「夜のほうが電気代が安い」と聞いて、洗濯や食洗機を夜に回すようにしていませんか。
実はその工夫が効くかどうかは、契約している料金プランによって決まります。
結論から言うと、一般的な従量電灯プランでは、何時に使っても単価は同じです。
夜間が安くなるのは時間帯別のプランを契約している場合で、その代わり昼間の単価は高く設定されています。
この記事では、プランの種類ごとに「安い時間帯」がどう決まっているのかを整理し、自分の家庭に時間帯別プランが向いているかを判断する材料を示します。
電気代が安い時間帯はプランで決まる

まず、この点を押さえてください。
電気の単価は、時刻そのものではなく契約している料金プランで決まります。
| プランの種類 | 安い時間帯 | 高い時間帯 |
|---|---|---|
| 従量電灯(一般的なプラン) | なし(終日同じ単価) | なし |
| 時間帯別プラン | 夜間(おおむね夜10時〜翌朝7時前後) | 昼間 |
| オール電化向けプラン | 夜間 | 昼間(とくに午後) |
| 季節別・時間帯別プラン | 夜間、春秋の昼間 | 夏冬の昼間 |
| 市場連動型プラン | 需要が少ない時間(深夜、晴れた日の昼間) | 需要が多い時間(夕方〜夜) |
※時間帯の区切りは電力会社とプランによって異なります。必ず契約しているプランの料金表で確認してください。
多くの家庭が契約している従量電灯では、時間帯による差はありません。
使用量に応じて単価が3段階で上がる仕組みはありますが、時刻は関係しません。
つまり、従量電灯のまま夜に家事を寄せても、電気代は1円も変わりません。
まず自分の検針票で「契約種別」の欄を確認してください。
時間帯別プランの仕組み
夜間が安くなるプランは、電力の需要が少ない時間帯に使ってもらうために設計されています。
電力は貯めておくのが難しいため、発電所は需要のピークに合わせて能力を用意しています。
深夜は需要が少なく発電設備に余裕があるため、その時間帯の単価を下げて使用を促す、という考え方です。
| 時間帯 | 単価の傾向 | 従量電灯との比較 |
|---|---|---|
| 夜間(夜10時〜翌朝7時前後) | 安い | 従量電灯より安い |
| 朝・夕(7〜10時、17〜22時前後) | 中間 | 従量電灯と同程度か少し高い |
| 昼間(10〜17時前後) | 高い | 従量電灯より高い |
※時間帯と単価は電力会社・プランによって異なります。
重要なのは、夜間が安い分、昼間は割高になっている点です。
夜間だけを見て「安い」と判断すると、昼間の使用分で相殺され、結果的に従量電灯より高くなることがあります。
オール電化向けプランの場合
オール電化住宅では、給湯(エコキュート・電気温水器)が電気代の大きな部分を占めます。
エコキュートは、ヒートポンプの仕組みで大気中の熱を利用してお湯を沸かす機器で、夜間の割安な電気を利用することで経済性を高める設計になっています。
このため、オール電化向けのプランは夜間の単価がとくに安く、代わりに昼間の単価が高く設定されています。
ここで見落とされやすいのが、給湯器の沸き上げ時間帯が、プランの夜間帯と一致しているかという点です。
電力会社を切り替えて夜間の時間帯が変わったのに、給湯器の設定がそのままになっているケースは実際にあります。
リモコンの設定画面で、沸き上げの時間帯を確認してください。
市場連動型では昼間が安い日もある
近年増えているのが、電力市場の卸価格に連動して30分ごとに単価が変わるプランです。
このタイプでは、「夜が安い」という単純な構図が崩れます。
| 時間帯 | 単価の傾向 | 理由 |
|---|---|---|
| 深夜(0〜5時) | 安い | 需要が少ない |
| 晴れた日の昼間(10〜14時) | 安いことがある | 太陽光発電の余剰で市場価格が下がる |
| 夕方〜夜(17〜21時) | 高い | 太陽光が止まり、需要がピークになる |
| 寒波・猛暑の日 | 大きく上がる | 需要の急増で市場価格が高騰する |
春や秋の晴れた昼間は、太陽光発電の電力が余って市場価格が大きく下がることがあります。
この時間帯に洗濯や食洗機を回せば、夜間より安く済む場合もあるわけです。
一方で、需要が急増する寒波や猛暑の日には、市場価格が通常の数倍に跳ね上がることがあります。
使用量が変わらなくても請求額が大きく振れるため、家計の見通しを重視する家庭には向きません。
