「新しいガスコンロを買おうと思って調べていたら、都市ガス用とプロパン用があることに気づいた」——
そんな経験をされた方は多いのではないでしょうか。
ガスコンロには、接続するガスの種類によって対応する機器が異なります。
都市ガス用のコンロをプロパンガス(LPガス)環境で使おうとしても、そのままでは使用できません。
逆もまた同様です。
「どちらでも使えるんじゃないの?」と思われがちですが、都市ガスとプロパンガスはガスの成分・圧力・発熱量がまったく異なります。
誤ったガス種の機器を使用すると、不完全燃焼・火災・ガス漏れなどの重大な事故につながる危険性があります。
この記事では、ガスコンロを安全に・賢く選ぶために欠かせない「都市ガスとプロパンガスの違い」を、コスト・火力・安全性・普及エリア・切り替えの可否といった複数の視点から徹底的に解説します。
住宅購入・引越し・ガスコンロの買い替えなど、ガスまわりで迷っている方にとって、きっと役立つ情報がそろっています。
ぜひ最後まで読んで、自分の住まいに合ったガスコンロ選びの参考にしてください。
そもそも「ガス種」とは何か
ガス種とは、ガス器具に供給されるガスの種類のことです。日本の家庭で使われるガスは大きく分けて以下の2種類があります。
- 都市ガス(13A など):ガス会社がガス管を通じて各家庭に供給するガス
- プロパンガス(LPガス):ボンベに充填して配送・設置するガス
この2種類は「ガスの成分」も「燃焼に必要な空気の量」も異なります。
そのため、ガスコンロをはじめとするガス器具は必ずガス種に対応したものを選ぶ必要があります。
都市ガスとプロパンガスの基本的な違い

まず、都市ガスとプロパンガスの基本的な特性を比較してみましょう。
| 項目 | 都市ガス(13A) | プロパンガス(LPガス) |
|---|---|---|
| 主成分 | メタン(天然ガス) | プロパン・ブタン |
| 供給方法 | ガス管(導管) | ボンベ(配送) |
| 空気との比重 | 空気より軽い | 空気より重い |
| 発熱量(MJ/m³) | 約45 | 約99 |
| ガス圧 | 約1.0~2.5 kPa | 約2.0~3.3 kPa |
| 普及エリア | 都市部・整備地域 | 全国(ガス管非整備地域も含む) |
主成分の違い
都市ガスの主成分はメタン(CH₄)です。海外から輸入された液化天然ガス(LNG)を気化して供給しています。
一方、プロパンガスの主成分はプロパン(C₃H₈)とブタン(C₄H₁₀)の混合物で、石油精製の過程で得られます。
成分が異なるため、燃焼に必要な空気の量(空気比)も異なります。
このことが、ガス器具のバーナー設計の違いにつながっています。
空気との比重の違い
都市ガスは空気より軽いため、万が一漏れた場合は天井付近に溜まります。
プロパンガスは空気より重いため、漏れると床面付近に溜まります。
この特性の違いは、ガス漏れ警報器の設置位置にも影響します。
- 都市ガス用の警報器:天井付近(床から30cm以内の高所)に設置
- プロパンガス用の警報器:床付近(床から30cm以内の低所)に設置
ガスホースや金属フレキの違い
テーブルコンロ、ビルトインコンロなどコンロの種類によって接続方法が異なりますが、ガスの種類によってもガスホースや金属フレキが異なります。
まずテーブルコンロの場合はプロパンガスの場合だとオレンジ色のガスホース。
都市ガスの場合はベージュ色のガスホースを選びましょう。
パッケージにLPガス用、都市ガス用を記載しているのでそこを見れば確認できます。
次にビルトインコンロに関しても金属フレキの種類が異なります。
基本的にビルトインコンロへの接続や取り外しは有資格者でなければ行えないので、施工業者が気をつけなければいけない範囲となります。
ガスコンロの火力の違い

