「リフォームしたばかりの部屋にいると、なんだか頭が痛い」「新しい壁紙のにおいが気になって、めまいがする」——そんな経験をしたことはないでしょうか。
新築住宅で問題になることが多い「シックハウス症候群」ですが、実はリフォームでも同じリスクがあります。
この記事では、シックハウス症候群の原因と、建築基準法に基づく対策の仕組み、リフォームで注意すべきポイントを整理して解説します。
シックハウス症候群とは
シックハウス症候群とは、建材や家具、日用品などから発散するホルムアルデヒドやVOC(トルエン、キシレンなどの揮発性有機化合物)によって、めまい、吐き気、頭痛、目や鼻、のどの痛みといった症状が引き起こされる状態のことです。
住宅の高気密化が進んだことで、化学物質が室内にとどまりやすくなったことが、シックハウス症候群が問題視されるようになった背景のひとつとされています。
新築住宅だけでなく、リフォームで新しい建材・接着剤・塗料を使用した際にも、同様の症状が生じる可能性があります。
建築基準法によるシックハウス対策
こうした問題を受け、平成15年(2003年)に施行された改正建築基準法により、次のような規制が導入されました。
| 規制内容 | 概要 |
|---|---|
| クロルピリホスを添加した建材の使用禁止 | シロアリ駆除剤等に使われていた化学物質の使用を禁止 |
| ホルムアルデヒド発散建築材料の使用制限 | 発散量に応じた等級(F☆☆☆☆等)に基づき、使用面積が制限される |
| 24時間換気システムの設置義務化 | 住宅を含む居室のある建築物すべてが対象 |
これらの規制は、新築だけでなく、居室を新たに設ける増築・大規模なリフォームでも適用される場合があります。
一方で、内装の一部を張り替えるだけといった小規模な模様替えでは、規制の対象になるかどうかの判断が個別に分かれることがあります。
建材選びに不安がある場合は、施工会社に確認しておくことをおすすめします。
F☆☆☆☆(エフフォースター)とは
建材を選ぶ際に目にする「F☆☆☆☆」という表示は、ホルムアルデヒドの発散等級を示すものです。
星の数が多いほど発散量が少なく、F☆☆☆☆(フォースター)は最も発散量が少ない等級とされ、内装仕上げ材として使用面積の制限を受けずに使用できます。
リフォームで使用する壁紙・フローリング材・接着剤等を選ぶ際は、このF☆☆☆☆表示があるかどうかを確認すると安心です。
多くの建材メーカーは、現在この等級の製品を主力としていますが、輸入建材や一部の特殊な製品では等級が異なる場合もあるため、気になる場合は施工会社に確認してみましょう。
具体例で見る建材選びの違い
具体的なイメージをつかむため、リビングの壁紙を張り替える場合を例に考えてみましょう。
同じ「量産型クロス」という商品カテゴリの中でも、国内主要メーカーの製品の多くはF☆☆☆☆等級に対応しており、通常の使用であれば使用面積の制限なく選べます。
一方、デザイン性を重視した輸入壁紙や、一部の特殊加工が施された建材では、発散等級の表示がF☆☆☆☆でない場合や、そもそも日本の等級表示に対応していない製品もあります。
見た目やデザインだけで建材を選ぶのではなく、発散等級の表示も確認する習慣をつけておくと安心です。
特に、小さなお子様がいる部屋や寝室など、長時間過ごす空間の内装材については、この点を意識して選ぶ価値があります。
接着剤についても同様で、施工会社が使用する接着剤の種類によって発散量が変わることがあるため、気になる場合は事前に確認しておきましょう。
24時間換気システムの重要性
シックハウス対策として義務化されている24時間換気システムは、室内の化学物質や二酸化炭素、湿気を排出し、常に新鮮な空気を取り込む仕組みです。
「電気代がもったいないから」「音が気になるから」といった理由で換気システムを止めてしまう方もいますが、これは推奨されません。
特にリフォーム直後は、新しい建材から化学物質が発散されやすい時期でもあるため、換気システムを適切に稼働させることが重要です。
リフォーム後、居室の換気経路が変わった場合(間取り変更等)は、換気システムが正しく機能しているかも、施工会社に確認しておくとよいでしょう。
リフォームで特に注意したい工事
次のような工事では、化学物質の発散が比較的多くなりやすいため、特に注意が必要です。
- 壁紙の全面張り替え:接着剤の使用量が多くなる
- フローリングの張り替え:新しい床材・接着剤からの発散
- 造作家具・収納の設置:集成材・合板から使われる接着剤
- 防蟻処理・防腐処理:使用する薬剤の種類によっては、一時的なにおいが生じることがある
これらの工事を行う際は、施工後しばらくの間、こまめに換気を行うことをおすすめします。
