暖房のスイッチを入れても部屋が暖まらず、リモコンに110やE1が点滅している。
灯油を使う暖房ボイラーで最も多く目にする表示のひとつが、この点火に関する警報です。
表示された瞬間は故障を疑ってしまいますが、実際には機器そのものではなく灯油の流れ方に原因があり、燃料側を確認するだけで復帰するケースが少なくありません。
この記事では、長府製の石油暖房ボイラーに110・E01・E1が表示されたときに何が起きているのかを整理し、家庭で確認できる5つのポイント、警報解除の手順、そして再点火を繰り返してはいけない理由と業者に依頼する境目まで解説します。
110・E01・E1が示しているのは「点火の失敗」
この3つのコードは、いずれも点火(燃焼)確認時間を過ぎても燃焼が確認できなかったことによる運転停止を意味します。
機器は点火動作を始めたあと、炎が実際に立っているかを検知しています。
決められた時間内に炎が確認できないと、灯油を送り続けないように運転を止める仕組みです。
つまりこの表示は、機器が燃料を無駄に送り出すことを防いだ結果であり、安全装置が正しく働いた状態でもあります。
表示が3種類あるのは、異常の内容が違うからではありません。
機種やリモコンの世代によって表示のされ方が異なるだけで、確認すべき項目は共通しています。
| 表示 | 内容 | 表示される場面 |
|---|---|---|
| 110 | 点火確認時間を過ぎても燃焼が確認できず停止 | 3桁数字で表示する機種 |
| E01 | 同上 | 英数字で表示する機種 |
| E1 | 同上 | 英数字で表示する機種(リモコンのない機種では温水ルームヒータ側に表示) |
なお、同じ長府製でも石油給湯器ではコードの割り当てが異なります。
お湯まわりで表示が出た場合は長府製 石油給湯器のエラーコード一覧|原因と自分でできる対処法を解説を確認してください。
📎 出典:長府製作所 製品エラーコード
まず確認したい5つのポイント
メーカーが確認事項として挙げているのは、燃料切れ・油タンクへの水の混入・油ストレーナーの詰まり・送油バルブの閉止です。
ここに冬季特有の条件を加えた5点を、上から順に確認していきます。
| 確認する場所 | 見るポイント | 該当したときの対応 |
|---|---|---|
| 油タンクの残量 | 底に近い位置まで減っていないか | 給油する。給油直後は空気を噛むため復帰まで時間がかかることがあります |
| タンク底の水・沈殿物 | 水抜き栓から出る液に濁りや水がないか | 水が出る場合は自分で処理せず点検を依頼 |
| 油ストレーナー | カップ内に汚れやゴミがたまっていないか | 清掃または交換。作業に不安があれば依頼 |
| 送油バルブ | レバーが閉じたままになっていないか | 開いた状態にしてから警報解除 |
| 給油配管まわり | 極端な冷え込みの直後か、配管が凍っていないか | 気温が上がるのを待つ。熱湯をかけない |
見落とされやすいのが送油バルブです。
点検や配管工事、タンクの入れ替えのあとに閉じたままになっていることがあり、前日まで問題なく動いていた機器が突然点火しなくなった場合は、まずここを疑う価値があります。
また、残量計が「まだある」を示していても、実際にはタンク内の傾きや計器のずれで実残量が足りていないことがあります。
寒波の夜は日中の倍近く灯油を消費する場合があるため、残量計だけを根拠にしないほうが確実です。
警報解除(リセット)の手順
原因側の確認と対処が済んでから、次の手順で解除します。
- リモコンの運転スイッチを「切」にする
- 数秒おいて再び「入」にする
- リモコンのない機種は、温水ルームヒータ側の運転スイッチで同じ操作を行う
給油直後は配管に空気が入っているため、1回目の点火で再び110やE1が出ることがあります。
このときは解除と再点火を試すのは2回程度までにとどめ、それでも着火しなければ原因が別にあると考えます。
なお、定油面器(オイルレベラー)を備えた設置では、油切れを検出するとE00・EEが表示され、給油後に定油面器側のリセットボタンを押さないと復帰しません。
