・電線の3種類が通っている

配管カバーの必要性を考えるうえで、まず中に何が入っているのかを知っておくと判断がしやすくなります。
室内機と室外機をつないでいるのは、次の3つです。

  • 冷媒配管(銅管2本):熱を運ぶ冷媒が流れる管。細い管(ガス側・液側)が2本セットになっており、表面は保温材(発泡ポリエチレンなど)で覆われています
  • ドレンホース:冷房時に室内機で発生した結露水を屋外へ排出する管。硬めの蛇腹状で、内部に水が流れています
  • 連絡電線(渡り線):室内機と室外機の間で電源と制御信号をやり取りする電線

この3つを1本にまとめてテープで巻き、外壁に固定したものが、いわゆる「テープ巻き仕上げ」です。
このうち劣化の影響がいちばん大きいのが冷媒配管の保温材で、保温材が割れて銅管が露出すると、その部分で熱が逃げて冷暖房の効率が落ちることになります。
夏場に露出した冷媒管の表面が結露し、水滴が外壁を伝って汚れの筋になるケースもあります。

ドレンホースも紫外線に弱く、劣化すると硬化して割れ、そこから排水が漏れます。
外壁を伝った排水が乾いたあとに残る白い跡や、ホース途中からの水漏れは、この劣化が原因のことが少なくありません。
なお、ドレンホースの排水口まわりで起きる音の問題については、エアコンのポコポコ音の原因と止め方とは?自分でできる対処法を解説で詳しく解説しています。

テープ巻き施工と配管化粧カバー施工の違い

エアコン配管を束ねて保護する方法は、大きく「テープ巻き施工」と「配管化粧カバー施工」の2つに分かれます。
それぞれの性格を整理すると次のようになります。

比較項目テープ巻き施工配管化粧カバー施工
主な役割配管を束ねて保護する最低限の仕上げ雨・紫外線から配管を保護し外観も整える
費用標準工事に含まれることが多い部材費と手間が加算される
耐候性紫外線で劣化しやすい耐候性のある樹脂素材で長期間保てる
外観配管の形状がそのまま見える直線的な樹脂ケースで壁になじむ
補修のしやすさ巻き直しが比較的容易フタを外して内部を確認できる
向いているケース露出が短い・コスト最優先露出が長い・外観重視・日射が強い

テープ巻きが手抜き工事というわけではなく、コストを抑えられるという明確なメリットがある正規の仕上げ方法です。
一方で、長期的な保護と美観を優先するなら化粧カバーが有利、という役割分担になります。

配管カバーのメリットは保護・美観・断熱の3点、デメリットは費用と施工品質の差

判断材料として、メリットとデメリットの両方を具体的に見ていきます。

付けることで得られる4つのメリット

  1. 紫外線と雨から配管を守れる:耐候性のある樹脂製カバーで覆うことで、テープや保温材の劣化を大きく遅らせられます
  2. 断熱性能を保ちやすい:保温材が健全なまま維持されるため、冷媒管からの熱の出入りを抑えられます
  3. 外観が整う:カバーは複数色から選べるため、外壁の色に合わせれば配管の存在が目立ちにくくなります
  4. 物理的な損傷を防げる:飛来物、脚立の接触、鳥の食害、落雪などから配管を守れます

とくに見落とされやすいのが4番目です。
テープ巻きの配管は、庭木の剪定作業や自転車の出し入れといった日常動作で意外と傷が付きます。
一度テープが破れると、そこから雨水が入り込んで内部の劣化が加速します。

知っておきたいデメリットと注意点

  • 費用が上がる:部材費と施工手間が加わるため、標準工事のみの場合より支出は増えます
  • 施工品質の差が出やすい:ビス穴の防水処理やカバーの傾きなど、仕上がりが施工者の丁寧さに左右されます
  • 内部の状態が見えにくくなる:配管の劣化や小さな水漏れに気づくのが遅れることがあります
  • 隙間から虫や小動物が入ることがある:壁の貫通部やエンド部の処理が甘いと、カバー内部が通り道になる場合があります

デメリットの多くは「カバーそのものの欠点」というより納まりの処理が適切かどうかで決まる問題です。
見積もり時に、壁貫通部の防水処理とカバー端部の処理をどうするか確認しておくと、後々のトラブルを避けやすくなります。

なお、カバーを外壁にビス留めする際は下地と防水層に穴を開ける工事になるため、防水処理が不十分だと壁内部への浸水につながります
外壁材の種類によっては専用の処理が必要になるため、DIYで判断が付かない場合は無理に進めないほうが安全です。

