コロナの寒冷地用大型ストーブに「EH」と表示され、運転が止まってしまった。
EHは、コロナの一覧のなかでは使用者が最初に確認できる内容が具体的に示されている、数少ないコードのひとつです。
メーカーが挙げているのは、フィルターへのほこりの付着と、吹き出し口の障害物です。
つまり、本体が壊れたのではなく、熱がうまく逃げていないことを知らせている可能性があります。
もちろん清掃しても改善しない場合は点検が必要になりますが、まずは自分で確かめられる範囲から始められるコードです。
この記事では、EHが示している状態と、確認すべき箇所、そして点検に切り替える判断基準を整理します。
EHが示している状態
コロナの一覧では、EHについて次のように示されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 示している状態 | プリント板の雰囲気温度が高い/表示サーミスタ温度異常 |
| 対象製品 | ガス化温風タイプ/ポット式温風タイプ/寒冷地輻射タイプ/スペースネオシリーズ |
| メーカーが示す処置 | フィルターのほこりの付着や吹き出し口の障害物などで表示することがある。それ以外は点検または修理が必要 |
EHは、他の多くのコードと違って機種タイプによる意味の分岐がありません。
温風式でも輻射式でも、示している内容は同じです。
プリント板の雰囲気温度とは何か
プリント板とは、ストーブの動作を制御している基板のことです。
運転と停止の判断、燃焼の制御、エラーの検知と表示まで、すべてここで処理されています。
基板に使われている電子部品は熱に弱く、周囲の温度が上がりすぎると正常に動作しなくなります。
そのため、基板そのものの温度ではなく、基板が置かれている空間の温度(雰囲気温度)を監視して、限界を超える前に運転を止める設計になっています。
もうひとつ並記されている表示サーミスタは、表示部まわりの温度を検知するセンサーです。
このセンサーが異常な値を示した場合もEHが表示されます。
なぜ内部の温度が上がるのか
ストーブは燃焼熱の一部を空気の流れで逃がしながら運転しています。
給気と排熱のどちらかが妨げられると、その熱が本体内部にこもります。
- 給気フィルターが目詰まりし、取り込む空気が減っている
- 吹き出し口がふさがれ、暖まった空気が出ていかない
- 本体と壁や家具の距離が近く、熱が周囲にたまっている
- 送風機の回転が落ち、熱を運ぶ力が弱まっている
このうち上の3つは、ご家庭で確認して手当てできる範囲です。
まず確認する2箇所
メーカーが挙げているのは、フィルターと吹き出し口です。
この2つから確認してください。
給気フィルターの清掃手順
- 運転スイッチを切り、電源プラグを抜く
- 本体が十分に冷えるまで待つ(目安として1時間程度)
- 背面または側面の給気フィルターを取り外す
- 付着したほこりを掃除機で吸い取る
- 汚れがひどい場合は水洗いし、完全に乾かしてから戻す
- フィルターを元どおりに取り付け、電源プラグを差す
- 運転スイッチを入れ、正常に立ち上がるか確認する
本体が熱いうちにフィルターを外したり、内部に手を入れたりしないでください。
やけどのおそれがあるだけでなく、冷却が不十分な状態では温度が下がりきらず、再び同じ表示が出ます。
濡れたままのフィルターを戻すのも避けてください。
水分が残っていると、ほこりが付着しやすくなります。
吹き出し口まわりの確認
| 確認箇所 | よくある状況 |
|---|---|
| 温風の吹き出し口の正面 | 洗濯物、カーテン、座布団、段ボールが置かれている |
| 吹き出し口のすぐ上 | 棚や物干しが近接している |
| 本体の背面・側面 | 壁や家具との距離が近く、給気が細くなっている |
| 本体の上部 | 物を置いている |
| 床面 | カーペットの毛足が吸込口をふさいでいる |
冬季に室内干しをしているご家庭では、吹き出し口の前に洗濯物を干すことで温風が本体側へ戻り、内部温度が上がりやすくなります。
見落とされやすい要因のひとつです。
離隔距離は機種ごとに定められているため、取扱説明書の数値に従ってください。
公的機関も、石油暖房機器を使う前の確認事項として、ほこりの除去と周囲の可燃物との距離の確保を挙げています。
清掃と設置の見直しを終えたら、一度だけ再運転を試してください。
正常に立ち上がれば、当面はそのまま使用して差し支えありません。
清掃しても改善しない場合
フィルターの清掃と吹き出し口の確認を行ってもEHが出る場合は、機器内部に要因があります。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 送風機の回転不良 | 熱を運ぶ力が落ち、内部に熱がこもっている |
| 内部へのほこり・すすの堆積 | 通風路が狭くなり、空気の流れが悪くなっている |
| 温度センサーの劣化 | 実際の温度と異なる値を検知している |
| 配線・コネクタの接触不良 | 温度の信号が正しく伝わっていない |
| 制御基板の不良 | 正常な状態を異常と判定している |
いずれも分解を伴うため、ご家庭で確認できる範囲にはありません。
販売店またはコロナサービスセンターへ点検を依頼してください。
基板・センサーの温度系コードは機種で分かれる
基板やセンサーまわりの温度に関わる表示は、機種によって割り当てが異なります。
| 表示 | 示している内容 | 対象製品 |
|---|---|---|
| EH | プリント板の雰囲気温度が高い/表示サーミスタ温度異常 | ガス化温風タイプ/ポット式温風タイプ/寒冷地輻射タイプ/スペースネオシリーズ |
