MENU

エアコンと扇風機の電気代を比較|併用で下がる仕組みと使い方

エアコンと扇風機を併用して室内の空気を循環させ、電気代を抑える仕組みを表したイメージ
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

夏の電気代の請求を見て、「扇風機だけで乗り切れば安くなるのでは」と考えたことはありませんか。

扇風機の消費電力はエアコンよりはるかに小さいため、その発想自体は間違っていません。
ただ、実際に節約効果が大きいのは「扇風機に置き換える」使い方ではなく、エアコンと扇風機を同時に回す「併用」のほうです。
資源エネルギー庁も、冷房時・暖房時それぞれの省エネの工夫として扇風機の併用を挙げています。

この記事では、扇風機とエアコンの電気代がどれくらい違うのかを具体的な数値で比較したうえで、併用でなぜ電気代が下がるのかという仕組み、そして効果が出る置き方・出ない使い方までを整理して解説します。

目次

扇風機の電気代はエアコンの数十分の1だが、置き換えではなく併用で効く

先に結論をまとめます。
扇風機とエアコンでは、そもそも消費する電力の桁が違います。
一方で、扇風機は部屋の空気を冷やす機械ではないため、真夏にエアコンの代わりにはなりません。

比較項目扇風機エアコン(冷房)
主な消費電力の発生源羽根を回すモーター室外機のコンプレッサー
消費電力の目安数W〜50W程度数百W〜1,000W超(機種・条件で大きく変動)
室温を下げる働きない(体感温度を下げるだけ)ある(室内の熱を屋外へ運ぶ)
湿度を下げる働きないある(除湿を伴う)
節電上の役割エアコンの設定温度を上げる補助冷房の主役

扇風機が涼しく感じられるのは、風が肌に当たることで汗の蒸発が促され、体感温度が下がるためです。
逆に言えば、人がいない部屋で扇風機を回しても意味はなく、締め切った部屋ではモーターの発熱でわずかに室温が上がることさえあります。
扇風機単体での涼しさの作り方は、扇風機だけで部屋を涼しくする方法9選|置き方と風の作り方とはで詳しく解説しています。

つまり節約の考え方は、「エアコンを止めて扇風機にする」ではなく「扇風機で体感を下げた分だけエアコンの設定温度を上げる」です。
ここから、その根拠となる数値を順に見ていきます。

扇風機は1時間0.3〜1.6円、DCモーターの最小風量なら1.5Wという実測値もある

まず扇風機側のコストを確定させておきます。
電気代は「消費電力(W)÷1000×使用時間(h)×電力量単価(円/kWh)」で計算します。
単価は、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価31円/kWh(税込・令和4年7月22日改定)を用いるのが一般的で、家電のカタログに載っている「電気代の目安」もこの値で計算されています。

📎 出典:よくある質問 Q&A(公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会)

ACモーターとDCモーターで消費電力は10倍以上変わることがある

扇風機のモーターには、昔ながらのACモーターと、省エネ性の高いDCモーターの2種類があります。
両者の差は、メーカーの公式スペックにも明記されています。
パナソニックはリビング扇の比較として、最小風量運転時(首振りオフ)の消費電力を、DCモーター搭載機のF-C339Dが1.5W、F-C337Dが1.2Wであるのに対し、ACモーター搭載機のF-C324Dは21Wと公表しています。

📎 出典:リビング扇 F-C339D(パナソニック)

これは最小風量での比較であり、最大風量では差が縮まりますが、それでもDCモーター機のほうが同じ風量を少ない電力で得られる傾向は変わりません。
就寝時に微風で一晩つけっぱなしにするような使い方では、この差がそのまま電気代に反映されます。

1日8時間・1か月使っても数百円に収まる

上の単価で試算すると、次のようになります。

消費電力1時間1日8時間1か月(30日・1日8時間)
5W(DC・微風)約0.16円約1.2円約37円
20W(DC最大/AC弱)約0.62円約5.0円約149円
40W(ACモーター強)約1.24円約9.9円約298円
50W(大型AC機の強)約1.55円約12.4円約372円

※単価31円/kWhで計算した目安です。実際の単価は契約する小売電気事業者・料金プラン・燃料費調整額などによって変わります。

つまり扇風機は、1か月フルに使ってもおおむね数十円〜400円程度の範囲に収まります。
エアコンの1か月分の冷房代と比べれば、誤差に近い水準です。
この「安さ」が、併用が成立する前提になります。

