暖房が動かず、リモコンに320やE5が表示されている。
運転スイッチを入れ直しても変わらず、どう対処すればよいのか分かりにくい表示です。
このグループは、温度を測る部品そのものが正常に働いていないことを検知した運転停止を示しています。
家庭でできる対処はほとんどなく、実質的には部品交換が前提になるコードです。
この記事では、320・E5が示している状態、公式の説明にある「正常温度検出(交換)」という一文の意味、断線とショートの違い、そして320が機種によって別の内容を指す点までを解説します。
320・E5が示しているもの
| 表示 | 内容 | 解除の方法 |
|---|---|---|
| 320 | 温水サーミスタの断線またはショートによる運転停止 | 正常温度検出(交換)でリモコンの運転スイッチを「切」→「入」。リモコンのない機種は温水ルームヒータ側の運転スイッチ |
| E5 | 同上 | 同上(機種によっては熱源機本体の電源コンセントを5秒以上抜いて差し直す方法も案内されています) |
なお、同じ長府製でも石油給湯器ではコードの割り当てが異なるため、お湯まわりで表示が出た場合は長府製 石油給湯器のエラーコード一覧|原因と自分でできる対処法を解説を確認してください。
📎 出典:長府製作所 製品エラーコード
「正常温度検出(交換)」が意味すること
解除方法に添えられたこの一文が、このコードを理解する鍵になります。
つまり、部品が正常な温度を検出できる状態になって初めて、運転スイッチの操作で解除できるということです。
サーミスタが断線したりショートしたりしている限り、機器は正常な値を受け取れません。
その状態で運転スイッチを何度入れ直しても、表示は消えないのが通常です。
「解除方法が書かれているのに解除できない」と感じるのは、この前提があるためといえます。
| 状況 | 起きていること |
|---|---|
| 解除操作で復帰し、その後も正常 | 接触不良など一時的な要因で、検知が正常に戻った |
| 何度操作しても表示が消えない | 部品または配線に問題が残っている。交換が必要 |
| 復帰するが、しばらくすると再発する | 接続部の緩みや配線の劣化が疑われる |
操作は2回程度までにとどめてください。
繰り返しても、部品の状態が変わることはありません。
温水サーミスタの役割
温水サーミスタは、熱源機から送り出される温水の温度を測る部品です。
測った値をもとに燃焼を調整し、設定した温度を保つ制御が行われます。
同時に、異常な高温を検知して運転を止める役割も担っています。
不凍液の循環異常によって高温になった場合に表示されるP0は、この温水サーミスタが検知したものです。
温度を測る部品が働かなければ、制御も安全確認も成り立たないため、断線やショートを検知した時点で運転を止める仕組みになっています。
断線とショートの違い
どちらも同じ320・E5として表示されますが、部品の状態は異なります。
| 状態 | 内容 | 起こりやすい背景 |
|---|---|---|
| 断線 | 回路がつながっていない。検知値が極端に一方へ振れる | 配線の劣化、接続部の外れ、内部の断裂 |
| ショート | 回路が短絡している。検知値が逆方向へ振れる | 被覆の損傷、水分の侵入、部品内部の劣化 |
機器から見れば、いずれも「ありえない値を受け取っている」という点で共通しています。
そのため表示が分かれておらず、点検の場でテスターなどを使って区別されることになります。
所有者が症状から見分ける必要はありません。
320はヘッダーボックス搭載機種では意味が変わる
注意したいのが、320というコードの二重性です。
| 機種 | 320の内容 |
|---|---|
| 一般の機種 | 温水サーミスタの断線またはショート |
| ヘッダーボックス(HDB-401・402・403・404・803・804)を接続した構成 | ヘッダーボックスB回路用サーミスタの断線またはショート |
同じ320でも、見ている部品が熱源機側かヘッダーボックス側かで変わります。
複数の暖房端末へ温水を分配するヘッダーボックスを備えた設置では、後者に該当する可能性があります。
調べる前に、本体の銘板で型番と構成を確認しておくと判断を誤りません。
ヘッダーボックスを備えた機種では、310・330・340という近い番号のコードも同じ系統の内容を指します。
他の温度系の表示との違い
温度に関する表示は複数あり、対象が異なります。
| 表示 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| 320・E5 | 温水サーミスタ | 部品の断線・ショート |
| E24・E25・E61 | 水温サーミスタ | ショート・高温検知・断線 |
| P0 | 温水サーミスタ | 循環異常による高温検知 |
| 150・160・E4・E22 | 過熱防止装置、熱交温度ヒューズ | 独立した安全装置の作動 |
| 370・E13・E14 | 給気温サーミスタ | 部品の断線・ショート |
320・E5は部品そのものの不良を示しており、温度が実際に高くなったわけではありません。
一方でP0や150は、実際に温度が上がった結果として表示されます。
複数の表示が交互に出る場合は、どのコードがいつ出たかを控えておくと点検の手がかりになります。
家庭で確認できること
部品の状態は分解しなければ分かりませんが、次の点は確認できます。
- 電源プラグがコンセントにしっかり差し込まれているか
- 停電や瞬間的な電圧低下があった直後ではないか
- 直前に工事や部品交換を行っていないか
- 機器のまわりが濡れていないか
工事や部品交換の直後に表示された場合は、配線の接続が確実でない可能性があります。
