冬の乾燥対策に加湿器を使っているものの、一日中つけていて電気代が気になっていませんか。
加湿器によって「電気代がほとんどかからない」という話と「意外と高い」という話があって、どちらが本当なのか迷う方も多いはずです。
結論から言うと、加湿器の電気代は方式によって数十倍の差があります。
水を沸かして蒸気を出すスチーム式は1時間あたり約8〜15円かかる一方、風で水を気化させる気化式なら1円にも届きません。
この記事では、方式ごとの電気代と特徴を比べたうえで、加湿で暖房費を下げる考え方と、方式ごとに必要な手入れや安全面の注意までを整理します。
方式別の電気代の目安

計算式は次のとおりです。
電気代 = 消費電力(kW)× 使用時間(h)× 電力量の目安単価(円/kWh)
目安単価は、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が示す31円/kWhを使います。
家庭用の加湿器は、主に4つの方式に分けられます。
一般的な家庭用(木造8〜14畳程度)の目安は次のとおりです。
| 方式 | 消費電力の目安 | 1時間 | 1日8時間 | 1か月(8時間×30日) |
|---|---|---|---|---|
| スチーム式(加熱式) | 約250〜500W | 約7.8〜15.5円 | 約62〜124円 | 約1,860〜3,720円 |
| ハイブリッド式(温風気化式) | 約50〜300W | 約1.6〜9.3円 | 約12〜74円 | 約372〜2,232円 |
| 超音波式 | 約20〜40W | 約0.6〜1.2円 | 約5〜10円 | 約149〜298円 |
| 気化式 | 約10〜20W | 約0.3〜0.6円 | 約2.5〜5円 | 約74〜149円 |
※31円/kWhで試算した参考値です。機種の能力、運転モード、室温・湿度によって変わります。
スチーム式と気化式では、1か月の電気代に20倍以上の差がつくことがあります。
ひと冬(11月〜3月の約150日)で見ると、スチーム式は1万円を超えることもある一方、気化式なら数百円で収まります。
ハイブリッド式は、ヒーターを使うかどうかで電気代が大きく変わります。
加湿が進んで湿度が安定すると、ヒーターを止めて気化式として運転するため、平均の電気代はスチーム式より低くなるのが一般的です。
方式ごとの特徴
電気代だけで選ぶと、あとで困ることがあります。
それぞれの特徴を整理します。
| 方式 | 仕組み | 長所 | 短所 |
|---|---|---|---|
| スチーム式 | ヒーターで水を沸かし、蒸気を出す | 加湿が速く、パワーがある。水を加熱するため衛生面で有利 | 電気代が高い。吹き出し口が熱い |
| 気化式 | 湿らせたフィルターに風を当てて水を気化させる | 電気代が非常に安い。吹き出す空気が熱くない | 加湿に時間がかかる。フィルターの手入れが必要 |
| 超音波式 | 超音波の振動で水を細かい粒にして飛ばす | 電気代が安い。本体が小さく静か | タンクの手入れを怠ると雑菌を飛ばすおそれ |
| ハイブリッド式 | 温風を当てて気化させる。湿度で運転を切り替える | 加湿の速さと電気代のバランスがよい | 本体価格が高め。フィルターの手入れが必要 |
東京都保健医療局は、家庭用加湿器の衛生面について、蒸気式は加熱により水を蒸発させるためレジオネラ症などの原因になる可能性は低いこと、気化式はフィルターに雑菌が増殖するため定期的な清掃が必要なこと、超音波式は菌が増殖すると水分とともに飛散するため、こまめな水替えや清掃が必要なことを示しています。
つまり、電気代の安い方式ほど、こまめな手入れが欠かせないという関係にあります。
スチーム式の電気代の高さは、水を沸かして衛生面の安心を得ている分とも言えます。
自分に合った方式の選び方
| 重視すること | おすすめの方式 |
|---|---|
| 電気代をできるだけ抑えたい | 気化式 |
