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エアコンの取り外しはなぜ自分でできない?作業の中身と依頼先

壁掛けエアコンを見ながら、自分で取り外せない理由や作業内容・依頼先について考える男性のイラスト
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

引っ越しや買い替えのタイミングで、「エアコンくらい自分で外せるのでは」と考えたことはありませんか。

壁のビスを緩めて配管を抜くだけに見えるため、工具さえあればできそうに思えるのは自然なことです。
しかし実際の取り外しは、本体を壁から外す前に、室外機の中へ冷媒ガスを回収して閉じ込める工程から始まります。
ここを飛ばすと数万円分の冷媒がその場で失われ、次に取り付けるときには使えない機械になってしまいます。

この記事では、取り外し作業が実際にどんな順番で進むのか、どこに資格が必要なのか、そして家電量販店・エアコン専門業者・引越し業者・不用品回収業者のどこに頼めばよいのかを、判断できる形で整理します。

目次

自分で外せない理由は「冷媒の回収」と「電源側の切り離し」の2点に集約される

結論から言うと、エアコンの取り外しが一般の方に向かない理由は、次の2つに絞られます。

  • 冷媒ガスを室外機に閉じ込める「ポンプダウン」に、専用の工具と手順の見極めが要る
  • 電源線・渡り線の切り離しが、電気工事士法で無資格作業が禁じられている範囲に触れやすい

逆に言えば、この2つに触れない作業――化粧カバーを外す、フィルターを抜く、配管テープを剥がす――は、道具さえあれば誰でも触れます。
つまり「エアコンの取り外し」は全体が難しいのではなく、最初の10分と最後の10分に、後戻りできない工程が集中しているという構造です。

もうひとつ見落とされがちなのが、外したあとの話です。
家庭用エアコンは家電リサイクル法の対象品目で、粗大ごみとして出すことができません。
壁から外した瞬間から、リサイクル券の手配と指定引取場所への持ち込み、あるいは引き取り業者の手配が自分の宿題になります。
「外す」だけを自力でやっても、その先の工程が残る点は先に押さえておいてください。

取り外しは6工程|ポンプダウンから配管穴の処理まで作業の中身を分解する

エアコン1台の取り外しは、慣れた作業者でおおむね30〜60分程度です。
短時間で終わるのは手順が単純だからではなく、順番が決まっていて迷いがないからです。

① ポンプダウン(冷媒の回収)

室外機には、細い配管(液管)と太い配管(ガス管)の2本がつながっており、それぞれの根元に六角レンチで開閉するバルブがあります。
冷房運転をかけた状態で細い側のバルブを閉じると、循環していた冷媒が室外機の中へ吸い込まれていきます。
数十秒〜1分ほど待って太い側も閉じ、運転を止めると、冷媒が室外機内に閉じ込められた状態になります。

ここが取り外し作業で唯一、やり直しがきかない工程です。
バルブを閉じる順番を逆にしたり、閉じるタイミングが早すぎたりすると、冷媒が配管側に残ったまま接続を外すことになります。
その瞬間に冷媒は勢いよく大気へ抜け、白い霧状のガスが噴き出します。
配管内は高圧のため、吹き出した冷媒が皮膚に触れると凍傷を起こすおそれがあり、目に入れば重い損傷につながります

また、判断が難しいのは季節と機種です。
外気温が低い冬場は冷房運転そのものが立ち上がらない機種があり、強制冷房運転(試運転スイッチ)に切り替える必要があります。
このスイッチの位置と操作方法は機種ごとに異なり、取扱説明書ではなく据付説明書にしか書かれていないことも珍しくありません。

② 配管の取り外しとフレアナットの扱い

ポンプダウンが済んだら、室外機側の配管ナット(フレアナット)をスパナ2本で緩めて外します。
このとき、配管の先端は「フレア加工」という円錐状の広げ加工がされており、金属同士を密着させて気密を保っています。
一度外したフレア部分は変形しているため、再利用すると次の取り付けでガス漏れの原因になります。
再取り付けを前提とするなら、配管の先端を切り落として、フレアツールで加工し直すのが正しい手順です。