その場合は施工した業者に伝えると、原因の特定が早くなります。
機器のまわりが濡れている、焦げたにおいがする、配線が露出しているといった場合は、解除操作を行わず、運転を止めたまま販売店やメーカー窓口へ連絡してください。
業者に依頼する判断基準
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 解除操作で復帰し、その後再発しない | 経過を見ながら使用可 |
| 解除操作を2回試しても消えない | 部品交換を含めて点検を依頼 |
| 復帰と再発を繰り返す | 接続部の状態を含めて点検を依頼 |
| 工事や部品交換の直後から出るようになった | 施工業者に相談 |
| ヘッダーボックスを接続した構成で320が出た | 対象部位が異なるため、構成を伝えて点検を依頼 |
| 濡れている、焦げたにおいがする | 運転を止めて速やかに連絡 |
サーミスタ自体は大型の部品ではありませんが、交換には機器の分解と適合部品の選定が必要です。
市販の汎用品を取り付けても、温度と抵抗の特性が合わなければ正しく制御できません。
点検を依頼する際は、機器の型番を控えておくと部品の手配が早く進みます。
なお、同じ長府グループのサンポットブランドの石油暖房機にもサーミスタに関する表示があり、表示体系はサンポット(現:長府)ストーブ エラーコード一覧|表示の意味と使用可否の判断基準で解説しています。
交換か機器の入れ替えか
サーミスタの交換自体は、機器交換に比べれば小さな修理にあたります。
判断が分かれるのは、設置から年数が経っている場合です。
- 交換に必要な部品が現在も供給されているか
- 同時期に他の部品の交換も勧められているか
- 修理費用の合計が、機器交換の費用にどの程度近づくか
- 今後どのくらいの期間、その機器を使う想定か
設置から10年前後が経過した機器では、配線や他のセンサーも同じ環境で使われてきています。
一箇所を直しても、別の箇所が同じ時期に不具合を起こすことは珍しくありません。
費用は機種、部品の在庫状況、設置条件、地域によって変わるため、見積もりで確認してください。
点検までの間の暖房について
320・E5が出ている間、その機器は運転できません。
暖房シーズン中は訪問や部品の手配までに日数がかかることもあるため、設置工事の不要な暖房器具を一時的に併用する家庭もあります。
使用する場合は、換気を欠かさないこと、可燃物を近づけないことなど、その器具の注意事項に従ってください。
古い機器を出して使うときは状態の確認も必要で、判断の目安は石油ファンヒーターの寿命は何年?正しい買い替えタイミングはいつ?にまとめています。
よくある質問
Q1. 解除方法が書かれているのに、表示が消えません。
320・E5の解除は「正常温度検出(交換)」が前提として案内されています。
つまり、部品が正常な温度を検出できる状態になって初めて、運転スイッチの操作で解除できるという意味です。
断線やショートが続いている限り、操作しても表示は消えません。
2回程度試して変わらないようであれば、部品交換が必要な状態と考えて点検を依頼してください。
Q2. サーミスタは自分で交換できますか。
機器内部の部品であり、分解と適合部品の選定が必要になるため、所有者の作業範囲を超えます。
サーミスタは温度によって抵抗値が変わる特性を利用した部品で、機種ごとに特性が決められています。
見た目が似ていても、特性の異なる部品では正しい温度制御ができません。
交換は点検とあわせて依頼してください。
Q3. 320と表示されましたが、うちはヘッダーボックスが付いています。
ヘッダーボックス(HDB-401・402・403・404・803・804)を接続した構成では、320はヘッダーボックスB回路用サーミスタの断線またはショートを指します。
熱源機側の温水サーミスタとは対象が異なるため、確認される部位も変わります。
310・330・340も同じ系統で、それぞれA・C・D回路に対応します。
点検を依頼する際は、ヘッダーボックスを接続していることを伝えてください。
Q4. しばらく使っていると復帰します。故障ではないのでしょうか。
復帰と再発を繰り返す場合、部品が完全に壊れているのではなく、接続部の緩みや配線の劣化によって検知が不安定になっている可能性があります。
振動や温度変化で接触の状態が変わり、そのたびに表示が出たり消えたりすることがあります。
放置すると完全に検知できなくなり、運転できなくなることもあります。
再発している段階で点検を受けておくほうが確実です。
Q5. 温度が高くなって止まったということですか。
320・E5は温度そのものではなく、温度を測る部品の状態を示す表示です。
実際に高温になったことによる停止は、P0(循環異常による高温検知)や150・160・E4・E22(過熱防止装置の作動)として別に整理されています。
つまり、機器が熱くなったから止まったのではなく、温度が測れないから止まったという状態です。
どの表示が出ていたかを正確に控えておくと、点検での切り分けに役立ちます。
まとめ
長府の暖房ボイラーに表示される320・E5は、温水サーミスタの断線またはショートによる運転停止です。
公式の解除方法に「正常温度検出(交換)」と添えられているとおり、部品が正常な値を返せる状態にならなければ表示は消えません。
運転スイッチの操作は2回程度にとどめ、それで復帰しなければ部品交換が必要な段階と考えてください。
ヘッダーボックスを接続した構成では、320がヘッダーボックスB回路用サーミスタを指すため、型番と構成の確認が判断の出発点になります。
温度が上がって止まったのではなく、温度が測れずに止まったという点を押さえておくと、他の表示との区別がしやすくなります。