特に、施工直後の数日間は、窓を開けて積極的に空気を入れ替えることで、化学物質の濃度を下げやすくなります。
断熱リフォームなどで住宅の気密性を高める場合は、換気計画もあわせて見直す価値があります。断熱リフォーム全般については、断熱リフォームの補助金|窓と壁、どっちを優先すべきかで変わるでも解説していますので、あわせて参考にしてください。
リフォーム後に体調不良を感じたら
もしリフォーム後に、原因不明の頭痛やめまい、のどの痛みなどが続く場合は、次の対応を検討してください。
- こまめな換気を徹底する:窓を開け、24時間換気システムが正常に稼働しているか確認する
- 症状の内容や発生する場所・時間帯を記録する:特定の部屋にいるときに症状が出るか等を確認する
- 体調不良が続く場合は医療機関を受診する:症状が重い、長引く場合は自己判断せず専門医に相談する
- 施工会社に状況を伝える:使用した建材の情報を確認し、必要に応じて対応を相談する
体調不良の原因がシックハウス症候群によるものかどうかは、自己判断が難しい場合もあります。
症状が続く場合は、我慢せず医療機関に相談することをおすすめします。
小さなお子様・高齢者がいる家庭での配慮
化学物質への感受性には個人差があり、特に小さなお子様や高齢者、化学物質に敏感な体質の方は、影響を受けやすいとされています。
こうした家族がいる場合は、リフォーム計画の段階で、より発散量の少ない建材を選ぶ、施工後の入居時期に余裕を持たせるといった配慮を検討してもよいでしょう。
施工会社に事前に伝えておくことで、使用する建材の選定について相談に乗ってもらえることもあります。
また、化学物質過敏症など、すでに特定の症状に悩まされている方がリフォームを検討する場合は、可能な限り自然素材(無垢材、漆喰、珪藻土等)を使った施工に対応している会社を探すという選択肢もあります。
こうした専門的な対応ができる会社は限られるため、早い段階からリフォーム会社の実績を確認しておくとよいでしょう。
よくある質問
Q. シックハウス症候群とはどんな症状ですか?
A. 建材や日用品から発散するホルムアルデヒドやVOCによって、めまい、吐き気、頭痛、目や鼻、のどの痛みなどが引き起こされる状態です。症状の程度には個人差があります。
Q. リフォームでもシックハウス対策の規制は適用されますか?
A. 増築や大規模なリフォームでは適用される場合があります。ただし、小規模な模様替えでは規制の対象になるかどうかの判断が分かれることもあるため、不安な場合は施工会社に確認しましょう。
Q. F☆☆☆☆とは何ですか?
A. ホルムアルデヒドの発散等級を示す表示で、星の数が多いほど発散量が少ないことを意味します。F☆☆☆☆(フォースター)は最も発散量が少ない等級で、使用面積の制限を受けずに使用できます。
Q. 24時間換気システムは常に稼働させておくべきですか?
A. はい。電気代や音を気にして止めてしまう方もいますが、化学物質や湿気を排出するために常時稼働させることが推奨されています。特にリフォーム直後は稼働を継続することが重要です。
Q. リフォーム後に体調不良を感じたら、どうすればいいですか?
A. まずはこまめな換気を徹底し、症状が続く場合は医療機関を受診することをおすすめします。あわせて施工会社にも状況を伝え、使用した建材について確認しましょう。
Q. 化学物質に敏感な家族がいる場合、どんな対策ができますか?
A. 発散量の少ない建材を選ぶ、施工後の入居時期に余裕を持たせる、自然素材を使った施工に対応する会社を選ぶといった対策が考えられます。リフォーム計画の早い段階で、施工会社にその旨を伝えておくことをおすすめします。
Q. リフォーム後、どれくらいの期間、換気に気をつければいいですか?
A. 明確な期間の目安は一律には言えませんが、建材からの化学物質の発散は施工直後がもっとも多く、時間の経過とともに徐々に減少していくとされています。少なくとも施工後しばらくは、通常より意識的に換気を行うことをおすすめします。
まとめ
シックハウス症候群は、建材や日用品から発散する化学物質によって引き起こされる健康への影響で、リフォームでも新築同様に注意が必要です。
建築基準法に基づく規制やF☆☆☆☆表示を参考にしながら、換気を適切に行うことが、基本的な予防策になります。
リフォーム後に体調不良を感じた場合は、換気の徹底と医療機関への相談をためらわず、施工会社とも情報を共有しながら対応することをおすすめします。
「新しくなった部屋で快適に過ごしたい」という気持ちは誰しも同じですが、その快適さは見た目や機能だけでなく、日々呼吸する空気の質によっても左右されます。建材選びや換気計画の段階から、健康面への配慮を少し意識しておくだけで、リフォーム後の暮らしやすさは大きく変わってくるはずです。

