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エアコンの引越し移設はどうすればいい?|配管再利用の可否と日程の組み方

エアコンの引越し移設作業をする業者と、配管再利用の可否や移設日程の組み方を示したサムネイル画像
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

引越しが決まって間取り図を眺めていると、必ず一度は立ち止まるのがエアコンの扱いではないでしょうか。

「まだ数年しか使っていないから持っていきたい」「でも移設費用が高いなら買い替えのほうが早い気もする」——そのどちらが正解かは、本体の年数と、新居側の配管・電源の状況で大きく変わります。
さらに厄介なのが日程です。
取り外しと取り付けは同じ日に終わるとは限らず、引越しの繁忙期にはそもそも工事の枠が取れないことがあります。

この記事では、エアコンの引越し移設で判断が分かれる「配管を再利用できるのか」という論点を整理したうえで、新居側で追加費用が出る条件、取り外しから取り付けまでの日程の組み方、賃貸で確認しておくべき点までを順に解説します。

目次

移設か買い替えかは「本体7〜8年」と「新居側の条件」の2軸で決まる

先に結論からお伝えします。
エアコンの引越し移設を検討するとき、最初に見るべきは本体の使用年数と、新居側で追加工事が必要になるかどうかの2点です。
本体が新しくても新居側の条件が悪ければ移設費用は跳ね上がりますし、逆に条件が良くても本体が古ければ、移設した直後に故障して費用が無駄になるリスクがあります。

家庭用エアコンの設計上の標準使用期間は、多くのメーカーで10年前後に設定されています。
これを踏まえると、移設に費用をかける価値があるのは、おおむね製造から7〜8年以内の機種と考えると判断しやすくなります。
9年目・10年目の機種を数万円かけて移設しても、残りの使用期間が短く、移設後1〜2年で買い替えの検討時期が来てしまうためです。

判断の目安を表に整理します。

状況判断の方向理由
製造3年以内・新居も同条件で設置可移設が有利本体価値が高く、追加工事も発生しにくい
製造4〜7年・標準工事の範囲で収まる移設が有利残存年数と移設費用のバランスが取れる
製造8年以上買い替え寄り移設後の故障リスクと、省エネ性能の差が費用差を埋めやすい
新居に専用コンセントがない/電圧が合わない買い替え寄り電気工事の追加費用が移設費に上乗せされる
室外機の置き場が特殊(屋根置き・壁面・二段置き)買い替え寄り架台や吊り金具の追加費用が発生しやすい
冷媒ガスがすでに減っている・冷えが弱い買い替え取り外し時のポンプダウンが成立しない可能性がある

ただし例外もあります。
6畳用の量販モデルであれば買い替えのハードルが低い一方、14畳以上の大型機や、加湿・自動清掃などの機能を備えた上位機種は本体価格が高いため、8年目でも移設のほうが合理的なケースがあります。
「年数だけ」で機械的に切らず、同等機種を買い直したときの本体価格と見比べて判断してください。

引越し移設で「配管の再利用」が指すのは新居側の既設配管のこと

ここが最も誤解の多いところです。
「配管は再利用できますか」と聞かれたとき、多くの方は今の家で使っている配管をそのまま新居へ持っていくイメージを持っています。
しかし実務上、旧居から取り外した冷媒配管を新居で使い回すことは、原則として行いません

理由は3つあります。

  • 壁の貫通部や曲げ癖がついた配管は、取り外し時に折れ・つぶれが生じやすく、再加工に耐えないことが多い
  • 新居の配管長・配管ルートが旧居と一致することはまずなく、長さが足りない・余りすぎるという問題が出る
  • 配管の切断面(フレア加工部)は繰り返し使うほど気密性が落ち、冷媒漏れの起点になりやすい

そのため移設工事では、原則として新居側で新しい配管を使うか、あるいは新居にすでに設置されている配管(前の入居者が残していったもの、または新築時に敷設されたもの)を再利用できるかを判断する、という流れになります。
「配管再利用の可否」という論点は、ほぼこの後者を指しています。

