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壊れたエアコンの扱い方とは?|放置のリスクと処分・交換の手順

壊れたエアコンを前に、放置のリスクや処分・交換方法を考えている人物のサムネイル画像
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

冷えなくなったエアコンを「使わなければいいか」と壁に付けたまま、何年も放置していませんか。
動かない機器は電気を食わないので害がないように見えますが、実際には経年劣化による発火、内部にたまった水分やホコリによる汚損、そして引っ越しや売却のタイミングで一気に降りかかる費用と手間という形で、静かにリスクが積み上がっていきます。
一方で、エアコンは自治体の粗大ごみでは出せない機器のため、「捨てたいのに捨て方が分からない」という理由で放置が長引くケースも少なくありません。
この記事では、壊れたエアコンを放置したときに何が起きるのか、そもそも本当に故障なのかを見分ける手順、家電リサイクル法にもとづく正しい処分ルートと費用の目安、そして交換に踏み切る場合の段取りまでを、判断できる基準とあわせて整理します。

目次

壊れたエアコンで最初に決めるべきは「直すか、外すか」

結論から言えば、壊れたエアコンを付けたまま放置する選択肢だけは避けるべきです。
取るべき行動は、修理して使い続けるか、取り外して処分(必要なら交換)するかの二択に絞られます。
そして、その分岐を決める最大の材料は「製造からの年数」です。

壁掛け形のルームエアコンは、多くのメーカーが設計上の標準使用期間を10年に設定しています。
この年数は「10年で壊れる」という意味ではなく、標準的な使い方をした場合に安全上の支障なく使える目安としてメーカーが定めたものです。
逆に言えば、10年を大きく超えた機器を「動かないまま」壁に残しておくことは、メーカーが想定した安全な使用範囲の外に置き続けることになります。

判断の起点 製造から10年未満で、症状が軽い(風は出る・エラー表示だけ)なら修理を検討する価値があります。
製造から10年以上、または冷媒漏れ・基板故障のような重い症状なら、取り外し・交換の方向で考えるほうが結果的に安く済むケースが多くなります。

エアコンの寿命の考え方は、パナソニックのエアコンの寿命は何年?10年が目安とされる理由と買い替えサインでメーカーの案内をもとに詳しく解説しています。

壊れたエアコンを放置すると起きる5つのリスク

「動かないだけの箱」に見えても、放置には具体的な不利益があります。
ここでは、実害につながりやすい順に5つ整理します。

① 経年劣化による発煙・発火のおそれ

もっとも重いリスクがこれです。
エアコンは、長期間の使用によって内部配線やモーターの絶縁性能が低下し、ショートや異常発熱から出火に至る事故が実際に報告されている製品です。
政府広報オンラインによれば、エアコンの事故は2018年度からの5年間で302件発生しており、そのうち9件は死亡事故に至っています。
また2009年4月以降に製造・輸入されたエアコンには、長期使用製品安全表示制度にもとづき、製造年・設計上の標準使用期間と、期間を超えて使うと経年劣化による事故のおそれがある旨が表示されています。

📎 出典:政府広報オンライン「扇風機やエアコンで火災発生!安全に使うための注意点とは?」

ここで見落とされがちなのが、「使っていないから安全」とは言い切れないという点です。
壊れたエアコンでも、ブレーカーが入っていればコンセントには通電しており、内部の電源基板やプラグ部分には電気が来ています。
プラグ周りにホコリと湿気がたまって電気の通り道ができるトラッキング現象は、機器が動いていなくても起こり得る現象です。
使う予定がないのであれば、電源プラグを抜き、専用コンセントであればブレーカーも落としておくのが最低限の対処になります。

② 内部にたまった水分とカビが室内を汚す

冷房運転で発生した結露水は、通常はドレンホースから屋外へ排出されます。
しかし故障や停止のまま放置された室内機では、熱交換器やドレンパンに水分が残ったまま乾かず、ホコリと結びついてカビや汚れの温床になります。
その状態でドレンホースが詰まると、久しぶりに電源を入れた瞬間に室内へ水があふれる、というトラブルにつながります。

