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ほくでん「ドリーム8」の割引はなぜ廃止される?終了の理由と寒冷地住宅への影響

手のひらに小さな白い家の模型を載せ、その上に電球のアイコンが浮かび、住まいと電気エネルギーの関係性を表現したイメージ
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

「ほくでんのドリーム8が廃止されるらしい」
「オール電化はもう不利なの?」

こうした不安の声が、北海道の住宅オーナーを中心に増えています。

正確に言うと、ドリーム8という料金プラン自体が完全に廃止されるわけではありません
2026年3月をもって終了するのは、ドリーム8に付随していた一部の割引制度です。

では、なぜ割引だけが終了するのでしょうか。
その背景には、電力会社の都合だけでなく、北海道特有の電力事情・エネルギー構造の変化・暮らし方の変化が複雑に絡んでいます。

この記事では、

  • ドリーム8とはどんなプランだったのか
  • なぜ「割引」が廃止されるのか
  • 割引終了後、寒冷地住宅はどう考えるべきか

を、専門用語を極力避けながら整理します。


目次

「ドリーム8」とは?オール電化向け料金プランの仕組み

ドリーム8の料金構成イメージを表した図

ドリーム8は、北海道電力(ほくでん)が提供してきたオール電化住宅向けの時間帯別電気料金プランです。

夜間が安く、昼間が高いという設計

  • 昼間:7:00〜23:00
  • 夜間:23:00〜翌7:00

この2つの時間帯で電気料金単価が分かれており、
夜間の電気を安く使えることが最大の特徴でした。

電気温水器・蓄熱暖房機・深夜運転の暖房設備と相性がよく、
「夜に熱をためて、昼に使う」
という北海道らしい暮らし方を前提に設計されたプランです。

特に寒冷地では、

  • 夜間に蓄熱
  • 日中は電気を極力使わない

という生活スタイルが定着し、ドリーム8=冬の定番プランとして長年使われてきました。


新規受付が終了した理由と「旧制度」になった背景

白いキッチンカウンターに設置されたIHクッキングヒーターの上に、フライパンが置かれている調理前の様子

ドリーム8は、2017年10月で新規受付が終了しています。
現在は既契約者のみが利用できる「継続専用プラン」という位置づけです。

この背景には、大きく3つの変化があります。

電力自由化による料金体系の再編

電力自由化以降、

  • 昼夜の価格差を前提とした料金設計
  • 特定設備向けの優遇プラン

は、制度として維持しづらくなりました。

電力会社は「わかりやすく・公平な料金体系」へ移行する必要があり、
ドリーム8のような特定住宅向けプランは縮小対象になっていきました。

夜間電力が「余っている時代」ではなくなった

かつては

  • 昼間:需要が多い
  • 夜間:需要が少ない

という前提がありました。

しかし現在は、

  • オール電化住宅の増加
  • 夜間暖房・給湯の集中
    により、夜間の電力需要が高止まりしています。

「夜だから安くできる」という前提そのものが崩れつつあるのです。


ドリーム8の「割引終了」とは何が変わるのか

ドリーム8の昼間・夜間の料金帯比較図

今回話題になっているのは、2026年3月末で終了予定の割引制度です。

終了するのはプランではなく「割引」

重要なポイントはここです。

  • ドリーム8という料金メニュー → 継続
  • 付随していた特別割引 → 終了

具体的には、

  • 通電制御型機器割引
  • 5時間通電機器割引

といった、設備条件を満たした家庭だけが受けられる優遇が終了します。

その結果、
夜間単価そのものが急に跳ね上がるわけではないが、実質負担は増える
という家庭が出てくる可能性があります。


ほくでんドリーム8の割引が廃止される本当の理由

屋根に太陽光パネルが設置された戸建住宅を、青空と緑の植栽を背景に写した外観の様子

割引終了の理由は、単なる「値上げ」ではありません。

電力調達コストの上昇

夜間電力も、

  • LNG(液化天然ガス)
  • 石炭
    といった燃料を使った発電が中心です。

燃料価格の高騰・円安の影響により、
夜間でも安く電気を作れない状況になっています。

再エネ賦課金・制度コストの増加

再生可能エネルギーを支えるための
「再エネ発電促進賦課金」は、時間帯に関係なく上乗せされます。

つまり、
夜間だけを特別扱いする制度が成立しにくくなった
という構造的な問題があります。

北海道特有の「冬の夜間ピーク」

北海道では、

  • 夜間
    に暖房・給湯が集中します。

結果として、
夜間が一番電力コストのかかる時間帯になる逆転現象が起きています。

この状況で夜間割引を続けることは、
電力供給全体の安定性を損なうリスクにもつながります。


割引終了後、寒冷地住宅はどう影響を受ける?