新居の既設配管を使えるかどうかは冷媒の世代で線が引かれる

既設配管を再利用できるかどうかで、最初に確認されるのが冷媒の種類です。
家庭用エアコンの冷媒は、おおまかにR22(2000年代前半までの機種に多い)→R410A(2000年代後半〜2010年代前半)→R32(2010年代中盤以降が中心)という順で移り変わってきました。

このうちR22時代の配管に、R410AやR32の新しいエアコンをつなぐことは避けるべき組み合わせとされています。
業界団体も、R22機種をR410A・R32機種へ取り替える場合は新規の冷媒配管を使うよう案内しています。

📎 出典:一般社団法人 日本冷凍空調工業会「冷媒HFC(R410AおよびR32)採用機種の施工上のポイント」

同工業会は、R410AおよびR32を採用した機種は作動圧力がR22機種のおよそ1.6倍と高く、一部の配管部材や据付・サービス用工具が専用品になること、またR22機種から取り替える際は冷媒の化学的特性と冷凍機油が異なるため新規の冷媒配管を使うことを示しています。
簡単にいえば、古い配管には古い冷媒用の油が残っており、新しい冷媒とは相性が悪いということです。
加えて圧力が高くなる分、肉厚の足りない配管では耐圧の面でも不安が残ります。

一方、R410A用として施工された配管にR32の新しい機種をつなぐ場合は、条件が合えば再利用できることが多くなります。
R410AとR32は設計圧力の考え方が近く、対応部材も共通しているためです。

新居の既設配管新しく付けるエアコン再利用の可否
R22時代の配管R32・R410A機種原則として不可(新規配管を使用)
R410A用の配管R32機種条件が合えば可
R410A用の配管R410A機種条件が合えば可
冷媒種が不明・年式不明すべて現地で肉厚・状態を確認したうえで判断

「条件が合えば」の中身は肉厚・径・状態の3点

R410A系の配管であっても、無条件に再利用できるわけではありません。
現場で確認されるのは、主に次の3点です。

  • 肉厚:新しい機種の設計圧力に耐えられる厚みがあるか。細径の液管側は特に確認される
  • 配管径:新しい室内機・室外機の接続口径と合っているか。合わなければ変換継手が必要になる
  • 状態:屋外露出部の腐食、踏まれ跡によるつぶれ、曲げ部の亀裂、内部への水分・ゴミの侵入がないか

とくに見落とされやすいのが、配管の端が長期間開放されたまま放置されていたケースです。
前の入居者がエアコンを外したあと、配管の口をテープで軽く塞いだだけで数年経っていると、内部に湿気やホコリが入り込んでいる可能性があります。
この状態で新しいエアコンをつなぐと、水分が原因で膨張弁が詰まったり、内部が腐食したりする不具合につながります。
外観がきれいでも、口元の処理が甘い配管は業者が再利用を断ることがあります。

隠蔽配管の物件は事前申告が必須

壁や天井の内部に配管が埋め込まれている「隠蔽配管」の物件は、扱いが別物になります。
配管を交換しようとすれば壁を壊す必要があり、現実的には既設配管を使うしか選択肢がありません。
そのため、隠蔽配管に対応できる業者かどうか、また対応機種が限られる場合があることを、見積もり依頼の段階で必ず伝えてください。

隠蔽配管では次の点が問題になりやすくなります。

  • 配管の途中がどうなっているか目視できず、劣化や折れを事前に確認できない
  • ドレン(排水)が自然勾配で流れない構造の場合、ドレンポンプ付きの機種や別途工事が必要になる
  • 冷媒種が古い場合、配管洗浄という追加作業が発生することがある

隠蔽配管であることを伝えずに標準工事で予約すると、当日「対応できません」となり、日程を組み直すことになります。
物件の内見時に、室内機の設置予定位置の壁から配管が直接出ているか(隠蔽)、化粧カバーやテープを巻いた配管が外壁を這っているか(露出)を確認しておくと安心です。

