寒くなって暖房器具を選ぶとき、どれがいちばん電気代が安いのか迷っていませんか。
「電気ストーブは高い」「エアコンが一番安い」「こたつが最強」など、いろいろな話があって判断しにくい方も多いはずです。
結論から言うと、1時間あたりの電気代がもっとも安いのは電気毛布やこたつなど体の一部を暖める器具で、部屋全体を暖めるならエアコンがもっとも効率的です。
つまり、「どれが安いか」は暖めたい範囲によって答えが変わります。
この記事では、電気の暖房器具10種の電気代を比較したうえで、灯油・ガス暖房の費用の考え方、部屋別の選び方、そして安全に使うための注意点までを整理します。
暖房器具の電気代比較(1時間あたり)

計算式は次のとおりです。
電気代 = 消費電力(kW)× 使用時間(h)× 電力量の目安単価(円/kWh)
目安単価は、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が示す31円/kWhを使います。
電気の暖房器具を、1時間あたりの電気代が安い順に並べると次のようになります。
| 暖房器具 | 消費電力の目安(通常使用時) | 1時間の電気代の目安 | 暖まる範囲 |
|---|---|---|---|
| 電気毛布(中) | 約20〜30W | 約0.6〜0.9円 | 布団の中 |
| 電気ひざ掛け | 約30〜50W | 約0.9〜1.6円 | ひざ・足元 |
| こたつ(中) | 約100〜160W | 約3〜5円 | こたつの中 |
| パネルヒーター(足元用) | 約150〜200W | 約5〜6円 | デスクの下など |
| ホットカーペット 2畳(中) | 約170〜250W | 約5〜8円 | カーペットの上 |
| エアコン(6畳・安定運転) | 約300〜700W | 約9〜22円 | 部屋全体 |
| 電気ストーブ(弱・400W) | 約400W | 約12円 | 前方の狭い範囲 |
| オイルヒーター(中) | 約600〜900W | 約19〜28円 | 部屋全体(ゆっくり) |
| セラミックファンヒーター(強) | 約1,000〜1,200W | 約31〜37円 | 狭い空間 |
| 電気ストーブ(強・1,000W) | 約1,000W | 約31円 | 前方の一部 |
※31円/kWhで試算した参考値です。機種・設定・室温・住宅の断熱性能によって変わります。
一見すると、電気毛布やこたつが圧倒的に安く見えます。
ただし、これらは暖められる範囲が限られています。
部屋全体を暖められる器具の中では、エアコンがもっとも電気代を抑えやすいという点が重要です。
家電ごとの消費電力の大きさは【2026年最新】家電の消費電力ランキングTOP15|電気代が高い順に解説で順位づけしています。
「安い暖房器具」は暖める範囲で決まる
暖房器具の電気代を比べるときに大切なのは、1時間あたりの金額だけでなく、どの範囲を暖めているかです。
| 暖め方 | 代表的な器具 | 電気代の特徴 |
|---|---|---|
| 体に直接触れて暖める | 電気毛布、電気ひざ掛け、こたつ、ホットカーペット | 1時間あたりが非常に安い。ただし部屋は冷えたまま |
| 前方の狭い範囲を暖める | 電気ストーブ、セラミックファンヒーター | すぐに暖かいが、電気代は高め |
| 部屋全体を暖める | エアコン、オイルヒーター | エアコンは効率がよく、オイルヒーターは高くなりやすい |
電気ストーブやセラミックファンヒーター、オイルヒーターは、電気をそのまま熱に変える方式です。
使った電力と同じ量の熱しか得られないため、部屋全体を暖めようとすると大きな電力が必要になります。
一方、エアコンは屋外の空気から熱を集めて運ぶ仕組みのため、使った電力の数倍の熱を部屋に届けられます。
「部屋全体を暖める器具の中ではエアコン、体の一部を暖める器具の中では電気毛布やこたつ」が、電気代の面での基本の答えです。
もっとも効率的なのは「組み合わせ」
電気代を抑えながら快適に過ごすなら、一つの器具に頼るより、組み合わせるのが効果的です。
| 場面 | おすすめの組み合わせ | 考え方 |
|---|---|---|
| リビングで家族がくつろぐ | エアコン(控えめ)+こたつまたはホットカーペット | 部屋は最低限暖め、足元を部分暖房で補う |
| 一人でデスクワーク | エアコン(控えめ)+電気ひざ掛け | 体の周りだけ暖める |
| 寝るとき | エアコンを切る+電気毛布 | 布団の中だけを温める |
| 入浴前の脱衣所 | 電気ストーブやセラミックヒーターを短時間 | 狭い場所を短時間だけ暖める |
エアコンの設定温度を1℃下げるだけでも、消費電力は目に見えて下がります。
資源エネルギー庁は、エアコン(2.2kW)の暖房設定を21℃から20℃にすると、1日9時間の使用で年間約1,650円の節約になると示しています。
部分暖房の電気代は1時間数円程度なので、エアコンの設定を下げられれば、組み合わせてもトータルの電気代は下がるのが一般的です。
部屋別のおすすめ
| 部屋 | おすすめの暖房 | 避けたい使い方 |
|---|---|---|
| リビング(10〜14畳) | エアコン+こたつ・ホットカーペット | 電気ストーブだけで部屋全体を暖める |
| 寝室 | 寝る前のエアコン+電気毛布 | ストーブをつけたまま寝る |
| 子ども部屋・書斎 | エアコン(控えめ)+電気ひざ掛け・足元用パネルヒーター | 長時間の電気ストーブ |
| 脱衣所・トイレ | セラミックファンヒーター・電気ストーブを短時間 | 長時間つけっぱなし |
