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夏のエアコン設定温度は何度?28℃の正しい意味と熱中症対策

夏のエアコン設定温度は何度が適切か、28℃の意味と熱中症対策を解説するサムネイル画像
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

夏になると必ず話題になる「エアコンは28℃」という数字に、どこか納得できないものを感じていませんか。
28℃に設定してみたものの部屋がまったく涼しくならず、汗をかきながら「これで本当に体に悪くないのだろうか」と不安になった方も多いはずです。
実はこの28℃という数字は、エアコンのリモコンに入力する設定温度のことではありません。
意味を取り違えたまま我慢を続けると、電気代が下がらないどころか、室内での熱中症リスクを高めてしまうことすらあります。
この記事では、28℃という数字が本来何を指しているのかを整理したうえで、実際にリモコンで何度に合わせればよいのか、湿度や部屋の条件による調整、そして室内で熱中症を防ぐための具体的な判断基準までを解説します。

目次

結論:リモコンは26〜27℃前後、「28℃」は室温の上限の目安

先に結論からお伝えします。
「28℃」は冷房の設定温度ではなく、部屋の温度(室温)の目安として示されている数字です。
環境省がクールビズで呼びかけているのは「室温28℃を目安に、無理のない範囲で冷やしすぎない」ということであり、リモコンを28℃に固定しなさいという意味ではありません。

そして、多くの住宅ではエアコンを28℃に設定しても室温は28℃になりません。
日射・断熱性能・在室人数・家電の発熱といった条件によって、室温は設定温度より高くも低くもなるためです。
結果として、室温28℃以下を実現するための設定温度は、多くの一般的な住宅で26〜27℃前後になることが多いと考えておくと現実的です。

この記事の要点

  • 28℃は「室温の目安」であり、設定温度の指示ではない
  • 設定温度28℃では室温が28℃を超える部屋が珍しくない
  • 判断の基準にすべきは室温と湿度であり、リモコンの数字ではない
  • 室内での熱中症は統計上もっとも多く、我慢する設定は危険

なお、環境省自身も「28℃」はあくまで目安であり、外気温・湿度・建物の状況・体調を考慮して無理のない範囲で管理してほしいという趣旨を明示しています。

📎 出典:環境省 デコ活「クールビズ/COOLBIZ」

「28℃」という数字はどこから来たのか

クールビズが示しているのは「室温」

クールビズは2005年に始まった取り組みで、冷房時の室温を28℃程度に保ちながら快適に過ごせるよう、軽装などのライフスタイルを促すものです。
ここで一貫して使われている言葉は「室温」であり、「エアコンの設定温度」ではありません。
つまり、部屋の温度計が28℃を指していれば目的は達成されており、そのためにリモコンを何度にするかは各家庭の条件に委ねられている、という構造になっています。

この点が広く誤解されたまま定着したのは、「28℃」という数字だけが独り歩きし、もっとも身近な数字であるリモコンの表示と結び付けられてしまったためと考えられます。
「28℃設定で暑いのは我慢が足りないから」という受け取り方は、そもそもの前提が食い違っています。

法令上の28℃は「上限値」

もうひとつ、28℃という数字の背景にあるのがオフィスの衛生基準です。
労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則では、空気調和設備(空調)を設けている場合、労働者が常時就業する室の気温を一定の範囲に保つ努力義務が定められています。
2022年4月の改正により、この範囲は18℃以上28℃以下となりました(改正前は17℃以上28℃以下)。
あわせて相対湿度は40%以上70%以下とされています。

ここで重要なのは、28℃が「望ましい温度」ではなく「これを超えないようにする上限」として書かれている点です。
上限ぎりぎりを狙う理由はどこにもなく、22℃でも25℃でも基準は満たします。
「法令で28℃と決まっている」という説明は、正確ではありません。

📎 出典:厚生労働省「事務所衛生基準規則の一部を改正する省令の施行等について」(令和4年基発0301第1号)

