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オール電化のメリット・デメリットとは?|導入前に知っておくべき現実的な判断軸

家の形をしたアイコンの中央に電源プラグのシンボルが配置され、楕円のフレームで囲まれたシンプルなモノクロロゴを横長構図で表現したデザイン。
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

「オール電化って実際どうなの?」

新築や住宅設備の更新を考え始めると、必ずと言っていいほど候補に挙がるのがオール電化です。
ガスを使わず、給湯も調理も暖房もすべて電気でまかなう──そのシンプルさや安全性から、「これからはオール電化の時代」と言われることも少なくありません。
一方で、「電気代が高くなる」「停電したら何も使えない」「寒い地域では不向き」といった否定的な声も多く、ネット上の情報は賛否が極端に分かれがちです。

こうした情報を目にすると、「結局どれが本当なのか」「自分の家には合うのか」が分からなくなり、判断が止まってしまう人も多いのではないでしょうか。
オール電化は決して“良い・悪い”で単純に割り切れる設備ではなく、住まいの条件や家族構成、ライフスタイルによって評価が大きく変わる選択肢です。

本記事では、イメージや宣伝文句だけで語られがちなオール電化について、仕組みを前提にしながら、メリットとデメリットを現実的な視点で整理します。
新築を検討している方はもちろん、リフォームや給湯器・コンロの更新をきっかけにオール電化を考えている方にとっても、判断の軸をつくるための材料としてご活用ください。


目次

オール電化とは何か?

オール電化をイメージしたイメージ画像

オール電化とは、住宅内で使うエネルギーをすべて電気に統一する住宅仕様を指します。
従来の住宅では、給湯や暖房にガスや灯油、調理にガスコンロを使うのが一般的でしたが、オール電化ではそれらをすべて電気設備に置き換えます。
つまり、「どの設備を使うか」ではなく、「どのエネルギーに集約するか」という発想そのものが変わるのが特徴です。

代表的な設備構成は次のとおりです。

  • 給湯:エコキュート
  • 調理:IHクッキングヒーター
  • 暖房:電気暖房(エアコン)、ヒートポンプ暖房、電気式床暖房など

給湯には、空気の熱を利用してお湯をつくるヒートポンプ式の給湯器が使われることが多く、夜間電力を活用してお湯を沸かし、貯めて使う仕組みが基本になります。
調理は火を使わないIHが中心となり、暖房も燃焼を伴わない電気方式に統一されます。

このように、オール電化住宅ではガス配管や灯油タンクといった燃料設備が不要になります。
その結果、エネルギー供給が電気一本に集約され、設備構成や管理がシンプルになる点が大きな特徴です。
一方で、すべての生活インフラを電気に依存することになるため、電力の使い方や設備性能が暮らしやすさを大きく左右するようになります。

重要なのは、オール電化が「電気をたくさん使う住宅」ではなく、電気を前提に住まい全体を設計する考え方だという点です。
給湯・調理・暖房を個別に見るのではなく、住宅性能や生活リズムとセットで考えることで、初めてメリットとデメリットが正しく見えてきます。


オール電化のメリット

光熱費の管理がシンプル

光熱費をイメージした画像

オール電化住宅では、電気以外のエネルギーを使わないため、光熱費が電気代に一本化されます。
ガス代・灯油代が別途発生しないため、月々の支出を把握しやすく、家計管理の手間が減る点は大きな利点です。
特に、検針日や請求タイミングが異なる複数の光熱費を管理する煩わしさがなくなります。

また、夜間電力を活用する給湯設計では、使用量そのものを抑えるというよりも、電気を使う時間帯をずらすことでコストを抑える考え方が基本になります。
生活リズムがある程度安定している家庭ほど、この仕組みの恩恵を受けやすい傾向があります。


火を使わない安心感

ガスコンロの火を拡大した様子

IHクッキングヒーターや電気給湯は、裸火を使わないことが大きな特徴です。
火の消し忘れや、衣類・調理器具への引火といったリスクが低く、日常的な火災不安を減らす効果があります。

特に、小さな子どもがいる家庭や、高齢者と同居している場合、「火を使わない」という点そのものが大きな安心材料になります。
調理中に目を離した際のリスクや、万一の事故を完全にゼロにできるわけではありませんが、燃焼を伴う設備特有の危険性を減らせる点は、オール電化ならではのメリットと言えるでしょう。


