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【2026年度版】原油高騰でガス代はどうなる?家庭への影響と今すぐできる節約対策

ガスコンロのバーナーから青い炎が出ている様子を近くから撮影した写真
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

ニュースで原油が急騰しているけど、うちのガス代は大丈夫なの?
 ガソリンはすぐ上がるのに、ガス代はなぜ遅れて上がるの?

2026年3月、中東情勢の緊迫化を受けてWTI原油が一時1バレル80ドル台を突破しました。
ガソリン価格が値上がりするなか、次に家計を直撃するのがガス代なのかどうか、不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では住宅設備の専門家監修のもと、都市ガス(LNG)とLPガス(プロパンガス)それぞれへの影響のメカニズムを正確に解説します。
結論を先に申し上げると、都市ガスはLPガスに比べて夏以降の料金上昇リスクが大きい状況です。
ただし「今すぐ供給が止まる」わけではなく、短期的な在庫は確保されています。
LPガスは供給面への直接影響はほぼありませんが、CP価格が原油と連動する傾向があるため、価格面では一定の影響が及ぶ可能性があります。
その理由を以下で詳しく解説しますので、ぜひご参考ください。


プロパンガスを使用している方へ〜物価高の今こそ見直しをしませんか?

プロパンガスは自由料金制のため、ガス代は「使い方」だけでなく、契約しているガス会社の単価によっても大きく変わります。

同じ給湯器・同じ使い方でも、会社ごとの料金差によって毎月のガス代に差が出ることは珍しくありません。

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目次

2026年3月・原油急騰と中東情勢の現状

2026年2月末、中東情勢の緊迫化によりWTI原油先物価格は一時1バレル80ドル台を超えました。
世界の原油輸送の要所であるホルムズ海峡周辺の安全保障への懸念が高まったことが主な要因です。

今回の事態でエネルギー市場に大きな衝撃を与えたのが、世界第2位のLNG輸出国であるカタールの生産停止です。
カタールエナジーは2026年3月2日、自社のLNG操業施設が軍事攻撃を受けたことによりLNG生産を停止すると発表し、3月4日にはフォースマジュール(不可抗力条項)を宣言しました。
カタールの年間LNG輸出量は約8,000万トンと、世界シェアの約20%を占める巨大な供給源です。

これを受けてアジアのLNGスポット取引価格(JKM)は、2月27日時点の11.06ドル/mmBtuから3月9日には24.80ドル/mmBtuへと急騰しました(出典:資源エネルギー庁、2026年3月10日)。

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品目価格への反映タイミング今回の中東情勢の影響
ガソリン約1週間大きい(原油と直接連動)
灯油約1〜2週間大きい(原油と直接連動)
都市ガス(LNG)3〜4か月後短期在庫は確保。ただし夏以降の料金上昇リスクあり(スポット高騰+原油リンク)
LPガス2〜3か月後供給影響はほぼなし。ただしCP価格が原油連動のため価格影響あり
電気代3〜4か月後都市ガスと同様の上昇リスクあり(LNG価格連動)

ポイント 都市ガスは短期的な供給は確保されていますが、夏以降の料金上昇リスクはLPガスより大きい状況です。LPガスは供給ルートへの直接影響はほぼありませんが、CP価格が原油と連動する傾向があるため、原油高騰が続けば価格面での影響も見込まれます。


都市ガス(LNG)への影響――短期は安定も、夏以降の料金上昇リスクあり

ガスコンロのバーナーから青い炎が出ている様子を撮影した写真

短期的な供給は確保されているが、楽観視はできない

日本のLNG輸入先(2025年実績)は以下の通りです。

輸入先比率
オーストラリア約40%
マレーシア約15%
ロシア約9%
アメリカ約9%
カタール約5%
UAE約1%
オマーン(ホルムズ海峡外)約5%
その他約16%