設定温度28℃では室温が28℃を超える部屋がある

エアコンの温度センサーは、多くの機種で室内機の吸い込み口付近に置かれています。
天井近くの空気は床付近より暖かいため、センサーが28℃と判定していても、人が座っている高さでは29〜30℃になっていることがあります。
さらに次のような条件が重なると、設定温度と実際の体感の差はいっそう開きます。

  • 西日が入る大きな窓がある
  • 最上階・屋根直下で天井から輻射熱が入る
  • 断熱・気密性能が低い築年数の古い住宅
  • 在室人数が多い、調理中、パソコンやテレビなど発熱する機器が多い
  • エアコンの畳数が部屋の広さに対して不足している

設定温度を28℃にしたまま室温が30℃を超えている状態は、室内でも熱中症が起こり得る環境です。
リモコンの数字を守ることに意味はなく、実際の室温を28℃以下に収めることが目的である点を、まず押さえておいてください。

室温28℃以下を実現するための設定温度の決め方

部屋の条件別に考える

設定温度は「全国一律で何度」と決められるものではありません。
建物の条件によって必要な冷房出力が変わるため、次のような考え方で調整するのが現実的です。

部屋の条件設定温度の考え方補足
日射が少なく断熱性が高い(新しめのマンション中住戸など)27〜28℃から試す設定温度と室温の差が小さくなりやすい
一般的な戸建て・南向きや西向きの部屋26〜27℃を起点に調整日射が強い時間帯だけ1℃下げる運用も有効
最上階・屋根直下・西日が強い部屋25〜26℃から始めて様子を見る遮熱対策と併用しないと下げ続けることになりやすい
木造・築年数が古く断熱が弱い住宅25〜26℃で室温を確認昼間に蓄えた熱で夜間も室温が下がりにくい
高齢者・乳幼児がいる部屋室温28℃を超えさせない設定本人の申告に頼らず温度計で判断する

いずれの場合も、基準にするのはリモコンの数字ではなく、部屋の中央あたりで測った室温と湿度です。
まず数日間、設定温度を1℃ずつ動かしながら室温を記録し、自宅で室温28℃を保てる設定温度を把握しておくと、それ以降は迷わなくなります。

温湿度計を1台置くと判断が一気に楽になる

室温と湿度を基準にする以上、測る手段がないと調整のしようがありません。
エアコンのリモコンに表示される室温は室内機付近の値であることが多く、人が過ごす場所の実態とはずれることがあります。
床から1〜1.5m程度の高さ、直射日光とエアコンの風が当たらない場所に、独立した温湿度計を置くのが確実です。

熱中症の危険度の目安を表示するタイプであれば、家族に高齢者や小さな子どもがいる家庭でも判断しやすくなります。

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同じ28℃でも暑さが違う理由は「湿度」

湿度が体感温度を左右する

同じ室温28℃でも、湿度が45%のときと75%のときでは、感じる暑さがまったく違います。
人の体は汗が蒸発するときの気化熱で体温を下げていますが、湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体温を下げる仕組みそのものが働きにくくなるためです。

事務所衛生基準規則でも相対湿度40〜70%が努力義務とされているとおり、室温だけを見て湿度を無視した温度管理は、熱中症予防の観点では不十分です。
梅雨明け直後や、雨上がりで気温がそれほど高くない日に体調を崩しやすいのは、この湿度の影響が大きいと考えられます。

冷房と除湿(ドライ)の使い分け

  • 室温が高い(外気温が高く、部屋自体が暑い)→ 冷房
  • 室温はそこそこだが蒸し暑い(梅雨時期・雨の日・夜間)→ 除湿

除湿には、湿度を下げる過程で室温も下がる「弱冷房除湿」と、冷やした空気を温め直して室温を保つ「再熱除湿」があります。
再熱除湿は室温を下げずに湿度だけ落とせる一方、温め直す分の電力を使うため消費電力は大きくなる傾向があります。
搭載されている除湿方式は機種によって異なるため、取扱説明書で自分の機種がどちらかを確認しておくと、夏場の運転の選び方が明確になります。