室内空気が汚れにくい

汚れた空気をイメージした画像

オール電化では、給湯・調理・暖房のいずれも燃焼を伴わないため、一酸化炭素や燃焼排ガスが室内に発生しません
その結果、換気による熱損失が起きにくく、室内の温度や空気環境を安定させやすくなります。

これは、気密性や断熱性が高い住宅ほどメリットとして実感しやすいポイントです。
燃焼機器を使う住宅では、定期的な換気が必須になりますが、オール電化ではその負担が軽減され、空気の質を保ちながら快適性を維持しやすい住環境をつくることができます。


太陽光発電と相性が良い

晴天の青空の下、住宅の屋根一面に設置された太陽光パネルに強い日差しが当たり、発電している様子がわかる外観。

オール電化は、太陽光発電との相性が良い住宅仕様としても知られています。
自家消費を前提に考えると、発電した電気をそのまま給湯や家電、調理に使うという流れをつくりやすくなります。

売電価格が下がってきている現在では、「電気を売る」よりも「電気を使う」方向に寄せた設計が主流になりつつあります。
オール電化は、そうした考え方と親和性が高く、エネルギーの使い道を家庭内で完結させやすい点が評価されています。
住宅全体のエネルギー設計を見直したい家庭にとって、有力な選択肢のひとつになるでしょう。


オール電化のデメリット

停電時のリスクが大きい

曇っている様子の中に立っている電線の様子

オール電化住宅の最大の弱点は、停電=生活インフラが同時に止まる点です。
電気が供給されなくなると、給湯・調理・暖房といった主要設備がすべて使用できなくなる可能性があります。
ガスや灯油を併用している住宅であれば、どれか一部が使えるケースもありますが、オール電化では代替が効きにくくなります。

短時間の停電であれば大きな問題にならないこともありますが、復旧まで時間がかかる場合や、寒冷期・夜間に停電が発生した場合、不便さや不安は一気に表面化します。
非常用電源や蓄電池、カセットコンロなどの代替手段を事前に想定しているかどうかが、快適性を大きく左右するポイントになります。


冬場の電力依存が強い

冬をイメージした画像。雪だるまが微笑んでいる。

オール電化では、暖房・給湯ともに電気に依存するため、寒冷期は電力使用量が集中しやすい傾向があります。
特に、外気温が下がるとヒートポンプ機器の効率が落ちやすく、使用電力量が増えることで、想定以上の電気代につながるケースもあります。

この影響は、住宅の断熱性能や暖房方式によって大きく変わります。
断熱・気密が不十分な住宅では、暖房負荷が増え、その分だけ電力消費も膨らみやすくなります。
オール電化を選ぶ場合は、設備単体ではなく住宅性能との組み合わせを考えないと、デメリットが強く出やすい点に注意が必要です。


初期費用が高くなりやすい

初期費用をイメージしたイメージ画像

オール電化導入時には、エコキュートやIHクッキングヒーターに加え、電気容量の増設や分電盤の交換が必要になることがあります。
そのため、ガス併用住宅と比べると、初期の設備投資が大きくなりやすい傾向があります。

ランニングコストだけを見て判断すると見落としがちですが、実際には「何年使って回収できるか」「設備更新までにどれだけかかるか」といった中長期の視点が重要といえるでしょう。
初期費用と毎月の光熱費をセットで考えないと、想定と実態にズレが生じやすくなります。


設備更新時の選択肢が限定される

外に設置されたエコフィールの画像

オール電化住宅では、給湯や暖房の設備が電気前提で構成されているため、将来的にエネルギーの選択肢が狭くなりやすいという側面があります。
設備が故障・老朽化した際も、基本的には同種の電気設備で更新する流れになりやすくなります。

途中からガスや他のエネルギーを併用しようとすると、ガス配管の新設や設備工事が必要になり、想像以上に手間やコストがかかるケースもあります。
オール電化は一度選ぶと方向性を変えにくいため、将来の暮らし方や家族構成の変化まで含めて検討しておくことが重要です。

オール電化が向いている家庭・向いていない家庭

整理整頓されたキッチンの容姿

オール電化は、設備そのものの良し悪しよりも、住まいの条件と暮らし方との相性が結果を大きく左右します。
同じオール電化住宅でも、「快適で満足している家庭」と「思ったほど良さを感じられない家庭」に分かれる理由は、ほとんどがこの相性の違いにあります。

