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灯油が服についた場合はどうすればいい?家庭でできる洗濯・におい対策を徹底解説

Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

灯油が服につくと、独特のにおいが強く残り、繊維の奥までしみ込むため、普通の洗濯ではなかなか落ちてくれません
洗濯機に入れれば何とかなると思いがちですが、油分が残ったまま回してしまうと他の衣類ににおいが移り、洗濯槽にまで残ってしまうこともあります。
実際には「落とす順番」を理解していれば家庭でも十分に対処でき、服を買い替える必要もありません。

とくに冬場は灯油タンクの補充やストーブの給油でうっかり跳ねたり、ボトルの口から数滴垂れてしまうことがあり、気づかないうちに袖口や前面ににおいが残るケースも多いです。
慌ててこすったり、熱いお湯で一気に洗い流すと、油分が繊維に定着して逆に落ちにくくなってしまう場合があります。
まずは深呼吸して落ち着き、正しい手順で進めることで、においや黄ばみを最小限に抑えることができますので、手順を確認していきましょう。

目次

服についた灯油を落とすための正しい手順

服に灯油が付着した際の正しい落とし方を、シャツの汚れ・流水での下洗い・洗剤を使ったもみ洗い・洗濯機での仕上げという手順で示した4コマのイラスト

灯油が付着した直後は、繊維に「油」が入り込んだ状態になっているため、まずは余分な油分を取り除く工程が必要です。いきなり洗濯機に入れると他の衣類ににおいが移り、洗濯槽にも残ることがあります。最初は衣類単体で処理するのが安全です。

1. 風通しの良い場所で気化させる
灯油は揮発性があるため、まずは“飛ばす”ことが重要です。室内ではなく、屋外や換気の良い場所に30分〜1時間ほど置いておくと強い臭気が軽減します。寒い時期でも揮発は進みますが、直射日光だけは避けてください。

2. 中性洗剤を原液でなじませる
「油汚れ」と同じ扱いのため、台所用の中性洗剤を原液のまま灯油が付いた部分に馴染ませます。こすらず、指先で軽く押し込むようにして浸透させるのがポイントです。

3. ぬるま湯でもみ洗いする
水よりも30〜40℃程度のぬるま湯の方が油汚れがゆるみ、落ちやすくなります。強くもむと繊維が痛むので、軽い押し洗いで十分です。

4. 洗濯機で単体洗いをする
洗濯用洗剤を通常より少し多めに入れ、衣類1枚だけで洗います。他の服と一緒に洗うと灯油のにおいが広がる可能性があるため、最初は必ず単体で。

5. 天日干しでにおいを飛ばす
灯油臭は紫外線で分解が進むため、外干しがもっとも効果的です。においが残っている場合でも、数時間の天日干しでかなり改善します。


においが強く残る場合に試す追加の対処法

灯油の濃度が高かったり、フリース・ダウン・ニットなど“油を吸いやすい素材”の場合は、1回の洗濯では落ちきらないことがあります。そのときは以下の追加ケアが有効です。

弱アルカリ性洗剤で再洗浄
中性洗剤より洗浄力が強いため、油膜が残っている場合に効果があります。

重曹を使ったつけ置き
洗面器のぬるま湯に大さじ1〜2の重曹を溶かし、20〜30分つけてから再洗いすると繊維の奥のにおいが抜けやすくなります。

エタノールで表面を拭き取る
揮発性が高く、油膜を浮かせる効果があります。目立たない部分でテストしてから使用してください。


服に灯油がついた時に絶対にやってはいけない行動

灯油汚れは誤った処理で状態が悪化することがあります。

  • 熱湯で洗う(においと油分が繊維に定着しやすくなる)
  • ドライヤーで乾かす(揮発成分が繊維にこもる)
  • 他の衣類とまとめて洗う(におい移りの原因)
  • こすり洗いを強く行う(布の変形・毛羽立ち)

少し手間をかけるだけで仕上がりが大きく変わるため、避けた方が無難です。


服の素材によって処理を分けるポイント

衣類の素材によって灯油の落ちやすさは大きく変わります。

綿(コットン)
もっとも落ちやすい素材。基本手順でほぼ問題ありません。

ポリエステル
油を吸いやすく、におい残りが起きやすい。重曹つけ置きが効果的。

ダウン・中綿
内部へ灯油が入り込むと落としにくいため、早めの揮発+優しい押し洗いが重要。

ウール・ニット
縮みや変形が起きやすいため熱や摩擦は厳禁。中性洗剤で押し洗いに徹する。


灯油や臭いが落ちない場合はどうする?