湿度が下がると体感温度が下がるため、結果として設定温度を1℃上げても不快に感じにくくなります。
「設定温度を下げる」より前に「湿度を下げる」を試す価値は十分にあります。

体感温度は4つの要素で決まる

「同じ設定温度なのに、部屋によって暑さが違う」という感覚には理由があります。
人が感じる暑さは気温だけで決まるものではなく、次の4つの要素の組み合わせで変化します。

要素内容家庭でできる調整
気温空気そのものの温度冷房の設定温度
湿度空気中の水分量。汗の蒸発しやすさを左右する除湿運転・換気のタイミング
気流体に当たる風。風があると体感温度が下がるサーキュレーター・扇風機の併用
輻射熱壁・天井・窓から放射される熱遮熱カーテン・すだれ・断熱シート

エアコンの設定温度で操作できるのは、このうち気温だけです。
設定温度を下げ続けても涼しくならない部屋は、残る3つの要素のどれかが足を引っ張っている可能性が高いと考えられます。

見落とされやすいのが輻射熱

日中に強い日射を受けた壁や天井は、日が落ちてからも熱を放射し続けます。
室温計が28℃を示していても、天井や西側の壁の表面温度が35℃を超えていれば、体はその放射を受け続けることになります。
夜になっても部屋が涼しくならない、エアコンが止まらないという場合、この蓄熱が原因になっていることが少なくありません。

対策は、熱が入る前に遮ることに尽きます。
窓の内側のカーテンより、すだれ・よしず・外付けブラインドのように屋外側で日射を止めるほうが効果は大きくなります。
賃貸で屋外設置が難しい場合は、遮熱性能の高いカーテンを窓枠より大きめに掛け、隙間から熱が回り込まないようにするだけでも差が出ます。

気流をつくれば設定温度を上げやすい

冷たい空気は下にたまるため、冷房中の部屋は足元と天井付近で温度差が生じます。
サーキュレーターや扇風機で空気を循環させると、部屋全体の温度が均一になり、エアコンが「まだ冷えていない」と判断して運転を続ける状態を防ぎやすくなります。
風が体に当たれば体感温度も下がるため、気流をつくることは、設定温度を上げても快適さを保つためのもっとも手軽な方法です。

置き方の考え方は次のとおりです。

  • エアコンと同じ壁側に置き、対角線方向へ風を送る
  • 冷房時は天井に向けて回し、たまった暖気をかき混ぜる
  • 就寝時は体に直接当てず、壁に当てて反射させる

部屋のタイプ別に「28℃が無理」になる理由

同じ設定温度でも結果が変わるのは、建物側の条件が違うためです。
自宅がどのタイプに近いかを知っておくと、対策の優先順位が決まります。

マンション最上階・屋根直下の部屋

屋根が受けた熱が天井から入り続けるため、冷房を入れても室温が下がりにくく、夜間も高止まりしやすい環境です。
天井面からの輻射が強いので、室温28℃でも体感は30℃近くになることがあります。
設定温度を下げるだけでは電気代がかさむため、日中の遮光とサーキュレーターの併用を先に検討するのが現実的です。

西向き・大きな窓のある部屋

午後から日没にかけて、窓面から大量の熱が入ります。
夕方だけ設定温度を1〜2℃下げ、日が傾く前にすだれや遮熱カーテンで日射を止めるという時間帯別の運用が有効です。

リビング階段・吹き抜けのある住宅

冷気が階段や吹き抜けから下階に流れ落ちるため、上階の温度が下がりません。
階段にロールスクリーンやカーテンを設けて空気の移動を抑えるだけでも、体感が変わることがあります。

木造・築年数の古い住宅

断熱・気密性能が低いと、外気の熱が壁や天井を通じて入り続けます。
このタイプでは設定温度を25〜26℃にしても室温28℃を保つのが精一杯という場合があり、無理に高い設定にすると熱中症リスクが上がります。
窓の断熱シートや厚手のカーテンなど、住みながらできる範囲の断熱補強から取り組むのが現実的です。