屋根の軒先に積もった雪から大きなつららが垂れ下がり、住宅外壁の窓まわりに凍結が発生している様子

簡潔に申し上げると影響の大きさは、家庭ごとに異なります

影響を受けやすい家庭

  • 電気温水器を使用している
  • 蓄熱暖房機が主暖房
  • 夜間使用比率が極端に高い

こうした住宅では、
割引終了後に光熱費の増加を体感しやすい可能性があります。

すぐに困るわけではない家庭

  • エコキュートなど高効率給湯器を使用
  • 昼夜の使用量が分散している
  • 暖房は別熱源(灯油・ガス)

この場合、影響は限定的です。


今からできる現実的な対応策

青空の下に広がる太陽光パネルの表面を、斜め下から見上げる構図で捉えた発電設備の様子

ドリーム8の割引終了は、「損をするかどうか」で判断する出来事ではありません。
むしろ、これまで当たり前のように続けてきたエネルギーの使い方が、今の状況に合っているかを見直す合図と捉えることが重要です。

制度は変わりますが、すぐに何かを決断しなければならないわけではありません。
まずは現状を正しく把握し、無理のない範囲で選択肢を整理することが、最も現実的な対応といえます。

契約内容と使用実態の確認

最初にやるべきことは、今の契約と使い方を正確に知ることです。

・現在の契約プランが「ドリーム8」なのか、その派生プランなのか
・割引制度が実際に適用されているか
・夜間と昼間、それぞれでどれくらい電気を使っているか

これらを確認することで、「割引終了の影響を受けやすいかどうか」が見えてきます。

特に、近年は
・在宅時間が増えた
・昼間も暖房や給湯を使うようになった
という家庭も少なくありません。

生活スタイルが変わっている場合、過去に最適だった契約が、今も最適とは限らない可能性があります。
まずは使用実態を把握し、冷静に比較できる状態をつくることが出発点になります。

設備の効率を見直す

割引制度がなくなると、設備の「効率差」がこれまで以上に光熱費へ反映されやすくなります。

特に、
・設置から年数が経過した電気温水器
・旧式の蓄熱暖房機

は、夜間割引が前提の設計であることが多く、割引終了後はコスト面の弱点が表に出やすくなります。

一方で、
・高効率給湯器への更新
・用途に合った暖房熱源の選択
・断熱性能の改善

といった対策は、割引の有無に関係なく効果を発揮します。

設備を新しくすることが必ずしも正解ではありませんが、
「今の設備が、これからの料金体系でも無理なく使えるか」
という視点で見直すことは重要です。

割引終了は、
「すぐ切り替えるべきか」ではなく
「このまま使い続けて問題ないか」
を考えるためのタイミングといえるでしょう。

無理に結論を急がず、契約・使い方・設備を一つずつ整理していくことで、割引終了後も納得感のある選択がしやすくなります。


オール電化にこだわらないという選択肢

雪が深く積もった地面に、葉を落とした木々が立ち並び、静かな寒冷期の屋外風景を写した様子

ドリーム8の割引終了をきっかけに、
「このままオール電化を続けるべきか」
「電気以外の熱源も検討した方がいいのではないか」

と考え始めた方も多いのではないでしょうか。

これまでオール電化は、
・夜間電力の割引
・シンプルなエネルギー管理
・設備更新のしやすさ
といった点で、大きなメリットがありました。

しかし、割引制度がなくなることで、“電気一本”という前提に縛られる必要は薄れてきているのも事実です。
今後は、熱源を一つに固定するのではなく、用途ごとに分散させる考え方が、より現実的になっていきます。

灯油暖房・灯油ボイラーという選択

寒冷地において、灯油は今でも非常に合理的なエネルギーです。
特に暖房用途では、外気温が大きく下がっても出力が安定し、立ち上がりが早いという強みがあります。

近年の灯油ボイラーは燃焼効率も向上しており、
「昔より灯油代がかかる」というイメージだけで判断するのは適切ではありません。

・冬場の暖房使用量が多い
・建物が大きい、部屋数が多い
・暖房能力を最優先したい

こうした住宅では、灯油暖房・灯油ボイラーを主軸に据えることで、トータルの光熱費が安定するケースも少なくありません。

ガス給湯器(エコジョーズ)という現実解

給湯については、ガス給湯器への切り替えを検討する家庭も増えています。
高効率タイプのガス給湯器は、排気熱を再利用することでガス使用量を抑えられ、従来型よりもランニングコストを低減できます。

