「保証は10年つけます」——契約時にそう説明されて安心していたのに、実際に不具合が出た頃には、その会社自体が倒産していた。そんな話を聞いたことはないでしょうか。
会社が独自に約束する保証は、その会社が存続していることが前提です。会社がなくなってしまえば、保証書があっても実際には機能しないことがあります。
この記事では、会社独自の保証と、第三者機関が関わる「リフォーム瑕疵保険」という仕組みの違いを、国土交通省の資料をもとに整理して解説します。
会社独自の保証の限界
多くのリフォーム会社は、工事内容に応じて独自の保証期間を設けています。
ただし、この保証はあくまで「その会社が対応することを約束するもの」であり、会社が倒産・廃業してしまうと、実質的に保証を受けられなくなるリスクがあります。
長期の保証をうたう会社であっても、その会社自体が将来にわたって存続する保証はどこにもありません。
このリスクを補う仕組みとして用意されているのが「リフォーム瑕疵保険」です。
リフォーム瑕疵保険とは
リフォーム瑕疵保険は、リフォーム時の検査と保証がセットになった保険制度で、国土交通大臣が指定した住宅専門の保険会社(住宅瑕疵担保責任保険法人)が引き受けます。
この保険の最大の特徴は、万一施工会社が倒産していた場合でも、発注者(住宅所有者)に直接保険金が支払われる仕組みになっている点です。
通常は事業者に保険金が支払われ、事業者が無償で補修を行いますが、事業者が倒産等で対応できない場合は、発注者自身が保険金を受け取り、別の業者に補修を依頼できます。
会社独自の保証が「その会社への信頼」に基づくのに対し、リフォーム瑕疵保険は「会社が存在しなくなっても機能する、第三者による仕組み」という点で、性質が大きく異なります。
加入は任意、事業者登録が前提
リフォーム瑕疵保険は、すべての工事に自動的に付帯するものではなく、加入は任意です。
保険を利用するには、施工会社があらかじめ保険法人に事業者登録をしておく必要があります。
事業者登録には、建設業許可の有無、過去の工事実績等の要件があり、一定の基準を満たした会社のみが登録できる仕組みになっています。
そのため、「リフォーム瑕疵保険の登録事業者であるかどうか」は、会社選びの際の判断材料のひとつとしても活用できます。
登録事業者は、各保険法人のウェブサイトで検索できる場合があります。契約前に確認してみるとよいでしょう。
保証期間の目安
リフォーム瑕疵保険の保証期間は、工事内容によって異なり、おおむね1年・5年・10年(増築の場合は特約により対応)のいずれかに区分されます。
構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分など、住宅の基本的な性能に関わる工事ほど、長期の保証区分に該当しやすい傾向があります。
一方、内装の模様替えなど、建物の基本性能に直接関わらない工事は、より短い保証期間になることがあります。
自分が依頼する工事内容が、どの保証区分に該当するのかは、契約前に施工会社に確認しておくことをおすすめします。
具体例で見る瑕疵保険の価値
具体的なイメージをつかむため、簡単な例で考えてみましょう。
築15年の戸建て住宅で、200万円のバスルームリフォームを行い、施工会社が独自に「10年保証」をつけたとします。
契約から3年後、浴室の防水層に不具合が見つかり、床下への水漏れが発覚しました。
このとき、施工会社が通常どおり営業していれば、保証に基づいて無償で補修してもらえます。
しかし、もしこの3年の間に施工会社が倒産していた場合、会社独自の保証は事実上、機能しなくなります。
一方、この工事がリフォーム瑕疵保険の対象になっていれば、会社が倒産していても、発注者自身が保険法人に保険金を請求し、別の業者に補修を依頼することができます。
「会社が存続している前提の保証」と「会社の存続にかかわらず機能する保険」という違いが、まさにこうした場面で意味を持ってきます。
第三者検査が品質を担保する仕組み
リフォーム瑕疵保険のもうひとつの特徴は、発注者・事業者のどちらとも利害関係のない第三者検査員(建築士)による現場検査が行われる点です。
検査基準があらかじめ明確に定められているため、施工会社が「大丈夫です」と口頭で説明するだけでなく、専門的な第三者の目で品質を確認してもらえるという安心材料になります。