この場合はリモコン操作だけでは解除できないため、タンクまわりも確認してください。
機器の周囲で油のにおいがする、床に油だまりがある、焦げたにおいがするといった場合は、警報解除も再点火も行わず、運転を止めたまま販売店やメーカー窓口へ連絡してください。
給油しても直らないときに考えられること
灯油を補給したのに110やE1が続く場合、燃料が届いていないか、届いていても燃えない状態にあります。
タンク内の水・スラッジ
もっとも多いのが、タンク底にたまった水や沈殿物を吸い上げているケースです。
結露や雨水の侵入で少しずつ水がたまり、残量が減った時期に一気に吸い込まれます。
残量が少なくなるほど発生しやすいため、タンクを空に近い状態まで使い切らない運用が予防になります。
シーズンをまたいだ古い灯油
前シーズンの残りをそのまま使い始めた直後に点火不良が起きることがあります。
変質した灯油は着火性が落ち、点火しても短時間で失火する原因になります。
使えるかどうかの判断は灯油の使用期限はどれくらい?去年の灯油は使えるのか判断基準を解説で解説しています。
保管容器そのものが劣化していると水や不純物が混入しやすくなるため、灯油ポリタンクの寿命は何年?5年が限界と言われる理由と見落とされがちな危険性もあわせて確認しておくと安心です。
機器側の部品
燃料に問題がないのに点火しない場合は、電磁ポンプ、点火プラグ、炎を検知する部品などの不具合が考えられます。
これらは分解をともなうため、家庭での対処範囲を超えます。
点火時に「カチカチ」という音がまったくしない、送油の作動音が聞こえないといった変化があれば、その内容を伝えると点検がスムーズです。
出るタイミングで原因を絞り込む
同じ110・E1でも、どんな場面で表示されたかによって疑う場所が変わります。
思い当たる状況を手がかりにすると、確認の順番を効率よく決められます。
| 表示されたタイミング | 疑われる原因 | 先に確認する場所 |
|---|---|---|
| シーズン最初の運転で出た | 前シーズンから持ち越した灯油の変質、長期停止による油詰まり | 灯油の状態、油ストレーナー |
| 給油した直後に出た | 配管内に入った空気、タンク底の沈殿物の巻き上げ | 給油後2回程度の再点火、水抜き |
| 点検や工事のあとに出た | 送油バルブの閉め忘れ、配管接続部の緩み | 送油バルブの開閉位置 |
| 強い冷え込みの朝に出た | 灯油の流れの悪化、配管まわりの凍結 | 気温が上がるまで待つ |
| 特に心当たりがなく突然出た | 残量不足、機器側の部品不良 | 残量計と実残量、点火時の作動音 |
給油した覚えがないのに残量が急に減っている場合は、配管やタンクからの漏れも考えられます。
タンクの下や配管の接続部に濡れた跡がないかを、あわせて見ておくと安心です。
再点火を繰り返してはいけない理由
解除操作は簡単なので、つい何度も点火を試したくなります。
ただし着火に失敗するたびに、燃焼室には燃えなかった灯油が残ります。
これが蓄積した状態で点火すると、異常燃焼や煙の発生につながるおそれがあります。
また、長府の暖房ボイラーには、着火ミスや途中失火が規定回数を超えると作動する再点火防止機能が備わっています。
作動すると130やP9が表示され、この状態はリモコン操作では解除できず、点検・修理が必要になります。
つまり再点火を重ねるほど、自分で復帰できる可能性は下がっていきます。
2回試して着火しなければ、原因を確認するか依頼に切り替えるのが結果的に早い解決になります。
業者に依頼する判断基準
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 給油・バルブ確認後に解除して正常運転し、その後再発しない | 様子を見て使用可 |
| 給油しても2回以上続けて点火しない | 燃料経路または機器側の不具合として点検を依頼 |
| タンクの水抜きから水や濁った液が出る | 自分で処理せず点検を依頼 |
| 同じ日に何度も110・E1が出る | 使用を止めて点検を依頼 |
| 130・P9に変わった | 解除できないため点検・修理を依頼 |
