タイマーランプが点滅して「H87」と表示され、本体リセットを試しても消えない。
何度やっても変わらず、直しようがないように感じられる。
H87はパナソニックのエアコンで冷媒センサーが正常に機能していないことを示す診断コードです。
そして本体リセットでは解除されないと、公式に案内されています。
これは機器の不具合ではありません。
そういう設計になっている、というのがこのコードの出発点です。
リセットできないのは、安全にかかわる部品だから
多くの診断コードでは、本体リセットで表示が消えることがあります。
一時的な誤検知であれば、それで運転を再開できます。
ところが冷媒センサーは、万が一の冷媒の漏れを早い段階で捉えるために置かれた安全部品です。
この部品にかかわる表示が簡単に解除できてしまえば、検知の機能が働かない状態のまま使い続けられることになります。
だからこそ、利用者の操作では戻らないようになっています。
| 一般的な診断コード | H87 |
|---|---|
| リセットで一時的に消えることがある | 本体リセットでは解除されない |
| 再現するかを確認できる | 確認そのものができない |
| 様子を見るという選択肢がある | 点検を依頼する以外にない |
リセットを繰り返しても状況は変わりません。
表示を確認したら、その時点で連絡へ進んでください。
H87は「検知する目が働いていない」状態
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 診断コードの意味 | 冷媒センサーの異常 |
| センサーの役割 | 冷媒の漏れを早い段階で捉える |
| 主に疑われる原因 | コネクタの接続不良、リード線の断線、センサーや制御基板の不具合 |
| 自分でできること | 診断コードの確認まで |
| 対応 | 点検・修理の依頼が前提 |
エアコンの冷媒は、密閉された回路の中を循環しています。
通常の使用で室内に出てくることはありません。
冷媒センサーは、その前提が崩れたときに気づくための部品です。
人が気づく前に検知して、機器を止め、利用者へ知らせる役割を担っています。
この記事はパナソニックの家庭用ルームエアコンを前提に解説します。
天井カセット型などの業務用パッケージエアコンは診断コードの体系が異なるため、設置業者または販売店にご確認ください。
漏れを知らせるコードとは別物
同じ冷媒センサーにかかわる表示でも、意味はまったく違います。
| コードの性質 | 状態 |
|---|---|
| 漏れの検知を示すコード | センサーが働き、漏れを捉えた |
| H87 | センサー自体が働いていない |
H87は、漏れているという意味ではありません。
漏れているかどうかを確かめる目が、機能していないという状態です。
冷媒センサーが漏れを検知したときのコードについてはパナソニックエアコンのF91(冷媒漏れ・冷凍サイクル異常)の解説記事もあわせてご覧ください。
そちらは換気を優先する対応になります。
それでも放置してはいけない理由
漏れを知らせるコードではないため、緊急性は低いように思えるかもしれません。
ただしこの状態は、守る仕組みが働いていないということです。
| 状況 | 起きていること |
|---|---|
| センサーが正常 | 万が一漏れれば、早い段階で知らせてくれる |
| H87が表示されている | 漏れが起きても、それを知る手立てがない |
つまり、いま漏れていないとしても、これから何かあったときに気づけません。
安全のために置かれた部品なので、働いていない期間を長く残すべきではありません。
なお、次のような症状がある場合は、コードにかかわらず対応が変わります。
室内機の周辺でシューという音がする、いつもと違うにおいがする場合は、運転を停止して窓を開け、換気をしてください。
冷媒が室内に滞留しないようにすることが優先されます。
機種によって封入されている冷媒の種類は異なり、なかにはわずかに燃える性質を持つものがあるため、換気ができるまでは火気の使用も避けてください。
H87で現れやすい症状
- タイマーランプが点滅し、H87と表示される
- 本体リセットを試しても表示が消えない
- 電源プラグを抜いて入れ直しても変わらない
- 冷暖房そのものは動く場合と、動かない場合がある
「リセットしても消えない」ことがH87の特徴です。
故障が重いから消えないのではなく、消えない仕組みになっているためです。
診断コードは複数が順に表示されることがあります。
最初に「H00」が出て本来のコードを見落とすケースについてはパナソニックエアコンのH00とは?異常なしを示す診断コードと確認方法で解説しています。
コードは最後まで送って確認してください。
診断コードの読み取り方や点滅そのものの意味については、パナソニックエアコンのタイマー点滅とは?意味と診断コードの確認方法で詳しく解説しています。
連絡までの流れ
- リモコンをエアコン本体に向けて「お知らせ」ボタンを押し、表示されたコードを書き留める(お知らせボタンがない機種は、診断ボタンや前面パネル内部の表示部で確認します)
- 室内機の周辺で、音やにおいに変わったところがないか確認する
- 気になる点があれば、換気をしたうえで運転を停止する
- 購入時期、保証書、機器の品番を用意する
- 販売店またはパナソニックの修理窓口へ連絡する
賃貸住宅で備え付けのエアコンであれば、まず管理会社か大家さんへ連絡してください。
入居者が独自に修理を手配すると、費用の扱いをめぐって後から食い違いが生じることがあります。
前面パネルを開けて内部の配線やセンサーを触る行為は避けてください。
室内機の内部には電装部品が集まっており、通電状態での接触は感電の危険があります。
またセンサーは決められた位置に取り付けられており、動かすと正しく機能しなくなります。