外した配管の口はすぐにテープやキャップで塞ぎます。
開いたままにすると、空気中の水分やホコリが配管内に入り込みます。
配管内の水分は、次の取り付けで真空引きを行っても抜けきらないことがあり、内部で凍結して詰まりを起こしたり、冷凍機油を劣化させたりします。

③ 電源線・渡り線の切り離し

室内機と室外機は「渡り線」と呼ばれる連絡電線でつながっています。
また、室内機側にはコンセントから電源が入っています。
コンセントを抜くだけで済む機種もありますが、専用回路から直接結線されているタイプ、200V機種、隠蔽配管の物件では、端子台での結線を外す作業が発生します。

ここが資格の線引きに関わる部分で、詳しくは後述します。

④ 室内機の取り外し

室内機は、壁に固定された「据付板」という金属板に引っ掛けて留まっています。
下部の爪を押し上げながら手前に引き、持ち上げて外します。
機種によっては本体を持ち上げる方向が決まっており、力任せに引くと爪が割れます。

このとき、内部のドレンパン(結露水の受け皿)に水が残っていることが多く、傾けると床や壁に汚水がこぼれます。
長年使ったエアコンでは、この水はカビや汚れを含んだ状態になっています。
養生を先にしておくかどうかで、後片付けの手間がまったく変わります。

⑤ 室外機の撤去

室外機はプラスチックブロックや架台にボルトで固定されています。
重量は6畳用でおよそ20〜30kg、大型機種では40kgを超えるものもあります。
ベランダの手すり越し、屋根置き、壁面金具といった設置場所では、持ち上げた際のバランス崩れによる転落事故のリスクがあります。
2階以上の壁面設置や屋根置きは、脚立作業と重量物の取り回しが重なるため、自力での対応は避けるべき条件です。

⑥ 配管穴・壁面の処理

配管を抜いたあとの壁には、直径65mm前後の貫通穴が残ります。
穴を開けたままにすると、雨水の侵入、虫やネズミの侵入、断熱性能の低下につながります。
再度エアコンを設置しない場合は、専用のキャップと防水パテで確実に塞ぐ処理が必要です。

据付板を固定していたビス穴も残ります。
賃貸では、この穴の扱いが原状回復の話に直結します。

素人作業で起きやすい失敗は「冷媒の全放出」と「再取り付け時のガス漏れ」に集中する

DIYでの取り外しが問題になるケースは、失敗の型がある程度決まっています。
下の表は、起きやすい順に整理したものです。

起きやすい失敗直接の原因結果として起きること
冷媒の全量放出ポンプダウンをせずに配管を外した/バルブの順番を誤った再取り付け時に冷媒の充填が必要になり、追加費用が発生する
再取り付け後のガス漏れ変形したフレアを再利用した/締め付けトルクが不適切数週間〜数か月後に冷えが悪化し、原因特定に時間がかかる
配管内への水分・異物混入外した配管の口を開放したまま放置した詰まり・腐食・圧縮機の故障につながる
室内機からの汚水こぼれドレンパンの残水を確認せず傾けた床材・壁紙の汚損、カビ臭の発生
落下・転倒事故高所での室外機取り外しを単独で行ったけが、周囲への物損
配管穴の未処理キャップ・パテを施工しなかった雨水侵入、断熱低下、害虫の侵入

特に厄介なのが2番目の「再取り付け後のガス漏れ」です。
外した直後は問題なく動くため、失敗に気づくのが数か月後になります。
そのころには「取り外しが原因」とは判断されにくく、結果的に本体故障として買い替えを検討することになりがちです。
冷えが悪くなる症状は原因の切り分けが難しく、室外機側の挙動から判断していく必要があります。
症状の見分け方は室外機が動かない原因と対処法|故障かどうかを自分で判断する完全ガイドで詳しく解説しています。