取り外し時のポンプダウンに失敗すると移設そのものが成立しない

移設工事の成否を分ける作業が「ポンプダウン」です。
これは、室内機と配管の中に入っている冷媒ガスを室外機側に回収し、閉じ込めてから取り外す作業を指します。
ポンプダウンが正しく行われないと、冷媒が大気へ抜けてしまい、新居で取り付けたあとに冷媒を充填し直す追加費用が発生します。

ここで重要なのが、すでに冷えが弱い・冷媒が漏れているエアコンは、ポンプダウン自体が成立しないという点です。
「引越し前から効きが悪かったが、新居で使えばなんとかなるだろう」と考えて移設すると、移設後に冷媒充填やガス漏れ修理が必要になり、結果として買い替えたほうが安かったという事態になりがちです。

移設を決める前に、次のような症状が出ていないか確認してください。

  • 設定温度まで下がらない、風は出るのに冷えない
  • 室外機の配管接続部(バルブ付近)に白い霜が付いている
  • 運転しても室外機がすぐ止まる、動かない
  • 室内機から水漏れが続いている

室外機まわりの不調については室外機が動かない原因と対処法|故障かどうかを自分で判断する完全ガイドで症状別に整理しています。
移設前の見極めに役立ててください。

なお、取り外しから取り付けまでの一連の作業は、電気工事と冷媒の取り扱いを伴うため個人で行う作業ではありません。
メーカーもこの点を明確に案内しています。

📎 出典:ダイキン工業 よくあるご質問「エアコンの移設について(ルームエアコン)」

同社は、エアコンの移設を利用者自身で行うと感電や火災、けが、ガス漏れによる故障の原因になるとして、購入した販売店または専門業者へ依頼するよう案内しています。
取り外しだけなら自分でできそうに見えますが、ポンプダウンの手順を誤ると冷媒がその場で放出され、機器の価値そのものが失われます。

新居側で追加費用が出るのは「電源・配管長・室外機置き場・壁穴」の4カ所

移設の見積もりが想定より高くなる原因は、ほぼこの4つに集約されます。
契約前の内見や、引越し先の下見の段階で確認しておけば、見積もりのブレを大きく減らせます。

確認項目見るポイント追加工事になりやすい条件
電源室内機の設置位置付近に専用コンセントがあるか。プラグ形状は合っているかコンセントがない、位置が遠い、100V/200Vが機器と合わない
配管長室内機の設置位置から室外機置き場までの距離標準工事に含まれる長さ(一般に4m前後)を超える
室外機置き場地面に平置きできるかベランダの二段置き、壁面吊り、屋根置き、公団吊りなど専用金具が必要
壁穴(スリーブ)既存の穴があるか、位置は適切か穴がない、位置が悪い、コンクリート壁で穴あけが必要

とくに電圧の不一致は当日発覚すると工事が中止になる項目です。
14畳以上の機種は200V仕様が多く、旧居が200Vでも新居のコンセントが100Vのままなら、分電盤側での切り替えとコンセント交換が必要になります。
これは電気工事士の資格が必要な作業で、当日その場で対応できるとは限りません。
コンセントまわりの工事の考え方はコンセント増設の費用はいくら?工事内容・相場・業者選びの完全ガイドで解説しています。

標準工事に含まれる範囲を先に確認しておく

「標準工事費込み」と表示されていても、含まれる範囲は業者ごとに違います。
一般的に標準工事に含まれるのは、次のような内容です。

  • 配管4m前後までの接続
  • 既存の壁穴を使った配管の通し込み
  • 室外機の地面またはベランダへの平置き
  • 既存の専用コンセントへの接続
  • 真空引きと試運転