エアコンの電気代を決めるのは風量ではなく室外機のコンプレッサー

一方のエアコンは、扇風機とは電力の使われ方がまったく異なります。
エアコンで最も電力を消費するのは室内機のファンではなく、室内の熱を屋外へ汲み出す室外機のコンプレッサーです。
そのため、消費電力は「風を強くしたかどうか」ではなく、「設定温度と室温・外気温の差」と「コンプレッサーが動き続けた時間」でほぼ決まります。

この点は誤解が多い部分で、風量を弱にすれば節電になると考えて弱運転を続けると、かえって設定温度に到達するまでの時間が延び、コンプレッサーの稼働時間が長くなることがあります。
風量と電気代の関係については、エアコン自動運転がずっと強風…電気代は上がる?原因・故障の見分け方・正しい対処まで徹底解説でも整理しています。

消費電力は運転開始直後が最も大きい

インバーター式のエアコンは、室温を設定温度に近づけるまでは高い出力で運転し、到達後は出力を絞って維持運転に移ります。
このため、消費電力は運転開始から十数分〜30分程度がピークで、その後は大きく下がります。
「30分の外出のたびに消す」といった使い方が節約にならないと言われるのは、この立ち上がりの電力が繰り返し発生するためです。
目安として、30分〜1時間程度の外出であればつけたままのほうが有利になるケースが多いとされています。
ただし、外気温が低い時期や高断熱住宅では切ったほうが有利になることもあり、一律の正解はありません。

機種と部屋の広さで幅は大きい

冷房時の消費電力は、6畳用(2.2kWクラス)と14畳用(4.0kWクラス)ではまったく異なり、同じ畳数でも製造年や省エネ性能によって差が出ます。
そのため、この記事では「エアコンは扇風機の数十倍から百倍以上の電力を使う機器である」という桁感だけを押さえ、正確な数値はお使いの機種の取扱説明書または仕様表で確認してください。

併用で電気代が下がるのは「設定温度を1℃上げても体感が変わらない」から

ここが本題です。
併用によって電気代が下がる理由は、扇風機がエアコンの仕事を肩代わりするからではありません。
扇風機の風で体感温度が下がるため、同じ快適さを保ったままエアコンの設定温度を上げられることが理由です。

資源エネルギー庁は家庭向けの省エネのポイントとして、冷房時の工夫に「扇風機を併用。風がカラダにあたると涼しく感じます」を、暖房時の工夫に「扇風機を併用。暖まった空気を循環させましょう」を挙げています。
つまり併用は、夏だけでなく冬にも推奨されている使い方です。

冷房は設定温度1℃で年間約940円、電力量では約13%の差

では、設定温度を1℃上げると実際どれだけ変わるのか。
資源エネルギー庁は、外気温31℃のときにエアコン(2.2kW)の冷房設定温度を27℃から1℃上げた場合(1日9時間使用)、年間で電気30.24kWhの省エネ、金額にして約940円の節約になるとしています。
同じページでは、フィルターを月1〜2回清掃した場合に年間約990円の節約になるという試算も示されています。

📎 出典:空調|無理のない省エネ節約(資源エネルギー庁 省エネポータルサイト)

割合で見た場合の目安も公表されています。
環境省は、エアコンの設定温度を1℃緩和した場合の消費電力量が冷房時で約13%、暖房時で約10%削減されると見込まれるとしています。

📎 出典:エアコンの使い方について|家庭部門のCO2排出実態統計調査(環境省)

扇風機の追加コストを差し引いても差額は残る

この2つを突き合わせると、併用の損得が見えてきます。

項目年間の増減(目安)
冷房の設定温度を1℃上げる約940円の減
扇風機を追加で回す(20W・1日8時間・4か月)約600円の増
差引約340円の減

※資源エネルギー庁の試算条件(2.2kW・1日9時間)と、単価31円/kWhによる扇風機の試算を組み合わせた概算です。住宅の断熱性能・地域・機種によって変動します。

金額だけを見ると年間数百円で、劇的とは言えません。
ただし注目すべきは、設定温度を2℃上げられれば削減額はおおむね倍になる一方、扇風機側のコストは変わらないという点です。
扇風機の風を上手に使って28℃設定でも快適に過ごせるようになれば、削減幅はさらに広がります。
さらに、部屋数が多い家庭や、エアコンの容量が大きい機種ほど、1℃あたりの削減額は大きくなります。

併用しても電気代が下がらない3つのケース

「併用しているのに安くならない」という場合、次のいずれかに当てはまることが多く見られます。

設定温度を上げていない

最も多いパターンです。
扇風機を足しただけで設定温度を26℃のまま据え置けば、単純に扇風機の電気代が上乗せされるだけになります。
併用の効果は設定温度の変更とセットで初めて生まれる、という点を押さえてください。
判断の目安として、扇風機を回して10分ほど過ごしても暑さを感じないなら、設定温度を1℃上げる余地があると考えて問題ありません。