※出典:ジェトロ(2026年3月)、財務省貿易統計

ホルムズ海峡を通過するLNGが日本の輸入に占める割合は、カタール(約5%)とUAE(約1%)の合計で約6%にとどまります。
経済産業省は2026年3月10日時点で「短期的に電力・ガスの安定供給に支障をきたす状況にはない」と説明しており、日本のLNG在庫も安定した水準を維持しています。

ただし、楽観視はできません。
カタールは世界LNG供給の約20%を占める巨大な輸出国であり、カタールのエネルギー相は輸出能力の17%が停止し、修復に3〜5年を要すると明らかにしています。
カタールのLNGを長期契約で購入していた韓国・台湾・欧州などが不足分をスポット市場で代替調達すれば、世界のスポット価格がさらに上昇し、日本のスポット調達コストにも跳ね返ってきます。

また、LNGは原油と異なりホルムズ海峡を迂回できる輸送ルートがほぼ存在しないため、事態の長期化は影響を広げるリスクがあります。

長期契約の約8割が原油価格連動

日本のLNG輸入の約8割を占める長期契約の多くは、日本向け原油輸入平均価格(JCC)に連動した価格設定となっています。
今回の原油高騰は、この契約を通じて3〜4か月のタイムラグをおいてLNG輸入価格を押し上げます。

まとめると都市ガスは、スポット価格の上昇リスクと原油リンク契約の値上がりという二重の上昇圧力を受けうる構造です。
料金への反映は原料費調整制度を通じて夏以降になる見込みですが、情勢の長期化によっては影響が大きくなる可能性があります。

ポイント 「今すぐ供給が止まる」わけではありませんが、「夏以降の料金上昇リスクがある」のは都市ガスの方がLPガスより大きいといえます。在庫状況や補助金動向とあわせて、資源エネルギー庁の公式情報を引き続き確認しましょう。


LPガスへの影響――供給は安定も価格は注視が必要

調達先の約95%は中東以外――供給面のリスクは低い

LPガス(プロパンガス)の日本への輸入先は以下の通りです。

輸入先比率(目安)
北米(アメリカ・カナダ)約80%
オーストラリア約15%
中東・その他約5%

日本のLPガス輸入の約95%は中東以外(北米・豪州)から調達されています。
ホルムズ海峡の問題が日本のLPガスの供給ルートに直接影響するリスクは極めて低く、この点は都市ガス(LNG)とは大きく異なります。

CP価格は原油と連動――価格面では影響が出る可能性

一方、LPガスの国際的な価格指標は、サウジアラムコが毎月発表するCP価格(Contract Price)です。
CP価格はLPガス固有の需給・市況をもとに設定されますが、原油価格の動向とも連動する傾向があります
原油価格が上昇すれば、CP価格も上昇圧力を受ける可能性があります。

つまりLPガスは、「供給ルートへの直接的な影響はほぼない」一方で、「原油高騰がCP価格を通じて価格に波及する可能性はある」という構造です。
都市ガスのようなスポット価格急騰の影響は受けませんが、原油高騰が長期化した場合にはCP価格経由で家庭のLPガス料金にも一定の影響が及ぶ点は念頭に置いておく必要があります。

LPガスの「エネルギー安全保障上の強み」

政府が策定した第7次エネルギー基本計画でも、LPガスは災害時にも活用できる「分散型エネルギー」として位置づけられています。
パイプラインに依存しないボンベ配送という供給方式のため、大規模災害時でも比較的早期に供給を再開しやすいという強みがあります。


ガス代に原油高が反映される「原料費調整制度」とは

海上を航行する大型タンカー船を正面から捉えた写真

都市ガスの料金は原料費調整制度により、過去3か月間の平均LNG輸入コストをもとに毎月自動調整されます。

流れを簡単にまとめると、「輸入コストの変動確認 → 基準価格との差額計算 → 1㎥あたりの調整額を決定 → 翌月以降の料金に反映」となります。
今月のLNG価格変動が家庭のガス代に反映されるのは3〜4か月後が目安でしょう。