エアコンの能力が部屋に対して不足している

畳数表示は、断熱性能が現在ほど高くない時代の住宅を前提とした目安が今も基準になっています。
そのため、日射が強い部屋や広いLDKでは、表示上は足りていても実際には能力不足になることがあります。
買い替えの際は、部屋の畳数ちょうどではなく、ワンランク上の能力を選んだほうが結果的に低い出力で運転でき、電気代も抑えやすくなります。

熱中症の多くは室内で起きている

統計が示す発生場所

熱中症は炎天下の屋外で起きるものというイメージがありますが、実際の救急搬送データは違う姿を示しています。
消防庁がまとめた令和7年(2025年)5月〜9月の確定値では、発生場所別で住居がもっとも多く全体の約38%を占め、次いで道路が約20%となっています。
また、年齢区分別では高齢者が全体の約57%を占めています。

つまり、家の中でエアコンの設定を我慢することは、統計上もっとも件数の多い場所で、もっともリスクの高い層が危険にさらされる状況をつくることになります。

📎 出典:総務省消防庁「令和7年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況」

高齢者が室内で熱中症になりやすい理由

高齢になると、暑さを感じる感覚と発汗による体温調節の働きが低下しやすくなります。
そのため「暑くない」と本人が感じていても、実際の室温は30℃を超えているという状況が起こり得ます。
「本人が暑いと言わないからエアコンは不要」という判断は、危険な方向に働きます。

離れて暮らす家族の家では、次のような点を確認しておくと状況を把握しやすくなります。

  • 居間と寝室に温度計があるか(見やすい大きな表示のものが望ましい)
  • エアコンのリモコン操作を本人が無理なくできるか
  • 冷房を使うことに心理的な抵抗がないか(電気代への不安が理由になっていないか)
  • 昨シーズンから冷房が効かなくなっていないか

エアコンを使うべきタイミングの判断基準

「今日はエアコンをつけるべきか」を体感で判断せず、外部の指標に置き換えると迷いが減ります。
環境省は暑さ指数(WBGT)に基づき、熱中症警戒アラート(WBGT33以上の予測で発表)と熱中症特別警戒情報(WBGT35以上の予測で発表)を運用しています。
アラートが発表された地域では、屋内でエアコン等を適切に使用して涼しい環境で過ごすことが呼びかけられています。

アラートが出ている日に「冷房をつけずに扇風機だけで乗り切る」という判断は避けてください。
室温が体温に近い状態では、扇風機の風は体を冷やすのではなく熱風を当てることになり、かえって脱水を進める場合があります。

📎 出典:環境省熱中症予防情報サイト「熱中症警戒アラート」

エアコンがない部屋の暑さ対策についてはエアコンのない部屋を涼しくする方法13選|夏の暑さを大幅に軽減できる対策とは?で詳しく解説しています。

設定温度と電気代の関係を数字で確認する

1℃上げるとどれくらい変わるのか

節電のために設定温度を上げる、という発想自体は理にかなっています。
資源エネルギー庁の省エネポータルサイトでは、外気温31℃のときにエアコン(2.2kW/おもに6畳用)の冷房設定温度を27℃から1℃上げた場合、1日9時間の使用で年間約30.24kWhの省エネになるという試算が示されています。

項目内容
前提条件外気温31℃/2.2kW(6畳用)/1日9時間使用
変更内容冷房設定温度 27℃ → 28℃
削減量年間約30.24kWh
電気代換算の目安1kWh=31円で試算すると年間約940円

※電気代換算は電力量料金単価を仮に31円/kWhとした場合の目安であり、契約プラン・地域・機種・使用状況によって変わります。

年間約940円という数字をどう受け止めるかは家庭によりますが、健康リスクを負ってまで狙う金額ではないというのが率直なところです。
設定温度で削れる額には限りがあるため、節約したい場合は別の手段と組み合わせるほうが効率的です。

