ストーブをつけてしばらくすると、なぜか頭が重くなる。
目の奥が痛い、ぼーっとする、集中できない。
風邪でもなく、体調が悪い自覚もないのに、暖房を使っている時間帯だけ不調が出る――こうした経験は決して珍しいものではありません。
最初は「気のせいかな」と思っていても、同じような違和感が何度も繰り返されると、少し気になり始めるものです。
仕事や家事に集中できなかったり、早めに布団に入ってしまったりと、生活の中でじわじわ影響が出てくるケースもあります。
それでも多くの場合、
「乾燥しているからだろう」
「たまたま体調が悪かっただけ」
と深く考えずに済ませてしまいがちです。
ストーブそのものが原因だとは、なかなか結びつきにくいのが実情です。
しかし、ストーブ使用中に起こる頭痛や違和感は、室内環境の変化に体が反応しているサインである可能性があります。
暖房を使うことで、空気の状態や流れが変わり、気づかないうちに体へ負担がかかっていることもあります。
この記事では酸素不足・一酸化炭素・排気漏れといった、暖房特有の問題とストーブのタイプ別に解説していきますので見ていきましょう。

ストーブ使用中に頭痛が起こる主な原因

酸素不足による軽い酸欠状態
室内で燃焼するタイプのストーブは、空気中の酸素を使って熱を生み出します。
換気が不十分な状態が続くと、酸素濃度がわずかに低下し、
- 頭が重い
- 眠気が強くなる
- 集中力が落ちる
- 目の奥が痛む
といった症状が出やすくなります。
この段階では「我慢できる不調」と感じることも多く、気づきにくいのが特徴です。
一酸化炭素(CO)の影響
頭痛の原因として最も危険なのが一酸化炭素です。
一酸化炭素は無色・無臭で、吸い込んでも気づきにくく、血液中の酸素運搬を妨げます。
初期症状として現れやすいのが、
- ズキズキする頭痛
- 吐き気
- めまい
- 強い眠気
です。
換気しているつもりでも、燃焼状態が悪かったり、排気がうまく外に出ていなかったりすると、室内に少しずつ蓄積することがあります。
排気漏れや不完全燃焼でも頭痛は起こる
「排気は外に出ているから大丈夫」と思われがちですが、排気漏れや不完全燃焼があれば、頭痛は発生します。
原因として多いのは、
- 排気管や煙突の接続ズレ
- パッキンの劣化
- 煙突内部の詰まり
- 強風による排気の逆流
といった状態です。
この場合、排気ガスが微量でも室内に戻ることで、頭痛や目の痛み、喉の違和感として現れることがあります。
ストーブの種類別|頭痛リスクの考え方
FF式ストーブの場合
FF式ストーブは、給気・排気の両方を屋外で完結させる構造です。
室内の空気を使わず、排気も外に出るため、酸素不足や一酸化炭素のリスクは低いとされています。
そのため、正常な状態で使用していれば、頭痛や目の痛みが起こる可能性は比較的低いタイプです。
ただし、
- 排気筒のズレ
- 経年劣化による排気漏れ
- 施工不良
がある場合は例外です。
FF式であっても「使うと体調が悪くなる」場合は、構造ではなく状態に問題があると考える必要があります。
ただ基本的には排気筒がズレていたり、漏れがある場合は安全装置が働くのでそこまで敏感になる必要はありません。ですが、燃焼している最中に窓が開いている場合などは排気が室内に流れ込んできてしまいますので、使用環境にも注意をしましょう。
煙突ストーブの場合
煙突ストーブは、燃焼で発生した排気を煙突を通して屋外へ排出する構造のストーブです。
対流式のように排気が室内へ直接出るわけではないため、正常な状態であれば室内環境への影響は比較的抑えられます。
そのため、煙突や排気経路に問題がなければ、頭痛や目の痛みが起こる可能性は、対流式よりは低いと考えられます。
ただし、
- 煙突内部のすす詰まり
- 煙突接続部のズレ・隙間
- 強風や気圧差による排気の逆流
といった異常がある場合は例外です。
排気がスムーズに外へ流れない状態になると、微量の排気ガスや一酸化炭素が室内に戻り、頭痛の原因になることがあります。
また、煙突ストーブは室内の空気を使って燃焼するタイプのため、換気不足が続けば酸素不足による頭痛リスクは避けられません。
「煙突があるから換気はいらない」と誤解しやすい点には注意が必要です。
対流式ストーブの場合
対流式ストーブは、室内の空気を使って燃焼する開放型です。
暖房能力が高くシンプルな構造ですが、その分、
- 酸素不足になりやすい
- 一酸化炭素が発生しやすい
- 換気不足の影響を強く受ける
という特徴があります。
長時間使用や換気不足が重なると、
頭痛だけでなく、一酸化炭素中毒のリスクも高まるため、定期的な換気が前提となるストーブです。
(参照:コロナ公式HPより 製品を安全に、正しく使用して頂くために・石油ファンヒーター・石油ストーブ)
石油ファンヒーターの場合
石油ファンヒーターも、基本的には室内燃焼型です。
安全装置や燃焼制御はありますが、
- フィルターの汚れ
- 不完全燃焼
- 換気不足
が重なると、頭痛の原因になることがあります。
エラー表示が出ていなくても、「使っていると調子が悪い」と感じる場合は、環境や燃焼状態を疑う必要があります。
またファンヒーターの場合は換気案内の表示やエラーも備えられているので、発生した際はすみやかに換気を行いましょう。
こんな症状が出たらすぐ使用を中止すべき