既設エアコンへの後付けはできるが、配管の状態で選択肢が3つに分かれる

「すでに付いているエアコンに、あとから配管カバーだけ追加できるのか」という点は、この記事でもっとも多い疑問だと思います。
答えは後付けは可能。ただし既存配管の状態によって、やり方と費用が変わるです。

パターン1:既存配管の上からカバーをかぶせる

もっとも一般的で費用も抑えやすい方法です。
テープ巻きの配管をそのまま残し、その上から化粧カバーを取り付けます。
配管を触らないため、冷媒を抜く作業(ポンプダウン)や再充填が不要で、作業時間も短く済みます。

ただし、次の条件を満たしている必要があります。

  • 配管の保温材やテープがまだ健全で、銅管が露出していない
  • 配管の曲がり方がカバーの部材(エルボ・コーナー)で無理なく納まる形状である
  • 配管がカバーの内寸に収まる太さである(換気ホース付きの機種などは太くなる場合がある)

配管が壁から大きく浮いていたり、曲がりが急すぎたりすると、そのままではカバーが被せられないことがあります。

パターン2:配管をやり替えてからカバーを付ける

保温材がすでに割れている、銅管が露出している、配管の経路自体を変えたいという場合は、配管の引き直しを伴います。
この場合は冷媒回収・再接続・真空引きといった専門作業が必要で、費用と作業時間はパターン1より大きくなります。
配管がすでに10年以上経過している場合は、この機会にまとめてやり替えたほうが結果的に無駄が少なくなることもあります。

パターン3:後付け専用部材を使った部分的なカバー

壁の貫通部だけ、あるいは室外機まわりだけといった部分的なカバーも選択できます
とくに壁の取り出し部(ウォールコーナー)には、配管を外さずに後から取り付けられる「後付用」の部材が用意されています。
配管を切らずに納められるため、既設エアコンとの相性が良い部材です。

パターン配管の扱い想定される作業向いているケース
上からかぶせるそのままカバー取り付けのみ配管が健全で、外観だけ改善したい
やり替えてから付ける引き直し冷媒回収・再接続・真空引き保温材が劣化、経路変更を伴う
部分的に付けるそのまま後付用部材の取り付け貫通部の劣化・見た目が気になる箇所のみ

DIYでの後付けはどこまで現実的か

配管カバー自体はホームセンターや通販で購入でき、直管をカットして被せる作業そのものは難しくありません。
1階の手が届く範囲で、配管が直線的に納まっている状況であれば、DIYで対応している方もいます。

ただし、次に当てはまる場合は業者に依頼するほうが安全です。

  • 脚立や梯子を使う高所での作業になる(2階からの配管など)
  • 外壁がサイディングやALCで、ビス留めに下地の判断が必要
  • 既存配管の保温材がすでに傷んでおり、巻き直しから必要
  • モルタル・タイル外壁で、穴あけに専用工具が必要

とくに高所作業は転落事故のリスクが高く、無理な体勢での作業は避けてください
見た目のためだけに危険を冒す作業ではありません。

後付け費用は工事内容で幅が大きく、標準工事の範囲は事業者ごとに異なる

費用については、「配管カバー=いくら」という単一の相場は存在しないと考えたほうが正確です。
金額を左右するのは主に次の要素です。

費用が変わる要素内容
配管の露出距離直管の必要本数が変わる。2階からの引き下ろしは長くなる
曲がりの数コーナー・エルボなどの部材が増えるほど部材費と手間が増える
作業高さ高所作業になると足場や安全対策の手間が加わる
外壁材の種類タイル・ALCなど、下穴加工に手間がかかる素材は割高になりやすい
配管をやり替えるか冷媒回収・真空引きを伴うと作業量が大きく変わる

エアコン工事は「標準工事」に含まれる範囲が販売店や施工業者ごとに異なり、配管カバーは追加料金の代表例です。
見積もりを取る際は、金額だけでなく直管の長さ・コーナー部材の数・壁貫通部の処理まで含まれているかを確認しておくと、後からの追加請求を避けやすくなります。

なお、配管化粧カバーやテープ、保温材といった樹脂系の部材は原料価格の影響を受けやすく、部材の入手性が工期に影響することもありますので、事前に確認しておくといいでしょう。

配管カバーの選び方はサイズ・色・屋内外の3点で決まる

自分で購入する場合も、業者に指定する場合も、押さえるべきポイントは3つです。

サイズは配管の太さと機種タイプで選ぶ

配管化粧カバーには複数のサイズがあり、家庭用と業務用でラインナップが分かれています。
代表的な因幡電工のスリムダクトシリーズを例にすると、次のような構成になっています。