燃料価格との関係については原油価格が高騰すると電気代はどうなる?知らないと損する家庭への影響で解説しています。
時間帯別プランが向いている家庭・向かない家庭
判断の軸は、電気の使用が夜間に寄せられるかどうかです。
| 向いている家庭 | 向かない家庭 |
|---|---|
| 共働きで日中は誰もいない | 在宅勤務で日中も電気を使う |
| オール電化で給湯を夜間に沸かせる | 育児・介護で日中の在宅時間が長い |
| 洗濯・食洗機を夜にまとめられる | 昼間にエアコンを長時間使う |
| 夜型の生活リズム | 家族の生活時間帯がばらばら |
| 電気自動車を夜間に充電する | 使用量が少なく、差がほとんど出ない |
目安として、夜間帯の使用量が全体の4割以上あれば時間帯別プランが有利になりやすく、3割を下回ると従量電灯のほうが安くなることが多くなります。
実際の分岐点はプランの単価差によるため、あくまで判断の出発点として捉えてください。
自分の家の昼夜比率を確認する方法

感覚ではなく数字で判断してください。
現在の住宅にはスマートメーターが設置されており、30分ごとの使用量が記録されています。
多くの電力会社は、この記録を会員向けのWebページやアプリで公開しています。
確認の手順は次のとおりです。
- アプリで直近1か月の時間帯別グラフを開く
- 検討しているプランの夜間帯(例:夜10時〜翌朝7時)の使用量を合計する
- 全体の使用量に対する割合を出す
- 4割以上なら時間帯別、3割未満なら従量電灯が有利な可能性が高い
季節によって比率は変わります。
冬は日中の暖房で昼間の比率が上がり、夏は夜間の冷房で夜間の比率が上がる傾向があります。
1か月分だけでなく、夏と冬の両方を確認してから判断するほうが確実です。
電気自動車や蓄電池がある家庭の場合
時間帯別プランの効果がもっとも大きく出るのが、夜間に大きな電力を使う設備がある家庭です。
| 設備 | 夜間に寄せられる電力量の目安 | 効果 |
|---|---|---|
| 電気自動車(EV) | 1回の充電で20〜60kWh | 非常に大きい |
| 家庭用蓄電池 | 1回の充電で5〜15kWh | 大きい |
| エコキュート | 1日で5〜10kWh | 大きい |
電気自動車は、1回の充電で一般家庭の1〜2日分に相当する電力を使います。
これを夜間帯の単価で充電できれば、単価差が10円/kWhでも1回あたり数百円の差になります。
月に10回充電すれば、それだけで月数千円です。
家庭用蓄電池がある場合は、夜間に安い電気を貯めて昼間に使うという運用ができます。
昼間の割高な単価を回避できるため、時間帯別プランとの相性は良好です。
ただし、充放電のロスが一定程度あるため、単価差が小さいプランでは効果が薄くなります。
太陽光発電を設置している家庭では、話が変わります。
昼間は自家発電でまかなえるため昼間の割高分が効きにくく、時間帯別プランが有利になる場合があります。
一方で、売電価格と買電価格の関係によって最適な運用が変わるため、設備の構成ごとに試算が必要です。
生活リズムを無理に変えない
時間帯別プランを活かそうとして、生活そのものを夜型にするのは本末転倒です。
- 高齢の家族がいて日中の在宅が前提の家庭
- 小さな子どもがいて日中の冷暖房を止められない家庭
- 在宅勤務で昼間のパソコンとエアコンが必須の家庭
こうした家庭では、時間帯別プランに合わせるより、従量電灯のまま固定費側を整えるほうが合理的です。
契約アンペアの見直しや、燃料費調整額に上限のあるプランの選択は、時間帯に関係なく効きます。
「安い時間帯に使う」という発想は、あくまで寄せられる家事がある家庭向けの手段です。
自分の生活を変えずに済む対策から先に確認してください。
夜間に寄せられる家事・寄せられない家事
時間帯別プランを活かすには、電気を使う家事を夜間帯に移す必要があります。
| 夜間に寄せやすい | 寄せにくい |
|---|---|
| 洗濯・乾燥(タイマー予約) | エアコン(使う時間は生活で決まる) |
| 食洗機(就寝前にセット) | 調理(食事の時間は動かせない) |
| 炊飯(タイマー予約) | 照明(暗くなる時間は決まっている) |
| 給湯の沸き上げ(設定で自動) | テレビ・パソコン(見る時間は生活次第) |
| 電気自動車の充電 | 冷蔵庫(常時稼働) |