なお、「取り外すだけなら簡単」という説明を見かけますが、これはその機械を二度と使わない(処分する)前提でのみ成り立つ話です。
移設・買い替えで再利用するなら、取り外しの精度がそのまま次の設置の品質を決めます。

冷媒を大気に放出してよいわけではない|家庭用は家電リサイクル法でメーカーが回収する

エアコンの冷媒には、代替フロン(HFC)と呼ばれる物質が使われています。
これらは温室効果が非常に高く、大気に放出すれば地球温暖化に直接影響します。

法律の建て付けは、業務用と家庭用で分かれています。
業務用の空調・冷凍冷蔵機器はフロン排出抑制法の「第一種特定製品」として、廃棄時のフロン回収が義務づけられています。
一方で家庭用のルームエアコンはこの法律の対象ではなく、家電リサイクル法の枠組みで冷媒が回収される仕組みです。

📎 出典:環境省「フロン排出抑制法」ポータルサイト FAQ

つまり家庭用エアコンは、正規のリサイクルルートに乗せることで、メーカー側で冷媒フロンの回収・処理が行われます。
逆に言えば、正規ルートから外れたエアコンは、冷媒が処理されないまま解体される可能性があるということです。

📎 出典:日本冷凍空調工業会「家電リサイクル法とエアコン」

家庭用エアコンは年間700万台前後が処分されていると推計される一方、家電リサイクルに出されているのはその半数程度にとどまるとされています。
残りの多くは、無許可の回収業者を経由して金属だけ抜き取られ、冷媒が適正に処理されないまま処分されているとみられています。

📎 出典:家電製品協会「家庭用エアコンの処分方法とは? 家電リサイクル法と併せて解説」

自分で取り外して自分で処分ルートを探す場合、この「正規かどうか」の判断も自分で背負うことになります。
無料回収をうたう業者の中には、古物商や産業廃棄物の許可を持たない事業者も含まれます。

資格が必要になるのは電源側|電気工事士法で無資格作業が禁じられる範囲を確認する

「エアコンの取り外しに資格は要るのか」という問いには、条件付きの答えになります。

コンセントプラグを抜くだけで電気的に切り離せる機種であれば、その行為自体に資格は不要です。
一方で、電線相互の接続、配線器具を造営材に取り付けて電線を接続する作業などは、電気工事士でなければ従事できない作業として規定されています
専用回路から直結されているケース、200V機種でのブレーカー・コンセント交換を伴うケース、渡り線を端子台から外して屋外配線側に手を入れるケースは、この範囲に踏み込みます。

📎 出典:経済産業省「電気工事の安全」

つまり「取り外し」という行為に対して一律に資格が必要なのではなく、電源側にどこまで手を入れるかで、無資格では行えない作業に変わるという理解が正確です。
そして厄介なのは、その線引きが作業を始めてから判明することです。
コンセントだと思っていたら直結だった、というのは珍しい話ではありません。

再設置の際に電源側の工事が必要になるケースについては、コンセント増設の費用はいくら?工事内容・相場・業者選びの完全ガイドで工事区分ごとに整理しています。

自分でやってよい範囲は「電源にも冷媒にも触れない作業」まで

すべてを業者任せにする必要はありません。
費用を抑えたいなら、事前準備として自分でできることがあります。

作業内容自分でできるか補足
室内機まわりの家具移動・養生できる作業時間の短縮につながり、追加料金の回避にもなる
フィルター・前面パネルの取り外しできる汚れたまま運ぶより衛生的
配管化粧カバーの取り外し条件付きでできる高所・屋根上は避ける
リモコン・取扱説明書の保管できる移設・売却時に価値が変わる
室外機まわりの障害物の撤去できる作業スペースの確保は当日の進行に直結する
ポンプダウンできない失敗すると冷媒が全量失われる
配管の取り外し・フレア加工できない専用工具と加工精度が必要
端子台からの結線取り外し原則できない電気工事士法上の作業に該当し得る
配管穴のパテ処理条件付きでできる屋外側の防水処理は仕上がりが雨漏りに直結する