製品用途サイズ展開特徴
スリムダクトSD屋外・家庭用〜業務用SD-66/SD-77/SD-100/SD-140底部を壁に留めてからフタをはめる構造で施工しやすい万能タイプ
スリムダクトLD屋外・家庭用ルームエアコンLD-70/LD-90家庭用の配管サイズに特化し、コストパフォーマンスに優れる
スリムダクトMD屋内用室内配管向け室内の急な曲がりや断熱ドレンホースの勾配に対応した設計

スリムダクトSDは公共建築工事標準仕様書に合致する保温化粧ケースで、業務用の大口径配管や保温材が厚い高断熱配管には、SD-100やSD-140といった大きいサイズが用いられます。
一方のLDは家庭用ルームエアコンの配管サイズに絞ったラインナップで、標準的なエアコンから換気ホース式のエアコンまで対応します。

一般的な家庭用の壁掛けエアコン1台分であれば、まずは70サイズで納まるかを確認し、配管が太い機種や換気ホース付きの機種であれば90サイズを検討するという流れになります。
判断に迷う場合は、既存配管の外径を実測してから選ぶと確実です。

色は外壁に合わせて選ぶと存在感が消える

カバーは「ホワイト」「アイボリー」「グレー」「ブラウン」「ブラック」の5色展開が一般的で、壁色に合わせて選べます。
無難な白を選びがちですが、外壁がベージュ系ならアイボリー、濃色系ならブラウンやブラックを選んだほうが目立ちません。
迷ったときは、外壁より少し暗い色を選ぶと影に溶け込んで見えにくくなります。

日射による色あせは避けられないため、汚れが目立つのを嫌うなら中間色のグレーやアイボリーが扱いやすい選択です。

屋外用と屋内用は用途が分かれている

配管が屋内を通る場合、屋外用と同じ部材を使うわけではありません。
室内用のカバーは、室内配管に多い急な曲がりや、太い保温材付き断熱ドレンホースの勾配を考慮した設計になっており、取り付けビスが目立たない構造や、空間になじむ乳白色が採用されています。
隠ぺい配管ではない露出配管を室内で通す場合は、屋内用の部材を選んでください。

必要になる部材の種類

配管カバーは直管だけでは完成せず、経路に応じた部材を組み合わせます。

部材名役割
直管(ダクト本体)配管を収める本体。必要な長さにカットして使う
ウォールコーナー壁の貫通部(配管取り出し口)を覆う。後付用の製品もある
平面90°曲がり壁面上で配管が横方向に曲がる箇所に使う
立面エルボ壁面から手前・奥方向に曲がる箇所に使う
フランジ直管の端部を壁面に納める
端末カバー(エンド)室外機側などで配管が出る末端を処理する

DIYで揃える場合、直管だけ買って部材が足りずに作業が止まるケースがよくあります。
先に配管の経路を写真に撮り、曲がりの数と方向を数えてから購入すると失敗が減ります。

賃貸・分譲マンションでは管理規約と避難経路の確認が先

戸建てと違い、集合住宅では自分の判断だけで工事を進められません。

分譲マンションの場合、バルコニーや窓枠、玄関扉などは共用部分でありながら、特定の区分所有者だけが排他的に使用できる「専用使用権」が設定されているのが一般的です。
どの部分に専用使用権が設定されているかはマンションごとに異なるため、管理規約の確認が欠かせません。

📎 出典:国土交通省 マンション管理・再生ポータルサイト「専用使用権とは何ですか。」

外壁やバルコニー壁面にビスを打つ工事は、共用部分への加工にあたる可能性が高く、管理組合への申請や承認が必要になるケースが多いと考えてください。
賃貸物件でも同様に、貸主または管理会社の許可なく外壁に穴を開けることはできません。

もう一つ確認すべきなのが避難経路です。
集合住宅では、エアコンや関連部材の設置方法によっては消防法上の問題になる場合があります。

📎 出典:因幡電工「マンションやアパート等の共同住宅でエアコン設置時の注意点や落とし穴とは!?|INABA note vol.8」

バルコニーの隔て板(避難用パーテーション)の前や、避難ハッチの上に配管やカバーがかかる納まりは、緊急時の避難を妨げるため避けなければなりません
設置前に、避難経路上に部材がかからない経路になっているかを施工業者と一緒に確認しておくと安心です。

なお、ベランダの奥行きが浅く室外機の設置自体に制約がある場合は、室外機が小さいエアコンはどれ?狭いベランダでも設置できるメーカーと機種をサイズ基準で解説も参考になります。