エアコンから水が出るしくみと確認手順は、エアコンから水が垂れる原因とは?今すぐ確認すべきポイントと正しい対処判断で整理しています。

③ 室外機と配管が屋外で傷み続ける

室外機は屋外に置かれているため、紫外線・雨・凍結の影響を受け続けます。
配管を覆う保温材(多くは白や灰色のテープ巻き)は、日射で数年から10年ほどで表面がボロボロに崩れ、内部の断熱材が露出します。
この状態を放置すると、いざ交換するときに配管の再利用ができず、配管交換の追加費用が発生する可能性が高くなります。
つまり、放置期間が長いほど、後の工事費が上がりやすいということです。

④ 虫・小動物の侵入経路になる

見落とされやすいのがこれです。
使っていないエアコンではドレンホースを水が流れないため、ホース内が乾いた状態で放置されます。
ここはゴキブリや小さな虫にとって、屋外から室内へ入るのに都合のよい通路になります。
また、屋外の配管が通る壁の穴(スリーブ)を塞ぐパテは、経年で縮んで隙間ができることがあり、そこから虫や雨水が入ることもあります。

対策としては、ドレンホースの先端に市販の防虫キャップを付ける、壁の穴のパテを詰め直すといった方法があります。
ただし、処分や交換を予定しているなら、そのタイミングで壁の穴の処理までまとめて依頼するほうが合理的です。

⑤ 引っ越し・売却・相続のときにまとめて負担が来る

賃貸の退去時、住宅の売却時、実家の片付け時など、期限がある場面で「壊れたエアコンが残っている」と、短期間で取り外し業者と処分手続きを手配しなければなりません。
急ぎの依頼は選択肢が限られ、費用も割高になりがちです。
時間に余裕があるうちに動くほど、比較して安く済ませられます。

本当に故障?|処分を決める前に確認したいこと

「壊れた」と思っていた症状が、実は設定や消耗品の問題だったというケースは珍しくありません。
処分の判断をする前に、次の順序で切り分けます。

電源がまったく入らないとき

  1. リモコンの電池を新品に交換する(液漏れの跡があれば端子も清掃)
  2. 分電盤でエアコン専用ブレーカーが落ちていないか確認する
  3. 電源プラグを抜き、10分ほど置いてから挿し直す(内部制御のリセット)
  4. 室内機本体の応急運転ボタン(前面パネル内などにある小さなボタン)で動くか確認する

ここで応急運転ボタンでは動く場合、故障しているのは本体ではなくリモコンです。
リモコンは純正品や汎用品を入手できるため、本体交換をせずに解決できます。

風は出るが冷えない・暖まらないとき

  1. フィルターの目詰まりを確認する(ホコリが薄く見える程度でも能力は落ちます)
  2. 室外機の吹き出し口の前に物が置かれていないか確認する
  3. 設定温度・運転モード(送風になっていないか)を確認する
  4. 15〜20分運転して、室内機の吹き出し口の風が外気と明確に温度差があるか確かめる

これらを試しても温度差がまったく出ない場合は、冷媒(ガス)漏れやコンプレッサー・基板の不具合が疑われます。
この領域は個人では対処できないため、メーカーまたは販売店への相談に切り替えます。

症状別|壊れ方で対応が変わる

「壊れた」と感じる状態は、実際にはいくつかのパターンに分かれます。
症状ごとに、考えられる原因と自分で対処できるかどうかを整理します。

症状考えられる主な原因自分で対処できるか
リモコンが効かない・表示が出ないリモコンの電池切れ、受光部の汚れ、リモコン本体の故障できる
電源は入るが風が弱いフィルターの目詰まり、吹き出し口のルーバー動作不良一部できる
風は出るが温度が変わらない冷媒漏れ、コンプレッサー不良、四方弁の不具合できない
運転してもすぐ止まる室外機の吸排気の妨げ、センサー異常、基板不良一部できる
リモコンにエラーコードが点滅する機種ごとに定義が異なる(センサー・通信・保護動作など)コード次第
室外機から異音・振動が大きいファンモーターの劣化、圧縮機の摩耗、据付台のがたつきできない
電源がまったく入らないブレーカー、コンセント、電源基板の故障一部できる
こげ臭い・焦げ跡がある内部での異常発熱使用を中止し、すぐにプラグを抜く