風が人に当たっていない

扇風機を壁や天井に向けて空気を回しているだけでは、体感温度は下がりません。
空気の撹拌には意味がありますが、それは「温度ムラをなくす」効果であって、「涼しく感じさせる」効果とは別物です。
冷房時に体感温度を下げたいなら、弱風でよいので人に直接風が当たる向きにしてください。

断熱やフィルターの問題を放置している

窓から日射が入り続けている、フィルターがほこりで目詰まりしている、室外機の前に物を置いている——こうした状態では、設定温度を上げても効きが悪く、結局温度を下げ直すことになります。
特にフィルターの目詰まりは前述のとおり年間約990円相当の差になり、設定温度1℃分に匹敵します。
冷えが弱いと感じる場合の確認手順は、ダイキンのエアコンが冷えない原因|自分でできる確認と業者依頼の目安が参考になります。

冷房時は「人に向ける」、暖房時は「天井へ向ける」で使い分ける

季節によって、扇風機に期待する役割は正反対になります。

季節目的扇風機の向き風量の目安
冷房時体感温度を下げる人に向ける(首振り推奨)弱〜中
冷房時(温度ムラ解消)足元の冷気を撹拌する床付近から斜め上へ
暖房時天井に溜まった暖気を下ろす天井へ向ける/エアコンの対角から上向き

冷房で冷たい空気は下に溜まり、暖房で暖かい空気は上に溜まります。
暖房時に扇風機を人に向けてしまうと、風で体温が奪われて逆効果になるため、暖房時は人に風を当てないのが原則です。
天井付近の暖気を下ろすことで、設定温度を上げずに足元の寒さを解消できます。

なお、扇風機を人に向けて長時間当て続けると、体が冷えすぎたり脱水を招いたりすることがあります。
特に就寝時は、風を直接体に当て続けないようにし、首振りやタイマーを併用してください。
高齢者や乳幼児のいる部屋では、暑さを自覚しにくいことがあるため、扇風機に頼りすぎず室温そのものを管理することが重要です。

サーキュレーターは空気の撹拌用、扇風機は体感を下げる用

似た機器としてサーキュレーターがありますが、役割は別です。

扇風機サーキュレーター
風の性質広く拡散する柔らかい風直進性の高い強い風
主な用途人に風を当てて涼む部屋の空気を循環させる
首振り左右が中心上下左右に対応する機種が多い
併用時の役割体感温度を下げる温度ムラをなくす
消費電力の目安数W〜50W程度20〜30W程度の機種が多い

エアコンとの併用でどちらを選ぶかは、目的で決めてください。
設定温度を上げても快適に過ごしたいなら扇風機、部屋の上下で温度差が大きいならサーキュレーターという切り分けが基本です。
両方を使う場合でも、合計の消費電力は50〜80W程度に収まることが多く、コスト面での負担は限定的です。

エアコンがない部屋での暑さ対策全般については、エアコンのない部屋を涼しくする方法13選|夏の暑さを大幅に軽減できる対策とは?でまとめています。

併用効果を高める5つのチェックポイント

最後に、併用の効果を引き出すための確認項目を整理します。

  • エアコンの風量は「自動」にする:弱固定は設定温度への到達を遅らせ、コンプレッサーの稼働時間を延ばす場合があります
  • フィルターは月1〜2回清掃する:目詰まりの解消は設定温度1℃分に匹敵する効果が見込めます
  • 室外機の周囲を空ける:吹出口の前に物を置くと熱を逃がせず、冷暖房の効果が下がります
  • 窓の日射をカットする:レースのカーテン・すだれの活用や、外出時に昼間でもカーテンを閉めることが有効です
  • 短時間の外出では消さない:立ち上がり時の電力が繰り返し発生するため、30分〜1時間程度なら継続運転のほうが有利なケースが多くなります

これらは扇風機の併用と組み合わせることで効果が重なります。
逆に、断熱や手入れを放置したまま扇風機だけを足しても、体感できるほどの差は出にくいのが実情です。

自宅の扇風機のワット数は本体の銘板と仕様表で確認できる

ここまでの試算はあくまで一般的な目安です。
自宅の機器で正確に計算したい場合は、次の3か所を確認してください。

  1. 本体背面・底面の銘板シール:「消費電力 40W」のように定格消費電力が記載されています
  2. 取扱説明書の仕様欄:50Hz/60Hzで数値が分かれている場合があり、東日本は50Hz、西日本は60Hzの値を見ます
  3. メーカー公式サイトの仕様(スペック)ページ:型番で検索すると、風量段階ごとの消費電力を公開している機種もあります