📎 出典:資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約(空調)」

設定温度を上げるより効果が期待できる工夫

同じ資料では、フィルターが目詰まりしたエアコンと清掃したエアコンの比較で、年間約31.95kWhの省エネ効果が示されています。
つまり、フィルター清掃1回分の効果は、設定温度を1℃我慢するのと同等かそれ以上ということになります。
我慢を伴わない分、優先すべき対策はこちらです。

具体的には、次の順序で見直すのが合理的です。

  1. フィルターを2週間に1回程度清掃する:掃除機でホコリを吸い、汚れが強い場合のみ水洗いして完全に乾かす
  2. 室外機の周囲を空ける:吹き出し口の前に物を置かない、雑草や落ち葉を取り除く
  3. 室外機に直射日光を当てない:日よけを設けるのは有効だが、吹き出し口をふさぐ置き方は逆効果
  4. 窓からの日射を遮る:夏に室内へ入る熱の多くは窓経由であり、屋外側で遮るほうが効果が高い
  5. サーキュレーターで空気を循環させる:冷気は床にたまるため、天井に向けて回すと室温のムラが減る

窓の遮熱とサーキュレーターは、設定温度を1〜2℃上げても不快になりにくくする効果が期待できるため、費用対効果の面でも取り入れやすい対策です。

つけっぱなしとこまめなオンオフはどちらが得か

エアコンがもっとも電力を使うのは、室温を設定温度まで下げていく立ち上がりの時間帯です。
そのため、短時間の外出であれば運転を継続したほうが消費電力を抑えられる場合があります。
判断の目安は次のとおりです。

  • 30分程度の外出:つけたままのほうが有利な場合が多い
  • 数時間以上の外出:一度止めたほうが有利になりやすい
  • 就寝から起床まで:切ってしまうと室温が上がるため、原則として継続

ただし、断熱性能が高く室温が上がりにくい住宅ほど「消したほうが得」になりやすいなど、条件によって結論は変わります。
自動運転の挙動や電気代についてはエアコン自動運転がずっと強風…電気代は上がる?原因・故障の見分け方・正しい対処まで徹底解説でも整理しています。

夏の時期によって最適な運転は変わる

「夏の設定温度」とひとくくりにされがちですが、6月と8月と9月では、部屋を不快にしている要因が違います。

時期主な不快要因運転の考え方
梅雨(6〜7月上旬)湿度除湿を主体にし、設定温度は27〜28℃でも過ごしやすいことが多い
盛夏(7月中旬〜8月)気温と輻射熱冷房主体。日射対策と併用して26〜27℃を維持する
残暑(9月)気温の日較差日中は冷房、朝晩は除湿や送風に切り替える

梅雨時期に「設定温度を下げてもすっきりしない」と感じるのは、原因が気温ではなく湿度にあるためです。
この時期に冷房で室温だけを下げると、体が冷えるわりに不快感が残り、電気代も無駄になりやすくなります。

一方、9月に入っても最高気温が35℃前後の日が続くことは珍しくなくなっています。
「もう9月だから」という理由で冷房を止める判断は、熱中症の観点では危険です。
暦ではなく、その日の室温と暑さ指数で判断してください。

場面別・設定温度の考え方

就寝時

寝ている間は自分で温度調節ができないため、日中とは別の考え方が必要です。
就寝中も室温28℃以下、湿度70%以下を保つことが基本になります。

  • タイマーで数時間後に停止する設定は、切れた後に室温が急上昇するため注意が必要
  • 冷房を弱めに継続するほうが、途中で目覚めにくい
  • 風が体に直接当たり続けると、体温が下がりすぎたり体がだるくなったりする場合がある
  • 風向きは上向き・スイングにして、寝具の上を直接吹かないようにする

「寒くて目が覚める」場合は設定温度を上げるより先に、風向きと風量を見直すほうが解決しやすいケースが多く見られます。

在宅ワーク中

デスクワークでは体の発熱が少なく、集中力の低下も避けたいところです。
室温は26〜28℃の範囲で、湿度を50〜60%に保つことを目標にすると過ごしやすくなります。
パソコンやモニターの発熱で局所的に室温が上がるため、機器の近くに温度計を置くと実態を把握しやすくなります。