逆に、次の作業はほぼ確実に追加費用になります。

  • 配管の延長(1mあたりの単価で加算されることが多い)
  • 壁の穴あけ(木造・モルタル・コンクリートで単価が変わる)
  • 室外機の二段置き・壁面吊り・屋根置き用の金具設置
  • 配管化粧カバーの取り付け
  • 電源の電圧切り替え、専用回路の新設、コンセント交換
  • 高所作業や、はしご・脚立では届かない位置での作業

見積書を受け取ったら、「標準工事」の一行で済まされていないかを確認してください。
内訳が示されていない見積もりは、当日になって追加請求が発生しやすくなります。
とくに配管延長は、室外機の置き場所が決まるまで正確な長さが読めないため、単価だけでも事前に聞いておくと安心です。

見積もりを取るときは、次の情報を先に伝えておくと精度が上がります。

  • エアコンの品番(室内機の前面パネル内側、または側面のシールに記載)
  • 製造年
  • 旧居の設置階数と室外機の置き方
  • 新居の設置予定階数と室外機の置き場所
  • 新居のコンセント形状(写真を撮っておくと確実)
  • 隠蔽配管かどうか

費用については、標準工事の範囲に何が含まれ、どこから追加になるのかを見積書の項目単位で確認してください。
実際の金額は、機種・階数・配管長・地域・施工条件によって変わります。
一社だけで決めず、同じ条件で2〜3社に見積もりを依頼して内訳を比べるのが確実です。

日程は「取り外し日」ではなく「取り付け日」から逆算して組む

移設の日程で失敗するパターンは、引越し日ばかりを見て工事日を後回しにすることです。
実際に組むべき順序は逆で、新居での取り付け日を先に押さえ、そこから取り外し日と引越し日を逆算するのが基本になります。
取り外しは荷物を運び出す前に済ませればよいので日程の自由度が高い一方、取り付けは新居の鍵の引き渡し後でなければ実施できず、条件が厳しいためです。

3月中旬から4月上旬は工事枠が最も取りにくい

引越し自体が集中する時期には、エアコン工事の枠も同時に埋まります。
国土交通省は、この時期の混雑を踏まえて引越し時期の分散を呼びかけています。

📎 出典:国土交通省「引越時期の分散に向けたお願い」

同省は、例年3月から4月にかけて引越しの依頼が集中しているため経済団体等を通じて時期の分散を呼びかけており、ピーク時期を避けた利用者からは引越代金が安くなった、予約が取りやすくなったといった声が寄せられていると説明しています。
エアコン工事も同じ人手・同じ車両を奪い合う構造なので、この時期は取り外しと取り付けを別日に分けざるを得ないケースが増えます
時期をずらせないのであれば、早めの予約で枠を確保するしかありません。

逆算スケジュールの目安

繁忙期を含む一般的な段取りを、時系列で整理します。

時期やること
引越しの6〜8週間前移設か買い替えかを決める。エアコンの品番・製造年を控える
5〜6週間前新居の設置条件(電源・室外機置き場・壁穴・隠蔽配管の有無)を確認し、複数社に見積もり依頼
4〜5週間前工事業者と日程確定。まず新居の取り付け日を押さえ、次に旧居の取り外し日を決める
2週間前賃貸の場合は管理会社にエアコン撤去の可否・原状回復の範囲を確認
取り外し当日立ち会い。ポンプダウン後、室内機・室外機・配管の梱包状態を確認
取り付け当日立ち会い。試運転で冷暖房の効き、ドレン排水、異音の有無を確認

取り外しから取り付けまでの間隔は、できるだけ2週間以内に収めるのが望ましいとされます。
保管期間が長くなるほど、配管接続部やドレンホースの内部に湿気やホコリが入りやすくなるためです。
やむを得ず期間が空く場合は、配管の開口部が確実に密閉されているか、室内機を横倒しにせず立てた状態で保管できているかを確認してください。

