石油ストーブは、点火や消火のときの灯油のにおいが気になることがあります。
「臭くないストーブはあるのか」「どんな機能を見て選べばよいか」と迷う人は多いです。
リビングや寝室など、においに敏感な人がいる部屋では、なおさら気になります。
この記事では、コロナのカタログと、トヨトミの取扱説明書で確認できた内容をもとに、臭いが少ない石油ストーブの選び方と、においを抑える使い方を整理します。
対流式・反射式・FF式・石油ファンヒーターを分けて解説し、カタログの数値の読み方や、においが強いときの原因の切り分けまで取り上げます。
臭いが出る場面
臭いの原因は、石油ストーブの臭いの原因と対策を解説した記事や、使いはじめの臭いを解説した記事でも整理しています。
ここでは、トヨトミ KS-67E の取扱説明書で確認できた、においが出る場面をまとめます。
| 場面 | 取扱説明書の内容 |
|---|---|
| 初めて使うとき | ほこりや油が焼けるにおいがするが、しばらく使うとなくなる |
| 消火のとき | しん調節つまみを速く回すと、においが出やすい |
| 緊急消火 | 急速に消火するため、においやすすが発生することがある |
| 対震自動消火装置が作動したとき | 消火時のにおいが強く発生する |
| 消火直後に再点火 | 燃焼筒が冷えないうちにしんを上げると、生ガスが発生し、激しい臭気が出ることがある |
| 火力を弱くしすぎたとき | においや一酸化炭素が多く発生し、しんにタールが付着する |
| 灯油がこぼれたとき | 燃焼中の臭気の原因になる |
| 不良灯油 | 炎が大きくならなくなったり、激しいにおいがしたりする |
| 水の混入した灯油 | 異常燃焼を起こして激しいにおいがしたり、火が消えたりする |
臭いは、機種の機能だけでなく、使い方・灯油の状態・手入れでも大きく変わります。機種選びだけでなく、使い方も見直してください。
場面を3つに分けて考える
取扱説明書の記載は多岐にわたるため、原因を3つに分けると整理しやすくなります。
| 分類 | 該当する場面 | 対策の方向 |
|---|---|---|
| 機種の特性 | 点火・消火時の未燃ガス | 消臭機能のある機種を選ぶ。消火をゆっくり行う |
| 使い方 | 速い消火、弱い火力、消火直後の再点火 | 取扱説明書の手順に従う |
| 状態 | 不良灯油、水の混入、こぼれた灯油、しんのタール | 新しい灯油、手入れ、こぼれの拭き取り |
機種を買い替えても、使い方や灯油の状態が原因なら、においは減りません。
まず、自分の使い方がどこに当てはまるかを確認してください。
消臭機能の種類

コロナのカタログ(暖房機器)で確認できた、においに関する機能です。
石油ストーブ(ポータブル)の機能は、次のとおりです。
| 機能 | 説明(カタログの記載) |
|---|---|
| 触媒燃焼においとり | 消火時や燃焼中に出るニオイを、触媒で再度燃焼させて大幅に抑える |
| ニオイカット消火 | ゆっくり消火し、未燃焼ガスを燃やしきることでニオイの発生を抑える |
| クリーン燃焼 | 火力を下げても、ニオイが出にくいように燃焼させる |
| トリプル消臭 | 上記3つの機能による消臭。SX-E3519WY・SX-E2919Y に搭載。触媒なしの従来機種と比べ、気になるニオイの量を1/3に減らすとされている |
カタログに記載のあった機種は SX-E3519WY と SX-E2919Y です。他の機種の消臭機能は、カタログの機種ごとの仕様で確認してください。
トヨトミ KS-67E の取扱説明書には、消火時に「ニオイセーブ消火位置」までゆっくり回し、約1〜5分燃焼(炎が一部残る)して消火する方法が記載されていました。
消火にかかる時間の目安
ニオイセーブ消火の時間を、1日の使用回数に当てはめてみます(当サイト計算。
取扱説明書の約1〜5分を使用)。
| 消火の回数 | 追加でかかる時間(1分の場合) | 追加でかかる時間(5分の場合) |
|---|---|---|
| 1日1回 | 1分 | 5分 |
| 1日2回 | 2分 | 10分 |
| 1日3回 | 3分 | 15分 |
ゆっくり消火すると、においが出にくくなる代わりに、消火までに時間がかかります。
外出前に慌てて消すと、においが出やすくなるため、余裕をもって消火を始めてください。
数値の読み方
カタログには、消臭効果の数値が載っています。
ただし、これらは各メーカーが、自社の従来機種などと比べた数値です。
| 記載の内容 | 比較の対象 |
|---|---|
| ニオイの量が1/3(SX-E3519WY・SX-E2919Y のトリプル消臭) | 触媒なしの従来機種 |