修理を依頼する判断の基準
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| リセットしても表示が消えない | 設計どおりの挙動。繰り返さずに連絡する |
| 冷暖房は使えている | 急を要さないが、守る仕組みは働いていない |
| 表示が出はじめた時期が分かる | その情報を伝えると点検が早く進む |
| 室内で音やにおいに変化がある | 換気を優先し、運転を停止してから連絡する |
| 焦げくさい、異音、ブレーカーが落ちる | ただちに使用を中止し、電源プラグを抜いてから連絡する |
H87には「様子を見る」という選択肢がありません。
リセットで確認するという手段が使えないため、表示を見た時点で連絡へ進むのが唯一の道筋になります。
繁忙期を避けて早めに動くほうが、待たされる期間も短く済みます。
修理の見通し
公式に示されている確認内容は、次のようになっています。
- コネクタの接続状態
- 制御基板とセンサーをつなぐリード線の導通
- 冷媒センサーそのもの、または制御基板の交換
接続の問題であれば、部品交換をともなわずに解決する可能性があります。
一方、センサーや基板の交換が必要になれば、そのぶん費用は変わります。
見積もりの段階で、どちらなのかを確認してください。
保証と部品保有期間
① 保証期間
パナソニックのルームエアコンは、冷媒回路とそれ以外で保証期間が分かれています。
| 区分 | 保証期間 |
|---|---|
| 冷媒回路(圧縮機・冷却器・凝縮器・本体配管など) | 5年 |
| その他 | 1年 |
センサーや制御基板は、冷媒回路ではなく「その他」に含まれる部品です。
そのためメーカー保証は1年で切れている前提で考える必要があります。
販売店独自の延長保証に加入していれば対象になることがあるため、購入時の書類を確認してみてください。
② 補修用性能部品の保有期間
パナソニックはエアコンの補修用性能部品の最低保有期間を10年と定めています。
起算点は購入日ではなく、その製品の製造を打ち切った時点です。
📎 出典:補修用性能部品の保有期間(パナソニック)
修理料金は原因と作業内容によって変わるため、この記事では具体的な金額を示しません。
症状と品番を伝えたうえで事前見積もりを取り、金額を把握してから判断してください。
修理か買い替えかの目安
| 使用年数 | 判断の方向性 |
|---|---|
| 1年未満 | メーカー保証の対象。まず販売店・メーカーへ連絡する |
| 1〜10年 | 接続の補修で済めば費用は小さい。見積もりで判断する |
| 10年以上 | 部品供給が終了している可能性があり、買い替えを検討する時期 |
判断に迷ったときは、修理費用が新品購入費用の半分を超えるかどうかを一つの線引きにすると整理しやすくなります。
ただしH87は安全にかかわる部品のコードです。
判断を先延ばしにするあいだも、守る仕組みが働いていない状態が続くことは念頭に置いてください。
H87以外のコードが表示された場合は、パナソニックエアコンのエラーコード一覧|F・Hから始まる全コードを解説で意味を確認できます。
よくある質問
Q. 何度リセットしても消えません。壊れているのでしょうか。
消えないこと自体は、故障が重いからではありません。
冷媒センサーは安全にかかわる部品のため、利用者の操作では解除されない仕組みになっています。
簡単に消せてしまえば、検知の機能が働かない状態のまま使い続けられることになるためです。
リセットを繰り返しても変わらないので、表示を確認したら連絡へ進んでください。
Q. H87は冷媒が漏れているという意味ですか。
違います。
H87は、漏れているかどうかを確かめる目が働いていないという状態です。
漏れを検知したときには別のコードが表示されます。
ただし室内機の周辺で音やにおいに変化がある場合は、コードにかかわらず換気を優先して運転を停止してください。
Q. 冷暖房は使えています。急いで直す必要はありますか。
早めの対応をおすすめします。
いま漏れていないとしても、これから何かあったときに気づく手立てがない状態だからです。
安全のために置かれた部品なので、働いていない期間を長く残すべきではありません。
繁忙期を避けて、早めに連絡してください。
Q. 電源プラグを抜いても消えませんでした。
本体リセットと同じく、電源を落とす操作でも解除されません。
これは設計上そうなっているためで、操作が足りないわけではありません。
何度も試すこと自体が機器への負担になるため、そこで区切ってください。
表示された内容を控えて、販売店またはメーカーへ連絡してください。
Q. 修理はどのくらいの規模になりますか。
公式に示されている確認内容には、コネクタの接続状態やリード線の導通が含まれています。
接続の問題であれば、部品交換をともなわずに解決する可能性があります。
一方、センサーや制御基板の交換が必要になれば費用は変わります。
見積もりの段階で、どちらなのかを確認してください。
まとめ
H87は、冷媒センサーが正常に機能していないことを示す診断コードです。
このコードの特徴は、本体リセットでは解除されないという点にあります。
何度試しても消えないのは故障が重いからではなく、そういう仕組みになっているためです。
冷媒センサーは万が一の漏れを捉えるための安全部品であり、簡単に解除できてしまえば検知が働かない状態で使い続けられることになるからです。
そしてH87は、冷媒が漏れているという意味ではありません。
漏れているかどうかを確かめる目が、働いていないという状態です。
とはいえ放置してよいものではありません。
いま何もなくても、これから何かあったときに気づけないためです。
リセットを繰り返さず、購入時期と保証書、機器の品番を用意して、販売店またはメーカーの修理窓口へ連絡してください。