最後の項目だけは、切り分けの前に安全確保が優先です。
こげたにおいや焦げ跡、煙が確認できる場合は、運転を止めて電源プラグを抜き、メーカーまたは販売店に連絡してください
「もう一度動かして様子を見る」という判断が、被害を広げる典型的なパターンです。

修理と交換、どちらを選ぶかの目安

状況目安となる判断補足
製造から5年未満・保証期間内修理を優先冷媒回路(コンプレッサー等)は5年保証としているメーカーが多い
製造から5〜9年見積もり額で判断修理費が本体+工事費の3〜4割を超えるなら交換寄り
製造から10年以上交換を優先補修用性能部品の保有期間(多くは製造打ち切り後9年程度)を過ぎ、部品がない場合がある
冷媒漏れ・基板故障・室外機の異音交換を検討修理費が高額になりやすく、他の部位も同時期に寿命を迎えやすい
電源が入らないがリモコンが原因修理不要リモコン交換で解決するケース

補修用性能部品の保有期間はメーカー・機種によって異なるため、型番を控えたうえでメーカーの相談窓口で確認するのが確実です。

エアコンは粗大ごみでは出せない|家電リサイクル法の対象

処分を決めたら、まず押さえるべき前提があります。
エアコンは家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)の対象4品目のひとつで、自治体の粗大ごみとしては出せません
対象となるのは、エアコン・テレビ・冷蔵庫/冷凍庫・洗濯機/衣類乾燥機の4品目です。

📎 出典:経済産業省「家電4品目の『正しい処分』早わかり!」

対象になるもの・ならないもの

エアコンとひと口に言っても、対象範囲には細かい線引きがあります。

区分家電リサイクル法の扱い
家庭用の壁掛け形エアコン(室内機・室外機)対象
家庭用機器を事業所で使っていた場合対象
業務用機器を家庭で使っていた場合対象外
マルチエアコン室内機が壁掛け形・床置き形なら対象(それ以外の室内機は対象外)
ドレンパイプ・配管パイプ・渡り線・配管カバー等の工事部材対象外

ここで実務上重要なのが、リサイクル料金は室内機と室外機をあわせた料金であり、どちらか一方だけを処分する場合でも料金は変わらないという点です。
「室内機だけ外して捨てたい」という相談は多いのですが、料金面のメリットはありません。

📎 出典:家電リサイクル券センター「対象廃棄物(家電4品目)一覧」

かかる費用は「リサイクル料金+収集運搬料金」

エアコンの処分費用は、次の2つに分かれます。

  • リサイクル料金:メーカー(製造業者等)ごとに定められた金額。どこに依頼しても同額
  • 収集運搬料金:引き取りを行う小売業者などが個別に設定する金額。業者ごとに差が出る

つまり、比較して安くできるのは収集運搬料金のほうです。
さらに、壁に付いたままの機器を外す場合は、これらとは別に取り外し工事費が加わります。
見積もりを取るときは「リサイクル料金・収集運搬料金・取り外し工事費が含まれているか」を必ず分けて確認してください。

リサイクル料金の目安

エアコンのリサイクル料金は、家電リサイクル券センターが主要メーカーごとに公表しています。
2026年8月時点で公表されている主なメーカーの金額は次のとおりです(すべて税込)。

メーカー(製造業者等)エアコンのリサイクル料金
パナソニック/ダイキン工業/東芝ライフスタイル/コロナ550円
三菱電機/日立グローバルライフソリューションズ/シャープ/三菱重工冷熱/ハイセンスジャパン/ノーリツ990円
ハイアールジャパンセールス/アクア/リンナイ/長府製作所/トヨトミ1,034円
ヤマダホールディングス1,265円
アイリスオーヤマ/山善/ニトリ/マクスゼン/日本美的2,000円

