「IHコンロには据え置き型があると聞いたけれど、ビルトインや卓上とどう違うの?」
「今のガスコンロの場所にそのまま置き換えられるって本当?」
そんな疑問をお持ちの方に向けて、この記事では据え置き型IHコンロとは何かを、他のタイプとの違いから選び方まで整理して解説します。
結論からお伝えすると、据え置き型IHコンロとは、キッチンの調理台(天板)の上に置いて固定的に使うタイプのIHクッキングヒーターです。
システムキッチンに埋め込むビルトイン型と、食卓でも使える持ち運び前提の卓上型のちょうど中間にあたり、ガスコンロ(ガステーブル)を置いていた場所に置き換えやすいのが大きな特徴です。
まずは3タイプの位置づけから見ていきましょう。
IHコンロの据え置き型とは?基本を整理

IHコンロ(IHクッキングヒーター)は、設置のしかたによって大きく3つのタイプに分かれます。
その中で据え置き型は、コンロを置くスペースにそのまま設置して使う「置き型で固定して使う」タイプを指します。
ガスのガステーブル(据え置きコンロ)をイメージすると分かりやすく、キッチンのコンロ台の上に本体を置いて使います。
ビルトイン型のようにキッチンの天板をくり抜いて埋め込む工事は不要で、既存のコンロスペースを活かして設置できます。
一方で、卓上型のように普段は片づけて食卓へ持ち運ぶ使い方は想定されていません。
「キッチンの決まった場所に据えて、毎日のメインの調理に使う」——これが据え置き型の基本的な使われ方です。
据え置き型のヒーター数(口数)は2口タイプが中心で、1口や3口のモデルもあります。
魚焼きグリルが付いたモデルと、グリルなしで薄型のモデルがあり、グリル付きは火力が強めの機種が多い傾向です。
ビルトイン・据え置き・卓上の違いを比較

IHコンロの3タイプは、設置方法・電源・口数・工事の要否がそれぞれ異なります。
まずは全体像を表で確認しましょう。
| 項目 | ビルトイン型 | 据え置き型 | 卓上型 |
|---|---|---|---|
| 設置方法 | システムキッチンに埋め込む | コンロ台に置いて設置 | 台や食卓に置く |
| 主な電源 | ほぼ200V | 100Vと200Vの両方あり | ほぼ100V |
| 口数 | 2〜3口が中心 | 2口が中心 | 1口が中心 |
| 電気工事 | 必要(200V回路) | 200Vは必要/100Vは不要 | 不要(コンセントに挿すだけ) |
| 持ち運び | 不可(固定) | 基本は固定 | 可能 |
| 天板とのすき間 | ない(一体) | できる(本体を置くため) | ―(独立) |
据え置き型は、ビルトイン型ほど工事が大がかりではなく、卓上型よりもしっかり調理できる中間的な立ち位置にあります。
「工事の負担は抑えたいが、卓上では物足りない」という場合に候補になりやすいタイプです。
なお、ビルトイン型への交換を具体的に検討している場合は、工事の流れや費用を別記事で詳しく解説しています。
あわせてビルトインIHコンロの交換ガイド|費用相場・工事の流れ・選び方とはもご覧ください。
据え置き型の電源|100Vと200Vの2種類がある