| 早く加湿したい・広い部屋で使う | スチーム式、ハイブリッド式 |
| 手入れの手間を減らしたい | スチーム式(ただしミネラルの除去は必要) |
| 小さな子どもやペットがいる | 気化式、ハイブリッド式(吹き出し口が熱くない) |
| デスク周りなど狭い範囲で使う | 超音波式(小型)、気化式(小型) |
| 電気代と加湿の速さの両方を重視 | ハイブリッド式 |
一人暮らしのワンルームや寝室なら、気化式でも十分に加湿できることが多くなります。
リビングのような広い部屋で、短時間で湿度を上げたい場合は、スチーム式やハイブリッド式が向いています。
加湿で暖房の電気代を下げる考え方

加湿器の電気代だけを見ると「余計な出費」に見えますが、使い方によっては暖房の電気代を下げる効果があります。
同じ室温でも、湿度が低いと体の表面から水分が蒸発しやすく、寒く感じます。
反対に、湿度が適度に保たれていると、同じ室温でも暖かく感じやすくなります。
湿度を上げることで、暖房の設定温度を下げても快適さを保てるというのが、加湿器を使う電気代上のメリットです。
エアコン暖房は、設定温度を1℃下げるだけで消費電力が目に見えて下がります。
気化式や超音波式の加湿器を足しても、1時間あたりの電気代は1円程度なので、エアコンの設定を下げられればトータルでは安くなるのが一般的です。
一方、スチーム式の加湿器を足して暖房の設定温度を下げた場合は、加湿器の電気代がエアコンの削減分を上回ることもあります。
暖房費を下げる目的で加湿器を使うなら、電気代の小さい気化式や超音波式、ハイブリッド式との組み合わせが効果的です。
冬の室内の湿度は、一般に40〜60%程度が目安とされています。
60%を大きく超えると窓や壁に結露が生じやすくなり、カビの原因になるため、加湿しすぎにも注意してください。
湿度計を置いておくと、加湿のしすぎを防げます。
加湿器の電気代を下げる工夫
1. 湿度センサー・自動運転を使う
多くの加湿器には、設定した湿度に達すると加湿を弱めたり止めたりする自動運転があります。
常に強運転で使うより、自動運転にしておくほうが無駄な加湿と電気代を防げます。
2. 部屋の広さに合った能力を選ぶ
加湿器には適用畳数があります。
部屋に対して能力が小さすぎると、湿度が上がらないまま強運転を続けることになります。
逆に大きすぎると、スチーム式などでは電気代が無駄にかかります。
3. 暖房と組み合わせて設定温度を下げる
加湿器を使って湿度が上がったら、エアコンの設定温度を1℃下げてみてください。
体感が変わらなければ、そのまま下げた設定で使えます。
4. 窓の断熱で結露を防ぐ
加湿すると、冷たい窓ガラスに結露が生じやすくなります。
結露が多いと加湿した水分が窓で失われ、加湿器が余分に働くことになります。
窓に断熱シートを貼ると、結露を抑えながら暖房の効率も上がります。
5. 寝室は就寝前の加湿とタイマーを使う
一晩中スチーム式を動かすと、それだけで1晩50〜100円程度かかります。
就寝前に加湿しておき、タイマーで数時間後に止まるようにすると、電気代を抑えられます。
ひと冬で見るとどれくらい差がつくか
11月から3月までの約150日間、毎日使った場合の目安です。
| 方式 | 1日8時間 | 1日12時間 | 1日24時間 |
|---|---|---|---|
| スチーム式(平均350W) | 約13,000円 | 約19,500円 | 約39,000円 |
| ハイブリッド式(平均100W) | 約3,700円 | 約5,600円 | 約11,200円 |
| 超音波式(平均30W) | 約1,100円 | 約1,700円 | 約3,300円 |
| 気化式(平均15W) | 約560円 | 約840円 | 約1,700円 |
※31円/kWhで試算した参考値です。自動運転で加湿が弱まる時間があれば、実際はこれより低くなります。
スチーム式を寝室とリビングで2台、1日12時間ずつ使えば、ひと冬で4万円近くになる計算です。