| 掃除機(ロボット掃除機の予約) | — |
寄せられるのは、タイマーや予約で動かせる家事に限られます。
エアコンや照明のように生活時間に縛られるものは移せません。
タイマー機能がない機器でも、タイマー付きのコンセントやスマートプラグを使えば夜間に自動で動かせます。
夜間に家事を回すときの注意点
電気代を優先するあまり、安全と生活を犠牲にしないでください。
就寝中に洗濯乾燥機や食洗機を動かす場合、万一の発火や水漏れに気づけないリスクがあります。
とくに、ヒーターを使う乾燥機能や、糸くずフィルターの掃除を怠った状態での運転は避けてください。
就寝直前にセットして、稼働中に一度は起きている時間帯に完了するよう調整するのが安全側の運用です。
集合住宅では、深夜の洗濯機や食洗機の運転音が階下や隣室に響くことがあります。
夜10時以降の運転は、防音マットの使用や、深夜帯の前半に終わらせるといった配慮が必要です。
また、夜間帯の開始時刻に合わせて一斉に家電を動かすと、契約アンペアを超えてブレーカーが落ちることがあります。
エコキュートの沸き上げ、洗濯乾燥機、食洗機が同時に動く時間帯は、合計の消費電力を確認してください。
切り替えたのに高くなるパターン
時間帯別プランに変えたのに、以前より高くなったという相談は珍しくありません。
原因は次のどれかに当てはまることがほとんどです。
| パターン | 何が起きているか |
|---|---|
| 在宅勤務が始まった | 昼間の使用が増え、割高な単価で使う量が増えた |
| 家事を夜に寄せていない | 夜間の割引を活かせず、昼間の割高分だけ効いている |
| 給湯器の設定が旧プランのまま | 高い時間帯に沸き上げが動いている |
| 冬の暖房で昼間の使用が増えた | 季節で昼夜比率が変わった |
| 燃料費調整額に上限がなかった | 燃料価格の上昇がそのまま反映された |
「夜が安い」だけを見て切り替えると、昼間の割高分に気づかないまま数か月が過ぎます。
切り替え後は、2〜3か月分の請求額を旧プランの単価で計算し直して、本当に安くなったかを確認してください。
なお、再エネ賦課金は時間帯やプランに関係なく、2026年度で1kWhあたり4.18円が全国一律でかかります。
この部分はどのプランでも同じで、比較の対象にはなりません。
📎 出典:経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します」
賦課金の仕組みや推移は再エネ賦課金がおかしいと感じる理由|仕組み・問題点・今後の見通しで解説しています。
夜間に寄せた場合の効果を試算する
時間帯別プランで、夜間の単価が昼間より10円/kWh安いと仮定します。
家事の一部を夜間に移した場合の差は次のようになります。
| 移した家事 | 1回の使用量 | 月の回数 | 月の差額 |
|---|---|---|---|
| 洗濯乾燥 | 1.5kWh | 20回 | 約300円 |
| 食洗機 | 0.7kWh | 30回 | 約210円 |
| 炊飯 | 0.2kWh | 30回 | 約60円 |
| 合計 | — | — | 約570円 |
※単価差10円/kWhを仮定した参考値です。実際の差はプランによります。
月570円、年間で7,000円弱という水準です。
一方、在宅勤務で日中のエアコンを月100kWh使っていれば、昼間の割高分(仮に5円/kWh高いとして)で月500円が上乗せされます。
夜間に寄せられる家事の効果と、昼間の割高分を差し引きして考える必要があります。
計算の基礎となる目安単価は、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が31円/kWhとして示しています。
家電ごとの使用量は【2026年最新】家電の消費電力ランキングTOP15|電気代が高い順に解説で確認できます。
待機電力は時間帯に関係なくかかる
夜間に寄せる工夫をしても、24時間動いている機器の電力は変わりません。
冷蔵庫、Wi-Fiルーター、給湯器の待機電力、24時間換気などです。
これらは時間帯別プランでも、夜間帯と昼間帯の両方で発生します。
抜く価値がある機器とそうでない機器の線引きはコンセント差しっぱなしの電気代はどれくらい?実際にかかる金額と無駄を減らす判断基準で整理しています。
よくある質問
Q1. 夜に電気を使えば安くなるのは本当ですか?
