お湯の温度が設定どおりにならず、しばらくして「321」が表示されて止まった。
調べてみると「サーミスター」という聞き慣れない言葉が出てきて、何が壊れたのか分からない——。
310・312・321・322・331・31は、いずれもサーミスター(温度を測る部品)の異常を示すコードです。
給湯器の内部には複数のサーミスターが配置されており、番号によってどこの温度を測っている部品かが分かるようになっています。
この記事では、それぞれの番号が指す場所、症状としての現れ方、修理費用の目安、そして交換判断までを整理します。
サーミスターは「温度を測る部品」
リンナイの公式Q&Aでは、321について給湯サーミスターの異常であると説明されています。
対処方法としては、リモコンの運転スイッチを一度切って再操作することが案内されており、改善しない場合は点検修理が必要とされています。
サーミスターは、温度によって電気の流れやすさが変わる性質を利用した部品です。
給湯器はこの部品から送られてくる情報をもとに、燃焼量や水の流し方を決めています。
つまりサーミスターは、給湯器にとっての「体温計」にあたる部分です。
測る道具が狂えば、いくら制御が正常でも正しい温度のお湯は出せません。
番号でどこのサーミスターか分かる
サーミスターは1台の給湯器に複数入っています。
それぞれ測っている場所が違い、番号で区別されています。
| 表示 | 対象のサーミスター | 測っている場所 |
|---|---|---|
| 31 | 給水サーミスター | 給湯器に入ってくる水の温度 |
| 310 | 低温感知サーミスター | 凍結につながる低温の検知 |
| 312 | 風呂の戻りサーミスター | 浴槽から戻ってくるお湯の温度 |
| 321 | 給湯サーミスター | 蛇口へ送り出すお湯の温度 |
| 322 | 風呂の往きサーミスター | 浴槽へ送り出すお湯の温度 |
| 331 | 熱交換器のサーミスター | 熱交換器まわりの温度 |
310については、低温感知サーミスターの異常であると説明されています。
凍結予防に関わる部分の温度を見ている部品です。
312は風呂の戻りサーミスターの異常とされています。
浴槽から給湯器へ戻ってくるお湯の温度を測っており、おいだきの制御に関わります。
322は風呂の往きサーミスターの異常です。
312とは逆に、浴槽へ送り出す側の温度を測っています。
331は熱交換器のサーミスターの異常とされ、燃焼で温められる部分の温度を見ています。
2桁表示の31は給水サーミスターの異常で、給湯器に入ってくる水の温度を測る部品です。
「31」で始まる番号は入口や戻り側、「32」で始まる番号は出口側、「33」は熱交換器まわりと整理しておくと、どこの話なのか見当がつきます。
なぜ複数のサーミスターが必要なのか
給湯器は「入ってくる水が何度で、出ていくお湯が何度か」を両方知らないと、必要な熱量を計算できません。
たとえば冬に水温が5度、設定温度が40度であれば、35度分を温める必要があります。
夏に水温が25度なら、必要なのは15度分だけです。
同じ設定温度でも、季節によって必要な火力はまったく違います。
この計算のために、入口(給水)と出口(給湯)の両方で温度を測っています。
おいだきについても、浴槽へ送る側と戻ってくる側の両方を見ることで、どこまで温まったかを判断しています。
そのためどれか1つのサーミスターが狂うだけで、計算全体が合わなくなります。
「壊れたのは小さな部品なのに、影響は全体に及ぶ」という性質があります。
症状としてどう現れるか
サーミスターの不具合は、エラー表示より先に温度の違和感として現れることがあります。
| 症状 | 関係しやすい部品 |
|---|---|
| 蛇口のお湯が設定温度にならない | 給湯サーミスター(321)、給水サーミスター(31) |
| 季節によってずれ方が変わる | 給水サーミスター(31) |
| おいだきが途中で終わる、温まりきらない | 風呂の往き・戻りサーミスター(322・312) |
| 浴槽の温度表示と実際の温度が違う | 風呂の戻りサーミスター(312) |