引越し業者にまとめるか、エアコン専門業者に直接頼むか

どちらにも一長一短があります。

依頼先向いているケース注意点
引越し業者にまとめる荷物の搬出入と同日に済ませたい。遠距離の引越しで旧居・新居の業者を分けたくない実作業は提携する工事業者が行うため、細かい条件の指示が伝わりにくい。手数料分が上乗せされることがある
エアコン専門業者に直接隠蔽配管・二段置きなど条件が特殊。工事品質を重視したい旧居と新居が遠い場合、それぞれ別の業者を手配する必要がある。運搬をどちらが担うか要確認
家電量販店買い替えと同時に旧機の撤去も頼みたい繁忙期は予約枠が埋まりやすい

条件が特殊な物件ほど、専門業者に直接依頼したほうが当日のトラブルは減ります。
逆に、標準的なマンションから標準的なマンションへの移設であれば、引越し業者にまとめてしまうほうが手間は少なくなります。

同じ家の中での移設は、引越し移設より条件が厳しくなることがある

引越しではなく、模様替えや子ども部屋の割り当て変更に伴って、同じ住居内でエアコンを別の部屋へ移すケースもあります。
一見すると距離が短いぶん簡単に思えますが、実際には引越し移設より難易度が上がることがあります。

理由は、移設先の部屋に壁穴も専用コンセントも存在しないことが多いためです。
もともとエアコンを設置する前提で作られていない部屋に移す場合、穴あけと電気工事の両方が必要になり、費用の大半がその2つで占められます。

同一住居内での移設では、次の点を先に確認してください。

確認項目見るポイント
移設先の壁外壁に面しているか。面していないと室外機まで配管を引けない
壁の構造筋交いや柱の位置を避けて穴をあけられるか。鉄骨造・コンクリート造は制約が大きい
電源専用コンセントがあるか。なければ分電盤からの配線が必要
室外機の距離移設先から室外機置き場までの配管長。長くなるほど能力が落ちる
部屋の広さ移設先の畳数が、そのエアコンの適用畳数に合っているか

とくに見落とされやすいのが最後の項目です。
6畳用のエアコンを12畳のリビングへ移しても能力が足りず、常にフル運転になって電気代が上がり、寿命も縮みます。
逆に大型機を狭い個室に付けると、短時間で設定温度に達して停止と再起動を繰り返し、除湿が効かず不快になることがあります。
移設先の畳数と機種の適用畳数が2段階以上ずれる場合は、移設ではなく機種の入れ替えを検討したほうが結果的に無駄がありません。

当日は立ち会い、取り外しと取り付けそれぞれの要点を確認する

移設工事は、施主が立ち会えるかどうかで結果が変わりやすい工事です。
専門的な作業内容までチェックする必要はありませんが、次の点だけは目で見て確認しておいてください。

取り外し当日に見ておくこと

  • ポンプダウン後、室外機のバルブ(2カ所)にキャップが締められているか
  • 配管の切断面がテープやキャップで密閉されているか
  • 室内機は横倒しにせず、ドレンパン側を下にして梱包されているか
  • 据付板(背板)、リモコン、リモコンホルダー、取扱説明書が一緒にまとめられているか
  • 壁のビス穴、貫通穴(スリーブ)の状態

とくにリモコンと据付板は紛失しやすい付属品です。
リモコンは機種専用のため、なくすと汎用リモコンでは一部機能が使えなくなります。
据付板がないと新居で同じ型の板を調達する必要があり、これも追加費用の要因になります。

取り付け当日に見ておくこと

  • 試運転で、冷房・暖房の両方が動作するか(季節を問わず両方試してもらう)
  • ドレンホースの先端から水が出ているか(冷房試運転から10分程度で出始める)
  • 室内機が水平ではなく、ドレン側にわずかに傾けて据え付けられているか
  • 運転中に室内機・室外機から異音や振動がないか
  • 配管の接続部から油のにじみがないか

冷媒漏れがある場合、その場では気づかず、数日から数週間かけて徐々に効きが落ちるという出方をします。
そのため、試運転で問題がなくても、1〜2週間は効き具合を意識して使い、違和感があればすぐ工事業者に連絡してください
施工に起因する不具合であれば、無償で再対応してもらえる可能性が高まります。
連絡が遅れるほど、経年劣化なのか施工不良なのかの切り分けが難しくなります。