ポイント 2026年3月時点でのLNG価格急騰の影響が都市ガス料金に反映され始めるのは、早くても2026年夏ごろから。「今すぐ値上がりする」わけではありませんが、夏以降の請求書には注意が必要です。


政府の補助金・家計への影響

政府は2026年2〜4月検針分を対象に「電気・ガス料金支援」の補助金を適用中で、現時点ではガス代の上昇幅が抑制されています。5月以降の継続については2026年3月時点で確定していません。

補助金が終了するタイミングと、LNG価格急騰が原料費調整制度に反映されるタイミングが重なると、都市ガス利用世帯は夏以降に二重の値上がり圧力を受ける可能性があります。
資源エネルギー庁の公式サイトで補助金の最新動向を確認しておくことをおすすめします。


過去の原油高騰時、ガス代はどう変わった?

ウクライナの地図で東部地域が色分けされている地政学の解説図

参考として、近年の主な価格変動を振り返ります。

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時期主な出来事都市ガス月額(全国平均)
2021年1月コロナ禍低水準約5,876円
2023年1月ウクライナ侵攻後の高騰ピーク約8,904円
2025年4月補助金適用後約7,612円

※出典:総務省「小売物価統計調査」(補助金を含む実勢価格)

2022年のウクライナ侵攻時もLNGのスポット価格が世界的に急騰し、都市ガス料金は約1.5倍にまで跳ね上がりました。
今回のカタール生産停止は世界LNG供給の約20%に相当しており、スポット市場への影響という意味では類似した構図があります。
在庫水準・補助金・供給先の多様化など複数の緩衝要素があるため影響の大きさは今後の情勢次第ですが、楽観視はできない状況です。


今から備える!ガス代を抑えるための節約対策

電気料金の明細書を斜めから撮影した請求書のクローズアップ写真

都市ガス利用世帯は今後の値上がりに備えて、今からできる対策を講じておくことが重要です。

給湯器まわりを見直す(最も効果大)

家庭のガス消費の約5〜7割は給湯(お湯)です。まずここから手をつけるのが最も効率的です。

  • 給湯温度を下げる:夏場は40℃に設定するだけで燃料消費量が減ります
  • シャワーの時間を短縮する:1分短縮するだけで月数十円〜百円程度の節約効果
  • 風呂フタを活用する:湯温の低下を防ぎ、追い焚き回数を抑えられます

調理面では、バーナーにフィットしたサイズの鍋を使う・少量の湯沸かしは電気ケトルを活用するといった工夫でもガス消費を抑えられます。

エコジョーズへの交換を検討する

給湯器の交換時期(目安10〜15年)を迎えているご家庭には、高効率給湯器「エコジョーズ」への交換が中長期的な節約策として有効です。
従来型と比べて年間のガス代を10〜15%程度削減できる可能性があります。
交換は必ず資格を持つ専門業者に依頼してください。

請求書の「原料費調整額」を毎月確認する

毎月の請求書(または検針票)の「原料費調整額」を確認することで、LNG価格の変化が自分の家計にどの程度影響しているか把握できます。
東京ガス・大阪ガスなどのマイページでも月ごとの明細を確認できます。
夏以降の数値の変化に特に注目しておきましょう。

LPガスをお使いの方は今回は様子見でOK

LPガスは供給ルートへの直接影響はほぼありませんが、CP価格が原油と連動するため、原油高騰が続く場合には価格面での影響が及ぶ可能性があります。
ただしLPガスは自由料金制のため、ガス会社によって単価に差があります。
日本LPガス協会のHPやエネピのようなガス料金の無料比較サービスを活用して、地域の相場と現在の料金を定期的に比べてみることは引き続き有効でしょう。


よくある質問(Q&A)