複数台を使う家庭ほど、方式の選び方が冬の電気代を大きく左右します。
すでにスチーム式を使っている場合は、使う時間を就寝前や在宅中に絞るだけでも差が出ます。
空気清浄機と一体になったタイプの場合
加湿機能付きの空気清浄機は、多くが気化式の加湿方式を採用しています。
そのため、加湿部分の電気代は気化式と同程度で、空気清浄の運転と合わせても1時間あたり1円前後に収まることが一般的です。
ただし、一体型には次の注意点があります。
- 加湿フィルターとトレーの手入れを怠ると、空気清浄機そのものからニオイが出る
- 単体の加湿器と比べて、加湿能力が控えめな機種が多い
- 加湿が不要な季節も、給水トレーの水を抜いて乾かしておく必要がある
電気代は安くても、手入れの手間は単体の気化式と変わらないと考えておいてください。
手入れと衛生面の注意
加湿器は、手入れを怠ると雑菌やカビを部屋に広げるおそれがあります。
とくに超音波式は、タンクの水に増えた菌をそのまま空気中に飛ばしてしまいます。
加湿器の水は毎日取り替え、タンクは洗ってから使ってください。水を継ぎ足して使い続けると、タンク内で雑菌が増え、健康被害につながるおそれがあります。
方式ごとの手入れのポイントは次のとおりです。
| 方式 | 主な手入れ |
|---|---|
| スチーム式 | タンクの水の交換。加熱部分にたまるミネラル(白い固まり)の定期的な除去 |
| 気化式 | タンクの水の交換。フィルターの定期的な洗浄と交換 |
| 超音波式 | タンクの水を毎日交換し、タンクと振動部分をこまめに洗う |
| ハイブリッド式 | タンクの水の交換。フィルターとトレーの定期的な洗浄 |
水道水以外の水(浄水器の水、ミネラルウォーター、井戸水など)は、塩素が含まれていないため雑菌が繁殖しやすくなります。
取扱説明書で指定がない限り、水道水を使うのが基本です。
気化式・ハイブリッド式のフィルターが汚れると、加湿の能力が落ち、同じ湿度にするのに時間がかかるようになります。
手入れは衛生面だけでなく、加湿の効率と電気代にも関わります。
置き場所とやけどへの注意
加湿器の置き場所にも注意が必要です。
製品評価技術基盤機構(NITE)は、床に置いていた加湿器の蒸気吹き出し口に乳児が触れてやけどを負った事例を紹介し、子どもの手の届くところに置かないこと、転倒しないよう安定した場所で使うこと、使用中は持ち運ばないことを呼びかけています。
スチーム式の吹き出し口や本体は高温になります。小さな子どもやペットがいる家庭では、手の届かない場所に置くか、吹き出す蒸気が熱くない方式を選んでください。
そのほか、置き場所では次の点に気をつけてください。
- 壁や家具、カーテンから離して置く(湿気でカビやシミの原因になる)
- 電気製品や窓の近くを避ける(結露や故障の原因になる)
- エアコンの風が直接当たる場所を避ける(湿度センサーが正しく働かない)
- 床に直接置くより、少し高い位置に置くと部屋全体に広がりやすい
待機電力とシーズンオフのしまい方
使わない季節は、次の手順でしまってください。
- タンクと本体の水を完全に抜き、よく乾かす
- フィルターは洗って乾かし、劣化していれば交換する
- スチーム式は加熱部分のミネラルを取り除いておく
- 電源プラグを抜き、ほこりがかからないよう袋などに入れて保管する
水が残ったまましまうと、次のシーズンに使い始めたとき、カビや雑菌を一緒に吹き出すことになります。
シーズンの初めに使うときも、タンクとフィルターを洗ってから使ってください。
使わない間は電源プラグを抜いておけば待機電力もかかりません。
待機電力について、抜いてよいものとそうでないものの線引きはコンセント差しっぱなしの電気代はどれくらい?実際にかかる金額と無駄を減らす判断基準で整理しています。
冬は電気料金の単価そのものが変わることもあり、その仕組みは原油価格が高騰すると電気代はどうなる?知らないと損する家庭への影響で解説しています。
よくある質問
Q1. 加湿器の電気代は1か月いくらですか?
