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床暖房の仕組みをわかりやすく解説|温水式と電気式の違い

床下に敷設された温水式床暖房の配管を背景に、床暖房の仕組みと温水式・電気式の違いを紹介するサムネイル画像
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

冬の朝、床がじんわり暖かい家に住んでいる人から「床暖房はエアコンと何が違うの?」と聞かれて、うまく説明できないと感じたことはありませんか。
床暖房は、足元が暖かいという体感はよく知られていますが、床の中で何が起きているのかは意外と知られていません。
仕組みを知っておくと、暖まるまでに時間がかかる理由や、電気代・ガス代が変わるポイント、故障したときの切り分けまで理解しやすくなります。
この記事では、熱源でつくった熱が床の表面に届き、部屋を暖めるまでの流れを、温水式と電気式に分けて順番に解説します。

目次

床暖房の仕組みを一言でいうと

床暖房は、床の中に仕込んだ「放熱部」を温めて、床の表面から熱を出す暖房です。
空気を温風で温めるエアコンやファンヒーターと違い、床そのものが暖かくなるため、足元から部屋が暖まります。

熱のつくり方によって、大きく2つに分かれます。

方式熱のつくり方床の中にあるもの
温水式床の外にある熱源機で温水をつくり、床下に送る温水が通る配管をもつパネル(マット)
電気式床の中のヒーターに電気を流して直接温める電熱線などの発熱体をもつパネル(シート)

温水式の熱源には、ガス・灯油・ヒートポンプ(電気)があります。
熱源ごとの違いは、温水をつくる機器が違うだけで、床の中の仕組みはほぼ共通です。
つまり、床暖房を理解するうえでは「どこで熱をつくり、どうやって床まで運ぶか」を押さえることが大切です。

温水式が暖まるまでの流れ

温水式は、次の順番で熱が移っていきます。

順番何が起きるか担当する部分
1ガスや灯油を燃やす、または電気でヒートポンプを動かして温水をつくる熱源機
2温水を床下の配管に送り出す温水ポンプ・配管
3温水がパネルの中の配管を通り、熱をパネルに渡す放熱パネル(マット)
4パネルの熱が床材(フローリングなど)へ伝わる床材
5床の表面から熱が出て、部屋の中の人や物、空気を暖める床の表面
6冷めた温水が熱源機に戻り、再び加熱される戻り配管・熱源機

温水は、熱源機と床下のパネルのあいだを「行き」と「戻り」の配管で循環し続けます。
冷めた水がもう一度加熱されて戻っていく仕組みなので、お湯を使い捨てているわけではありません。
温水式そのものの特徴は、温水式床暖房とは?の記事で詳しく整理しています。
循環する液体には、凍結を防ぐための不凍液(循環液)が使われるのが一般的です。

温水の温度はどれくらいか

温水式床暖房の温水は、お風呂のお湯よりも少し熱い程度の温度で運転されます。
ノーリツが2015年に発表した温水式床暖房マットのニュースリリースでは、従来は50℃または60℃だった供給温水を、新型マットでは40℃に下げて運転できると紹介されています。
コロナの石油温水暖房システムのカタログでは、温水温度を30〜80℃の範囲で1℃単位に調整できるとされています。
このように、40〜60℃前後を目安に、機種や使い方に応じて温度を変えて運転すると考えておくとよいでしょう。

📎 出典:ノーリツ ニュースリリース「上面放熱率83%を達成で、省エネ性向上! 高効率温水式床暖房マット MD-XDシリーズ」

「上面放熱率」とは

同じリリースには、「上面放熱率83%」という数字が出てきます。
これは、パネルに流した温水の熱のうち、床の上面へ暖房熱として出ていく割合を示したものです。
残りの熱は、床下側へ逃げたり、配管の途中で失われたりします。
温水の熱をできるだけ上へ向けるために、パネルの配管の本数を増やす、床下に断熱材を入れるといった工夫がされています。

電気式が暖まるまでの流れ

電気式は、温水式に比べて流れがシンプルです。

順番何が起きるか担当する部分
1床の中のヒーターに電気を流す電熱線・面状発熱体
2ヒーターが発熱し、直上の床材を温めるヒーター・床材
3床の表面から熱が出て、部屋を暖める床の表面

熱源機も、温水を運ぶ配管もありません。
床の中に入っている発熱体が、そのまま熱源になります。
そのため、仕組みが単純で、部品が少ないのが電気式の特徴です。
一方で、電気で熱をつくる方式のため、広い面積を長時間暖めるとランニングコストが大きくなりやすい点には注意が必要です。
温水式と電気式のランニングコストの違いは、電気式と温水式の床暖房の違いの記事でも整理しています。