| 消火時のニオイが約40%低減(石油ファンヒーター FH-VG3319Y) | カタログ記載の条件による |
| 消火時のニオイ(総炭化水素)が約70%低減(FH-WZ3619BY) | FH-G3619BY との比較 |
| 点火時のニオイ(総炭化水素)が約25%低減(FH-WZ3619BY) | FH-G3619BY との比較 |
数値は、機種間の比較ではなく、同じメーカー内の旧型や従来機種との比較です。「他社より臭わない」「臭いがゼロになる」という意味ではありません。
数値を読み替える
「1/3」「約40%低減」などの数値を、残るにおいの割合に読み替えてみます(当サイト計算。
比較対象のにおいの量を100とした場合)。
| 表現 | 比較対象を100としたときの残り |
|---|---|
| 1/3に減らす | 約33(約67%の減少) |
| 約40%低減 | 約60 |
| 約70%低減 | 約30 |
| 約25%低減 | 約75 |
たとえば、約25%低減は、点火時のにおいが残り約75になるという意味です。
減ってはいますが、においが大幅に消えるわけではありません。
数値を比較するときは、何と比べているかを必ず確認してください。
石油ファンヒーターの消臭機能
コロナのカタログには、石油ファンヒーターの消臭機能も記載されていました。
石油ストーブとは仕組みが違うため、分けて整理します。
| 機能 | 説明(カタログの記載) |
|---|---|
| プレミアム消臭「極」 | クリーン消火・ニオイカットメカ・においとり触媒の総称(WZ・VXシリーズ、VGタイプに搭載) |
| クリーン消火 | 強火力燃焼時に中火力域まで火力を下げてから消火し、ニオイを抑える |
| ニオイカットメカ | 細管Wカットノズルと効率的なガス化構造により、ニオイを大幅に抑える。ノズル先端の残り灯油も吸引する |
| においとり触媒 | わずかに残った未燃ガスを、セラミック・酸化鉄の触媒で浄化する |
| 光触媒除菌・脱臭フィルター | 器具背面のフィルターで、カビや細菌の発生を抑えつつ脱臭する |
| ぴたっと消臭気流ルーバー | 消火時にルーバーが閉じ、ニオイが前面からもれるのを抑える(WZシリーズ) |
| 消臭シャッター | 消火と同時に送風口のシャッターが閉まり、ニオイの漏れを抑える(VXシリーズなど) |
ファンヒーターは、石油ストーブとは構造が違い、消火のしくみもメーカーが機能として用意しています。
ファンヒーターとストーブの違いは、当サイトの別記事でも整理しています。
選ぶときのチェック項目
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 消臭機能の有無 | 触媒、ニオイカット消火、クリーン燃焼、消臭シャッターなどの記載があるか |
| 消火の方法 | ゆっくり消火する機構があるか(ニオイカット消火、ニオイセーブ消火位置など) |
| 数値の比較対象 | 何と比べた数値か。旧型との比較か |
| 手入れのしやすさ | しんの手入れ、燃焼筒の掃除がしやすいか。分解掃除を解説した記事も参考に |
| 使う部屋 | 換気できる部屋か(使用中の換気は取扱説明書で案内) |
| 取扱説明書 | 臭いが出る場面と、対処の記載を確認する |
優先順位の考え方
| 重視すること | 見るポイント |
|---|---|
| 消火時のにおいを減らしたい | ニオイカット消火、クリーン消火、消臭シャッターなどの記載 |
| 点火時のにおいを減らしたい | 点火時の低減の数値、触媒の有無 |
| 長く使っても臭くなりにくくしたい | 手入れのしやすさ、しんの交換のしやすさ |
| コストを抑えたい | 消臭機能がなくても、使い方・灯油の状態で改善できる点も多い |
消臭機能のある機種は、機能が付いている分、価格が高い傾向があるかもしれませんが、今回の資料では価格の比較は確認できていません。
購入前に、各メーカーの仕様と価格を確認してください。
においを抑える使い方
機種の機能に加えて、使い方でもにおいを抑えられます。
トヨトミ KS-67E の取扱説明書で確認できた内容です。
| 使い方 | 内容 |
|---|---|
| 消火 | 通常の手順で、ゆっくり回す。ニオイセーブ消火位置で約1〜5分燃焼してから消火 |
| 火力 | 弱くしすぎない。弱くした場合も、炎が内炎板から1cm出る状態で使う |
| 燃焼中の確認 | 時々炎を見て、正常燃焼か確認する |
| 灯油 | JIS1号灯油を使う。不良灯油は使わない |
| しんの手入れ | 不良灯油でタールや水が付着した場合は、しんの手入れ(から焼きクリーニング)を行う。効果がなければしんを交換 |
| 給油のとき | こぼれた灯油はよくふき取る |
