暖房が止まり、リモコンに470やEHが点滅している。
「気化器」という言葉が出てくると、どこの部品なのか見当がつかず、対処のしようがないと感じる場面です。
このグループは、灯油を気体に変える部分の温度が上がりすぎたことを検知した表示で、家庭でできるのは機器が冷えるのを待って解除操作を行うところまでになります。
この記事では、470・E31・EHが示している状態、気化器という部品の役割、温度が上がりすぎる要因、常温に戻るまで待つ必要がある理由、そして待っても復帰しない場合の考え方までを解説します。
3つのコードが示しているもの
いずれも気化器サーミスタが気化器温度の異常な高温を検出したことによる運転停止です。
表示が分かれているのは、機種やリモコンの世代の違いによるものです。
| 表示 | 内容 | 解除の方法 |
|---|---|---|
| 470 | 気化器サーミスタが気化器温度の異常高温を検出して停止 | 機器の温度が下がるのを待って、リモコンの運転スイッチを「切」→「入」 |
| E31 | 気化器サーミスタが高温異常を検出して停止 | 同上 |
| EH | 気化器サーミスタが気化器温度の異常高温を検出して停止 | 気化器温度が常温の状態でリモコンの運転スイッチを「切」→「入」(リモコンのない機種は温水ルームヒータ側の運転スイッチ、または熱源機本体の電源コンセントを5秒以上抜いて差し直す) |
EHの説明に「気化器温度常温状態で」と明記されている点が、このグループを扱ううえでの要点です。
熱が残っている状態で操作しても、同じ表示に戻ります。
なお、同じ長府製でも石油給湯器ではコードの割り当てが異なるため、お湯まわりで表示が出た場合は長府製 石油給湯器のエラーコード一覧|原因と自分でできる対処法を解説を確認してください。
📎 出典:長府製作所 製品エラーコード
気化器とはどんな部品か
石油機器の燃焼方式にはいくつか種類があり、そのひとつが灯油を加熱して気体に変えてから燃やす方式です。
この加熱を担う部分が気化器で、機種によってはベーパライザーとも呼ばれます。
仕組みを簡単に整理すると、次の流れになります。
- 運転開始時、気化器ヒータが気化器を規定の温度まで温める
- 温まった気化器に灯油が送られ、気体に変わる
- 気体になった灯油が空気と混ざり、点火されて燃焼する
- 燃焼が始まったあとは、燃焼熱も利用しながら温度を保つ
気化器サーミスタは、この温度を見張っている部品です。
温度が低すぎれば気化できず、高すぎれば別の不具合につながるため、気化器は狭い温度範囲で制御されている部分といえます。
470・E31・EHは、その上限側を超えたときの表示です。
温度が上がりすぎる要因
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 気化器ヒータの制御不良 | 規定温度に達しても通電が止まらない |
| 気化器サーミスタの不良 | 実際の温度と検知値がずれている |
| タールやすすの堆積 | 熱の伝わり方が変わり、局所的に温度が上がる |
| 送風・空気量の不足 | 燃焼部が冷えにくくなっている |
| 停止直後の再運転 | 熱が残った状態で運転を始めている |
このうち家庭で対応できるのは、最後の項目だけです。
運転を止めた直後に入れ直した場面で表示された場合は、時間をおいて運転すると再現しないことがあります。
それ以外の要因は分解や測定をともなうため、点検の領域になります。
変質した灯油とタールの関係
タールの付着は、気化器まわりで起こりやすい経年変化のひとつです。
灯油を加熱する部分であるため、燃料の質が悪いと成分が残りやすくなります。
シーズンをまたいで保管した灯油は、光や温度の影響で少しずつ変質します。
コロナも石油機器向けの案内のなかで、変質した灯油を使うと機器の芯にタールが付着し、灯油の吸い上げが妨げられると説明しています。
機構は異なりますが、変質した燃料が機器内部に残留物を生じさせるという点は、気化式の機器でも同様に意識しておきたいところです。
灯油の判断基準は灯油の使用期限はどれくらい?去年の灯油は使えるのか判断基準を解説にまとめています。
解除(リセット)の手順
- 機器の周囲に焦げたにおいや煙がないことを確認する
- 気化器の温度が下がるのを待つ(機器の表面が触れて熱くない状態が目安)
- リモコンの運転スイッチを「切」にし、再び「入」にする
- リモコンのない機種は、温水ルームヒータ側の運転スイッチで同じ操作を行う(機種によっては熱源機本体の電源コンセントを5秒以上抜いて差し直す方法が指定されています)
待ち時間は、外気温、運転していた時間、設置場所によって変わります。
一律の目安を示すことはできませんが、熱が残ったまま操作を繰り返しても状況は変わりません。
続けて何度も試すより、時間をおいて1回操作するほうが確実です。
機器から焦げたにおいがする、煙が出ている、外装が変色しているといった場合は、解除操作を行わず、運転を止めたまま販売店やメーカー窓口へ連絡してください。
待っても復帰しないときの考え方