判断基準はシンプルです。
冷媒と電源のどちらにも触れない作業であれば自分の領分、どちらかに触れるなら業者の領分と考えてください。

依頼先は4つ|買い替えか移設か処分かで最適解が変わる

取り外しを頼める先は、大きく4種類です。
どれが正解かは、外したあとにそのエアコンをどうするかで決まります。

依頼先向いているケース注意点
家電量販店新しいエアコンへの買い替えと同時に処分する取り外し・リサイクル料金・収集運搬料金が別建てになることが多い
エアコン専門工事業者移設して再び使う/隠蔽配管など条件が難しい取り外しのみの依頼を受けない事業者もあるため事前確認が要る
引越し業者引越しと同時に移設する実際の施工は提携の工事業者が行うことが多く、内容と保証範囲の確認が必要
不用品回収業者他の不用品とまとめて処分する許可の有無を必ず確認する。無料回収の広告には注意

再利用する予定があるなら、エアコン専門の工事業者が第一候補です。
ポンプダウンやフレア加工の精度が次の設置に直結するため、取り付けまで一貫して同じ業者に頼めるかどうかが品質を左右します。

処分するだけなら、家電量販店か、自治体が案内する正規のリサイクルルートが確実です。
なお、繁忙期(4〜8月)は工事業者の予約が取りにくくなります。
時期が読めるなら早めに押さえておくのが安全です。

費用は「工事費」「リサイクル料金」「収集運搬料金」の3階建てで考える

エアコンを外して処分する場合、かかるお金は性質の違う3つに分かれます。
見積もりを比較するときは、この3つが分けて書かれているかを確認してください。

① 取り外し工事費
壁からの撤去そのものにかかる費用です。
標準的な設置(1階・ベランダ置き・配管が短い)と、難条件(2階以上の壁面設置、屋根置き、隠蔽配管、化粧カバー付き)とで大きく変わります。
金額は事業者ごとに設定が異なるため、「標準工事に何が含まれ、何が追加になるか」を書面で確認するのが実質的な比較方法です。

② 家電リサイクル料金
これはメーカーごとに定められた法定の料金で、業者が自由に決められるものではありません。
エアコンの場合、多くのメーカーが数百円〜2,000円台の範囲に設定しています。
金額はメーカー名から検索して確認できます。

なお、この料金は室内機と室外機を合わせた1台分として扱われ、どちらか一方だけを処分する場合でも金額は変わりません。

📎 出典:家電リサイクル券センター「対象廃棄物(家電4品目)一覧」

③ 収集運搬料金
指定引取場所まで運ぶ費用です。
自分で持ち込めば不要になりますが、室内機と室外機を運べる車両と人手が前提になります。

見積もりで気をつけたいのは、①と③が「出張費」「作業費」といった名目でまとめられ、内訳が見えないケースです。
金額の妥当性を判断するには、法定で決まっている②を基準点にして、残りがいくらなのかを見ると分かりやすくなります。

賃貸では外す前に確認|「設備」か「残置物」かで扱いが変わる

賃貸物件で最も多いトラブルが、確認せずに外してしまうケースです。

入居時から付いていたエアコンには、2つの性格があります。
ひとつは、貸主が管理する「設備」としてのエアコン。
もうひとつは、前の入居者が置いていったものを、修理も撤去も借主の責任とする条件で残した「残置物」です。

設備であれば、勝手に外すことはできません。
故障時の修繕も原則として貸主の負担になります。
残置物であれば、扱いは契約書の記載次第です。

  • 契約書と重要事項説明書で「設備」か「残置物」かを確認する
  • 自分で設置したエアコンでも、退去時に配管穴とビス穴の扱いを管理会社に確認する
  • 撤去して原状回復するのか、残置してよいのかは物件ごとに判断が分かれる

判断がつかないときは、外す前に管理会社へ一報を入れてください。
外したあとで「設備だった」と分かると、復旧費用が発生します。

なお、賃貸で設備扱いのエアコンに不具合が出ている場合、部品の追加や配管の加工も自己判断で行わないほうが安全です。
ドレン周りの症状と対応範囲はエアコンのポコポコ音の原因と止め方とは?自分でできる対処法を解説でも触れています。