| 換気 | 使用中は1時間に1〜2回(1〜2分)換気する |
| 再点火 | 消火直後は、燃焼筒が冷えてから |
油漏れ、においやすすの発生があるときは、使用を中止してください。取扱説明書にも記載があります(トヨトミ RB-25E)。灯油の種類や状態については、燃料を解説した記事をご覧ください。すすの原因は、当サイトの別記事でも解説しています。
においが強いときの原因の切り分け
使っていて急ににおいが強くなったときは、次の順で確認します。
| 順番 | 確認すること | 考えられる原因 |
|---|---|---|
| 1 | 消火した直後に再点火していないか | 燃焼筒が冷えないうちにしんを上げると、生ガスが出る |
| 2 | 火力を弱くしすぎていないか | においや一酸化炭素が多く発生し、しんにタールが付く |
| 3 | 灯油が古い・変色していないか | 不良灯油。炎が大きくならない、激しいにおい |
| 4 | 灯油に水が混ざっていないか | 異常燃焼、においが強くなる、火が消える |
| 5 | こぼれた灯油がないか | 燃焼中の臭気の原因 |
| 6 | しんにタールが付いていないか | しんの手入れ、効果がなければ交換 |
| 7 | 地震や衝撃で自動消火していないか | 消火時のにおいが強く発生する |
原因が特定できない、または油漏れ・すすがあるときは、使用を中止してメーカーまたは販売店に相談してください。
使い方別の目安
| 使い方 | においへの影響 |
|---|---|
| 毎回ゆっくり消火 | 消火時のにおいを抑えやすい |
| 緊急消火が多い | においやすすが出やすい |
| 弱火で長時間 | においとタールが増えやすい |
| 古い灯油をそのまま使う | 激しいにおいの原因 |
タイプ別の違い
| タイプ | 臭いの考え方 |
|---|---|
| 対流式 | 点火・消火のにおいに注意。消臭機能の有無は機種ごとに確認 |
| 反射式 | 同じく、消火のにおいに注意。消臭機能の有無は機種ごとに確認 |
| 石油ファンヒーター | コロナのカタログに、消臭機能の記載が多い(上記の表) |
| FF式 | 排気を屋外に出す方式(コロナの取扱説明書)。においについては、確認した資料に記載なし |
| 煙突式 | 排気を煙突で屋外に出す方式。においについては、確認した資料に記載なし |
FF式・煙突式のにおいについては、今回の資料では確認できませんでした。
お持ちの機種の取扱説明書で確認してください。
FF式はFF式石油ストーブの記事で仕組みを整理しています。
よくある質問
Q1. 臭わない石油ストーブはありますか?
臭いがゼロになるという記載は、確認できませんでした。
コロナのカタログでは、触媒燃焼においとり、ニオイカット消火、クリーン燃焼などの消臭機能が紹介されています。
Q2. トリプル消臭とは何ですか?
コロナのカタログでは、触媒燃焼においとり、ニオイカット消火、クリーン燃焼の3つによる消臭で、SX-E3519WY・SX-E2919Y に搭載されています。
触媒なしの従来機種と比べ、ニオイの量を1/3に減らすとされています。
Q3. 消火のときのにおいを減らすには?
トヨトミの取扱説明書では、しん調節つまみを速く回すとにおいが出やすいとされています。
ニオイセーブ消火位置まで、ゆっくり回してください。
Q4. 石油ファンヒーターのほうが臭いが少ないですか?
比較できる資料は確認できませんでした。
コロナのカタログには、石油ファンヒーターの消臭機能が多く記載されています。
機種ごとの機能で確認してください。
Q5. においが急に強くなったときは?
火力が弱すぎないか、灯油が古くないか、水が混ざっていないか、しんにタールがないかを確認します。
油漏れやすすがあるときは使用を中止してください。
まとめ
臭いが少ない石油ストーブは、消臭機能と、使い方の両方で考えます。
最後に、この記事のポイントを整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 消臭機能 | 触媒燃焼においとり、ニオイカット消火、クリーン燃焼(コロナのポータブル石油ストーブ) |
| 数値の読み方 | 自社の従来機種との比較。ゼロになるわけではない |
| 石油ファンヒーター | 消臭機能が多く記載(プレミアム消臭「極」など) |
| 使い方 | ゆっくり消火、弱くしすぎない、新しい灯油、しんの手入れ |
| 原因の切り分け | 再点火、弱火、古い灯油、水、こぼれ、タールを順に確認 |
| FF式・煙突式 | においの記載は確認できず |
まずは、お持ちの機種(または候補の機種)の取扱説明書やカタログで、「消臭」と「消火」の欄を確認してみてください。