十分に冷えてから操作しても表示が消えない場合、次のいずれかが考えられます。
| 可能性 | 内容 |
|---|---|
| 気化器サーミスタの不良 | 常温でも高温として検知し続けている |
| 気化器ヒータの制御不良 | 通電が止まらず温度が下がらない |
| 配線・接続部の不良 | 検知した値が正しく伝わっていない |
| 気化器まわりの堆積物 | 熱の伝わり方が変わったままになっている |
いずれも点検が必要な状態です。
気化器は燃焼の中心にある部分のため、無理に運転を続けさせることは避けてください。
点検を依頼する際は、いつから、どのコードが、どんな場面で出たかを伝えると切り分けが早くなります。
業者に依頼する判断基準
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 停止直後の再運転で出て、時間をおくと出ない | 様子を見て使用可 |
| 冷えてから解除し、その後再発しない | 経過を見ながら使用可 |
| 十分に冷えても解除できない | 点検を依頼 |
| 解除しても数日のうちに再発する | 点検を依頼 |
| 気化器ヒータ側の表示(520・530・E34など)も出ている | まとめて点検を依頼 |
| 焦げたにおい、煙、外装の変色がある | 運転を止めて速やかに連絡 |
気化器に関する部品は、機種によって構成が異なります。
点検を依頼するときは、機器の型番を控えておくと部品の手配が早く進みます。
なお、同じ長府グループのサンポットブランドの石油暖房機にも気化式の機種があり、表示体系はサンポット(現:長府)ストーブ エラーコード一覧|表示の意味と使用可否の判断基準で解説しています。
気化器まわりの負担を減らす使い方
気化器は消耗する部分でもあるため、日常の使い方で寿命の伸び方が変わります。
- シーズンをまたいだ灯油を持ち越さず、使い切る計画で購入する
- 給油はタンクの残量が3分の1を切った時点で行い、底の沈殿物を吸い上げにくくする
- 運転を止めた直後に入れ直さず、少し時間をおく
- 点火不良や失火が出た段階で原因を確認し、解除と再点火を繰り返さない
いずれも特別な作業ではありませんが、燃焼を安定させることが気化器への負担を減らします。
燃料の質を保つことが、結果的に気化器まわりの部品を長持ちさせると考えてよいでしょう。
よくある質問
Q1. 気化器はどこにありますか。
機器の内部、バーナーまわりに組み込まれている部品です。
外から見える位置にはなく、カバーを外さなければ確認できません。
分解をともなうため、所有者が状態を見に行く部分ではありません。
表示が出たときにできるのは、機器が冷えるのを待って解除操作を行うところまでと考えてください。
Q2. どのくらい待てば「常温」になりますか。
外気温、運転していた時間、機器の設置場所によって変わるため、一律の時間を示すことはできません。
判断としては、機器の表面に触れて熱くない状態まで下がっていれば操作してよい段階です。
熱が残ったまま操作しても同じ表示に戻るだけなので、時間をおいてから1回試すほうが確実です。
十分に冷えても復帰しない場合は、部品側の不良を含めて点検を依頼してください。
Q3. 気化器の温度が低いというエラーとは別物ですか。
はい、別の表示です。
気化器温度の異常低下は540・E32・EU、気化器ヒータが規定温度に到達しないのは520・530・E34などとして整理されています。
高温側と低温側では、確認される部位や原因の傾向が変わります。
どちらの表示が出ていたかを正確に控えておくと、点検の際に役立ちます。
Q4. 灯油を替えれば直りますか。
変質した灯油が燃焼の不安定さにつながっていた場合は、燃料を替えることで状況が改善する可能性があります。
ただし、すでに堆積した残留物や部品の不良は、灯油を替えても解消しません。
また、タンク内に古い灯油が残ったままでは効果が限られます。
灯油を替えても表示が続く場合は、機器側の要因として点検を依頼してください。
Q5. この表示が出た機器は買い替えの時期でしょうか。
一度の表示だけで判断する必要はありません。
停止直後の再運転など、条件がそろえば正常な機器でも表示されることがあります。
一方、設置から10年前後が経過し、気化器やそのヒータの交換が必要と判断された場合は、他の部品の劣化も同時期に進んでいることが多くなります。
点検の結果を踏まえ、修理費用と機器交換の費用を比較して検討するのが現実的です。
まとめ
長府の暖房ボイラーに表示される470・E31・EHは、気化器サーミスタが気化器の異常な高温を検出したことによる停止です。
気化器は灯油を気体に変える部分で、狭い温度範囲で制御されているため、上限を超えると運転が止まります。
解除は機器が十分に冷えてから行うのが前提で、熱が残ったまま操作を繰り返しても状況は変わりません。
冷えても復帰しない場合は、サーミスタやヒータの不良、堆積物の影響などが考えられ、点検が必要な段階です。
日常では、変質した灯油を使わず燃焼を安定させることが、気化器まわりへの負担を減らす最も現実的な対策になります。