工事保証の有無と期間も、依頼前に確認しておきたい項目です。
本体のメーカー保証とは別に、工事業者が独自に施工保証を設けている場合があり、期間は1年程度が一般的です。
保証書や作業完了書を受け取ったら、引越しの荷解きで紛失しないよう、取扱説明書とまとめて保管してください。

賃貸物件で確認すべきは「撤去義務の有無」と「ビス穴・スリーブの扱い」

賃貸で見落とされがちなのが、エアコンを外すべきかどうかの確認です。
入居者が自費で設置したエアコンは、退去時に撤去して原状回復するよう求められる場合がある一方、管理会社によっては「残置してもらってかまわない」と扱うこともあります。
判断は物件ごとに異なるため、引越しが決まった段階で管理会社に確認するのが確実です。

確認しておきたい項目は次のとおりです。

  • 設置したエアコンを撤去する義務があるか、残置してよいか
  • 撤去する場合、室内機を固定していた背板のビス穴の補修が必要か
  • 壁の貫通穴(スリーブ)は、キャップを付けて残す扱いか、塞ぐ必要があるか
  • 室外機を置いていた場所の補修が必要か

残置が認められる場合でも、口約束ではなくメールなど記録が残る形でやり取りしておくと、退去精算時のトラブルを避けられます。
逆に新居側では、備え付けのエアコンがすでにあるのに自分のエアコンも持ち込むと、置き場所がなくなります。
入居前に室内機の有無と、追加設置できる部屋があるかを確認しておいてください。

移設せずに手放す場合は家電リサイクル法のルールに沿って処分する

移設ではなく買い替えを選んだ場合、古いエアコンは通常の粗大ごみとして捨てることができません。
エアコンは家電リサイクル法の対象品目で、決められた方法で引き渡す必要があります。

📎 出典:経済産業省「家電4品目の『正しい処分』早わかり!」

家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)は、一般家庭や事務所から排出されたエアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機といった家電4品目から有用な部品や材料をリサイクルするための法律で、処分に必要なリサイクル料金は製造メーカーによって異なります。
引き渡し方法は主に次の3通りです。

  • 買い替える店舗に引き取りを依頼する(最も手間が少ない)
  • 過去に購入した小売店に引き取りを依頼する
  • 郵便局でリサイクル料金を支払い、指定引取場所へ自分で持ち込む

いずれの場合も、「無料回収」をうたう無許可の回収業者に渡すのは避けてください
高額な追加請求や不法投棄につながるトラブルが各地で報告されています。
なお、リサイクル料金とは別に、取り外し工事費と収集運搬料金がかかる点も見込んでおいてください。

移設前後に用意しておくと安心なもの

工事そのものは業者に任せる前提ですが、施主側で用意しておくと仕上がりや後片付けが楽になるものがあります。

配管化粧カバー

露出配管を化粧テープだけで仕上げると、紫外線と雨で数年のうちに劣化し、見た目も悪くなります。
新居で長く住む予定があるなら、移設工事のタイミングで化粧カバーを依頼しておくと後から追加工事を頼む手間が省けます。
自分で部材を用意して持ち込みたい場合は、配管サイズに合ったものを選んでください。

室外機用の防振ゴム・据置ブロック

新居の室外機置き場が土の上や不安定な場所の場合、据置ブロックや防振ゴムを敷くことで振動と騒音を抑えられます。
ベランダの床に直置きする場合も、防振ゴムを挟むと階下への振動が伝わりにくくなります。

取り外し前のフィルター清掃

取り外し前にフィルターとカバー周辺のホコリを落としておくと、運搬中にホコリが室内へ舞うのを防げます。
新居に運び込んでから掃除するより、旧居で済ませてしまうほうが手間がかかりません。