・貯湯タンクが不要で省スペース
・お湯切れの心配がない
・使った分だけエネルギーを消費する

といった特性は、生活リズムが不規則な家庭や、昼間使用が増えている世帯にとって相性が良い点です。

「電気一本」にしないことの本当のメリット

熱源を分散させる最大のメリットは、単純な料金比較だけではありません。

・電気料金が急変した場合の影響を抑えられる
・停電時でも給湯や暖房を確保できる可能性がある
・設備ごとに最適なエネルギーを選べる

こうしたリスク分散の考え方、今後のエネルギー環境を考えるうえで、ますます重要になります。

オール電化が悪いわけではありません。
ただ、「必ずオール電化でなければならない時代」ではなくなってきている、というのが実情です。

割引終了をきっかけに、
「自分の家にとって、本当に無理のないエネルギー構成は何か」
を一度立ち止まって考えてみることが、結果的に光熱費と安心感の両立につながります。

電気・灯油・ガスを対立軸で考えるのではなく、役割分担という視点で組み合わせる
それが、これからの寒冷地住宅にとって現実的な選択肢になっていくでしょう。


FAQ(よくある質問)

Q1. ほくでんのドリーム8は完全に廃止されるのですか?

いいえ、ドリーム8という料金プラン自体がすぐに使えなくなるわけではありません。
2026年3月をもって終了するのは、通電制御型機器割引などの一部の割引制度であり、既存契約者は引き続きドリーム8を利用できます。

Q2. 割引が終了すると、電気代は必ず高くなりますか?

必ずしもすべての家庭で大幅に上がるわけではありません。
夜間使用の割合が高く、割引の恩恵を大きく受けていた家庭ほど影響は出やすいですが、使用状況や設備によっては変化が小さいケースもあります。

Q3. オール電化住宅は今後不利になりますか?

オール電化自体が不利になるわけではありません。
ただし、割引制度を前提にした設備構成や使い方の場合は、見直しを検討したほうがよいタイミングに入ったといえます。

Q4. ドリーム8から他の電気料金プランへ変更したほうがいいですか?

昼間の電気使用が増えている家庭では、単一料金制プランのほうが合う場合もあります。
まずは現在の使用時間帯と電力量を確認し、複数プランを比較することが重要です。

Q5. オール電化から灯油やガスに切り替えるのは現実的ですか?

寒冷地では十分に現実的な選択肢です。
灯油暖房やガス給湯器を部分的に取り入れることで、光熱費の安定化や停電時のリスク分散につながるケースもあります。

まとめ|「ドリーム8廃止」は不利ではなく、暮らしを再設計する合図

電柱に取り付けられた電力設備の点検作業を行う作業員が、高所作業車と安全装備を使用して作業している様子

2026年3月で終了する、ほくでん「ドリーム8」の各種割引制度。
このニュースだけを見ると、オール電化はもうダメなのでは」「電気代が一気に上がるのではと不安を感じる方も多いかもしれません。

しかし今回の変更は、突然の制度改悪や利用者切り捨てではありません
背景にあるのは、電力の作られ方・使われ方、そして北海道の暮らしそのものが、少しずつ変化してきたという現実です。

かつてのドリーム8は、
「夜間は電力が余り、安く使える」
「深夜に給湯・暖房を集中させれば、光熱費を抑えられる」

という前提のもとで、非常に合理的な仕組みでした。

しかし現在は、
・夜間でも電力需要が高い
・燃料費や制度コストが上昇している
・昼夜の価格差が成立しにくい
という状況に変わっています。

その結果、「夜だけ特別に優遇する割引制度」を維持することが難しくなった
これが、ドリーム8の割引が終了する本質的な理由です。

重要なのは、
「ドリーム8が使えなくなる」わけでも
「オール電化が即不利になる」わけでもない、という点です。

ただし、これまで
・割引前提で成り立っていた設備
・夜間使用に極端に依存した運用
を続けている住宅ほど、今後は見直しの必要性が高くなるのも事実です。

割引終了は、
「今の暮らし方が合っているか」
「設備が今の時代に合っているか」

を考えるための、ひとつの節目といえるでしょう。

電気の使い方を見直す、設備効率を高める、熱源を分散させる。
こうした選択は、電気代対策だけでなく、将来の料金変動や災害リスクへの備えにもつながります。

ドリーム8の割引終了は「損をする出来事」ではありません。
むしろ、これからの北海道の暮らしに合ったエネルギーの使い方へ切り替えるチャンスです。

焦って結論を出す必要はありません。
まずは現状を知り、選択肢を整理し、自分の住まいにとって無理のない形を考えること。
それが、割引終了後も安心して暮らし続けるための、最も現実的な一歩になるのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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