金額は改定される場合があるため、依頼前に最新の一覧で自社製品のメーカー名を確認してください。
メーカーが不明な場合は、室内機の前面パネル内や側面、室外機の側面にある型番シールで確認できます。

📎 出典:家電リサイクル券センター「再商品化等料金一覧(家電リサイクル料金)」

壊れたエアコンを処分する5つのルート

処分の入口は複数あります。
自分の状況にどれが合うかを、先に表で確認してください。

ルート向いているケース取り外し工事費用感の傾向
① 買い替え先の販売店に引き取ってもらう同時に新しいエアコンを設置する依頼可(工事とセット)もっとも手間が少ない
② 購入した販売店に引き取りを依頼する買い替えず処分だけしたい依頼可(別途費用)標準的
③ 自治体に問い合わせて案内された方法で出す購入店が不明・閉店している業者による標準的
④ 郵便局でリサイクル券を購入し指定引取場所へ持ち込む自分で運べる/すでに取り外し済み自分で手配収集運搬料金を抑えられる
⑤ 買取・リサイクルショップに相談する製造年が新しく、症状が軽い業者による値が付けば持ち出しが減る

① 買い替えと同時に引き取ってもらう

もっとも手間が少ないのがこの方法です。
新しいエアコンを購入する販売店に、取り外し・引き取り・リサイクル手続きをまとめて依頼できます。
設置工事と同日に完結するため、家を空ける日を分けずに済むのが利点です。

② 購入した販売店に引き取りだけを依頼する

買い替えずに処分だけしたい場合は、そのエアコンを買った小売店に引き取り義務があります。
保証書や購入時の書類が残っていれば、購入店を特定しやすくなります。

③ 自治体に問い合わせる

購入店が分からない、すでに閉店しているという場合は、引取義務のある小売店がない状態になります。
この場合は、お住まいの市区町村が案内する方法に従って処分します
処分方法は自治体によって異なり、指定業者を紹介する自治体もあれば、指定引取場所への持ち込みを案内する自治体もあります。
「エアコン 処分 (市区町村名)」で検索し、公式サイトの案内を確認するのが確実です。

④ 郵便局でリサイクル券を購入し、自分で持ち込む

すでに取り外して室内に置いてある、あるいは自分で運搬できる場合は、この方法で収集運搬料金を抑えられます。
流れは次のとおりです。

  1. 郵便局で家電リサイクル券(料金郵便局振込方式)を受け取り、必要事項を記入してリサイクル料金を振り込む
  2. 振込済みの控えが付いたリサイクル券を機器に貼付する
  3. 最寄りの指定引取場所を調べ、営業日・受付時間を確認する
  4. 自分で運搬して引き渡す

運搬の際は、室内機と室外機を同じ日にまとめて持ち込むのが基本です。
なお指定引取場所は臨時休業のある施設もあるため、出発前の確認をおすすめします。

⑤ 買取・リサイクルショップに相談する

製造から数年以内で、症状が軽い(リモコン故障、外装の傷など)場合は、買取対象になることがあります。
ただし製造10年前後の機器は買取が難しく、「引き取りは無料だが取り外し費用は有料」といった条件になるケースが一般的です。
査定額よりも取り外し費用のほうが高くなることもあるため、金額を明示してもらってから判断してください。

家電リサイクル券の控えは必ず受け取る

どのルートを選んでも共通するのが、家電リサイクル券の存在です。
引き渡しのときに渡される控え(排出者控え)は、自分のエアコンが正規のルートでリサイクルされたことを確認できる唯一の書類です。

券には、品目・メーカー名(製造業者等名コード)・料金・引き渡した日付などが記載されます。
控えに記載された管理票番号を使えば、引き取り後に指定引取場所へ搬入されたかどうかを、家電リサイクル券センターのサイトで照会できます。
控えを渡さない、あるいは「うちは券を使わない」と説明する業者は、正規の処理ルートに乗せていない可能性があります。
その場では受け取れない事情があるとしても、後日必ず送ってもらう約束を取り付けてください。

取り外したエアコンを引っ越し先で使い回せる?