検査の結果、基準を満たさない箇所が見つかれば、是正を求められる仕組みになっており、この検査プロセス自体が、施工品質の底上げにもつながっています。
保険の対象となる工事・ならない工事
リフォーム瑕疵保険は、発注者と事業者が締結した工事請負契約に基づくリフォームであれば、基本的に幅広く対象となります。
ただし、外構工事や庭工事など、住宅の建物自体に付帯しない工事は対象外とされることが一般的です。
自分が検討しているリフォームが対象になるかどうかは、事前に施工会社または保険法人に確認しておきましょう。
保証を確認する際のチェックポイント
契約前に、次の点を確認しておくと、保証面での安心感が高まります。
- 会社独自の保証期間・保証内容が書面に明記されているか
- リフォーム瑕疵保険の登録事業者かどうか
- 保険に加入する場合、その保険料の扱い(見積もりに含まれているか、別途請求か)
- 保険に加入しない場合、その旨と理由の説明があるか
会社によっては、施主の意向を確認したうえで、瑕疵保険に加入しない選択をすることもあります。
その場合、保険による第三者保証がない分、会社独自の保証内容やアフター対応の体制を、より慎重に確認しておく必要があります。
会社選び全体の判断基準については、リフォーム会社の選び方|「安さ」より先に確認すべき7つのポイントでも整理していますので、あわせて参考にしてください。
保証・保険と契約書の関係
保証やリフォーム瑕疵保険の有無にかかわらず、契約書には保証内容・期間を明記してもらうことが基本です。
契約書の記載事項全般については、リフォーム契約書のチェックポイント|口約束の「追加工事」で揉めないためにで詳しく解説していますので、契約前にあわせてご確認ください。
万一、工事完了後にトラブルが発生した場合の相談先については、リフォームでトラブルが起きたら?無料で相談できる「住まいるダイヤル」の使い方で解説しています。
よくある質問
Q. リフォームの保証は会社独自のものだけで十分ですか?
A. 会社独自の保証は、その会社が存続していることが前提です。会社が倒産した場合に備えるなら、第三者機関が関わる「リフォーム瑕疵保険」に加入しているかどうかも確認することをおすすめします。
Q. リフォーム瑕疵保険とは何ですか?
A. 国土交通大臣が指定した住宅瑕疵担保責任保険法人が引き受ける保険制度で、施工会社が倒産していた場合でも、発注者に直接保険金が支払われる仕組みになっています。
Q. すべてのリフォーム会社がこの保険に加入していますか?
A. いいえ。加入は任意で、事業者があらかじめ保険法人に登録している必要があります。登録の有無は会社選びの判断材料のひとつになります。
Q. 保証期間はどれくらいですか?
A. 工事内容によって、おおむね1年・5年・10年のいずれかに区分されます。住宅の基本性能に関わる工事ほど長期の保証区分に該当しやすい傾向があります。
Q. すべての工事が保険の対象になりますか?
A. 工事請負契約に基づくリフォームであれば基本的に対象になりますが、外構・庭工事など建物本体に付帯しない工事は対象外とされることが一般的です。契約前に確認しましょう。
Q. 施工会社から瑕疵保険への加入を提案されなかった場合、こちらから申し出てもいいですか?
A. 問題ありません。リフォーム瑕疵保険は登録事業者であれば利用できる制度なので、契約前に「瑕疵保険への加入は可能か」を尋ねてみることをおすすめします。会社が登録事業者でない場合は、そもそも加入できない点も確認しておきましょう。
まとめ
リフォームの保証には、会社独自の保証と、第三者機関が関わる「リフォーム瑕疵保険」の2種類があります。
会社独自の保証は、会社が存続していることが前提であるのに対し、瑕疵保険は会社が倒産した場合でも発注者を守る仕組みになっている点が大きな違いです。
契約前に、会社の保証内容だけでなく、瑕疵保険の登録事業者かどうかもあわせて確認し、万一に備えた安心材料を増やしておくことをおすすめします。
「保証10年」という言葉の響きに安心してしまいがちですが、その保証を実際に支えているのが会社の存続なのか、それとも第三者の保険なのかを見極めることが、長く安心して住み続けるための備えになります。