注意したいのは、銘板に書かれているのは最大風量時の「定格消費電力」である点です。
弱運転や微風で使えば実際の消費電力はこれより小さくなります。
特にDCモーター機は風量段階が細かく、弱で使うと定格の10分の1以下になることもあります。
より正確に知りたい場合は、市販のワットチェッカー(消費電力計)をコンセントとの間に挟むと、実際の消費電力と積算電力量を測定できます。

なお、電力量単価も家庭ごとに異なります。
検針票(電気ご使用量のお知らせ)に記載された当月の請求額を使用電力量(kWh)で割ると、基本料金や燃料費調整額・再エネ賦課金まで含めた実質的な単価が出せます。
この数値を使えば、目安単価31円/kWhよりも実態に近い試算ができます。

部屋のタイプ別に、扇風機の置き場所は変わる

同じ併用でも、部屋の形とエアコンの位置によって最適な置き方は変わります。

部屋のタイプ扇風機の置き場所狙い
リビング(エアコンが1台・広め)エアコンの対角線上、人がいる場所へ向ける遠い側まで冷気を届けつつ体感を下げる
寝室(就寝時)壁や天井に当てて反射させる/首振りで間接的に直接風を避けながら空気を動かす
縦長の部屋・廊下つづきエアコン側から奥へ向けて置く冷気が届かない奥まで送る
ロフト・吹き抜けのある部屋上向きに設置して空気を循環天井付近との温度差を減らす
キッチンと一体のLDK調理熱がこもる側から人のいる側へ熱だまりを解消する

共通する考え方は、「冷気の吹き出し口と、人のいる場所を風の通り道でつなぐ」ことです。
エアコンの真下に扇風機を置いても、冷気はすでにその位置にあるため効果が出にくくなります。
うまくいっているかどうかは、体感だけでなく温度計で判断できます。
床から30cmと天井付近の温度差が2℃以内に収まっていれば、空気は十分に混ざっていると考えてよいでしょう。

冷房と除湿(ドライ)、扇風機と相性がよいのはどちらか

夏場の運転モードで迷う方も多い部分です。
除湿には大きく分けて2つの方式があり、電気代の傾向が異なります。

方式仕組み電気代の傾向
弱冷房除湿弱い冷房運転で除湿する冷房と同等かやや安い
再熱除湿冷やして除湿した空気を暖め直して戻す冷房より高くなりやすい

自分の機種がどちらかは、取扱説明書やメーカーの仕様ページで確認できます。
節電を優先するなら、室温を下げたい場面では除湿ではなく冷房を選び、設定温度を上げて扇風機で補うほうが理にかなっています。
一方、梅雨時期のように気温はそれほど高くないが湿度が高い状況では、除湿と扇風機の併用が快適です。
湿度が下がれば汗が蒸発しやすくなり、風の効果もはっきり感じられるようになります。

エアコン本体が古い場合は、使い方より買い替えの影響が大きい

併用や設定温度の見直しは、どの家庭でもすぐ実践できる方法です。
ただし、エアコン本体が10年以上前の機種である場合、使い方の工夫よりも機器そのものの省エネ性能の差のほうが金額に効いてくることがあります。

判断の目安は次のとおりです。

  • 使用年数が10年を超えている:エアコンの設計上の標準使用期間はおおむね10年とされており、性能低下が出やすい時期にあたります
  • 同じ設定でも以前より冷えにくい:熱交換器の汚れや冷媒量の低下が疑われます
  • 修理見積もりが本体価格の半分を超える:交換を検討する目安になります
  • エラー表示が繰り返し出る:内部部品の劣化が進んでいる可能性があります

これらに複数当てはまる場合は、扇風機の併用で数百円を積み上げるより、買い替えによる削減幅のほうが大きくなるケースがあります。
ただし本体価格・工事費も上昇傾向にあるため、初期費用と削減額を並べて判断してください。

併用向けの扇風機を選ぶときの3つの基準

新しく買い足す場合、併用という目的に合った選び方があります。

  • DCモーターかどうか:長時間の連続運転が前提になるため、消費電力の小ささが効きます。風量段階が細かく、弱風で使いやすい点もメリットです
  • 上下の首振り・角度調整ができるか:冷房時は人へ、暖房時は天井へと向きを変えられると、1台で通年使えます
  • 切タイマーがあるか:就寝時の使いすぎを防げます。切タイマーと入タイマーを組み合わせられる機種なら、明け方だけ再運転させるといった使い方もできます

価格はACモーター機で3,000〜6,000円前後、DCモーター機で8,000〜20,000円前後が一つの目安です(※販売時期・仕様により変動します)。
電気代の差だけで本体価格の差を回収するには年単位の時間がかかるため、静音性や風量調整のきめ細かさといった快適性まで含めて判断するのが現実的です。

よくある質問

Q1. 扇風機だけでエアコンの代わりになりますか?