高齢者・乳幼児がいる家庭

乳幼児は体温調節機能が未熟で、高齢者は暑さを感じにくくなります。
どちらも本人の訴えを判断材料にせず、温度計の数値で決めることが原則です。
室温28℃を超えさせない、湿度が70%を超えたら除湿を併用する、という2つのラインを家族で共有しておくと運用しやすくなります。

冷えすぎで体調を崩さないために

「28℃は暑い」という声がある一方で、職場や商業施設のように自分で温度を変えられない場所では、冷えすぎによる不調を訴える人もいます。
だるさ・肩こり・頭痛・胃腸の不調といった症状は、室内外の温度差が大きい環境で起こりやすいとされています。

自分で設定を変えられない場所では、次のような対応が現実的です。

  • 羽織りもの・ひざ掛けで、冷気が直接当たる部分を覆う
  • 座席が吹き出し口の真下にならないよう位置を変える
  • 冷たい飲み物ばかりでなく、常温や温かい飲み物も取り入れる
  • 足首を冷やさない(足元は冷気がたまりやすい)

自宅では、温度を下げるより風向きを変えるほうが解決しやすいケースが多く見られます。
寒いと感じたら、まず設定温度ではなく風向きと風量を見直すという順序を覚えておくと、室温を上げすぎずに済みます。

夏のエアコンでよくある勘違い

温度設定にまつわる話には、正しそうに聞こえて実際には逆効果になるものが混ざっています。
代表的なものを整理します。

よくある考え方実際のところ
設定温度を18℃にすると早く冷える到達までの速さを決めるのは風量と出力であり、極端に低い設定は冷やしすぎと電力の無駄につながりやすい
風量は「弱」のほうが節電になる消費電力の中心は圧縮機で、風量を絞ると室温が下がりにくく運転が長引く場合がある
自動運転は電気を使うから避けるべき自動運転は最短で設定温度に近づけ、その後は出力を絞る制御になっている
除湿はいつでも冷房より安い再熱除湿の場合は冷房より消費電力が大きくなることがある
室外機に水をかけると効率が上がる電装部への浸水や故障につながるおそれがあり、メーカーが推奨していない場合が多い

とくに室外機への水かけは、感電や故障の原因になり得るため避けてください。
効率を上げたいのであれば、日よけを設けて直射日光を避け、吹き出し口の前を空けるほうが安全で確実です。

換気とエアコンの併用

冷房中に窓を開ければ、当然ながら冷えた空気は逃げます。
ただし、換気そのものは室内の空気環境を保つうえで必要です。
効率を落としにくい進め方は次のとおりです。

  • 換気は短時間で行い、対角線上の2か所を開けて一気に空気を入れ替える
  • 換気の直前にエアコンを止める必要はなく、運転したままでよい機種が多い
  • 換気機能付きの機種であれば、窓開けに頼らず運転を継続できる
  • 外気温が室温より低い早朝・夜間は、冷房を止めて窓開けに切り替える判断も有効

なお、外気温が室温より高い時間帯に「風を入れれば涼しい」と考えて窓を開け続けると、室温は上がります。
判断の基準は、あくまで外気温と室温の比較です。

設定温度を下げても冷えないときに確認すること

設定温度を25℃まで下げても部屋が冷えない場合、温度設定の問題ではなく機器側か環境側に原因がある可能性があります。
次の順に確認してみてください。

確認項目見るポイント自分で対処できるか
フィルターの汚れホコリで目詰まりしていないかできる
運転モード送風・除湿になっていないかできる
室外機の周囲吹き出し口が塞がれていないかできる
窓・カーテン日射がそのまま入っていないかできる
室外機のファン運転中に回っているか確認のみ。停止していれば業者へ
冷媒(ガス)漏れ配管接続部に霜が付く、効きが年々落ちている業者依頼
使用年数おおむね10年以上経過し、効きの低下が続いている買い替えも検討

焦げたにおいがする、運転中にブレーカーが落ちる、室内機から煙が出るといった症状がある場合は、ただちに運転を止めて電源プラグを抜き、メーカーまたは販売店に連絡してください。
これらは温度設定で解決する問題ではありません。

冷えない状態が続く場合の切り分けはダイキンのエアコンが冷えない原因|自分でできる確認と業者依頼の目安で、機種選びや買い替え費用の考え方はエアコンが高くなる理由とは?2027年問題を含む本体・工事費・電気代を解説で解説しています。

よくある質問

Q1. 冷房の設定温度は28℃にしないといけないのですか?