| 燃焼が不安定に感じる | 熱交換器のサーミスター(331) |
設定より明らかに熱いお湯が出る場合は、やけどの危険があるため使用を止めてください。
温度を測る部品が正しく働いていない状態では、安全側の判断も正しく行えません。
対処の手順
まず、次の症状がある場合は再操作を試さず、使用を中止してください。
- ガスのにおいがする
- 焦げ臭いにおいがする
- 本体から煙が出ている
- 設定より明らかに熱いお湯が出る
該当しない場合は、次の順序で試します。
- お湯の使用を止め、蛇口やシャワーを閉じる
- リモコンの運転スイッチを「切」にする
- 数十秒ほど置いてから「入」に戻す
- お湯を出して、温度が設定どおりになるか確認する
公式に案内されている利用者側の対処は、この再操作までです。
サーミスターは機器の内部にあり、配線でつながれた小さな部品のため、点検には分解が必要になります。
ガス機器の分解や部品交換には資格が求められるため、自分で確認することはできません。
再操作で改善しない場合、あるいは繰り返し表示される場合は、点検を依頼する段階です。
改善しない場合に疑われる箇所
| 疑われる箇所 | 起きていること |
|---|---|
| サーミスター本体 | 断線または短絡している |
| 配線・コネクタ | 接触不良で信号が届かない |
| 電装ユニット | 受け取った信号を正しく処理できていない |
| 取り付け部の汚れ | 温度を正しく拾えていない |
サーミスターは水や熱にさらされる位置に取り付けられているため、経年で劣化します。
とくに浴槽の水が通る側の部品では、湯垢や入浴剤の成分が影響することもあります。
修理費用の目安
リンナイは、保証期間終了後の出張修理料金の目安を公開しています。
サーミスター系のコードでは、次の金額が示されています。
| 表示 | 修理料金の目安(税込) |
|---|---|
| 31・310・312 | 11,500円〜51,700円 |
注目したいのは、下限が1万円台前半と安い一方で、上限が5万円を超えるという幅の広さです。
これは、サーミスター単体の交換で済む場合と、電装ユニットまで交換が必要になる場合とで、金額が大きく変わるためと考えられます。
部品そのものは小さくても、原因がどこにあるかで結果が変わるということです。
なお、321・322・331については、公式ページに修理料金の目安が記載されていません。
同じサーミスター系のコードではありますが、金額を推測して示すことは避けます。
見積もりの段階で確認してください。
あわせて、次の点も費用に影響します。
- 訪問した結果、修理を行わなかった場合でも出張費や故障診断料が発生する
- 高所や狭所など設置状況によって追加費用が生じることがある
- 故障箇所が複数にわたる場合、目安金額を超えることがある
修理と交換の判断基準
判断の軸になるのは使用年数です。
給湯器は設計上の標準使用期間が10年に設定されており、部品の保有期間も製造終了からおおむね10年です。
| 使用年数 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 5年未満 | 修理を優先。保証が残っていれば無償対応の可能性もある |
| 5〜8年 | 修理が現実的。ただし見積もりの幅を確認する |
| 8〜10年 | 電装ユニット交換に及ぶなら、本体交換と比較する |
| 10年以上 | 交換を軸に検討。他のサーミスターも同時期に劣化する |
サーミスターは同じ機器の中に複数入っており、どれも同じ年数だけ使われています。
そのため1つ交換しても、しばらくして別の番号のエラーが出るという流れになることがあります。
10年前後の機器で立て続けに温度系のエラーが出る場合は、交換を軸に考えたほうが結果的に負担が少なくなります。
交換時期の考え方については給湯器の寿命は何年?交換時期の目安と見逃されやすいサインで整理しています。
リモコンに「88」や「888」が併せて表示されている機器は、すでに使用年数10年相当に達しているという合図です。
その意味はリンナイ給湯器のエラー88・888の解除方法|故障ではない?表示の意味と正しい対処で解説しています。
