灯油を切らしてしまい、慌てて補給したのにお湯が出ず、リモコンに「110」や「120」が点滅している。
石油給湯機を使っている家庭で、冬場にもっとも多い困りごとのひとつです。
灯油を入れたのに点火しないのは故障ではなく、配管に残った空気が抜けていないことがほとんどです。
補給の量とエア抜きという2つのポイントを押さえれば、その場で解決できる可能性があります。
この記事では、110と120の意味、エア抜きの具体的な手順と自分でやってはいけないケース、灯油が足りているのに点火しない場合の水抜き、それでも直らないときの費用の目安までを解説します。
110と120は燃料が届いていないことが多い
ノーリツは110を給湯器が点火できなかったときに表示されるもの、120を燃焼が途中で止まったときに出る表示としています。
| 表示 | 状態 |
|---|---|
| 110 | 点火できなかった |
| 120 | 一度ついた炎が途中で止まった |
石油給湯機の場合、どちらも灯油切れや、オイルタンクに溜まった水を機器が吸い込んだことによる燃焼不具合が原因として挙げられています。
確認する場所は共通なので、番号の違いで悩む必要はありません。
最初にオイルタンクを見る
タンクの状態によって、やることが3つに分かれます。
| タンクの状態 | 試すこと |
|---|---|
| 灯油がなくなっていた | 半分以上補給し、灯油タンクのエア抜きを行う |
| 灯油は十分に入っている | 屋外設置用灯油タンクの水抜きを試す |
| タンクを設置したばかり | 送油管に空気が残っている。エア抜きを行う |
ガス給湯器で110・120が出た場合
同じ番号がガス機でも表示されます。
その場合は灯油ではなく、まず給湯器以外のガス機器(ガスコンロなど)が使えるかを確認してください。
使えるならガス供給に問題はなく、給湯初期点火系統の部品不具合が疑われます。
灯油を入れたのに点火しない理由
タンクが空になると、送油管の中まで空気が入り込みます。
この空気は、灯油を足しただけでは自然に抜けません。
空気が残っている限り、ポンプは灯油ではなく空気を送り続けることになり、点火できない状態が続きます。
補充は「できるだけ多く」
ノーリツは、灯油タンクが空の状態で灯油を補充すると空気の逃げる場所がないため、タンクや送油管に残った空気を抜く必要があるとしています。
そのうえで、灯油の圧力で空気を押し出すため、補充する際はできるだけ多く入れるよう案内しています。
灯油を補充したのに空気が抜けない場合は、補充した量が少ない可能性があります。
ポリタンク1本だけ入れて様子を見る、という入れ方だと圧力が足りず、何度エア抜きをしても抜けないことがあります。
灯油を扱う作業は火気厳禁です。周囲でたばこを吸う、暖房機器を稼働させたまま作業するといったことは避けてください。
こぼれた灯油は放置せず、その場で拭き取ってください。
エア抜きの手順
オイルストレーナーの位置を確認する
エア抜きは、オイルストレーナーという部品で行います。
タンクに混入したゴミを取り除くフィルターで、送油管(銅管)に一番最初につながっている部品です。
オイルタンクから送油管をたどっていくと、灯油ボイラーの付け根あたりに卵くらいの大きさの部品があります。
これがオイルストレーナーです。
本体の内部にある場合は自分で行わない
ここが重要な分岐です。
オイルストレーナーが機器の外側に見当たらない場合、本体の内部にあります。
屋内設置タイプはすべて本体の内部にあり、この場合は使用者によるエア抜きができません。
本体内部で作業すると灯油が機器内にこぼれ、部品交換や他の不具合を引き起こす可能性があるため、訪問による対応が必要になります。
無理に開けず、販売店またはメーカーへ連絡してください。
手順(オイルストレーナーが機器の外にある場合)
- 給油後、オイルタンクの送油バルブを開く
- オイルストレーナーの空気抜きネジをゆるめる
- 空気が抜けきると、灯油がネジ部分から染み出てくる
- ネジを元の位置までしっかり締め付ける
- 染み出た灯油を、いらない布切れ(ウエス)などで拭き取る