| 油のにおい、油漏れ、煙、焦げたにおいがある | 運転を止めて速やかに連絡 |
暖房シーズン中は修理の依頼が集中し、部品の取り寄せを含めて数日かかることもあります。
「まだ動くから」と先延ばしにせず、再発の段階で連絡しておくほうが待ち時間は短く済みます。
再発を防ぐための日常の管理
点火不良の多くは、燃料の状態と給油のタイミングで防げます。
シーズン中は次の3点を意識しておくと、真冬に止まるリスクを下げられます。
- タンクの残量が3分の1を切ったら給油する(底の沈殿物を吸い込みにくくなります)
- シーズン前に油ストレーナーの汚れを確認する
- 前シーズンの残り灯油を持ち越さず、使い切る計画で購入する
シーズン初めに一度だけ試運転しておくと、寒くなる前に不具合に気づけます。
本格的に冷え込む前であれば、修理の予約も取りやすい時期です。
よくある質問
Q1. 110とE1は、どちらが重い異常なのでしょうか。
どちらも同じ「点火確認時間内に燃焼が確認できなかった」という内容で、重さの違いはありません。
表示の形式が違うのは、機種やリモコンの世代によるものです。
そのため対処の手順も共通で、燃料切れ・水の混入・油ストレーナーの詰まり・送油バルブの閉止を順に確認したうえで、運転スイッチの入切で解除します。
機器の型番によっては温水ルームヒータ側にE1が表示されることもあるため、表示が出ている場所もあわせて確認してください。
Q2. 給油したのに、すぐには点火しません。故障でしょうか。
タンクを空に近い状態まで使い切ってから給油した場合、配管内に空気が入り、灯油が安定して届くまで時間がかかることがあります。
1回目の点火動作で再び警報になることは珍しくありません。
解除して2回程度試しても着火しない場合は、空気以外の原因を疑う段階です。
何度も繰り返すと再点火防止機能が働き、自分では解除できなくなるため、そこで止めて点検を依頼してください。
Q3. 電源コンセントを抜き差しすれば解除できますか。
110・E01・E1は、リモコンの運転スイッチの入切で解除する仕様です。
基板や通信に関するコードでは電源コンセントの抜き差しが指定されていますが、点火系のコードでこれを行っても原因の解決にはなりません。
表示だけを消してしまい、状況の把握が難しくなることもあります。
特に油のにおいがある状況では、電源の抜き差しそのものを避けてください。
Q4. 油ストレーナーの掃除は自分で行ってもよいですか。
カップ式のストレーナーは、取扱説明書に手順が記載されている範囲であれば所有者が清掃することを想定した部位です。
ただし作業中に灯油がこぼれること、パッキンの劣化に気づかず再組み付けすると漏れの原因になることには注意が必要です。
不安がある場合や、清掃しても改善しない場合は無理をせず依頼してください。
なお、清掃前には送油バルブを閉じ、作業後に開け忘れがないかを必ず確認します。
Q5. 毎シーズン同じ時期に110が出ます。買い替えの目安でしょうか。
毎年同じ時期に出る場合は、機器の寿命というより気温や灯油の管理に関係している可能性があります。
寒波の直後、給油の間隔があいた時期、シーズン初めの初回運転など、条件に共通点がないかを振り返ってみてください。
一方で、設置から10年前後が経過し、点火不良に加えて他の警報も出るようになっている場合は、部品交換と機器交換の費用を比較して検討する時期といえます。
費用は機種や設置条件、地域によって変わるため、見積もりで確認するのが確実です。
まとめ
長府の暖房ボイラーに表示される110・E01・E1は、いずれも点火に失敗したことを知らせる同じ内容の警報です。
確認すべきは、灯油の残量、タンク内の水や沈殿物、油ストレーナーの詰まり、送油バルブの開閉という燃料まわりの4点で、ここまでで解決するケースが多くを占めます。
解除はリモコンの運転スイッチの入切で行い、着火しない場合でも再点火は2回程度にとどめてください。
繰り返すほど再点火防止機能が作動しやすくなり、自力で復帰できる範囲から外れていきます。
油のにおいや油漏れがあるときは操作をせず、そのまま連絡することが最も安全な選択です。