実際の費用は業者や工事条件によって変わるため、最終的には見積もりで確認してください。
記録しておくと役に立つこと
サーミスター系のエラーは、症状が出たり消えたりすることがあります。
そのため、点検を依頼するときに情報が残っているかどうかで診断の速さが変わります。
- 表示された番号を正確に控える
- どの蛇口で、どんな症状が出たかを書き留める
- 季節によって差があるかを意識しておく
- 表示が消えたあとも、番号を思い出せるようにメモを残す
リンナイの給湯器には、過去のエラー履歴をリモコンから呼び出す機能もあります。
操作方法は機種によって異なるため、取扱説明書またはメーカーの案内で確認してください。
複数の番号が並んでいるか、同じ番号が繰り返されているかで、見立てが変わります。
サーミスター系の番号が何種類も出ているなら、機器全体の年数を疑う材料になります。
なお、火がつかない、途中で火が消えるといった症状は別のコードで表示されます。
点火しない場合の111・11はリンナイ給湯器のエラー11・111とは?点火不良の原因と正しい対処法、燃焼の途中で火が消える12はリンナイ給湯器のエラー12|途中失火が起きたときの意味と対処で解説しています。
よくある質問
Q1. サーミスターとは何ですか。自分で交換できますか。
温度を測るための小さな部品で、給湯器の各所に配置されています。
温度によって電気の流れやすさが変わる性質を利用しており、機器はこの情報をもとに燃焼量を決めています。
交換は機器の分解を伴うため、利用者が行うことはできません。
ガス機器の分解や部品交換には資格が求められます。
Q2. 321と331では、どちらが重い故障ですか。
どちらもサーミスターの異常であり、測っている場所が違うだけです。
321は蛇口へ送るお湯の温度、331は熱交換器まわりの温度を見ています。
公式の対処方法も同じで、運転スイッチの入れ直しと、改善しない場合の点検依頼です。
どちらが重いというより、点検してみないと交換範囲は分かりません。
Q3. お湯の温度がおかしいのに、エラーは出ていません。
サーミスターのずれが小さい段階では、エラー表示に至らないことがあります。
設定温度と実際の温度に差がある、季節によってずれ方が変わるといった症状は、その予兆にあたる場合があります。
ただし、温度が合わない原因は混合水栓側にあることもあります。
どの蛇口で症状が出るかを整理しておくと、切り分けが早くなります。
Q4. 修理してもらった直後に、別の番号のサーミスターエラーが出ました。
同じ機器の中のサーミスターは、どれも同じ年数だけ使われています。
そのため1つが劣化する時期には、他の部品も同じように年数を重ねている状態です。
立て続けに温度系のエラーが出る場合は、機器全体の寿命を考える段階に来ている可能性があります。
修理を重ねるより、本体交換の見積もりを取って比較することをおすすめします。
Q5. 修理を依頼するとき、何を伝えるとスムーズですか。
表示された数字(31・310・312・321・322・331の区別)、症状の内容、いつから出ているか、頻度の4点が役立ちます。
番号によって対象の部品が変わるため、数字の正確さがそのまま診断の速さにつながります。
エラー履歴を確認していれば、その内容も伝えてください。
本体側面や下部に記載された型式と製造年も控えておくと、部品の在庫確認が短時間で済みます。
まとめ
リンナイ給湯器のエラー310・312・321・322・331・31は、いずれもサーミスターという温度を測る部品の異常を示すコードです。
番号によって、機器のどこの温度を測っている部品かが分かります。
- 31は給水、321は給湯、312・322は風呂の戻り・往き、331は熱交換器
- 温度を測る部品が狂うと、制御全体が正しく働かなくなる
- 利用者側の対処は運転スイッチの入れ直しまで
- 修理費用の目安は11,500円〜51,700円と幅が広い
- 複数の番号が続けて出る場合は、機器全体の年数を疑う
小さな部品ですが、給湯器にとっては判断の基準になる部分です。
番号を正確に控えておくだけで、点検はぐっとスムーズになります。