| 一人暮らしのワンルーム | エアコン+電気毛布・こたつ | 複数の暖房器具の同時使用 |
一人暮らしのワンルームであれば、部屋が狭いぶんエアコンの効きもよく、こたつや電気毛布と組み合わせるだけで十分に暖かく過ごせることが多くなります。
脱衣所やトイレのような狭い場所は、電気ストーブやセラミックヒーターが本領を発揮する場所です。
入浴前に10分ほど暖めるだけなら、1回あたり数円で済みます。
暖かい部屋から寒い脱衣所への移動による急な温度変化を和らげる意味でも、こうした使い方は効果があります。
灯油やガスの暖房と比べるには
暖房器具の中には、灯油やガスを使うものもあります。
これらは燃料費が主な費用になるため、電気代だけでは比べられません。
| 暖房器具 | 主な費用 | 電気の使いみち |
|---|---|---|
| 石油ファンヒーター | 灯油代 | 送風・点火・制御(点火時は一時的に大きめの電力を使う) |
| ガスファンヒーター | ガス代 | 送風・制御 |
| FF式ストーブ(灯油・ガス) | 燃料代 | 給排気・送風・制御 |
| 石油ストーブ(反射式・対流式) | 灯油代 | 電気を使わないものが多い |
燃焼式の暖房の1時間あたりの費用は、次の考え方で求めます。
1時間の燃料費 = 1時間あたりの燃料消費量 × 燃料の単価
たとえば石油ファンヒーターで1時間に灯油を0.2L使い、灯油が1Lあたり120円なら、灯油代は1時間あたり約24円です。
ガスファンヒーターは、都市ガスかLPガスか、契約しているガスの単価によって費用が大きく変わります。
燃焼式の暖房は、自宅の燃料の単価で計算してから比べる必要があります。
燃焼式の暖房は、エアコンと違って外気温が下がっても暖房能力が落ちにくく、部屋がすぐに暖まるのが特徴です。
そのため寒冷地では、外気温がそれほど下がらない時期はエアコン、厳寒期は燃焼式の暖房を主力にする、といった使い分けが合理的なことが多くなります。
寒冷地でのエアコンの電気代については寒冷地エアコンの電気代は高い?節約方法と賢い選び方を徹底解説で解説しています。
ガス暖房を使っていてガス代が高いと感じる場合の見直し方はガス代が高すぎる・おかしいと感じたら?原因と対策を徹底解説。使い方を見直すポイントもで整理しています。
なお、灯油やガスの価格は原油などの燃料価格の影響を受け、電気料金も燃料費調整額を通じて同じ影響を受けます。
その仕組みは原油価格が高騰すると電気代はどうなる?知らないと損する家庭への影響で解説しています。
ひと冬で見るとどれくらい差がつくか
1日6時間、ひと冬(約120日)使った場合の電気代の目安です。
| 暖房器具 | ひと冬の電気代の目安 |
|---|---|
| 電気毛布(中・就寝前後のみ) | 約500〜700円 |
| こたつ(中) | 約2,200〜3,600円 |
| ホットカーペット 2畳(中) | 約3,800〜5,600円 |
| エアコン(6畳・安定運転) | 約6,700〜15,600円 |
| オイルヒーター(中) | 約13,400〜20,100円 |
| 電気ストーブ(1,000W) | 約22,300円 |
※31円/kWhで試算した参考値です。
電気ストーブを主力にした場合と、エアコンを主力にこたつを組み合わせた場合では、ひと冬で1万円以上の差がつくこともあります。
暖房器具の選び方と使い分けが、冬の電気代をもっとも大きく左右します。
電気代を抑える使い方のコツ

1. 窓の断熱で熱を逃がさない
部屋の熱の多くは窓から逃げていきます。
断熱シートや厚手で床まで届くカーテンを使うと、どの暖房器具でも効率が上がります。
2. 空気を循環させる
暖かい空気は天井付近にたまります。
サーキュレーターで空気を循環させると、足元まで暖かさが届き、設定温度を下げても快適さを保てます。
3. 湿度を保つ
湿度が低いと、同じ室温でも寒く感じます。
電気代の小さい気化式などの加湿器で湿度を40〜60%程度に保つと、体感温度が上がります。
4. 使う時間と範囲を絞る
人がいない部屋を暖め続けない、一人のときはこたつや電気毛布で済ませる、といった使い方で無駄を減らせます。
安全に使うための注意点
暖房器具は、使い方を誤ると火災ややけど、一酸化炭素中毒につながります。
製品評価技術基盤機構(NITE)は、2017年度から2021年度の5年間に、こたつと電気ストーブの事故が347件発生し、そのうち26件が死亡事故だったと公表しています。
電気ストーブやこたつの近くに布団、カーテン、衣類などの燃えやすいものを置かないでください。就寝時や外出時は電源プラグを抜いてください。
石油ファンヒーターやガスファンヒーター、石油ストーブなど、室内の空気を使って燃焼する開放式の暖房器具は、定期的に換気しないと一酸化炭素中毒のおそれがあります。
使用中は1時間に1〜2回程度、窓を開けて換気してください。
給排気を屋外で行うFF式の暖房器具は、室内の空気を汚しにくい構造です。
そのほか、次の点にも注意してください。
- 消費電力の大きい暖房器具は、延長コードやテーブルタップを使わず、壁のコンセントに直接挿す
- ホットカーペットや電気毛布を折りたたんだまま使わない
- こたつやホットカーペット、電気毛布をつけたまま寝ない(低温やけどや脱水の危険がある)
延長コードで使える電力の考え方はコンセントは何ワットまで使える?ブレーカーが落ちる前に知っておくべき基準と注意点で解説しています。
よくある質問
Q1. 一番電気代が安い暖房器具は何ですか?