「プロパンガスの方が火力が強い」とよく言われますが、実際はどうなのでしょうか。
発熱量の違い
プロパンガスの発熱量は都市ガスの約2倍以上あります(体積あたり)。
しかし、ガスコンロは供給されるガスの種類に合わせてバーナーの口径・噴射量・空気比が最適化されています。
つまり、正しいガス種に対応したコンロを使えば、都市ガスでもプロパンでもほぼ同等の火力が得られます。
| 比較項目 | 都市ガス | プロパンガス |
|---|---|---|
| ガス発熱量(体積比) | 低い(約45 MJ/m³) | 高い(約99 MJ/m³) |
| コンロ火力(調整後) | 同等 | 同等 |
| 消費ガス量(同じ火力) | 多い | 少ない |
適合したガス種のコンロを使っている限り、「プロパンの方が強火になる」ということはありません。
ただし、発熱量が高いプロパンガスは少ない体積で同じ熱量を出せるという特性があります。
これはどういうことかというと、約2倍以上の発熱量があるため、例えばプロパンガスと都市ガス用のコンロを同時使用したとして、プロパンガスを1㎥分使用した時に都市ガスの使用量をみると2㎥以上の使用量になっている、と言った具合になります。
料金の違い

日常生活で最も気になるのが「コスト」ではないでしょうか。
都市ガスとプロパンガスでは、料金の仕組みも水準も大きく異なります。
基本的な料金水準
一般的に、プロパンガスは都市ガスよりも料金が高い傾向があります。
全国平均を比較すると、プロパンガスの料金は都市ガスの1.5〜2倍以上になるケースも少なくありません。
| 料金比較 | 都市ガス | プロパンガス |
|---|---|---|
| 料金水準(目安) | 比較的安い | 高め |
| 価格規制 | ガス事業法により規制あり | 自由料金(業者によって異なる) |
| 地域差 | 比較的均一 | 地域・業者による差が大きい |
| 基本料金(目安/月) | 700〜900円前後 | 1,500〜2,000円前後 |
| 従量料金(目安) | 100〜200円/m³ | 500〜700円/m³ |
※料金は地域・契約内容・使用量によって異なります。最新の料金は各ガス会社にご確認ください。
プロパンガスの料金が高い理由
プロパンガスが都市ガスより高い主な理由は以下の通りです。
- 配送コストがかかる:ボンベを各家庭に運搬・交換するための人件費・輸送費が料金に含まれる
- ガス管整備が不要な反面、スケールメリットが出にくい:都市ガスは大規模なインフラで多くの家庭に供給できるが、プロパンはそれが難しい
- 自由料金制:プロパンガスには価格規制がなく、業者によって料金設定が異なる
プロパンガスの料金を下げるには
プロパンガスを使用している場合、複数の業者から見積もりを取ることが有効です。
同じ地域でも業者によって料金が異なる場合があります。
また、近年は「プロパンガス料金比較サービス」も登場しており、適正価格を確認する手段が増えています。
普及エリアの違い

都市ガスとプロパンガスでは、使用できるエリアにも違いがあります。
都市ガスが使えるエリア
都市ガスは、ガス会社がガス管(導管)を整備した地域にのみ供給されます。
主に都市部・住宅密集地域に普及しており、地方の農村部や山間部ではガス管が通っていないことも多いです。
引越し先や購入予定の住宅が都市ガスに対応しているかは、各ガス会社のホームページや、不動産業者への確認で調べることができます。
プロパンガスが使えるエリア
プロパンガスはボンベを運搬して設置するため、ガス管が届かない地域でも利用可能です。
ガスの普及していない地域でも、プロパンガス業者が配達していれば利用できます。
そのため、プロパンガスは都市ガスが普及していない地方・農村・離島などでも広く使われています。
| エリア | 都市ガス | プロパンガス |
|---|---|---|
| 都市部・住宅密集地 | ◎ 使える | ◎ 使える |
| 地方・農村部 | △ エリアによる | ◎ ほぼ使える |
| 山間部・離島 | ✕ 未整備が多い | ○ 配達可能な場合が多い |
| 新築マンション | ◎ 多い | ○ 物件による |
| 築古アパート | △ 物件による | ◎ 多い |

またプロパンガスの利点として、災害時に強いというメリットもあります。
過去に東日本大震災時の時だと、インフラ設備の中で一番早かったのがプロパンガスという事例もあります。
話が逸れますが家庭にLPガス用の発電機なんかを備えておけば、いざという時に電力の確保もできるので大きなメリットといえるでしょう。
ガスコンロのガス種の見分け方