据え置き型を理解するうえで最も重要なのが、電源が100Vと200Vの2種類に分かれるという点です。
ここを取り違えると「買ったのに設置できない」ことにもなりかねないため、購入前に必ず確認しましょう。
パナソニックの据え置き型IHでも、100V用の鍋・200V用の鍋という区別が案内されており、据え置き型に100Vタイプと200Vタイプの両方が存在することが分かります。
100Vタイプ|工事不要で手軽だが火力は控えめ
100Vタイプは、一般家庭のコンセントに挿すだけで使える工事不要のタイプです。
賃貸住宅で電気工事ができない場合や、まずは手軽にIHを試したい場合に向いています。
ただし火力は200Vに比べて控えめで、強火で一気に加熱したい調理では物足りなさを感じることがあります。
また機種によっては、2口を同時にフルパワーで使えず、片方を使うともう片方の火力が制限される仕様のものもあります。
「2口同時に強火」を前提にする場合は、購入前に仕様欄で同時使用の条件を確認しておくと安心です。
工事の手間がなく本体価格も抑えやすいため、単身世帯やサブコンロ用途では100Vタイプが選ばれることが多いです。
200Vタイプ|高火力だが電気工事が必要
200Vタイプは、ガスコンロに近い高火力で調理できるのが最大の魅力です。
ビルトイン型と同等の火力を持つモデルも多く、炒め物や揚げ物もしっかりこなせます。
ただし、200Vタイプを使うには専用の電気工事が必要です。
具体的には、分電盤に200V専用回路を増設し、キッチンまで配線を伸ばして専用コンセントを設置する工事が求められます。
この200Vの電気工事は電気工事士の資格が必要な作業であり、自分で行うことはできません。
無資格の工事は法令違反となるだけでなく、感電・発火の危険があるため、必ず有資格の業者に依頼してください。
200V工事で確認すべきポイント
200Vタイプを導入する際は、次の点を事前に確認しておく必要があります。
戸建てかマンションか、既存の配線状況によって工事の内容と費用が変わります。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 配線方式 | 200Vを使うには「単相3線式」配線が必要。「単相2線式」の場合は電力会社への切替工事が必要 |
| ブレーカー容量 | アンペアブレーカーが50A未満の場合は交換が必要になることがある |
| 専用回路の空き | 分電盤に200V専用回路の空きがない場合は回路の増設が必要 |
| アース工事 | 感電防止のためD種接地工事が必要 |
これらは電気の専門知識が必要な判断のため、実際に設置できるかどうかは、購入前に電気工事店へ現地確認を依頼するのが確実です。
なお、すでにビルトインまたは据え置きの200V IHを使っている家庭では、同じ200Vコンセントを流用できることが多く、本体の入れ替えだけで済むケースもあります。
一方で、ガスコンロから初めてIHに替える場合は、上記の200V工事が新たに必要になる点に注意してください。
据え置き型のメリット・デメリット

据え置き型には、他のタイプにはない使い勝手の良さと、置き型ならではの弱点があります。
導入前に両面を把握しておきましょう。
メリット
- 既存のコンロスペースに置き換えやすい(ガステーブルからの入れ替えがイメージしやすい)
- ビルトイン型のような天板のくり抜き工事が不要
- 100Vタイプなら電気工事なしで導入できる
- ビルトイン型より本体価格を抑えやすい傾向がある
- 故障・買い替え時に本体だけを比較的簡単に交換しやすい
デメリット
- 本体を「置く」構造のため、天板とキッチンの間にすき間ができ、食材カスやホコリがたまりやすい
- ビルトイン型に比べると見た目の一体感は劣る
- 200Vタイプは結局電気工事が必要になる
- 卓上型のように気軽に片づけたり持ち運んだりはできない
すき間の汚れは、据え置き型を選ぶうえで見落とされがちなポイントです。
すき間を埋めるフィルターやカバーを使うと、掃除の手間を減らせます。
こんな人に向いている|タイプ選びの判断基準