業者に依頼するときの確認ポイント

依頼先を決める前に、次の5点を押さえておくと後のトラブルを避けやすくなります。

  • 見積もりの内訳が分かれているか:工事費・リサイクル料金・収集運搬料金が個別に記載されているか
  • 追加料金の条件が明示されているか:高所作業、化粧カバー撤去、配管穴の処理、階段搬出などの扱い
  • 処分の場合、正規ルートかどうか:家電リサイクル券の控えを受け取れるか
  • 移設の場合、取り付けまで一貫して依頼できるか:取り外しと取り付けで業者が変わると、不具合時の責任が曖昧になる
  • 保証の有無と範囲:施工後に不具合が出た場合の対応期間

特に処分では、家電リサイクル券の控え(お問い合わせ管理票)を受け取れるかが、正規ルートかどうかの実質的な判断材料になります。
控えの番号があれば、メーカーへ適正に引き渡されたかを後から確認できます。

設置条件で難易度は変わる|隠蔽配管・マルチ・窓用は前提が違う

「エアコンの取り外し」とひと口に言っても、設置形態によって作業の性質はかなり変わります。
自宅がどのタイプかを把握しておくと、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。

設置形態作業上の特徴押さえておきたい点
標準的な壁掛け(1階・ベランダ置き)もっとも作業が単純で、時間も短い追加費用が発生しにくい基準の条件
2階以上の壁面設置・屋根置き脚立や高所作業が加わる高所作業費が別途かかるのが一般的。単独作業は避ける
隠蔽配管配管が壁・天井の内部を通っている配管は壁内に残す前提。抜こうとすると建物側を傷める
マルチエアコン(1台の室外機に複数の室内機)使用中の系統を止めずに一部だけ外す判断が要る室内機だけ外しても系統全体に影響する。専門業者の領域
窓用(ウインド形)エアコン冷媒配管が本体内で完結しており、ポンプダウンが不要取り外し自体は自力でも可能。ただし重量と落下に注意
床置き形配管接続は壁掛けと同様搬出経路の確保が課題になりやすい

ここで注目したいのが窓用エアコンです。
窓用は室内機と室外機が一体で、冷媒回路が本体の中で閉じているため、配管を外す工程そのものが存在しません
つまり「エアコンの取り外しは自分でできない」という説明は、セパレート形(壁掛け+室外機)を前提にした話です。
ただし窓用も家電リサイクル法の対象で、処分方法は同じ扱いになります。

隠蔽配管の物件では、判断がさらに難しくなります。
壁の中を通る配管は原則として再利用するか、そのまま残す扱いになり、取り外し時にはこの配管をどう処理するかが論点になります。
配管内に冷媒や冷凍機油が残る形になるため、次に設置する機種との適合を含めて、経験のある業者に相談したほうが確実です。

依頼当日の流れと、立ち会いで見ておくべきこと

作業当日は、依頼者が立ち会うのが基本です。
おおまかな流れは次のようになります。

  • 設置状況の確認と作業説明(5〜10分)
  • 養生と家具の退避
  • 室外機側でポンプダウン、配管の切り離し
  • 室内機の取り外しと搬出
  • 室外機の取り外しと搬出
  • 配管穴の処理、片付け、完了確認

立ち会いのときに見ておきたいのは、次の3点です。

① 配管穴の処理をどうするか
再設置しないなら、キャップとパテで塞いでもらいます。
後日別の業者が設置する予定なら、その旨を伝えておくと処理方法が変わります。

② 追加費用が発生する場面での説明があるか
作業を始めてから「化粧カバーの撤去が必要」「配管が固着している」といった事情が出てくることがあります。
その場で金額の説明があるかどうかは、業者の姿勢が出る部分です。