よくある質問

Q1. 旧居から外した配管を新居でそのまま使うことはできますか。

原則として行いません。
壁の貫通部で曲げ癖がついた配管は、取り外し時に折れやつぶれが生じやすく、新居の配管ルートと長さが一致することもまずないためです。
またフレア加工部は繰り返し使うほど気密性が落ち、冷媒漏れの起点になります。
移設工事では新居側で新しい配管を使うか、新居にすでにある既設配管を使えるかを判断するのが一般的です。
どうしても再利用したい事情がある場合は、見積もりの段階で業者に可否を確認してください。

Q2. 新居に前の入居者の配管が残っています。そのまま使えますか。

冷媒の世代と配管の状態次第です。
R410A用として施工された配管にR32の機種をつなぐ場合は、肉厚・配管径・腐食やつぶれの有無を確認したうえで再利用できることがあります。
一方、R22時代の古い配管に新しい機種をつなぐのは避けるべき組み合わせとされています。
また、配管の口が長期間開放されていた場合は内部に湿気やホコリが入っている可能性があり、現地確認の結果で再利用を断られることもあります。

Q3. 取り外しから取り付けまで、どのくらい間隔を空けても大丈夫ですか。

できるだけ2週間以内に収めるのが望ましいとされています。
保管期間が長くなるほど、配管の接続部やドレンホースの内部に湿気やホコリが入り込みやすくなるためです。
やむを得ず期間が空く場合は、配管の開口部が確実に密閉されているか、室内機を横倒しにせず立てた状態で、雨や直射日光の当たらない場所に保管できているかを確認してください。
保管中の破損についてどこまで補償されるかも、事前に取り決めておくと安心です。

Q4. 引越し業者とエアコン専門業者、どちらに頼むべきですか。

物件の条件によって変わります。
標準的な設置環境同士の移設であれば、荷物の搬出入と同日に処理できる引越し業者へまとめるほうが手間は少なくなります。
一方、隠蔽配管、室外機の二段置きや壁面吊り、電圧の切り替えが必要といった条件がある場合は、エアコン専門業者に直接依頼したほうが当日のトラブルを避けられます。
遠距離の引越しでは、旧居と新居で別の業者を手配する必要が出る点にも注意してください。

Q5. 移設した直後から冷えが悪いのですが、どうすればよいですか。

まず工事を担当した業者に連絡してください。
移設後の冷え不足は、取り付け時の冷媒漏れや真空引き不足、配管接続部の締め付け不良が原因になっていることがあり、施工に起因する場合は無償で再対応してもらえる可能性があります。
連絡が遅れるほど原因の切り分けが難しくなるため、試運転で違和感を覚えた時点で伝えるのが確実です。
その際、室外機の配管バルブ付近に霜が付いていないかも見ておくと、状況を伝えやすくなります。

まとめ

エアコンの引越し移設は、費用の話に見えて、実際は条件確認と日程調整の勝負です。
最後に要点を整理します。

  • 移設か買い替えかは、本体の使用年数(目安7〜8年)と新居側の追加工事の有無で判断する
  • 旧居の配管を新居で使い回すことは原則行わない。論点になるのは新居の既設配管を使えるかどうか
  • R22時代の配管に新しい機種をつなぐのは避ける。R410A用配管からR32機種への流用は条件が合えば可能
  • 冷えが弱い機種はポンプダウンが成立しないおそれがあり、移設に向かない
  • 追加費用は電源・配管長・室外機置き場・壁穴の4カ所から出る。内見時に写真を撮っておく
  • 日程は新居の取り付け日を起点に逆算する。3月中旬〜4月上旬は枠が取りにくい
  • 賃貸は撤去義務とビス穴・スリーブの扱いを、引越しが決まった段階で管理会社に確認する

まず今日できるのは、エアコンの品番と製造年を控えることと、新居のコンセント位置と形状を写真に残すことです。
この2つがあるだけで、見積もりの精度は大きく変わります。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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