契約しているプランによります。
一般的な従量電灯プランでは、時間帯によって単価は変わりません。
夜に家事を寄せても電気代はまったく変わらないということです。
夜間が安くなるのは、時間帯別プランやオール電化向けプランを契約している場合に限られます。
その場合も、夜間が安い代わりに昼間が割高に設定されているため、昼間の使用が多い家庭では逆に高くなることがあります。
まず検針票の契約種別を確認してください。
Q2. 夜間の安い時間帯は何時から何時までですか?
電力会社とプランによって異なります。
多くのプランでは夜10時前後から翌朝7〜8時ごろが夜間帯とされていますが、夜11時開始や翌朝6時終了のものもあります。
また、朝夕を中間の単価とし、昼間をもっとも高くする3区分のプランもあります。
契約しているプランの料金表で、時間帯の区切りと各時間帯の単価を確認してください。
電力会社を切り替えた場合、夜間帯の時刻が変わることがあるため、給湯器のタイマーや家電の予約時刻も合わせて見直す必要があります。
Q3. 時間帯別プランに変えると必ず安くなりますか?
なりません。
夜間帯の使用量が全体の4割以上あれば有利になりやすい一方、3割を下回ると従量電灯のほうが安いことが多くなります。
在宅勤務や日中の育児で昼間の使用が多い家庭では、昼間の割高な単価で使う量が増え、かえって高くなるケースがあります。
判断するときは、電力会社のアプリで30分ごとの使用量を確認し、夜間帯の比率を出してください。
夏と冬で比率が変わるため、両方の季節を確認してから決めるのが確実です。
Q4. 昼間に電気が安くなることはありますか?
市場連動型のプランでは、あります。
春や秋の晴れた昼間は、太陽光発電の電力が余って市場価格が下がるため、その時間帯の単価が夜間より安くなることがあります。
ただし、市場連動型は寒波や猛暑の日に市場価格が数倍に跳ね上がることがあり、請求額の振れ幅が大きくなります。
家計の見通しを重視する家庭には向きません。
一般的な時間帯別プランでは、昼間はもっとも高い時間帯として設定されているため、昼間が安くなることはありません。
Q5. 深夜に洗濯機や食洗機を回しても大丈夫ですか?
電気代の面では有効ですが、安全と近隣への配慮が必要です。
就寝中に乾燥機能や食洗機を動かすと、万一の発火や水漏れに気づけません。
糸くずフィルターの掃除を怠った状態での乾燥運転はとくに避けてください。
就寝直前にセットし、起きている時間帯に完了するよう調整するのが安全側の運用です。
集合住宅では深夜の運転音が階下や隣室に響くことがあるため、防音マットの使用や、深夜帯の前半に終わらせるといった工夫が必要です。
まとめ
電気代が安い時間帯は、時刻ではなく契約している料金プランで決まります。
- 一般的な従量電灯プランでは、何時に使っても単価は同じ
- 時間帯別プランは夜間が安い代わりに、昼間が割高に設定されている
- 夜間帯の使用が全体の4割以上なら有利、3割未満なら従量電灯のほうが安いことが多い
- 市場連動型では晴れた日の昼間が安くなることもあるが、寒波・猛暑の日に大きく振れる
- 切り替え後は2〜3か月分を旧プランの単価で計算し直し、本当に安くなったか確認する
まずは検針票の契約種別を確認し、電力会社のアプリで自分の家の昼夜比率を出すところから始めてください。