壊れていない機器を移設したい場合と、壊れた機器を処分する場合で判断は分かれます。
ここは混同しやすいポイントなので、条件を整理しておきます。

移設(取り外して別の場所へ再設置する)が現実的なのは、次の条件を満たすときです。

  • 製造から概ね5〜7年以内で、故障がなく正常に動いている
  • 移設先の部屋の広さが、その機種の適用畳数と大きく離れていない
  • 移設先に配管穴・専用コンセントがあり、電圧(100V/200V)が一致している
  • 室外機を置ける場所が確保できる

一方、次のいずれかに当てはまる場合は、移設せずに処分して新品を設置するほうが総額で安くなることが多くなります。

  • 製造から10年前後が経過している
  • 配管の保温材が劣化している(移設時は配管を新設するのが基本です)
  • 移設先で電圧の変更やコンセント交換が必要になる
  • 冷媒がR22などの旧世代で、追加充填が難しい世代の機種である

移設には、取り外し・運搬・再設置・真空引き・試運転までの工程があり、それぞれに費用がかかります。
古い機器ほど、移設費用をかけた直後に寿命を迎えるリスクが高く、費用対効果が悪くなります。
判断に迷う場合は、移設の見積もりと、処分+新品設置の見積もりを両方取って比較するのが確実です。

「無料回収」をうたう業者には注意が必要

軽トラックで巡回する回収、ポストに入るチラシ、ネット広告の「不用品無料回収」。
これらの一部には、必要な許可を持たない業者が含まれています。

一般家庭から出る廃棄物の収集・運搬には、廃棄物処理法にもとづく一般廃棄物処理業の許可、または市区町村からの委託が必要です。
国民生活センターは、産業廃棄物処理業の許可しか持たない事業者など、一般廃棄物処理業の無許可業者とのトラブルが目立つと注意を呼びかけています。
相談件数は2021年度に2,000件を超えました。
実際の相談例では、広告の定額パック料金のつもりで依頼したところ、積み込み後に大幅に高い金額を請求されたという内容が報告されています。

📎 出典:国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」

依頼前に確認したいポイントは次のとおりです。

  • 一般廃棄物収集運搬業の許可を、その市区町村から受けているか(古物商や産業廃棄物の許可では代わりになりません)
  • 家電リサイクル券の控えを渡してもらえるか
  • 追加料金が発生する条件を、作業前に書面で示せるか
  • 積み込み後に金額が変わる可能性を説明しているか

積み込みが終わってからの高額請求は、その場で断りにくいことを狙った手口です。
金額に納得できないまま作業を始めさせないことが、最大の防御になります。

取り外しは自分でできる?

結論としては、エアコンの取り外しは業者に依頼してください
理由は、冷媒ガスの扱いと電気配線の2点にあります。

取り外しの前には、室外機に冷媒を回収して閉じ込める「ポンプダウン」という作業が必要です。
手順を誤ると冷媒が大気中に放出されるほか、配管を外す際に高圧のガスが噴き出して凍傷を負うおそれもあります。
また室内機と室外機をつなぐ配線は専用回路で、切断・再接続には電気工事の知識が必要です。
NITEは、室内外ユニット間の配線を途中で接続すると、接続部が異常発熱して発火するおそれがあると注意を促しています。

📎 出典:NITE「エアコンの内部洗浄による事故に注意」

一方で、次の作業までなら自分で行えます。

  • 電源プラグを抜く、専用ブレーカーを落とす
  • フィルターや前面パネルを外して清掃する
  • 室外機の周囲に置いた物をどける
  • 型番・製造年をメモしておく(見積もり依頼がスムーズになります)

なお、内部の熱交換器やファンに市販の洗浄剤を吹き付ける「自分での内部洗浄」は避けてください。
洗浄液が電気部品に付着してトラッキング現象が起き、発煙・出火に至った事故が報告されています。

