コロナの寒冷地用大型ストーブに「EP」と表示され、運転が止まってしまった。
EPは、外筒サーモスタットが作動したことを示す表示です。
聞き慣れない部品名ですが、要するに燃焼部の外側の温度が上がりすぎたため、安全のために運転を止めたという意味になります。
対象はポット式温風タイプに限られており、他の燃焼方式の機種では表示されません。
コロナが示している処置は点検または修理で、ご家庭での対処は案内されていません。
ただ、なぜ過熱に至ったのかを整理しておくと、点検の精度が上がり、再発も防ぎやすくなります。
この記事では、外筒サーモスタットが働く仕組みと、点検を待つあいだに確認しておくとよいことをまとめます。
EPが示している状態
コロナの一覧では、EPについて次のように示されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 示している状態 | 外筒サーモスタットの作動 |
| 対象製品 | ポット式温風タイプ |
| メーカーが示す処置 | 点検または修理が必要 |
処置として清掃などが挙げられていない点に注意してください。
フィルターのほこりで表示されることがあると案内されている他の過熱系コードとは扱いが異なり、EPは最初から点検が前提になっています。
ポット式温風タイプとはどんな方式か
EPが出るのはポット式温風タイプだけなので、まずこの方式について押さえておきます。
灯油を燃やす方式には大きく分けて2つあり、コロナの大型ストーブでも機種によって異なります。
| 方式 | 燃やし方 | 運転開始時の特徴 |
|---|---|---|
| ポット式 | 燃焼ポット(皿状の部品)に灯油を送り、そこで燃やす | 予熱の待ち時間がない |
| ガス化式 | 気化筒で灯油を気体に変えてから燃やす | 予熱のため、点火まで少し待つ |
ポット式は構造が比較的単純で、寒冷地で長く使われてきた方式です。
温風が出るタイプであれば、運転開始時に予熱の動作があるかどうかが見分けの手がかりになります。
確実に確認したい場合は、本体の銘板(型式シール)と取扱説明書で型式を照合してください。
外筒サーモスタットとは
サーモスタットは、温度が設定値を超えたときに電気の流れを遮断する部品です。
温度によって変形する金属を使い、一定の温度で接点が開く仕組みが一般的に用いられています。
外筒とは、燃焼部を取り囲む筒状の部分を指します。
外筒サーモスタットは、この燃焼部まわりの温度を監視し、想定を超えたときに燃焼を止める役割を担っています。
過熱防止装置の一種ですが、設置されている場所が異なります。
機器のどこの温度が上がったかによって、働く部品も表示されるコードも変わるという構造になっています。
燃焼部の異常な過熱は、機器の損傷だけでなく火災にもつながりうる状態です。
EPが表示されたら、入れ直しを繰り返して運転を続けようとしないでください。
外筒の温度が上がる要因
考えられる要因は、大きく2つの方向に分かれます。
熱が逃げていない方向
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 給気フィルターの目詰まり | 取り込む空気が減り、放熱が追いつかない |
| 吹き出し口の閉塞 | 暖まった空気が室内へ出ていかない |
| 設置スペースの不足 | 壁や家具が近く、周囲に熱がたまっている |
| 対流用送風機の回転不良 | 熱を運ぶ力が落ちている |
燃焼側が過剰になっている方向
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 燃焼ポットのすす・タール堆積 | 燃え方が不安定になり、局所的に高温になる |
| 灯油の供給量の異常 | 想定より多くの灯油が送られている |
| 灯油の劣化 | 変質した灯油で燃焼が安定しない |
| サーモスタット自体の劣化 | 想定より低い温度で作動している |
| 制御基板の不良 | 燃焼量の制御が正しく行われていない |
このうち、ご家庭で確かめられるのは前半の設置環境と給気まわりだけです。
燃焼ポットの状態や灯油の供給量は、分解しなければ確認できません。
点検を待つあいだに確認しておくとよいこと
EPは点検が前提の表示ですが、次の項目を見ておくと診断の手がかりになります。
清掃で解消することを期待するというより、原因の切り分けに役立てるための確認です。
- 運転スイッチを切り、電源プラグを抜く
- 本体が十分に冷えるまで待つ(目安として1時間程度)
- 給気フィルターにほこりが厚く付着していないか確認する
- 温風の吹き出し口の前に、洗濯物や家具が置かれていないか確認する
- 本体と壁や家具との距離が、取扱説明書の離隔距離を満たしているか確認する
- 灯油が前シーズンからの持ち越しでないか確認する
- 気づいたことをメモしておく
本体が熱いうちにフィルターを外したり、内部に手を入れたりしないでください。
やけどのおそれがあります。
公的機関も、石油暖房機器を使う前の確認事項として、ほこりの除去、周囲の可燃物との距離の確保、そして新しい灯油を使うことを挙げています。
明らかな目詰まりや障害物が見つかった場合は、その状況を点検時に伝えてください。
放熱が妨げられていたのか、燃焼側に原因があるのかを判断する材料になります。
過熱に関わる表示はどこの温度を見ているかで分かれる
コロナの大型ストーブには、過熱に関わる表示が複数あります。
違いは、機器のどの部分の温度を見ているかです。
| 表示 | 監視している場所 | 対象製品 |
|---|---|---|
| EP | 燃焼部まわりの外筒 | ポット式温風タイプ |