自宅がどちらのガスを使っているか、またガスコンロのガス種の確認方法をご紹介します。
自宅のガス種を確認する方法
① ガスメーターを確認する ガスメーターに「13A」などの表記があれば都市ガス、ボンベが設置されていればプロパンガスです。
② ガス会社・管理会社に問い合わせる 賃貸物件の場合は管理会社やオーナーに確認するのが確実です。
③ ガス料金の請求書を確認する 請求元の会社名・ガス種類が記載されている場合があります。
ガスコンロのガス種を確認する方法
ガスコンロのガス種は本体の側面・電池ケースの中などに記載されています。
どうしてもわからない場合は型式を調べてネット検索で探してみましょう。
- 都市ガス用:「都市ガス」「12A」「13A」「LNG」などの表記
- プロパンガス用:「LPガス」「LP」「プロパン」などの表記
ガスコンロを買い替えるときの注意点

ガスコンロを購入・買い替えるときは、必ず自宅のガス種に対応した機種を選ぶ必要があります。
上図のように都市ガス用コンロでプロパンガスを流すと、異常燃焼となり非常に危険です。
ガス種の間違いは危険
都市ガス用のコンロをプロパンガス環境で使用すると:
- ガス圧の違いにより火力が異常に強くなる・不安定になる
- 不完全燃焼が起きやすくなる(一酸化炭素中毒のリスク)
- 最悪の場合、火災・爆発のリスクがある
逆に、プロパンガス用のコンロを都市ガス環境で使用すると:
- ガス圧不足により火がつかない・弱い火しか出ない
- 炎が不安定になり安全装置が誤作動することがある
ノズル交換で対応できる場合もある
一部のガスコンロは、ガスノズル(バーナーの噴射口)を交換することで都市ガスとプロパンガスの間で変換できます。
これを「ガス種変換」と呼びます。
ただし、対応していない機種も多く、必ずメーカーに確認する必要があります。
また、ノズル交換は資格不要で行えるものもありますが、安全のためにガス会社や専門業者に依頼することを強くおすすめします。
| 確認ポイント | 内容 |
|---|---|
| 購入前 | 自宅のガス種(都市ガス / LP)を確認 |
| コンロ選び | 対応ガス種が一致しているか確認 |
| ノズル変換 | メーカーに確認・専門業者に依頼 |
| 設置後 | 火が正常についているか・においがないか確認 |
賃貸住宅でのガス種変更はできる?

賃貸住宅に住んでいて、「都市ガスに変えたい」「プロパンから乗り換えたい」と思っている方も多いかもしれません。
基本的には居住者が自由に変更することはできない
賃貸物件のガス種は建物のガス設備に依存しており、居住者が自由に変更することはできません。
都市ガスに変更するためには、建物にガス管を引き込む工事が必要であり、これはオーナー・管理会社の判断によります。
入居前に確認するのがベスト
引越しを検討している段階であれば、「この物件は都市ガスですか、プロパンですか?」と必ず事前に確認することをおすすめします。
プロパンガスは料金が高い傾向にあるため、毎月のランニングコストに影響します。
ただし、災害時などの復旧はプロパンガスの方が早いので何を取るかは入居者次第でしょう。
都市ガスとプロパンガスの安全性の違い

両者の安全性について、正しく理解しておきましょう。
漏れた際の挙動の違い
前述の通り、都市ガスは空気より軽く上昇し、プロパンガスは空気より重く床面に滞留します。
プロパンガスが床面に溜まる場合、換気が不十分だと床近くで引火するリスクがあります。
特に密閉された空間での漏れには注意が必要です。
どちらも警報器の設置が重要
ガス漏れを早期に発見するため、ガス漏れ警報器の設置が推奨されています(一部地域では義務)。
- 都市ガス用:天井から30cm以内の高い位置に設置
- プロパンガス用:床から30cm以内の低い位置に設置
誤った位置に設置すると感知しにくくなるため、必ずガス種に合った警報器を正しい位置に設置してください。
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一酸化炭素中毒のリスクはどちらも同様
都市ガス・プロパンガスいずれも、不完全燃焼が起きると一酸化炭素(CO)が発生します。
ガスコンロの使用中は換気を行い、定期的な機器のメンテナンスを心がけることが大切です。
ガスコンロの主要メーカーと対応ガス種
主要なガスコンロメーカーの製品は、都市ガス用とプロパン用の両方が展開されています。
購入時に型番の末尾や製品ページで必ず確認しましょう。
| メーカー | 主な製品ライン | ガス種の確認方法 |
|---|---|---|
| リンナイ(Rinnai) | デリシア、マイトーン など | 型番末尾に「A」(都市ガス)・「LP」(プロパン)など |
| ノーリツ(Noritz) | コンビネーションレンジ など | 型番・製品ページに記載 |
| パロマ(Paloma) | フェイシス など | 型番末尾・製品仕様欄に記載 |
| ハーマン(Harman) | ビルトインコンロ各種 | 型番・製品ページに記載 |
いずれのメーカーでも、公式サイトや購入ページに「都市ガス用」「LP用」と明記されています。購入前に必ず確認しましょう。
都市ガスとプロパンガス、どちらを選ぶべき?