次のような症状が出た場合は、ストーブの使用を中止し、換気を最優先してください。
体調の問題として片づけてしまいがちですが、暖房使用中に限って起こる不調は、室内環境に異常が起きているサインである可能性があります。
- 急に強い頭痛が出た
- 吐き気やめまいがある
- 異常な眠気を感じる
- 同じ空間にいる家族も不調を訴えている
これらの症状は、一酸化炭素中毒の初期症状と重なる点が非常に重要です。
一酸化炭素は無色・無臭のため、「ガス臭い」「煙たい」といったわかりやすい異変がなくても、体だけが先に影響を受けることがあります。
特に注意したいのは、自分だけでなく、同じ部屋にいる人も同じような不調を感じている場合です。
この状況は、個人の体調不良ではなく、空間そのものに原因がある可能性が高い状態といえます。
また、
- ストーブを消すと少し楽になる
- 部屋を離れると症状が和らぐ
といった変化がある場合も、使用を続けるべきではありません。
「少し休めば大丈夫」「換気したから問題ないだろう」と判断してしまうのは危険です。
頭痛や吐き気は、本格的な中毒に進行する前に現れる警告サインでもあります。
症状を感じた時点で無理に使い続けず、まずストーブを止めて換気し、体調の回復を確認することが最優先です。
頭痛を防ぐためにできる基本対策

ストーブ使用時の頭痛は、使い方や環境を少し見直すだけでも防げるケースがあります。
特別な知識や設備がなくても、日常的に意識しておきたい基本的な対策を整理します。
まず重要なのが、定期的な換気です。
目安としては1時間に1回程度、窓を少し開けて空気を入れ替えることが基本になります。
「短時間だから」「寒いから」と換気を後回しにすると、酸素不足や排気の滞留が起こりやすくなります。
換気の際は、換気扇の併用も有効です。
窓を開けるだけよりも、空気の流れが生まれやすく、排気やこもった空気を効率よく外へ逃がすことができます。
また、フィルターや燃焼部の清掃も欠かせません。
ホコリや汚れが溜まると、燃焼状態が悪化し、不完全燃焼や排気不良につながります。
エラー表示が出ていなくても、定期的な清掃は必要です。
煙突や排気筒があるタイプのストーブでは、ズレや劣化、接続部の緩みがないかの確認も重要です。
見た目では分かりにくいわずかな隙間でも、排気漏れの原因になることがあります。
そして最も大切なのが、「違和感を覚えたら使い続けない」ことです。
頭が重い、目が痛い、いつもと違うと感じた時点で、その環境はすでに体に合っていない可能性があります。
「まだ使える」「そのうち慣れる」と無理をするのではなく、一度ストーブを止め、換気を行い、状態を落ち着いて確認する。
それが、頭痛を防ぎ、安全に暖房を使うための基本姿勢です。特に「去年は問題なかった」という思い込みが、トラブルを見逃す原因になりやすい点には注意が必要です。
(参照:コロナ公式HPより 製品を安全に、正しく使用して頂くために・石油ファンヒーター・石油ストーブ)
FAQ
Q1. ストーブを使うと頭痛がするのは本当に危険ですか?
A. 危険なケースもあります。酸素不足や一酸化炭素、排気漏れなどが原因の場合、軽い頭痛でも体が異常を知らせている可能性があります。特に暖房使用中に限って症状が出る場合は注意が必要です。
Q2. FF式ストーブなら頭痛の心配はありませんか?
A. 基本的にはリスクは低いですが、ゼロではありません。排気筒のズレや劣化、施工不良があると、FF式でも排気漏れが起こり、頭痛につながることがあります。
Q3. 換気しているつもりでも頭痛が起きるのはなぜですか?
A. 換気量が足りていない、空気の流れができていない、不完全燃焼が起きているなどの可能性があります。窓を少し開けるだけでは十分でない場合もあります。
Q4. ストーブを止めると頭痛が治まる場合は問題ありませんか?
A. 一時的に楽になっても安心はできません。使用を再開すると再発する場合、室内環境やストーブの状態に根本的な問題がある可能性が高いです。
Q5. 頭痛が出たら修理や点検は必要ですか?
A. 繰り返す場合は点検を検討すべきです。特に煙突や排気筒があるタイプ、長年使っているストーブでは、目に見えない不具合が原因になっていることがあります。
まとめ:頭痛はストーブからの重要な警告サイン

ストーブ使用中に起こる頭痛は、偶然や体調不良として片づけられるものではありません。
多くの場合、
- 酸素不足
- 一酸化炭素
- 排気漏れ
- 不完全燃焼
といった、はっきりした原因が背景にある体からの警告です。
特に厄介なのは、においや煙といった分かりやすい異変がなくても、体だけが先に影響を受けてしまう点です。
「いつもと違う」「このストーブを使うと調子が悪い」という感覚は、決して軽視すべきものではありません。
また、FF式だから絶対に安全、対流式だから必ず危険、という単純な構図でもありません。
実際のリスクは、
- ストーブの種類
- 設置や施工の状態
- 排気経路の健全性
- 換気環境
といった複数の要素が重なって決まります。
暖房を使うたびに頭痛や違和感を覚える場合、その環境にはすでに何らかの異常が起きている可能性があります。
「寒いから仕方ない」「毎年こんなものだ」と我慢するのではなく、一度立ち止まって原因を疑うことが重要といえるでしょう。
ストーブは暮らしを支える便利な道具ですが、体調の変化は、異常を知らせる最も分かりやすいサインでもあります。
頭痛を感じたら無理に使い続けず、止める・換気する・状態を確認する。
その判断が、安全につながりますので、ストーブや自身の体調の変化を観察しながら使用をするようにしましょう。