方式によって大きく違います。
1日8時間使った場合、スチーム式は1か月で約1,900〜3,700円、ハイブリッド式は約400〜2,200円、超音波式は約150〜300円、気化式は約70〜150円が目安です。
スチーム式と気化式では、20倍以上の差がつくことがあります。
ひと冬(約150日)で見ると、スチーム式は1万円を超えることもある一方、気化式なら数百円で収まります。
電気代を抑えたい場合は、方式の選び方がもっとも重要です。
Q2. 加湿器をつけっぱなしにしても大丈夫ですか?
電気代の面では、気化式や超音波式なら一日中つけても数円から十数円程度です。
スチーム式は一日中つけると100円を超えることもあります。
つけっぱなしにする場合は、湿度センサーの自動運転を使い、湿度が上がりすぎないようにしてください。
湿度が60%を大きく超えると、結露やカビの原因になります。
また、長時間使う場合ほど、タンクの水を毎日取り替えてタンクを洗うことが大切です。
Q3. 加湿器を使うと暖房費は安くなりますか?
使い方しだいで安くなります。
湿度が適度に保たれると、同じ室温でも暖かく感じやすくなるため、暖房の設定温度を下げても快適さを保てます。
エアコン暖房は設定温度を1℃下げるだけで消費電力が目に見えて下がるので、電気代の小さい気化式や超音波式を組み合わせれば、トータルでは安くなるのが一般的です。
ただし、スチーム式は加湿器自体の電気代が大きいため、エアコンの削減分を上回ることもあります。
Q4. 電気代が安い気化式にデメリットはありますか?
加湿に時間がかかることと、フィルターの手入れが必要なことが主なデメリットです。
気化式は風で水を気化させるため、スチーム式のように短時間で湿度を上げるのは得意ではありません。
また、湿ったフィルターに雑菌が増えやすいため、定期的な洗浄と交換が必要です。
室温が低いと気化しにくく、加湿能力が落ちることもあります。
一方で、吹き出す空気が熱くないため、小さな子どもやペットがいる家庭でも使いやすい方式です。
Q5. 加湿器の水は毎日替える必要がありますか?
毎日替えてください。
タンクに水を継ぎ足して使い続けると、タンク内で雑菌が増え、とくに超音波式では菌を空気中に飛ばすおそれがあります。
東京都保健医療局も、超音波式はこまめな水替えや清掃が必要だとしています。
水を替えるときは、タンクを軽くすすいでから新しい水を入れてください。
水道水以外の水は塩素が含まれず雑菌が繁殖しやすいため、取扱説明書に指定がない限り水道水を使うのが基本です。
まとめ
加湿器の電気代は、方式によって数十倍の差があります。
- スチーム式は1時間約8〜15円、気化式は1円未満。ひと冬で1万円以上の差がつくこともある
- 電気代の安い方式ほど、フィルターやタンクのこまめな手入れが必要
- 湿度を適度に保てば暖房の設定温度を下げられる。組み合わせるなら気化式や超音波式が効果的
- 湿度は40〜60%程度が目安。加湿しすぎは結露とカビの原因になる
- 水は毎日替え、スチーム式は子どもの手の届かない場所に置く
加湿器は選び方と使い方しだいで、冬の電気代を増やす家電にも、減らす家電にもなります。
まずは今使っている加湿器の方式を確認し、湿度計を見ながら暖房の設定温度を1℃下げられないか試してみてください。