いいえ、そのような決まりはありません。
環境省がクールビズで示している28℃は「室温」の目安であり、エアコンの設定温度を指示するものではありません。
住宅の断熱性能や日射条件によっては、設定温度28℃では室温が30℃前後まで上がることもあります。
判断すべきは室温であり、室温を28℃以下に保てるなら設定温度は26℃でも27℃でも問題ありません。
体調に不安がある方や高齢者、乳幼児がいる家庭では、無理に高く設定しないことのほうが重要です。

Q2. 設定温度を1℃上げると、電気代はどのくらい安くなりますか?

資源エネルギー庁の試算では、外気温31℃のときに2.2kW(6畳用)のエアコンを1日9時間使い、冷房設定温度を27℃から28℃に上げた場合、年間で約30.24kWhの省エネになるとされています。
1kWhを31円として計算すると年間およそ940円の差です。
契約プランや機種、使用時間によって変動するため、あくまで目安として捉えてください。
金額の規模を踏まえると、我慢して設定温度を上げるより、フィルター清掃や日射対策のほうが現実的な節約手段といえます。

Q3. 冷房と除湿(ドライ)はどちらが電気代を抑えられますか?

機種の除湿方式によって異なります。
冷やした空気を温め直す「再熱除湿」は室温を下げずに湿度を落とせる代わりに、消費電力は冷房より大きくなる傾向があります。
一方、湿度とともに室温も下がる「弱冷房除湿」は、冷房と近い消費電力になることが多いとされています。
自分の機種がどちらの方式かは取扱説明書で確認できます。
室温が高い日は冷房、蒸し暑さが主な不快要因の日は除湿、という使い分けが基本です。

Q4. 就寝中はエアコンを消したほうがよいですか?

夏の夜間に室温が下がらない日は、消さずに継続する運用が安全です。
タイマーで数時間後に切れる設定にすると、停止後に室温と湿度が上がり、睡眠中に熱中症のリスクが高まる場合があります。
寒さが気になる場合は、設定温度を上げるより先に風向きを上向きにし、風量を弱めることで対応してください。
室温28℃以下、湿度70%以下を保てているかを、寝室に置いた温度計で確認するのが確実です。

Q5. 家族が「暑くない」と言うのですが、エアコンをつけるべきでしょうか?

室温と湿度を測って判断してください。
高齢になると暑さを感じる感覚が鈍くなるため、本人の自覚と実際の室温が一致しないことがあります。
消防庁のデータでも、熱中症による救急搬送の発生場所は住居がもっとも多く、高齢者の割合が高い状況が続いています。
室温が28℃を超えている、あるいは熱中症警戒アラートが発表されている日であれば、本人の申告にかかわらず冷房を使う判断が適切です。

まとめ

夏のエアコン設定温度で押さえるべき点を整理します。

  • 28℃は室温の目安であり、リモコンの設定温度を指すものではない
  • 室温28℃以下を保つための設定温度は、多くの住宅で26〜27℃前後になりやすい
  • 室温と同じくらい湿度が体感を左右するため、50〜60%を目標にする
  • 設定温度1℃分の節電額は限られており、フィルター清掃や日射対策のほうが効率的
  • 熱中症の救急搬送は住居がもっとも多く、我慢する温度設定は健康リスクにつながる

まずは温湿度計を1台置き、自宅で室温28℃を保てる設定温度がいくつなのかを確かめてみてください。
数字を根拠に運転を決められるようになれば、電気代と健康のどちらも無理なく両立できます。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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