染み出るまでの時間は、残っていた空気の量によって変わります。
灯油が出てこないまま長く開けていると、抜けているのかどうか判断できなくなるため、いったん締めて運転を試すという進め方でもかまいません。
一部の機種はこの手順が使えない
次のような石油給湯機では、上記の方法ではエア抜きができません。
- ガス化比例制御バーナーを搭載した機器
- ガス化バーナー以外の壁掛け式の灯油ボイラー
- OTQ-G405AW、OQB-G405WA等のシリーズ、OQB-C4701WS、OTQ-302SAWY
これらの機種では、次の手順になります。
- リモコンの電源を入れる(燃焼まで約3分かかる)
- 運転ランプの点滅が点灯に変わるまで待つ
- お湯の蛇口をひねる
- エラー「110」が表示される
- 蛇口は開いたまま、リモコンの電源を「OFF」にする
- 再度リモコンの電源を「ON」にする
- 何度か繰り返すとエアが抜けて点火する
手順の途中で110が出るのは正常な流れで、失敗ではありません。
ただし5回以上繰り返しても点火しない場合は、不具合の可能性があります。
📎 出典:灯油タンクのエア抜き|株式会社ノーリツ
灯油は足りているのに点火しない場合
タンクに十分な量が入っているのに110や120が出るときは、タンク内の水を疑います。
水がたまる原因は2つ挙げられています。
- タンク内の温度変化によって、タンク内の空気に含まれる水蒸気が結露する
- 雨の日の給油などで、タンク内部に水が入る
水の混じった灯油を使うと機器の故障につながるため、定期的な水抜きが必要です。
水抜きの手順
- オイルタンク下部のドレン抜きバルブの下に、灯油を受ける容器を置く
- ドレン抜きバルブを開け、約200cc排水する
- 容器にたまった液体が分離していれば、灯油に水が混ざっている
- 一度容器を空にして再度200cc排水し、分離しなくなるまで繰り返す
- 水抜きが完了したら、ドレン抜きバルブを閉める
分離していなければ水は混ざっていないので、出した灯油はオイルタンクへ戻してください。
水は灯油より重いため、タンクの底に溜まります。
だからこそ、下部のバルブから抜くことで水だけを排出できます。
定期的な水抜きには、結露水だけでなくタンク内に溜まったサビやゴミを排出する役割もあります。
暖房シーズンに入る前の実施をおすすめします。
なお、前のシーズンから持ち越した灯油は変質している可能性があります。
色が黄色みを帯びている、酸っぱいようなにおいがするといった場合は使わないでください。
灯油の保管や燃焼機器の扱いについてはFF式石油ストーブとは?仕組み・メリット・設置時の注意点まで徹底解説でも触れています。
それでも直らないときに考えられること
エア抜きと水抜きを試しても改善しない場合は、機器内部の部品不具合が考えられます。
| 表示 | 考えられる故障部品 |
|---|---|
| 110 | 点火トランス、電磁ポンプ、炎検出装置(フォトトランジスタ)、バーナーセット、電装基板 |
| 120 | 電磁ポンプ、炎検出装置(フォトトランジスタ)、バーナーセット、電装基板 |
修理参考料金の目安は、どちらも15,000円〜110,000円程度(税込)とされています。
これには出張費(上限3,300円)と故障診断料が含まれます。
ただし実際の金額は訪問時の診断で決まり、故障箇所が複数あればこの範囲を超えることもあります。
修理をしない場合や対応できない場合でも、出張料と診断料はかかります。
修理か交換かの分かれ目
石油給湯機は部品点数が多く、費用の上限が高くなりがちです。
10年を超えた製品では部品供給が終了している場合もあります。
| 使用年数 | 考え方 |
|---|---|
| 〜7年程度 | 修理で対応するのが基本 |
| 8〜10年程度 | 修理費と交換費を並べて比較する |
| 10年超 | 交換を前提に検討する。部品がない可能性もある |
判断の考え方は給湯器の寿命は何年?交換時期の目安と見逃されがちなサインで整理しています。
110・120と間違えやすい表示