何度か洗っても濃いにおいが残るケースもあります。これは灯油が「深層の綿」や「スポンジ状の中材」に入り込んだ状態で、家庭で完全に分解するのが難しいことがあります。

  • 天日干しを数日かけて繰り返す
  • 重曹・中性洗剤のサイクルを複数セット行う
  • クリーニング店で“油汚れ指定”で依頼する

これでほとんどの場合は解決できます。


FAQ

Q1. 灯油が服についた直後は、まず何をすればいいですか?
A. まずは換気の良い場所に移動し、布をこすらずそのまま外気に当てて揮発させるのが最優先です。ここで余計な処理をすると油分が繊維に定着しやすくなるため、最初の1時間は「触らない・こすらない」が基本です。

Q2. 洗濯機にすぐ入れても大丈夫ですか?
A. 推奨できません。灯油のにおいは他の衣類に移りやすく、洗濯槽にも残る可能性があります。必ず中性洗剤で事前処理をしたうえで、最初は“その服1枚だけ”で洗うのが安全です。

Q3. においがどうしても残る場合、追加で何をすれば落ちやすくなりますか?
A. 30〜40℃程度のぬるま湯+重曹のつけ置き(20〜30分)が効果的です。また、弱アルカリ性洗剤での再洗浄や、天日干しを長めに行うことで揮発と分解が進み、においが抜けやすくなります。

Q4. ダウンやニットなどデリケート素材でも同じ対処で大丈夫?
A. 基本の流れは同じですが、摩擦・熱に弱い素材は押し洗いに徹して刺激を与えないことが大切です。特にダウンは中材まで灯油が入り込むと落ちにくいため、時間をかけて揮発させながら慎重に進める必要があります。

Q5. 家で何度洗っても落ちない場合、クリーニングに出すべき?
A. 繊維の深い層に灯油が入り込んだケースでは家庭での完全除去が難しい場合があります。その場合は、クリーニング店で“油汚れ・におい除去”を指定して依頼すると改善しやすくなります。無理に家庭で繰り返すより衣類を傷めず確実です。

まとめ:灯油汚れは「順番」を守れば家庭で十分に落とせる

灯油が服につくと、においの強さから不安になりがちですが、落ちない原因は「油分が繊維に残っている」ただそれだけです。
落としにくいイメージがあるのは、焦ってこすったり、熱湯で洗ったり、すぐ洗濯機に放り込んだりと“逆効果の行動”を取ってしまうケースが多いからです。
対処の流れさえ押さえておけば、家庭でも想像以上にきれいに戻せます。

まずは揮発でにおいを軽くし、中性洗剤を使って油分を浮かせ、ぬるま湯で押し洗いしてから単体で洗濯する。
この流れを丁寧に行うだけで、繊維の奥に入り込んだ灯油が抜けやすくなり、天日干しでしっかり仕上げれば再びにおう心配もかなり減ります。
「少しにおうな…」と感じる場合でも、重曹のつけ置きや弱アルカリ洗剤の再洗浄など、追加ケアで改善できる幅は広いです。

素材によって扱い方の注意点はありますが、ほとんどの衣類は適切に処理することで長く使い続けられます。
買い替えを考える前に、今回紹介した手順を試す価値は十分にあります。
灯油汚れは“正しい順番”を知っているかどうかで結果が大きく変わるため、給油作業が多くなる季節の前に覚えておくと安心です。
家庭でできる範囲はとても広いので、落ち着いて丁寧に進めてみてください。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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