熱はどうやって部屋に伝わるのか

床の表面に熱が出てから、部屋全体が暖まるまでには、熱の伝わり方が関係します。
熱の伝わり方には、大きく3種類あります。

スクロールできます
熱の伝わり方内容例
伝導物に直接触れて熱が移る暖かい床に足をつける、床に座る
輻射(ふく射)空気を介さず、熱が遠赤外線などとして飛んで物に届く床から離れた壁や家具、人の体が暖まる
対流暖められた空気が動いて熱を運ぶファンヒーターの温風、天井付近にたまる暖気

床暖房は、伝導と輻射が中心の暖房です。
足の裏が床に触れて暖かく感じるのは伝導、少し離れた壁や家具、人の体がじんわり暖まるのは輻射のはたらきです。
温風で空気を動かす対流中心の暖房とは、ここが大きく違います。

ただし、床の表面が暖かくなれば、触れた空気も暖められて、ゆるやかな上昇気流(自然対流)が生まれます。
つまり、床暖房でも対流がまったく起きないわけではありません。
温風の暖房に比べて、空気の動きが小さく、ほこりが舞い上がりにくいというのが正確な理解です。

体感温度と室温の関係

人が「暖かい」と感じる温度は、空気の温度だけで決まるわけではありません。
床・壁・天井といった周囲の表面の温度も、体感に影響します。
床の表面が暖かいと、室温がそれほど高くなくても暖かく感じやすくなる傾向があります。
「頭寒足熱」という言葉で表現される、足元が暖かく頭まわりは涼しい状態が作りやすいのは、このためです。

暖まるまでに時間がかかる理由

床暖房は、スイッチを入れてすぐ暖かくなるわけではありません。
これは、仕組みを考えると自然なことです。

  • 熱源機がまず温水をつくる時間が必要
  • 温水が配管を通ってパネルに届くまでの時間が必要
  • 床材やパネル、下地そのものが冷えているため、それらを温める必要がある
  • 熱が床の表面に届いたあとも、部屋全体の壁や家具を暖めるまでに時間がかかる

ノーリツのリリースでは、新型の温水式マットについて、床温9℃の状態から27℃まで上がるのに約19分で、従来品の約3分の2の時間に短縮されたと発表されています。
これは、床の温度が上がるまでの時間であり、部屋全体の体感が整うまでには、さらに時間がかかることに注意してください。

日本冷凍空調工業会の「温水床暖房に関する購入動機・使用満足度調査」(2020年1月実施、戸建て持ち家の居住者410名が対象)では、暖まる速度に満足した人は、燃焼ガス式で47.3%、ヒートポンプ式で54.4%でした。
一方で、暖まった後の快適性に満足した人は、どちらも約81%と高い結果でした。
不満の理由としては、ランニングコストの高さに次いで、暖まるまでの遅さと暖まり不足が挙げられています。
つまり、暖まるまでは時間がかかるが、暖まった後の快適さは満足度が高いというのが、この調査から読み取れる傾向です。
なお、ヒートポンプ式の回答者は57名と少ないため、参考値として見てください。

📎 出典:日本冷凍空調工業会「温水床暖房に関する購入動機・使用満足度調査」

温度を調整する仕組み

床暖房は、床や室内の温度を見ながら、熱の出力を調整しています。

役割内容
リモコン運転・停止、温度の段階、タイマーなどを設定する
温度センサー床の温度や室温を測り、設定に近づくよう運転を調整する
熱源機(温水式)設定に合わせて温水の温度や量を調整する
弁(温水式)部屋や回路ごとに温水を流す・止める

温度の設定方法は機種によって異なり、「弱・中・強」のような段階式のものや、温度を数値で設定するものがあります。
設定温度に届くと出力が自動で下がり、下回ると再び上がる、という動きを繰り返して温度を保ちます。
そのため、運転中に熱源機が動いたり止まったりするのは、故障ではなく通常の動作です。

仕組みから分かる使い方のコツ

仕組みを踏まえると、使い方の工夫も見えてきます。

ポイント理由
起きる時間より前にタイマーで運転を始める床が暖まるまで時間がかかるため
窓の断熱を見直す床の熱が窓際から冷気に奪われるのを減らせる
床の上に厚手の敷物を敷きすぎない熱が敷物に遮られ、部屋に出にくくなる
不在や就寝時間に合わせてタイマーを活用する運転時間を整理でき、無駄を減らせる

敷物については、床暖房に対応した製品を選ぶことが前提です。
対応していない敷物は、熱がこもって変形したり、床材や機器に悪影響が出たりするおそれがあります。
敷物や家具を置く前に、取扱説明書で使用できる敷物や家具の条件を必ず確認してください。