カバーを付けない場合は、非粘着テープの巻き直しで劣化を遅らせられる

予算の都合や集合住宅の制約でカバーを付けられない場合でも、配管を放置するしかないわけではありません。
テープ巻き仕上げは劣化した部分を巻き直すことで、保温材が露出する前に手当てできるという利点があります。

屋外の配管に使われるのは、粘着剤の付いていない「非粘着テープ(化粧テープ)」が一般的です。
粘着テープは経年で糊が劣化してべたつき、剥がれた跡が残るため、屋外配管の仕上げには向きません。
巻き直しの際は、下から上へ向かって半分ずつ重ねながら巻き上げるのが基本です。
上から下へ巻くと、重なりの隙間が上を向いて雨水が入りやすくなります。

巻き直しを検討する目安は次のとおりです。

状態対応の目安
テープの表面が色あせている程度急ぐ必要はないが、次の点検時期に確認する
テープの端がめくれ、めくれ幅が広がっている早めに巻き直す。放置すると雨水が侵入する
テープが裂けて中の保温材が見えている巻き直しが必要。保温材の状態も確認する
保温材が割れて銅管が見えている保温材の交換が必要。業者に相談する

銅管が露出している状態で放置すると、結露水が外壁を伝って汚れや傷みの原因になるほか、冷暖房の効率低下にもつながります
この段階まで進んだ場合は、テープを巻き直すだけでは解決しないため、保温材の交換を含めた対応が必要です。

なお、テープ巻きのままにするか、カバーを付けるかは、住み続ける年数からも判断できます。
5年以内に外壁塗装や住み替えを予定しているなら巻き直しで様子を見る、10年以上住み続ける前提ならカバーを検討する、といった線引きが現実的です。

新設時に一緒に付けるほうが、後付けより手間も費用も軽くなる

配管カバーを付けるタイミングは、大きく分けて「エアコン設置と同時」と「後から追加」の2つです。
どちらでも施工は可能ですが、条件が整いやすいのは前者です。

比較項目新設・買い替えと同時後から追加
作業の手間配管施工と一連の作業として進められるカバー取り付けのために別途訪問が必要
配管の納まりカバーに合わせた経路で配管できる既存配管の曲がりに制約を受ける
出張費取り付け工事に含まれる別途発生することが多い
配管の状態新品のため保温材の心配がない劣化していれば巻き直しや交換が必要

とくに差が出るのが配管の納まりです。
最初からカバーを前提に施工すれば、配管を壁に沿わせてまっすぐ通し、曲がりを最小限にした経路が組めます。
一方、テープ巻き前提で施工された配管は、壁から浮いていたり、曲がりが急だったりすることがあり、そのままではカバーが被せられない場合があります。

エアコンの買い替えを検討している段階であれば、本体の見積もり時に「配管化粧カバーを付けた場合の金額」も一緒に出してもらうのが、もっとも無駄の少ない進め方です。
後から思い立って依頼するより、判断材料が揃った状態で比較できます。

施工の流れを知っておくと、見積もりの妥当性が判断しやすい

配管カバーの取り付けは、おおむね次の順序で進みます。

  1. 配管経路の確認と採寸(直管の長さ、曲がりの数と方向を確定する)
  2. 壁貫通部にウォールコーナーを取り付け、貫通部のパテを確認・補修する
  3. 直管の底部(ベース)を外壁にビス留めし、必要に応じて防水処理を行う
  4. 配管をベース内に収め、ドレンホースの勾配が確保されているかを確認する
  5. コーナー・エルボなどの部材で曲がり部を納める
  6. フタをはめ込み、端部の処理と全体の傾き・固定を確認する

見積もりを見るときは、この工程のうち壁貫通部の処理(2番目)が含まれているかを確認してください。
既設エアコンの後付けでは、貫通部のパテが痩せて隙間ができていることが多く、ここを直さないままカバーだけ付けても雨水と虫の侵入経路が残ります。

配管カバー設置後に起きやすい4つのトラブルと点検の目安

カバーを付けたら終わり、ではありません。
起きやすい不具合と、その見分け方を整理します。

1. カバー内部への雨水侵入

上向きの継ぎ目やビス穴の処理が甘いと、雨水がカバー内部に入り込みます。
内部にたまった水は逃げ場がないため、保温材を濡らして劣化を早めます。
壁際に不自然な水染みが出る、カバーの下端から水が垂れるといった症状があれば、内部への侵入を疑ってください。

2. 虫・小動物の侵入

カバー端部や壁貫通部に隙間があると、ハチ・アリ・クモなどがカバー内部に営巣することがあります。
夏場にカバー付近で虫の出入りが増えた場合は、端部処理を見直したほうがよいサインです。
貫通部のパテが痩せて隙間ができているケースも珍しくありません。