| 表示 | 意味 | 110・120との違い |
|---|---|---|
| 12 | 給湯の立ち消え安全装置作動 | 給湯専用機などの2桁表示 |
| 112・122 | ふろ側の点火・燃焼 | おふろだけ沸かない |
| 113・123 | 暖房側の点火・燃焼 | 床暖房などが動かない |
| 800 | オイルセンサー作動 | 灯油漏れの疑い。ただちに使用を中止する |
| LL | 給油お知らせ | 灯油の残量が少ないことを知らせる表示 |
| 88・888 | 点検時期のお知らせ | 故障表示ではなく、お湯は使える |
800が表示されている場合は、灯油が漏れているおそれがあるため、エア抜きなどの作業をせずただちに使用を中止して連絡してください。
88・888は日常の使用に支障がない表示です。
意味と解除の考え方はノーリツ給湯器のエラー888(88)解除方法で解説しています。
よくある質問
Q1. 灯油を入れたのに点火しません。
送油管に空気が残っている可能性が高い状況です。
タンクが空になると管の中まで空気が入り込み、灯油を足しただけでは抜けません。
まず補充量を確認してください。少量しか入れていない場合は、灯油の圧力が足りずエア抜きをしても空気が抜けないことがあります。
できるだけ多く補充したうえで、オイルストレーナーの空気抜きネジをゆるめるエア抜きを行ってください。
Q2. エア抜きのネジが見つかりません。
オイルストレーナーが機器の内部にある可能性があります。
屋内設置タイプはすべて本体の内部にあり、この場合は使用者によるエア抜きができません。
本体内部で作業すると灯油が機器内にこぼれ、部品の交換が必要になることもあります。
無理にカバーを開けず、販売店またはメーカーへ連絡してください。
Q3. エア抜きの途中で110が表示されました。失敗ですか?
機種によっては、110が表示されるのが正しい手順です。
ガス化比例制御バーナーを搭載した機器などでは、蛇口を開けて110を表示させ、電源をOFF・ONする操作を繰り返すことで空気を抜きます。
何度か繰り返すうちに点火すれば成功です。
ただし5回以上繰り返しても点火しない場合は、不具合の可能性があるため点検を依頼してください。
Q4. 水抜きはどのくらいの頻度で行えばよいですか?
暖房シーズンに入る前に一度行っておくと安心です。
タンク内の温度変化による結露は年間を通じて起こるため、使用の有無にかかわらず水はたまります。
雨の日に給油した記憶がある場合も、実施する価値があります。
水抜きは結露水だけでなく、タンク内に溜まったサビやゴミを排出する役割も兼ねています。
Q5. 排水した灯油はどう処分すればよいですか?
水が混ざって分離していた分は、購入した販売店やガソリンスタンドに相談してください。
下水や地面に流す、可燃ごみとして出すといった処分は、環境や安全の面から避ける必要があります。
分離していなければ水は混ざっていないので、そのままオイルタンクに戻して差し支えありません。
作業中にこぼれた分は、布などで拭き取ってから処分方法を確認してください。
まとめ
110と120は、石油給湯機では灯油が正しく届いていないことが原因になりやすい表示です。
機器の故障と決めつける前に、タンクの状態から順に確認してください。
最後に、対応の流れを整理します。
- 灯油が切れていたなら、できるだけ多く補充してからエア抜きを行う
- 少量だけ入れても圧力が足りず、空気は抜けない
- オイルストレーナーが機器の外にあれば、空気抜きネジをゆるめて灯油が染み出るまで待つ
- 本体の内部にある場合は自分で作業せず、販売店やメーカーへ連絡する
- 一部の機種は、110を表示させて電源をOFF・ONする手順になる
- 灯油が足りているのに点火しないなら、200ccずつ分離しなくなるまで水抜きをする
- 800が出ている場合は灯油漏れの疑いがあるため、作業せず使用を中止する
灯油切れを起こさないことが一番の対策ですが、起きてしまったときは補給量とエア抜きの2点を思い出してください。
それでも改善しないときは、販売店またはメーカーへ連絡してください。