どのタイプが合うかは、住まいの状況と調理スタイルで決まります。
迷ったときの目安を整理しました。
| 状況・希望 | 向いているタイプ |
|---|---|
| 賃貸で電気工事ができない/単身でサブ的に使う | 100Vの据え置き型、または卓上型 |
| 今のガスコンロ(据え置き)を同じ場所でIHにしたい | 200Vの据え置き型 |
| システムキッチンで見た目の一体感を重視したい | ビルトイン型 |
| 火力を最優先したい・毎日しっかり料理する | 200Vの据え置き型、またはビルトイン型 |
| とにかく手軽に安く試したい | 100Vの卓上型・据え置き型 |
ポイントは、「電気工事ができる環境か」と「求める火力」の2軸で絞り込むことです。
工事ができないなら100V、火力を重視できる環境なら200Vという判断が、最もシンプルで失敗が少なくなります。
✅ ポイント
・工事不可(賃貸など)+手軽さ重視 → 100Vタイプ
・工事可能+火力重視 → 200Vタイプ
・見た目の一体感重視 → ビルトイン型を検討
据え置き型IHの選び方3つのポイント
機種を選ぶときは、次の4点を順番にチェックすると迷いにくくなります。
① 電圧(100V/200V)
最初に決めるべきは電圧です。
設置場所に200Vが用意できるか、工事が可能かをまず確認し、それに合わせて100Vか200Vかを選びます。
ここが決まらないと機種は絞り込めません。
② 口数(1口・2口・3口)
据え置き型は2口が中心です。
一人暮らしや調理が簡単な場合は1口でも足りますが、汁物と炒め物を同時に作るなら2口以上が快適です。
③ グリルの有無
魚焼きグリルが付いていると、焼き魚やトースト、揚げ物の温め直しなどに幅広く使えます。
グリルなしのモデルは薄型で価格も抑えやすいため、グリルを使わない人はグリルなしを選ぶと無駄がありません。
以上を踏まえて機種を選ぶと、購入後の「思っていたのと違う」を防ぎやすくなります。
IH対応の鍋を持っていない場合は、本体と合わせて用意しておくとスムーズに使い始められます。
据え置き型IHの費用の目安(本体・工事)
据え置き型を導入する費用は、「本体価格」と「電気工事費」の2つに分けて考えると整理しやすくなります。
とくに100Vか200Vかで、工事費の有無が大きく変わります。
本体価格の目安
本体価格は、電圧・口数・グリルの有無・天板の幅によって幅があります。
工事不要の100Vタイプは比較的手頃な価格帯から選べ、まず試したい人にも導入しやすいのが特徴です。
一方、200Vでグリル付き・高火力といった高機能なモデルになるほど、本体価格は上がる傾向があります。
具体的な販売価格はモデルや販売店、時期によって変動します。
そのため、目星をつけた機種の最新価格を購入前に確認しておくと、予算を立てやすくなります。
電気工事費の考え方
100Vタイプは工事が不要なため、基本的に本体価格だけで導入できます。
200Vタイプの場合は、これに電気工事費が加わります。
電気工事費は既存の配線状況によって大きく変わる点に注意が必要です。
すでに200Vが引き込まれている戸建てなら屋内配線とコンセント増設だけで済むことが多い一方、単相2線式配線の場合は単相3線式への切替や分電盤の取り替えが必要になり、費用が上がります。
このように工事費は現場条件で変動し、電気工事士の資格が必要な作業でもあるため、正確な金額は販売店や電気工事店の見積もりで確認するのが確実です。
本サイトは情報メディアのため見積もりの受付は行っていませんが、複数社に相見積もりを取ると相場感をつかみやすくなります。
ガスコンロから据え置き型IHに替えるときの流れ

現在ガスコンロを使っていて据え置き型IHへの置き換えを考えている場合、大まかな流れを知っておくと準備がスムーズです。
特に200Vタイプにする場合は、電気工事とガスの処理が関わります。
- 設置スペースの寸法(幅・奥行き・高さ)を測る
- 200Vが使えるか・電気工事が可能かを確認する(賃貸は事前に管理会社へ相談)
- 100V/200Vと機種(口数・グリル・幅)を選ぶ
- ガスの閉栓・ガス機器の撤去を手配する
- 200Vタイプなら電気工事を行う(有資格者が施工)
- 本体を設置し、動作を確認する
このうち、ガスの閉栓・ガス管の処理と、200Vの電気工事は、いずれも専門の資格が必要な作業です。
ガスの閉栓はガス会社や有資格の業者へ、電気工事は電気工事店へ依頼してください。
なお、賃貸住宅の場合は、退去時に原状回復(ガスコンロへの戻し)を求められることがあります。
工事を伴う変更は、契約内容を確認し、管理会社や大家に相談してから進めると安心です。
据え置き型IHを使うときの注意点