| EF | 安全サーモスタットの位置、または空気サーミスタ | ガス化温風タイプ/ポット式温風タイプ(旧型)/スペースネオ(ミニ) |
| EH | プリント板の雰囲気、表示サーミスタ | ガス化温風タイプ/ポット式温風タイプ/寒冷地輻射タイプ/スペースネオシリーズ |
| EJ | 機内(基板)サーミスタ | FF-VG52SAシリーズ |
同じ「熱がこもった」という状況でも、どこで検知されたかによって表示が変わります。
EPは燃焼部そのものに近い位置を見ているため、他の表示より踏み込んだ状態を示していると考えられます。
E4やEFが表示されている場合は『E4』『EF』エラーの原因と直し方が該当します。
表示の全体像を確認したい場合はコロナ ストーブ エラーコード一覧をご覧ください。
点検を依頼するときに伝えるとよい情報
- 本体の型式(銘板または取扱説明書に記載)
- EPが出たのが運転開始直後か、しばらく使ってからか
- 給気フィルターの状態と、直近で清掃した時期
- 吹き出し口や本体まわりの設置状況
- 灯油が前シーズンからの持ち越しかどうか
- 炎の色やにおい、すすの付着に変化がなかったか
- EPの前に別のエラーコードが出ていなかったか
- おおよその使用年数と、過去の修理歴
点検までのあいだ、別の暖房で室温を確保する必要がある場合は、使用する器具の換気条件を確認したうえで併用してください。
開放式の器具を使う場合は、こまめな換気が欠かせません。
修理と交換のどちらを選ぶか
EPが出たからといって、必ず買い替えが必要になるわけではありません。
燃焼ポットの清掃やサーモスタットの交換で改善するケースもあります。
一方で、次の条件が重なる場合は交換を検討する時期といえます。
- 使用年数が8年を大きく超えている
- 燃焼ポットにすすやタールが広く堆積していると診断された
- 部品の供給期間が終了している
- 過去にも過熱まわりの修理を受けている
- 修理見積もりが新品価格の半分に近い
年数については、コロナが設計標準使用期間を8年相当(20,000時間)としており、その時期に達すると点検時期をお知らせする「88」表示が出る機種があります。
考え方はコロナ石油ストーブの「88エラー」表示とはで解説しています。
修理費用は、清掃と調整で済むのか、サーモスタットや制御基板の交換まで含むのかで幅が出ます。
出張料・技術料・部品代の合計で決まるため、実際の金額は診断後の見積もりで確認してください。
シーズンの終わりに本体まわりを整えて保管しておくと、翌シーズンの立ち上がりも安定します。
片付けと保管の手順については石油ストーブの正しい片付け方とはも参考になります。
よくある質問
Q1. EPは電源を入れ直せば消えますか。
本体が冷えたあとであれば、一時的に表示が消えて運転できることがあります。
ただし、それは温度が下がってサーモスタットが復帰しただけで、過熱に至った原因は何も変わっていません。
運転を続ければ再び同じ状態になり、繰り返すうちに部品の劣化が進みます。
コロナも点検または修理を案内しているため、入れ直しで済ませず点検を受けてください。
Q2. フィルターを掃除すればEPは直りますか。
改善する可能性はありますが、それで済むとは限りません。
EPは、フィルターのほこりで表示されることがあると案内されている他の過熱系コードとは扱いが異なり、最初から点検が前提とされています。
燃焼ポットの汚れや灯油の供給量など、分解しなければ確認できない要因も考えられます。
清掃はしておいて損はありませんが、それで表示が消えても点検を受けることをおすすめします。
Q3. ポット式かどうか分かりません。どう確認すればよいですか。
温風が出るタイプであれば、運転開始時に予熱の待ち時間があるかどうかが手がかりになります。
予熱の動作がなく、スイッチを入れてすぐ燃焼が始まるようであればポット式の可能性があります。
確実に確認するには、本体の銘板で型式を控え、コロナのサイトで取扱説明書を検索してください。
そもそもEPが表示されている時点で、ポット式温風タイプである可能性が高いともいえます。
Q4. 前シーズンの灯油が残っています。関係ありますか。
関係している可能性があります。
灯油は保管状態によって変質することがあり、変質した灯油を使うと燃焼が安定せず、すすの発生や局所的な過熱につながることがあります。
シーズンをまたいで残った灯油は使い切らず、購入した販売店などに処分方法を相談してください。
点検時に、持ち越しの灯油を使っていたかどうかを伝えると原因の切り分けに役立ちます。
Q5. 運転を止めたあとも本体が熱いままでした。関係ありますか。
関係している可能性があります。
消火後は送風などの動作で内部の熱を逃がしますが、その働きが落ちていると熱が残り続けます。
放熱がうまくいっていない状態が続けば、運転中の温度も上がりやすくなります。
消火後の送風音が短くなった、鳴らなくなったといった変化に気づいていた場合は、点検時に必ず伝えてください。
まとめ
コロナの寒冷地用大型ストーブに表示されるEPは、外筒サーモスタットの作動を示しています。
対象はポット式温風タイプに限られ、燃焼部まわりの温度が想定を超えたために運転が止まった状態です。
他の過熱系コードと違い、コロナは清掃などの処置を挙げておらず、最初から点検または修理を案内しています。
本体が冷えれば一時的に表示が消えることもありますが、過熱に至った原因は変わらないため、入れ直しで済ませないでください。
点検を待つあいだに、給気フィルターの状態、吹き出し口まわり、灯油が持ち越しでないかを確認しておくと、原因の切り分けに役立ちます。
型式と使用年数、気づいた変化を控えたうえで、販売店またはコロナサービスセンターへ点検を依頼してください。