3. カバーのがたつき・脱落

固定用のビスが緩むと、風でカバーがばたつき、外壁を叩く音が出ることがあります。
強風のあとにカタカタと音がするようになった場合は、カバーや固定部の緩みを確認してみてください。

4. ドレンホースの勾配不良

カバー内部でドレンホースがたるんだり持ち上がったりすると、排水がスムーズに流れず、室内機側からの水漏れにつながることがあります。
カバー取り付け後に室内機から水が垂れ始めた場合は、施工した業者に連絡してください。

点検の目安としては、年に1回程度、外壁側からカバーの傾き・端部の隙間・水染みの有無を目視で確認するだけでも早期発見につながります。
台風や大雪のあとは、あわせて室外機まわりも見ておくと安心です。
冬季の室外機環境についてはエアコンの室外機は冬に何を対策すべき?故障・効きの悪さ・異音を防ぐ正しい冬対策を徹底解説で詳しく扱っています。

よくある質問

Q1. 配管カバーを付けないと、エアコンの故障につながりますか?

カバーがないこと自体が直接の故障原因になることは、基本的にありません。
ただし、テープ巻きのまま長期間経過すると保温材が劣化して銅管が露出し、断熱が効かなくなることで冷暖房効率が落ちる可能性があります。
また、露出した配管は物理的な損傷を受けやすくなります。故障というより、効率低下と劣化の進行を早める要因と考えるのが実態に近いでしょう。
配管の露出が短く日陰であれば、テープ仕上げのままでも大きな問題になりにくいのが実際のところです。

Q2. 後付けの場合、エアコンのガスを抜く必要はありますか?

既存配管の上からカバーをかぶせるだけであれば、配管を切り離さないため冷媒を抜く作業は不要です。
一方、配管の経路を変える、保温材が劣化していて巻き直しから行う、といった場合は配管を外す必要があり、冷媒回収と真空引きを伴います。
どちらになるかは配管の状態次第なので、見積もり時に「配管はそのままでカバーだけ付けられるか」を確認しておくと費用の見通しが立てやすくなります。

Q3. 配管カバーは自分で取り付けられますか?

1階の手の届く範囲で、配管がまっすぐ納まっている状況であれば、DIYで取り付けている方もいます。
ただし、2階からの引き下ろしのように高所作業になる場合、外壁がタイルやALCで下穴加工に工具が必要な場合、既存配管の保温材が傷んでいて巻き直しが必要な場合は、業者への依頼をおすすめします。
外壁にビスを打つ工事は防水処理を伴うため、判断が付かないまま進めると壁内部への浸水につながるおそれがあります。

Q4. 配管カバーの色あせは、どのくらいで気になりますか?

屋外用の配管化粧カバーは耐候性のある樹脂素材が使われており、テープ巻きに比べれば長期間美観を保てる設計です。
ただし、直射日光が強く当たる南面や西面では色あせや表面のくすみが避けられません。
色あせが気になる場合は、部材だけを交換することも可能です。
新設時に外壁より少し暗めの色を選んでおくと、多少色あせても目立ちにくくなります。

Q5. 賃貸物件で配管カバーを後付けしてもいいですか?

外壁にビスを打つ工事になるため、貸主または管理会社の許可なく行うことはできません。
分譲マンションの場合も、バルコニーや外壁は共用部分にあたることが多く、管理規約で工事の可否や申請手続きが定められています。
また、避難経路上に部材がかかる納まりは消防上の問題になり得ます。
まずは管理会社・管理組合に相談し、承認を得たうえで施工業者に依頼してください。

まとめ

エアコンの配管カバーは、動作に必須の部材ではなく、配管の保護と外観を目的とした任意のオプションです。
必要かどうかは、配管がどれだけ紫外線と雨風にさらされる場所を通っているかで判断できます。

  • 南面・西面を長く這う配管、2階からの引き下ろし、道路から見える位置は優先度が高い
  • 北面で露出が短い配管なら、テープ仕上げのままでも比較的長持ちしやすい
  • 後付けは可能で、配管が健全なら上からかぶせる方法が費用・手間ともに軽い
  • 選ぶときはサイズ・色・屋内外用の3点を押さえ、直管以外の部材も忘れずに揃える
  • 集合住宅では管理規約と避難経路の確認が工事の前提になる

見た目のための部材と思われがちですが、実際に守っているのは冷媒配管の保温材とドレンホースです。
新設・買い替えのタイミングは、追加費用を抑えて導入できる数少ない機会でもあります。
設置環境を一度見上げて確認したうえで、必要かどうかを判断してみてください。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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