1時間あたりの電気代で比べると、電気毛布が約1円前後ともっとも安く、次いで電気ひざ掛け、こたつが続きます。
ただし、これらは布団の中やこたつの中など、限られた範囲しか暖められません。
部屋全体を暖められる器具の中では、エアコンがもっとも電気代を抑えやすい器具です。
電気ストーブやオイルヒーターは電気をそのまま熱に変える方式のため、部屋全体を暖めようとすると電気代が高くなりやすくなります。
暖めたい範囲に合わせて選ぶことが、電気代を抑える一番の近道です。
Q2. エアコンとこたつはどちらが安いですか?
1時間あたりの電気代は、こたつが約3〜5円、6畳用のエアコンが安定運転時で約9〜22円と、こたつのほうが安くなります。
ただし、こたつは下半身しか暖められず、エアコンは部屋全体を暖めるので役割が違います。
電気代を抑えながら快適に過ごすなら、エアコンの設定温度を控えめにし、足元をこたつで補う組み合わせが効果的です。
こたつの電気代は小さいため、エアコンの設定を下げられればトータルの電気代は下がります。
Q3. 電気ストーブは電気代が高いのですか?
部屋全体を暖める使い方では高くなります。
電気ストーブは電気をそのまま熱に変えるため、1,000Wの機種で1時間約31円かかり、部屋全体を暖めようとすると長時間高い出力で使い続けることになります。
一方、脱衣所やトイレなど狭い場所を短時間だけ暖める使い方なら、1回あたり数円で済みます。
電気ストーブは主力の暖房ではなく、狭い場所や短時間の補助として使うのが電気代の面で合理的です。
Q4. 灯油やガスの暖房と電気の暖房はどちらが安いですか?
燃料の単価と外気温によって変わるため、一概には言えません。
燃焼式の暖房の費用は、1時間あたりの燃料消費量に燃料の単価を掛けて求めます。
たとえば灯油を1時間に0.2L使い、灯油が1Lあたり120円なら、灯油代は1時間約24円です。
ガス暖房は、都市ガスかLPガスか、契約しているガスの単価によって費用が大きく変わります。
燃焼式の暖房は外気温が下がっても暖房能力が落ちにくいため、寒冷地の厳寒期にはエアコンより有利になることもあります。
Q5. 暖房器具を使うときに気をつけることはありますか?
電気の暖房器具では、燃えやすいものを近くに置かない、就寝時や外出時は電源プラグを抜く、消費電力の大きい器具は延長コードを使わず壁のコンセントに直接挿す、といった点に注意してください。
石油ファンヒーターやガスファンヒーターなど、室内の空気を使って燃焼する開放式の暖房器具は、1時間に1〜2回程度換気しないと一酸化炭素中毒のおそれがあります。
また、こたつや電気毛布、ホットカーペットをつけたまま寝ると、低温やけどや脱水の危険があります。
まとめ
電気代が安い暖房器具は、暖めたい範囲によって答えが変わります。
- 1時間あたりが安いのは、電気毛布・電気ひざ掛け・こたつなど体の一部を暖める器具
- 部屋全体を暖めるなら、エアコンがもっとも電気代を抑えやすい
- 電気ストーブ・オイルヒーターは部屋全体の暖房には不向き。狭い場所や短時間の補助に使う
- エアコンを控えめにして部分暖房を組み合わせるのが、電気代と快適さのバランスがよい
- 灯油・ガスの暖房は、自宅の燃料の単価で計算して比べる。開放式は換気を忘れない
暖房器具の選び方と使い分けで、ひと冬の電気代は1万円以上変わることがあります。
まずは今使っている暖房器具が、暖めたい範囲に合っているかを見直してみてください。