③ 処分する場合、控えを受け取れるか
家電リサイクル券のお問い合わせ管理票の控えは、必ず手元に残してください。

また、取り外し前にエアコン内部が汚れている場合、搬出時にホコリやカビが室内に舞うことがあります。
気になる場合は、事前にフィルターを外して洗っておくだけでも状況が変わります。

よくある質問

Q1. ポンプダウンをせずに配管を外してしまいました。どうなりますか。
配管内と室内機側に残っていた冷媒が大気へ放出された状態です。
そのエアコンを再度取り付ける場合は、真空引きを行ったうえで、規定量の冷媒を充填する作業が必要になります。
充填には専用の計量機器が要るため、工事業者への依頼が前提です。
費用は再取り付け工事費に上乗せされるため、結果的に業者へ最初から頼んだ場合より高くつくことが多くなります。
処分する予定であれば再取り付けの問題は生じませんが、環境負荷の観点からは避けるべき事態です。

Q2. 取り外しだけを業者に頼むことはできますか。
可能ですが、事業者によって対応は分かれます。
家電量販店は買い替えとセットでの取り外しを基本にしていることが多く、取り外し単独では受けない場合があります。
エアコン専門の工事業者や、不用品回収を兼ねる事業者であれば、取り外し単独の依頼にも対応していることが一般的です。
問い合わせの際は、「取り外しのみ」「処分も必要か」「移設予定があるか」を先に伝えると、見積もりが正確になります。

Q3. 外したエアコンを粗大ごみとして出すことはできますか。
できません。
家庭用エアコンは家電リサイクル法の対象4品目に含まれており、自治体の粗大ごみとしての収集対象外です。
処分するには、購入した小売店や買い替え先の販売店に引き取りを依頼するか、家電リサイクル券を用意したうえで指定引取場所へ持ち込む必要があります。
室内機だけ、室外機だけといった片方のみの処分でも、同じ扱いになります。

Q4. 引越し業者に頼めば、取り外しから取り付けまで任せられますか。
多くの引越し業者がオプションとして対応していますが、実際の施工は提携の工事業者が行うことが一般的です。
そのため、標準作業の範囲、配管の新設が必要になった場合の追加費用、施工後の不具合への対応窓口を、契約前に確認しておくことをおすすめします。
配管を再利用できるかどうかは現地の状況によって変わるため、見積もり時点で「配管交換が必要になった場合はいくらか」を聞いておくと安心です。

Q5. 室外機だけを移動させたいのですが、これも業者に頼むべきですか。
配管をつないだまま数十センチ動かす程度であれば、配管に無理な力がかからない範囲で位置を調整できる場合があります。
ただし、配管を曲げ直したり、長さが足りずに引っ張ったりすると、接続部に負荷がかかって冷媒漏れの原因になります。
設置場所を大きく変える、階を移す、配管を延長するといった場合は、いったん冷媒を回収してからの作業になるため、業者への依頼が必要です。
振動や騒音が出ている場合は、防振ゴムや設置面の水平調整で改善することもあります。

まとめ

エアコンの取り外しが自分でできないと言われるのは、作業全体が難しいからではありません。
冷媒を室外機へ回収するポンプダウンと、電源側の切り離しという2つの工程に、やり直しのきかないリスクと資格の線引きが集中しているためです。

押さえておきたい点を整理します。

  • ポンプダウンを失敗すると冷媒が全量放出され、再取り付けには充填作業が必要になる
  • 一度外したフレアは再利用せず、加工し直すのが正しい手順
  • 電源側の結線に手を入れる場合、電気工事士法上の無資格作業に該当し得る
  • 家庭用エアコンは家電リサイクル法の対象で、粗大ごみとしては出せない
  • 依頼先は「再利用するのか、処分するのか」で選ぶと迷いにくい

自分でできるのは、養生・家具移動・フィルターの取り外しといった、冷媒にも電源にも触れない準備作業までです。
そこまでを整えておけば、作業当日はスムーズに進み、追加費用の発生も抑えやすくなります。
外したあとの行き先まで決めたうえで、依頼先を選んでください。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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