オール電化が向いているケース

太陽光発電を前提にしている家庭
オール電化は、太陽光発電との組み合わせで本領を発揮しやすい住宅仕様です。
日中に発電した電気を、給湯や家電、調理に直接使うことで、電力を家庭内で循環させやすくなります。
売電に頼らず、自家消費を重視したい家庭ほど、オール電化のメリットを実感しやすくなります。

火を使わない安全性を重視したい家庭
IH調理や電気給湯は、裸火を使わないため、日常的な火災リスクを抑えられます。
小さな子どもがいる家庭や、高齢者との同居世帯では、「火を使わない」という安心感そのものが、暮らしのストレス軽減につながるケースも少なくありません。
安全性を最優先に考える場合、オール電化は有力な選択肢になります。

比較的温暖な地域、または高断熱住宅
暖房負荷がそれほど大きくない地域や、断熱・気密性能が高い住宅では、電気暖房やヒートポンプ設備の効率を活かしやすくなります。
住宅性能が高いほど、電力消費を抑えやすく、オール電化のデメリットが表に出にくくなります。


慎重に検討したいケース

停電対策を考えていない家庭
オール電化では、電気が止まると生活インフラが同時に止まる可能性があります。
非常用電源や代替調理手段を想定していない場合、停電時の不便さや不安が一気に表面化します。
停電リスクを現実的に想定し、備えを用意できない場合は、慎重な検討が必要です。

冬の暖房負荷が大きい地域・住宅
寒冷期の暖房需要が大きい地域や、断熱性能が十分でない住宅では、電力消費が一気に増えやすくなります。
この場合、オール電化のメリットよりも、電気代や設備負荷のデメリットが目立ちやすくなります。
暖房の使い方や住宅性能を見直さずに導入すると、期待とのギャップが生じやすくなります。

初期費用を抑えたい場合
オール電化は、設備導入時にまとまった初期費用がかかりやすい住宅仕様です。
短期的なコストを重視し、初期投資をできるだけ抑えたい場合には、負担感が大きく感じられることもあります。
初期費用とランニングコストを分けて考えず、トータルで見たときに納得できるかを判断できない場合は、慎重に検討した方が無難です。


ガス併用との比較で考える視点

外に取り付けられているガスボンベ2本の様子

オール電化とガス併用の違いは、「どちらが優れているか」という単純な比較ではありません。
本質的な違いは、エネルギーを一つに集約するか、複数に分散させるかという設計思想にあります。

ガス併用住宅では、給湯や調理、場合によっては暖房をガスに任せ、その他を電気でまかなう形になります。
この構成の強みは、役割分担によるリスク分散です。
仮に電気が止まってもガス機器が使える、あるいはその逆も成り立つため、生活インフラが一度に止まる可能性を下げることができます。

一方で、オール電化はエネルギー源を電気に一本化することで、設備構成と管理を極力シンプルにする考え方です。
ガス配管や燃料管理が不要になり、設備の種類や点検内容も整理しやすくなります。
ただし、その分、電力への依存度が高まり、停電時や電力供給に問題が起きた際の影響は大きくなります。

また、使い勝手の面でも違いが出ます。
ガス併用では、瞬間的な高出力が必要な調理や給湯をガスが担うため、使用感に安定感を求める人に向いています。
オール電化は、時間帯や使い方を工夫しながら電気を使う設計になるため、生活リズムを設備に合わせる発想が求められます。

重要なのは、「将来の選択肢をどれだけ残したいか」という視点です。
ガス併用は、設備更新時に別のエネルギーへ切り替えやすい柔軟性があります。
一方、オール電化は一度方向性を決めると、将来的な変更にコストや工事が伴いやすくなります。

つまり、

  • 安定性・柔軟性・分散を重視するならガス併用
  • 管理のシンプルさ・電気中心の設計を重視するならオール電化

という考え方になります。
どちらが正解かではなく、どちらの思想が自分の暮らしに合っているかを見極めることが、後悔しない判断につながるといえるでしょう。


オール電化を選ぶ前に整理したいポイント

外に設置されているエコキュートとヒートポンプユニットの画像

オール電化は、一度導入すると簡単に方向転換できる設備仕様です。
そのため、「なんとなく良さそう」「流行っているから」という印象だけで決めてしまうと、住み始めてから違和感や後悔が生じやすくなります。
導入前に、最低限整理しておきたい視点があります。

停電時の代替手段はあるか

オール電化では、電気が止まると生活に必要な設備が同時に使えなくなる可能性があります。
短時間の停電で済むのか、長時間を想定するのかによって、必要な備えは変わります。
非常用電源、蓄電池、カセットコンロなど、「使えなくなったときにどうするか」を具体的に想定できているかが重要です。
想定が曖昧なままだと、非常時の不安がそのままデメリットとして残り続けます。