Q. 今回の中東情勢で、都市ガス代はいつ上がりますか?

経済産業省は「短期的に安定供給に支障をきたす状況にはない」と説明しており、日本のLNG在庫は一定水準を確保しています。ただしカタールのLNG生産停止によりスポット価格は急騰しており、原料費調整制度を通じて早くても3〜4か月後(2026年夏ごろ)から料金に反映される見込みです。補助金が5月以降も延長されない場合、値上がり感がさらに大きくなる可能性があります。

Q. LPガスの料金も上がりますか?

日本のLPガス輸入の約80%は北米から、約15%はオーストラリアから調達されており、供給ルートへの直接的な影響はほぼありません。ただし、LPガスの価格指標であるCP価格はサウジアラムコが発表するもので原油価格と連動する傾向があります。原油高騰が続けばCP価格経由でLPガス料金にも影響が及ぶ可能性があるため、価格動向は引き続き注視が必要です。

Q. LPガスのガス代を抑えるには会社を変えた方がいいですか?

LPガスは自由料金制のため、ガス会社によって単価に大きな差があります。日本LPガス協会のHPや比較サービスを活用して、同地域の相場と自分の料金を比べてみることをおすすめします。切り替え前は解約手数料の有無と供給エリアの確認を忘れずに。

Q. エコジョーズに換えれば値上がりの影響を受けにくくなりますか?

ガスの使用量そのものを減らすことで、価格上昇時の請求額の増加幅を抑える効果があります。エコジョーズはガス消費量を10〜15%程度削減できる可能性があるため、特に都市ガス利用世帯の中長期的な対策として有効です。ただし機器代・工事費の初期投資を回収するには数年かかる場合があります。

Q. 補助金はいつまで続きますか?

2026年3月現在、「電気・ガス料金支援」は2〜4月検針分まで適用中です。5月以降は未定のため、資源エネルギー庁の公式サイトや各ガス会社のお知らせでご確認ください。


原油高騰が家計全体に波及するまでの流れ

原油高騰・LNG価格急騰の影響はガス代だけにとどまりません。品目ごとにタイミングが異なります。

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項目影響が出るタイミング今回の影響度
ガソリン・灯油約1〜2週間大きい(原油と直接連動)
電気代3〜4か月後大きい(LNG価格急騰の影響)
都市ガス3〜4か月後大きい(LNG価格急騰の影響)
LPガス2〜3か月後供給影響はほぼなし。CP価格経由で価格影響あり
食品・日用品半年程度後物流コスト経由で間接的に上昇

灯油をお使いのご家庭(石油ファンヒーター・灯油ボイラー等)では、ガソリンと同様に比較的早く価格が動くため注意が必要です。
価格高騰前の計画的な購入も一つの手ですが、灯油の保管は変質・火災リスクがあるため1シーズン以内を目安にしてください。


まとめ:都市ガスは要注意、LPガスは比較的安心

今回の原油高騰・LNG価格急騰がガス代に与える影響について、重要なポイントをまとめます。

まとめのポイント内容
都市ガスへの影響短期在庫は安定。夏以降は料金上昇リスクあり(スポット高騰+原油リンクの二重圧力)
LPガスへの影響供給面はほぼなし(輸入の約95%が中東以外)。CP価格が原油連動のため価格面では影響あり
影響が出るタイミング3〜4か月後(原料費調整制度のため)。夏以降の請求書に注目
すぐにできる節約(都市ガス)給湯温度調整・追い焚き抑制・シャワー短縮
中長期の対策(都市ガス)エコジョーズへの交換
LPガス利用者の対応供給は安定。ただしCP価格経由の価格影響は注視。定期的な料金比較も有効
情報収集の要点補助金動向と原料費調整額の月次確認

都市ガスをお使いの方は、夏以降の請求書で「原料費調整額」の変化を注視してください。
LPガスをお使いの方は、今回の中東情勢については過度に心配する必要はありませんが、ガス会社ごとの料金差は別の問題として定期的に確認しておくと安心です。

資源エネルギー庁の公式サイトや各ガス会社のお知らせで最新情報を定期的にチェックしておきましょう。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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