仕組みを知っておくと避けられる勘違い

「床暖房は空気を暖めない」は半分正しい

床暖房は温風を出さないため、空気を暖めるタイプではない、と言われることがあります。
実際には、床に触れた空気は暖まります。
ただし、空気の動きがゆるやかなので、温風の暖房より、ほこりが舞いにくく、風を感じにくいという違いがあります。

「スイッチを入れ直すたびに燃料を大量に使う」とは限らない

床暖房は立ち上がりに時間がかかるため、こまめにオン・オフするのは非効率だと言われることがあります。
一方で、運転時間を短くできれば総使用量は減ります。
どちらが得かは、家の断熱性能、使う時間帯、機種の特性によって変わります。
一律に「つけっぱなしが得」「こまめに消すのが得」と決めつけず、ご自宅の使い方に合わせて確かめるのが確実です。

「温水式はお湯が漏れたら大変」という不安

温水式は、床下に温水が通る配管があるため、水漏れを心配する人もいます。
温水が通る配管は、水漏れしにくいように施工されています。
それでも、長期間の使用による劣化や、施工不良、不凍液の劣化などがあれば、不具合が起きる可能性はゼロではありません。
定期的な点検と、床の一部だけが暖まらない、床が湿っているといった異変に早めに気づくことが大切です。

よくある質問

Q1. 床暖房は、どうやって部屋を暖めているのですか?

床の中に仕込んだ放熱部を温め、床の表面から出る熱で部屋を暖めています。
熱の伝わり方は、足が床に触れる伝導と、少し離れた壁や人の体に届く輻射が中心です。
温風で空気を動かす暖房とは違い、空気の流れが小さいため、ほこりが舞いにくいのが特徴です。
放熱部を温める方法には、温水を循環させる温水式と、ヒーターに電気を流す電気式があります。

Q2. 温水式の床暖房では、温水は何度くらいですか?

機種や設定によって異なりますが、40〜60℃前後を目安に運転されるのが一般的です。
ノーリツのリリースでは、従来の50℃または60℃に対し、新型マットでは40℃で運転できると紹介されています。
コロナの石油温水暖房システムのカタログでは、30〜80℃の範囲で温度を調整できるとされています。
実際の温度は、お持ちの機種の取扱説明書で確認してください。

Q3. 床暖房は、なぜすぐに暖まらないのですか?

熱源機で温水をつくり、配管で運び、パネルや床材を温めて、はじめて床の表面から熱が出るためです。
床材や下地が冷えていると、それらを温める時間もかかります。
さらに、部屋の壁や家具が暖まるまでには時間がかかります。
朝に暖かくしたい場合は、起床の少し前にタイマーで運転を始める使い方が現実的です。
何分前から始めるとよいかは、機種や住まいの断熱性能で異なるため、数日試して調整してください。

Q4. 運転中に熱源機が止まったり動いたりするのは故障ですか?

多くの場合、故障ではありません。
床や室温が設定温度に届くと出力が下がり、下回ると再び上がるという動きを繰り返しているためです。
ただし、床がまったく暖まらない、リモコンにエラーが表示される、異常な音やにおいがするといった場合は、運転を止めて、取扱説明書を確認し、メーカーや施工店へ相談してください。

Q5. 電気式と温水式では、仕組みのうえで何が一番違いますか?

熱をつくる場所です。
電気式は床の中のヒーターで直接熱をつくります。
温水式は、床の外の熱源機で温水をつくり、配管で床下へ運びます。
そのため、電気式は仕組みが単純で、温水式は熱源機や配管、循環液の管理が必要になります。
その分、温水式はガスやヒートポンプなど熱源を選べ、広い面積に対応しやすいという違いがあります。

まとめ

床暖房は、熱源でつくった熱を床の中の放熱部に送り、床の表面から出る熱で部屋を暖める暖房です。
最後に、この記事のポイントを整理します。

ポイント内容
基本の仕組み放熱部を温め、床の表面から熱を出して部屋を暖める
温水式熱源機でつくった温水を、床下のパネルに循環させる
電気式床の中のヒーターに電気を流して直接温める
熱の伝わり方伝導と輻射が中心。空気の動きは小さい
温水の温度40〜60℃前後が目安(機種で異なる)
立ち上がり熱源機・配管・床材を温める時間が必要。タイマーが有効

床暖房の種類全体の比較は、床暖房の種類を比較した記事で確認できます。
まずは、お使いの床暖房が温水式か電気式かを確認し、取扱説明書でリモコンの機能とタイマーの使い方を見直してみてください。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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