最終的にどちらのガスを選ぶかは、住んでいるエリアの状況・物件の設備・ライフスタイルによって決まります。自分で自由に選べる場面は限られますが、判断の参考として以下の観点から整理します。
コスト重視なら都市ガスが有利
月々のガス料金を抑えたい場合は、都市ガスの方が有利です。ただし、都市ガスが使えるエリア・物件に限られます。
利用エリアの自由度ならプロパンガスが優位
地方や農村部、ガス管が整備されていないエリアでは、プロパンガスが唯一の選択肢になることもあります。ボンベ配達さえ対応していれば、場所を選ばず使えるのが強みです。
利便性・機能面では差がない
最新のガスコンロは都市ガス用・プロパン用ともに同等の機能が揃っています。Siセンサー・立消え安全装置・温度調節機能などの安全機能も共通して搭載されており、使い勝手に差はありません。
よくある質問(Q&A)
Q1. 都市ガス用のコンロを間違えてプロパンで使ったらどうなりますか?
A. 非常に危険です。不完全燃焼・異常燃焼・最悪の場合は火災の恐れがあります。すぐに使用を中止し、ガス会社または専門業者に相談してください。
Q2. ガスコンロのガス種は途中で変更できますか?
A. 一部の機種はノズル交換でガス種を変換できますが、すべての機種が対応しているわけではありません。メーカーへの確認と、専門業者による交換作業が必要です。
Q3. プロパンガスの料金を安くする方法はありますか?
A. 複数の業者から見積もりを取り、比較することが有効です。プロパンガスは自由料金制のため、業者によって料金差があります。また、料金比較サービスの利用も有効な手段です。
Q4. 賃貸物件でプロパンから都市ガスに変更することはできますか?
A. 基本的に居住者の判断だけでは変更できません。建物のガス設備を変更する必要があり、オーナー・管理会社の許可と工事が必要です。引越し前に確認することをおすすめします。
Q5. ガスコンロを選ぶとき、ガス種以外に何を確認すればいいですか?
A. ガス種以外には「口数(バーナー数)」「グリル有無」「Siセンサーの有無」「ビルトイン or 据置き型」「設置スペースのサイズ(60cm / 75cm幅)」などを確認しましょう。
まとめ

この記事では、ガスコンロにおける都市ガスとプロパンガスの違いについて、基本的な特性から料金・火力・安全性・普及エリアまで幅広く解説しました。
| 比較項目 | 都市ガス | プロパンガス |
|---|---|---|
| 主成分 | メタン | プロパン・ブタン |
| 料金水準 | 安い | 高め(業者差あり) |
| 普及エリア | 都市部中心 | 全国 |
| 空気比重 | 軽い(上昇) | 重い(床に滞留) |
| 火力(調整後) | 同等 | 同等 |
| ガス種変換 | 一部機種で可能 | 一部機種で可能 |
ガスコンロを選ぶ際の最重要ポイントをまとめると、以下の通りです。
- まず自宅のガス種(都市ガス / LP)を確認する
- ガスコンロは対応ガス種が一致したものを選ぶ
- ガス種を間違えると安全上のリスクがある
- プロパンガスは料金が高めだが、エリアの自由度が高い
- 警報器はガス種に合ったものを正しい位置に設置する
安全で快適なキッチンライフのために、ガスの種類への理解は欠かせません。
コンロの買い替えや引越しの際には、ぜひこの記事を参考にしていただければ幸いです。