交換する場合の手順とタイミング

処分だけでなく新しい機器を設置する場合、次の順序で進めるとやり直しが起きにくくなります。

手順やることポイント
1現状の確認型番・製造年・畳数・電源の種類(100V/200V)・コンセント形状を控える
2設置環境の確認配管穴の位置、室外機の置き場所、壁の下地、コンセントまでの距離
3見積もり取得本体・標準工事・取り外し・リサイクル料金・収集運搬料金の内訳を分けてもらう
4追加工事の確認配管延長、化粧カバー、室外機の架台、電圧変更などの有無と金額
5工事日の調整取り外しと設置を同日にできるかを確認する
6引き渡し家電リサイクル券の排出者控えを受け取り、保管する

とくに見落としやすいのが手順1の電圧です。
6畳用は100V、14畳以上は200Vが主流で、能力の大きい機種に買い替えるとコンセントの形状変更や電圧切り替え工事が別途必要になることがあります。
これは電気工事士の資格が必要な作業で、当日に判明すると工事が延期になる典型パターンです。

見積もりを比較するときの注意点

同じ「エアコン交換一式」でも、見積書に含まれる範囲は業者ごとに違います。
総額だけを並べて比べると、後から追加請求が出て逆転することがあります。

比較の前に、次の項目が含まれているかを一つずつ確認してください。

  • 既設機の取り外し工事費
  • リサイクル料金と収集運搬料金(どちらも含むのか、別請求か)
  • 新設の標準工事の範囲(配管の標準長さは4mとしている業者が多く、超過分は延長料金)
  • 配管の新設か再利用か(再利用の可否は現地確認で決まります)
  • 化粧カバーの有無(室外側だけか、室内側も含むか)
  • 室外機の設置形態(地面置き・ベランダ置き・壁面金具・屋根置きで金額が変わります)
  • 電圧変更やコンセント交換が必要な場合の費用
  • 高所作業や配管穴の新規開口が必要な場合の費用

「標準工事費込み」という表示は、あくまで標準的な設置条件での金額です。
2階以上への設置、室外機を持ち上げる作業、既存の穴が使えないケースなどは、ほぼ確実に追加費用が発生します。
現地調査を先に行う業者のほうが、当日の金額のブレは小さくなります。

買い替えに動くタイミング

繁忙期を外すことが、費用と待ち時間の両面で効いてきます。

時期状況向き不向き
6〜8月冷房需要のピーク。工事が数週間待ちになることも急ぎでなければ避けたい
12〜2月暖房需要と寒冷地の需要が重なるやや混みやすい
3〜5月・9〜11月需要の谷。工事日を選びやすい計画的な買い替えに適する

壊れているエアコンを抱えたまま真夏に動くと、選べる機種も工事日も限られます。
「今は使っていないから」と先送りにせず、閑散期のうちに片付けておくのが結果的に安く済みます。

交換前後に用意しておくと安心なもの

工事当日は、室内機の下と搬出経路の養生が必要になります。
業者が用意するのが一般的ですが、家具や床が多い部屋では自分でも簡単に保護しておくとトラブルを防げます。

また、新しい機器を長持ちさせるうえでは、設置直後からフィルター清掃の習慣を持つことが効果的です。
2週に1回程度の掃除機がけでも、能力低下と電気代の増加を抑えられます。

賃貸・実家・空き家に壊れたエアコンが残っている場合

所有者が自分ではないケースでは、動く順番が変わります。

賃貸物件の場合
エアコンが設備として最初から付いていたものであれば、修理・交換の費用は原則として貸主(大家・管理会社)の負担です。
自分で処分の手配を進める前に、必ず管理会社へ連絡してください。
逆に、前の入居者が残していった「残置物」扱いの場合は、修理義務がないと契約書に定められていることが多く、費用負担の考え方が変わります。
契約書の設備一覧に記載があるかどうかが分かれ目になります。

実家・空き家の場合
所有者本人の意思確認を先に済ませたうえで、取り外しと引き取りをまとめて依頼できる業者を探すと効率的です。
建物の解体を予定している場合でも、エアコンは解体工事の対象物とは別扱いになることがあるため、解体業者に含まれるかどうかを事前に確認してください。