| E0 | 機内(基板)サーミスタ温度異常検出 | 寒冷地輻射タイプ/スペースネオ(ミニ)/ツインヒータ |
| EJ | 機内(基板)サーミスタ温度異常検出 | FF-VG52SAシリーズ |
内容は近いものの、表示されるコードは機種や検知している部位によって変わります。
処置として最初に挙げられているのが、いずれもフィルターのほこりと吹き出し口の障害物である点は共通しています。
表示の全体像を確認したい場合はコロナ ストーブ エラーコード一覧をご覧ください。
なお、過熱防止装置そのものが働いた場合は、また別のコードが表示されます。
運転中に温度が上がりすぎて止まる症状であれば『E4』『EF』エラーの原因と直し方も確認してください。
点検を依頼する判断基準
次のいずれかに当てはまる場合は、点検を依頼する段階です。
- フィルターの清掃と吹き出し口の確認をしてもEHが再表示される
- 清掃した直後にEHが出た
- 1シーズンのうちに複数回EHが出ている
- 運転開始からEHが出るまでの時間が、以前より短くなっている
- 温風の勢いが弱くなった、運転中に異音がする
- 本体の上部や側面が、以前より熱く感じる
- 使用年数が8年を超えている
温風の勢いの低下と異音は、送風機側の劣化を示していることがあります。
EHが出る前から気づいていた場合は、その時期を点検時に伝えてください。
修理費用は、送風機やセンサーの交換で済むのか、制御基板まで含むのかで幅が出ます。
出張料・技術料・部品代の合計で決まるため、実際の金額は診断後の見積もりで確認してください。
コロナは設計標準使用期間を8年相当(20,000時間)としており、その時期に達すると点検時期をお知らせする「88」表示が出る機種があります。
考え方はコロナ石油ストーブの「88エラー」表示とはで解説しています。
再発を防ぐための習慣
EHは、日頃の手入れで出にくくできる表示です。
- 目安として1〜2か月に一度、給気フィルターの状態を確認する
- 暖房シーズンの前と途中の2回は、必ず清掃する
- 吹き出し口の前に物を置かない配置を、シーズン初めに決めておく
- 洗濯物を干す場所を、ストーブの正面以外に確保する
- 本体まわりに段ボールや衣装ケースを置かない
ペットを飼っているご家庭、カーペット敷きの部屋、人の出入りが多い部屋では、ほこりの付着が早く進みます。
前回の清掃から短い期間で目詰まりしている場合は、内部にもほこりが入り込んでいる可能性があります。
シーズンの終わりに本体まわりを整えて保管しておくと、翌シーズンの立ち上がりも安定します。
片付けと保管の手順については石油ストーブの正しい片付け方とはも参考になります。
よくある質問
Q1. EHが出ましたが、部屋はそれほど暑くありませんでした。
EHが見ているのは室温ではなく、本体内部の基板まわりの温度です。
部屋が暖まっていなくても、給気や排熱が妨げられていれば内部に熱がこもります。
むしろ、吹き出し口がふさがれて温風が室内へ出ていかない状態では、部屋が寒いのに内部だけが高温になるという逆転が起こりえます。
室温ではなく、フィルターと吹き出し口の状態を確認してください。
Q2. フィルターを掃除したら直りました。このまま使えますか。
当面はそのまま使用して差し支えありません。
ただし、目安として1〜2か月に一度は状態を確認し、ほこりがたまる前に清掃する習慣をつけてください。
清掃の間隔が以前より短くなっている場合は、内部にもほこりが蓄積している可能性があります。
その場合は、シーズン前の点検で内部の状態も見てもらうと安心です。
Q3. 洗濯物を吹き出し口の前に干すのはよくないのですか。
避けてください。
温風が洗濯物に当たって本体側へ戻されると、内部の温度が上がりやすくなります。
また、燃焼機器の前に布類を置くことは、落下や接触による火災のリスクにもつながります。
乾燥させたい場合は、ストーブの正面を避け、離隔距離を確保した位置に干してください。
Q4. EHと表示部が全部消えるのは別の症状ですか。
別の症状です。
EHは表示部にコードが出ている状態で、機器が温度の異常を検知して知らせています。
一方、表示部が丸ごと消える現象は、旧型の機種と業務用大型において過熱防止装置の作動を示す場合があり、停電やブレーカーの遮断でも起こります。
どちらの状態かによって確認する順序が変わるため、表示が出ているかどうかを先に見極めてください。
Q5. 清掃しても何度も出ます。買い替えたほうがよいですか。
繰り返し出る場合でも、必ずしも買い替えが必要とは限りません。
送風機やセンサーの交換で改善するケースもあるため、まずは点検で原因を特定してください。
そのうえで、使用年数が8年を大きく超えている、部品の供給が終了している、修理見積もりが新品価格の半分に近いといった条件が重なる場合は、交換を検討する時期といえます。
寒冷地では暖房が使えない期間の長さも判断材料になるため、部品の在庫状況もあわせて確認しておくとよいでしょう。
まとめ
コロナの寒冷地用大型ストーブに表示されるEHは、プリント板の雰囲気温度が高い状態、または表示サーミスタの温度異常を示しています。
機種タイプによる意味の分岐がなく、対象となる機種であれば示す内容は共通です。
メーカーが最初に挙げているのはフィルターへのほこりの付着と吹き出し口の障害物のため、まずはこの2箇所を確認してください。
本体が十分に冷えてから作業し、清掃と設置の見直しを終えたら一度だけ再運転を試します。
それでもEHが再表示される場合は、送風機やセンサーなど内部の部品に要因がある可能性があります。
温風の勢いや異音の変化に気づいていた時期とあわせて、販売店またはコロナサービスセンターへ点検を依頼してください。