住宅の断熱・気密性能は十分か

オール電化の快適性やコストは、住宅性能に大きく左右されます。
断熱・気密が不十分な住宅では、暖房や給湯の負荷が増え、電力消費が想定以上に膨らみやすくなります。
設備だけを最新にしても、住まい全体の性能が追いついていなければ、メリットは十分に活かせません。
設備と住宅性能を切り離して考えていないかは、必ず確認しておきたいポイントです。

初期費用と10年以上の運用を両方見ているか

オール電化は、初期費用が高くなりやすい一方で、使い方次第ではランニングコストを抑えられる可能性もあります。しかし、どちらか一方だけを見て判断すると、全体像を見誤りやすくなります。
導入時の費用だけでなく、10年、15年と使い続けた場合にどうなるかをイメージできているかが重要です。
設備更新のタイミングや、将来のライフスタイル変化まで含めて考えることで、判断の精度は大きく上がります。

これらの視点を整理せずに、「光熱費が安そう」「安全そう」といったイメージだけで選んでしまうと、暮らし始めてからギャップを感じやすくなります。
オール電化は設備の問題ではなく、暮らし方そのものをどう設計するかの選択です。
その前提を押さえておくことが、後悔しない判断につながります。


FAQ

Q1. オール電化にすると必ず光熱費は安くなりますか?
A. 必ず安くなるわけではありません。夜間電力や太陽光発電を活用できる環境ではメリットが出やすい一方、暖房負荷が大きい住宅や使い方によっては、電気代が高く感じるケースもあります。住宅性能と生活リズムによって結果は変わります。

Q2. 停電した場合、オール電化住宅は何も使えなくなりますか?
A. 電気が止まると、給湯・調理・暖房が同時に使えなくなる可能性があります。非常用電源やカセットコンロなどの代替手段を用意していない場合、不便さを強く感じやすくなります。

Q3. 寒い地域でもオール電化は問題ありませんか?
A. 断熱・気密性能が高い住宅であれば問題なく使えるケースもあります。ただし、暖房負荷が大きい環境では電力使用量が増えやすく、想定以上の電気代につながることがあるため、慎重な検討が必要です。

Q4. ガス併用と比べて、オール電化の一番の違いは何ですか?
A. 最大の違いは、エネルギーを電気に集約するか、電気とガスで分散するかという考え方です。オール電化は管理がシンプルになる一方、ガス併用はリスク分散や柔軟性を確保しやすい特徴があります。

Q5. オール電化は途中でガス併用に戻せますか?
A. 可能ではありますが、ガス配管の新設や設備工事が必要になり、費用や手間がかかるケースが多いです。将来の変更を想定している場合は、導入前に方向性をよく考えておくことが重要です。

まとめ:オール電化はライフスタイルとリスクの考慮が必要

太陽光パネルを屋根に設置したオール電化住宅の外観で、庭に面した一戸建ての前に電気自動車の充電設備があり、室内では家族が電化製品を使って生活している様子が描かれている。

オール電化は、条件が合えば非常に合理的で、暮らしをシンプルにできる住宅仕様です。
エネルギーを電気に集約することで、安全性や管理のしやすさといった明確なメリットを得られる一方で、電力への依存度が高まるという特性も併せ持っています。
そのため、すべての家庭にとって万能な選択肢というわけではありません。

重要なのは、給湯器やコンロといった設備単体の性能やイメージだけで判断しないことです。
住宅の断熱性能、地域の気候、家族構成、生活リズム、そして非常時への備えまで含めて、「住まい全体」と「暮らし方」をセットで考える必要があります。
ここを切り離してしまうと、期待していたメリットが十分に活かせず、逆に不満だけが残ってしまうケースも少なくありません。

また、オール電化かガス併用かは、正解・不正解で決めるものではなく、どのリスクを許容し、どの利便性を重視するかの選択です。
管理のシンプルさを取るのか、エネルギーの分散による安心感を取るのか。その優先順位は家庭ごとに異なります。

導入を検討する際は、メリットだけでなくデメリットにも目を向けたうえで、「自分たちの生活に本当に合っているか」「10年後も納得して使い続けられるか」を冷静に考えることが大切です。
その視点を持って選ぶことができれば、オール電化は後悔のない、納得感の高い選択肢になり得るでしょう。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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