事業用として使っていた場合
店舗や事務所で使っていた家庭用エアコンは、家庭用機器である限り家電リサイクル法の対象です。
なお、事業用資産としての帳簿上の扱いは処分手続きとは別の話になります。
耐用年数や減価償却の考え方はエアコンの減価償却とは?耐用年数の分け方と計算方法で解説しています。

よくある質問

Q1. 壊れたエアコンを壁に付けたまま放置しても、電気代はかかりますか。

運転していなければ消費電力はごくわずかですが、電源プラグが挿さっている限り待機電力は流れています。
金額としては月に数円から数十円程度と小さいものの、問題は電気代よりも安全面です。
プラグ周りにホコリと湿気がたまると、トラッキング現象による発熱・発火のリスクが生じます。
使う予定がないのであれば、電源プラグを抜き、専用ブレーカーがある場合は落としておくことをおすすめします。

Q2. 室内機だけを外して処分したいのですが、料金は安くなりますか。

安くなりません。
家電リサイクル法のリサイクル料金は、室内機と室外機をあわせた1台分の料金として設定されており、どちらか一方のみを処分する場合でも金額は変わらない仕組みです。
そのため、室外機を残す理由が特にないのであれば、同じ機会に両方を処分するほうが合理的です。
なお配管やドレンホースなどの工事部材はリサイクル法の対象外で、業者に引き取りを依頼するか、自治体の案内に従って処分します。

Q3. 購入した店がもう閉店している場合、どこに頼めばよいですか。

引取義務のある小売店がない状態になるため、お住まいの市区町村に問い合わせて案内された方法に従います。
自治体によって、指定業者を紹介する場合、指定引取場所への持ち込みを案内する場合など対応が異なります。
自分で運搬できるなら、郵便局で家電リサイクル券を購入して指定引取場所へ持ち込む方法も選べます。
この場合は収集運搬料金がかからないため、費用を抑えやすくなります。

Q4. 「無料で引き取ります」というチラシの業者に頼んでも大丈夫でしょうか。

依頼前に、その市区町村から一般廃棄物収集運搬業の許可を受けているかを必ず確認してください。
古物商や産業廃棄物収集運搬業の許可では、家庭から出る廃棄物を回収することはできません。
無料をうたいながら、積み込み後に高額な料金を請求されたという相談が消費生活センターに多数寄せられています。
金額と条件を作業前に書面で確認し、納得できない場合は作業を始めさせないことが大切です。

Q5. 修理と買い替えは、いくらを境に判断すればよいですか。

明確な金額の線引きはありませんが、修理見積もりが本体価格と工事費の合計の3〜4割を超える場合は、買い替えを検討する目安になります。
加えて、製造から10年以上経過している場合は、補修用性能部品の保有期間を過ぎて修理そのものができない可能性があります。
まず型番と製造年を控え、メーカーの相談窓口で部品の有無を確認してから見積もりを取ると、判断がぶれにくくなります。
実際の費用は機種・設置条件・地域によって変動するため、複数の見積もりで比較してください。

まとめ

壊れたエアコンで最も避けたいのは、判断を先送りにして壁に残したままにすることです。
経年劣化による発火のリスク、内部の汚れと水漏れ、配管の劣化による工事費の増加、そして期限のある場面での慌ただしい手配と、放置期間が長いほど不利益が積み上がります。

まずは製造年と型番を確認し、リモコンやフィルターといった簡単に切り分けられる原因を潰したうえで、修理か交換かを決めます。
処分に進む場合、エアコンは家電リサイクル法の対象で粗大ごみには出せません。
買い替え先の販売店、購入店、自治体の案内、郵便局でのリサイクル券購入と持ち込みという4つの正規ルートから、自分の状況に合うものを選んでください。

そして、費用を抑えたいときほど「無料回収」の広告には慎重になることです。
許可の確認とリサイクル券の控えの受け取り、この2点を押さえておけば、大きなトラブルはおおむね避けられます。
使っていないエアコンがあるなら、繁忙期を外した今のうちに、電源プラグを抜くところから始めてみてください。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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