導入後に気をつけたい点も押さえておきましょう。
安全と使い勝手の両面で、次のポイントが重要です。
対応する鍋を使う
IHは鍋底の材質と形状によって使える・使えないが分かれます。
底が平らな鉄・ステンレスなどのIH対応鍋を使うのが基本で、対応表示のない鍋は加熱できないことがあります。
IHの加熱の仕組みや使える鍋の条件は、IHコンロの仕組みをやさしく解説|加熱の原理と使える鍋の条件とはで詳しく解説しています。
すき間の汚れをためない
前述のとおり、据え置き型は本体とキッチンの間にすき間ができます。
食材カスや油がたまると掃除が大変になるため、こまめに拭き取るかすき間ガードを使うと清潔を保ちやすくなります。
電気代の目安を知っておく
IHはガスと燃料が異なるため、光熱費の内訳も変わります。
どのくらいの電気代になるかは使用時間や火力で変わるため、目安を知っておくと安心です。
具体的な計算はIHコンロの電気代はいくら?1時間・1回・1ヶ月の目安と節約のコツにまとめています。
停電時は使えない
IHは電気で動くため、停電時には使用できません。
災害時などに備えて、カセットコンロを1台用意しておくと、停電しても最低限の調理ができて安心です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 据え置き型IHはガスコンロの場所にそのまま置けますか?
据え置き型は、ガステーブル(据え置きガスコンロ)を置いていたスペースに設置しやすいタイプです。ただし、そのまま「置くだけ」で使えるのは電源条件が整っている場合に限られます。ガスから初めてIHに替える場合は、ガスの閉栓に加えて200V電源の工事(200Vタイプの場合)が必要になることが多いため、設置スペースの幅・奥行きと電源の両方を事前に確認しましょう。
Q2. 100Vと200Vの据え置き型はどちらを選べばいいですか?
電気工事ができない賃貸や、サブコンロとして手軽に使いたい場合は工事不要の100Vタイプが向いています。一方、毎日しっかり料理をして火力を重視したい場合や、ガスコンロと同等の使い心地を求める場合は200Vタイプがおすすめです。ただし200Vは電気工事が前提になるため、設置環境が対応しているかを先に確認してください。
Q3. 据え置き型の電気工事は自分でできますか?
200Vの回路増設やコンセント設置は、電気工事士の資格が必要な作業のため、自分で行うことはできません。無資格での工事は法令違反にあたるうえ、感電や発火の危険もあります。必ず有資格の電気工事業者に依頼してください。100Vタイプであればコンセントに挿すだけで使えるため、工事は不要です。
Q4. 据え置き型とビルトイン型はどちらが掃除しやすいですか?
天板そのもののお手入れはどちらも拭くだけで済み大きな差はありませんが、据え置き型は本体とキッチンの間にすき間ができるため、そこに汚れがたまりやすい点が異なります。ビルトイン型はキッチンと一体化しているためすき間の汚れは生じにくい一方、導入には埋め込み工事が必要です。据え置き型を使う場合は、すき間ガードの活用やこまめな拭き取りで清潔を保ちやすくなります。
Q5. 据え置き型IHの寿命はどのくらいですか?
IHクッキングヒーターは、メーカーが想定する設計上の使用年数がおおよそ10年程度とされることが多い機器です。使用頻度や使い方によって前後しますが、加熱が不安定になる・エラーが頻発するといった症状が出たら買い替えを検討する時期の目安です。寿命のサインや長持ちのコツは別記事で詳しく解説しています。
まとめ
据え置き型IHコンロとは、キッチンのコンロスペースに置いて固定的に使うタイプのIHクッキングヒーターで、ビルトイン型と卓上型の中間的な立ち位置にあります。
最大のポイントは、電源が100Vと200Vの2種類に分かれることです。
100Vタイプは工事不要で手軽ですが火力は控えめ、200Vタイプは高火力な代わりに電気工事士による電気工事が必要になります。
サイズは幅60cmが基本で、設置スペースに合わせて選びます。
タイプ選びで迷ったら、「電気工事ができる環境か」と「求める火力」の2軸で絞り込むのが確実です。
まずは設置スペースの寸法と電源の状況を確認し、自分の住まいと調理スタイルに合った1台を選んでいきましょう。