真夏の日中は代わりになりません。
扇風機は空気を冷やす機能を持たず、風で汗の蒸発を促して体感温度を下げているだけだからです。
室温が体温に近い状態では、風が当たってもかえって熱を運んでくる形になり、涼しさを感じにくくなります。
朝晩や梅雨時期など、外気温がそれほど高くない時間帯であれば扇風機だけで過ごせる場面もありますが、猛暑日に無理をすると熱中症の危険があります。
室温が高い日は、エアコンを主役にしたうえで扇風機を補助として使う判断が安全です。

Q2. 扇風機を一晩つけっぱなしにすると電気代はいくらですか?

消費電力20Wの機種を8時間連続で使った場合、目安単価31円/kWhで計算すると約5円です。
1か月毎晩使い続けても150円程度に収まります。
DCモーター機を微風で使う場合はさらに安く、機種によっては1か月数十円という水準になります。
ただし就寝時に風を体へ当て続けると体が冷えるため、首振り機能や切タイマーを併用してください。
正確な消費電力は、本体の銘板や取扱説明書の仕様欄で確認できます。

Q3. エアコンの設定温度は何度にするのが正解ですか?

環境省は、快適性を損なわない範囲での省エネとして、室温を夏季28℃・冬季20℃とすることを推奨しています。
ここで注意したいのは、これが室温の目安であって設定温度そのものではないという点です。
同じ28℃設定でも、日射の入り方や部屋の断熱性能によって実際の室温は変わります。
温度計で室温を確認しながら、扇風機の風で快適に感じられる範囲まで設定温度を上げていくのが現実的な進め方です。
体調がすぐれない日や高齢者・乳幼児がいる場合は、省エネより室温管理を優先してください。

Q4. サーキュレーターと扇風機、併用するならどちらを買うべきですか?

目的で選び分けてください。
エアコンの設定温度を上げて電気代を抑えたいのであれば、人に風を当てられる扇風機が適しています。
一方、部屋の上下で温度差が大きい、エアコンから遠い場所だけ効きが悪いといった悩みが中心であれば、直進性の高い風で空気を循環させるサーキュレーターが向いています。
最近は上下首振りに対応した扇風機や、風の柔らかいサーキュレーターもあり、境界は曖昧になってきています。
1台で兼用したい場合は、上下の角度調整ができる機種を選ぶと使い回しがききます。

Q5. 暖房でも扇風機を併用したほうがよいですか?

有効です。
資源エネルギー庁も暖房時の工夫として扇風機の併用を挙げており、暖まった空気を循環させることが目的とされています。
暖房時は暖気が天井付近に溜まりやすく、足元が寒いまま設定温度だけを上げてしまいがちです。
扇風機を天井方向へ弱風で向けて空気を撹拌すると、設定温度を上げずに足元の体感を改善できます。
このとき人に風を直接当てると体温が奪われて逆効果になるため、風向きには注意してください。

まとめ

エアコンと扇風機の電気代は、そもそも比較の土俵が違います。
扇風機は1か月フル稼働でも数十円〜400円程度、エアコンはその数十倍の電力を使う機器です。
だからこそ、扇風機は「エアコンの代わり」ではなく「エアコンの設定温度を上げるための道具」として使うのが合理的です。

最後に要点を整理します。

  • 扇風機は室温を下げず、体感温度だけを下げる機器である
  • 冷房の設定温度を1℃上げると、年間約940円・電力量で約13%の削減が見込まれる
  • 扇風機の追加コストは年間数百円程度で、設定温度を上げられれば差額は残る
  • 効果を出すには「設定温度を上げる」「人に風を当てる」の2点が必須
  • 暖房時は逆に、人に当てず天井へ向けて暖気を循環させる
  • フィルター清掃や室外機まわりの整理も、設定温度1℃分に匹敵する効果がある

今日からできるのは、扇風機を回して設定温度を1℃上げてみることです。
それで暑さを感じないのであれば、その分はそのまま節約になります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

目次