「リフォームの減税は、ローンを組まないと使えないのでは」——そう思い込んでいる方もいるのではないでしょうか。
実は、自己資金でリフォームした場合でも使える減税制度があります。
この記事では、国税庁の資料をもとに、リフォーム減税の全体像と、ローンなしでも使える「投資型減税」の仕組みを整理して解説します。
リフォーム減税には2つのタイプがある
リフォームに関わる所得税の減税制度は、大きく次の2つに分けられます。
| タイプ | 通称 | 特徴 |
|---|---|---|
| 住宅ローン控除(増改築等) | ローン型 | 返済期間10年以上のローンを利用した場合に、年末残高に応じて複数年にわたり控除を受けられる |
| 住宅特定改修特別税額控除 | 投資型減税 | ローンの有無にかかわらず、自己資金でリフォームした場合でも、工事翌年の1年分の所得税から控除を受けられる |
📎 出典:住宅特定改修特別税額控除(各種)|国税庁
ローン型(住宅ローン控除)の詳しい要件については、リフォームローン控除の条件で解説していますので、あわせて参考にしてください。
この記事では、もう一方の「投資型減税」を中心に解説します。
投資型減税とは
投資型減税(住宅特定改修特別税額控除)は、ローンを利用せず自己資金でリフォームした場合でも利用できるという点が最大の特徴です。
対象となる工事の目的別に、次の6つの区分に分かれています。
| 区分 | 対象工事の内容の例 |
|---|---|
| 耐震改修 | 現行の耐震基準に適合させるための耐震改修工事 |
| バリアフリー改修 | 通路の拡幅、手すりの設置、段差の解消等 |
| 省エネ改修 | 窓の断熱改修等を含む、一定の省エネ改修工事 |
| 多世帯同居改修 | キッチン・浴室・トイレ・玄関のいずれかを増設する工事等 |
| 耐久性向上改修 | 省エネ改修等とあわせて行う、耐久性向上のための改修工事 |
| 子育て対応改修 | 子育て世帯・若者夫婦世帯が行う、一定の子育て対応改修工事 |
それぞれの区分ごとに対象となる工事の要件・控除額の上限が細かく定められています。
自分が検討しているリフォームがどの区分に該当するか、あるいは複数の区分にまたがるかは、事前に確認しておく必要があります。
投資型減税の控除額の考え方
投資型減税の控除額は、おおむね次のような考え方で計算されます。
- 対象工事の標準的な費用額(国が定める工事内容ごとの目安額)をもとに計算する
- 標準的な費用額のうち、一定割合(おおむね10%程度が目安)を、その年の所得税額から控除する
- 区分ごとに控除対象となる限度額が設定されている
- 補助金等の交付を受けている場合は、その額を差し引いた金額が計算のベースになる
ローン型が複数年にわたって少しずつ控除を受けられるのに対し、投資型減税は工事翌年の1年分の所得税から、まとめて控除を受ける仕組みである点が大きな違いです。
正確な控除率・上限額は区分・年度によって定められているため、確定申告の際は国税庁の最新情報を確認しましょう。
ローン型と投資型減税、どちらを選ぶべきか
ローンを利用してリフォームを行った場合、ローン型(住宅ローン控除)と投資型減税の両方の要件を満たすケースがあります。
その場合、いずれか一方を選択して適用する仕組みになっており、両方を重複して受けることはできません。
どちらが有利かは、借入額・工事内容・所得水準等によって変わるため、一概にはいえません。一般的な考え方としては、次のような目安があります。
- 借入額が大きく、返済期間が長い場合:ローン型のほうが、複数年にわたる控除の合計額が大きくなりやすい
- 自己資金中心で、借入額が小さい、またはローンを利用しない場合:投資型減税のほうが現実的な選択肢になる
- 耐震・バリアフリー・省エネなど特定の目的が明確な場合:投資型減税の対象区分に該当するかを先に確認する
どちらが有利かの最終判断は、税務署や税理士に相談しながら試算することをおすすめします。
具体例で見る2つの制度の違い
具体的なイメージをつかむため、簡単な例で比較してみましょう。
たとえば、300万円のバリアフリー改修工事を行ったケースを想定します。
- ローンを利用し、返済期間10年で借入した場合:住宅ローン控除の要件を満たせば、年末残高に応じた控除を、居住した年から複数年にわたって受けられる
- 自己資金で一括支払いした場合:ローンの返済期間要件を満たさないため住宅ローン控除は使えないが、投資型減税(バリアフリー改修)の要件を満たせば、工事翌年の1年分の所得税から、標準的な費用額をもとにした控除を受けられる
「自己資金だから減税は使えない」と思い込まず、投資型減税の対象になるかどうかを確認することが重要です。
逆に、ローンを利用していても返済期間が10年未満の場合は住宅ローン控除の対象外になるため、投資型減税の要件を満たすかを確認する必要があります。
子育て対応改修工事という新しい区分
投資型減税の6区分のうち、「子育て対応改修工事」は比較的新しく設けられた区分です。
子育て世帯・若者夫婦世帯が、子育てに対応した一定のリフォーム(転落防止のための対策、開口部の防犯性を高める工事、収納の増設等)を行った場合に対象となります。
子育て世帯にとっては、補助金(住宅省エネ2026キャンペーン等)と、この投資型減税を組み合わせて活用できる可能性がある点も押さえておきたいポイントです。
リフォーム全体で利用できる補助金については、リフォーム補助金一覧|「もう終了した制度」で探していませんか?もあわせて参考にしてください。
耐久性向上改修工事は単独では使えない
6区分のうち「耐久性向上改修工事」は、他の区分と少し性質が異なります。
耐久性向上改修工事は、省エネ改修工事または耐震改修工事とあわせて行う場合に限り、対象として認められる仕組みになっています。
つまり、耐久性向上の工事だけを単独で行っても、この区分の対象にはなりません。
小屋裏・床下の防湿・防蟻対策や、給排水管の維持管理のしやすさを向上させる工事などが該当しますが、必ず対象となる省エネ改修または耐震改修と組み合わせて計画する必要があります。
投資型減税を受けるための確定申告
投資型減税を受けるには、工事を行った翌年に確定申告が必要です。
主な必要書類は次のとおりです。
- 住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書
- 増改築等工事証明書(建築士等が発行する専門書類)
- 工事費用を証する書類(請負契約書の写し等)
- 登記事項証明書(またはその番号の記載で代用可能な場合あり)
ローン型と同様、「増改築等工事証明書」は契約時に発行してもらえるかを確認しておくことが重要です。
後から取り寄せようとすると、確定申告の時期に間に合わなくなることもあります。
よくある質問
Q. リフォームの減税は、ローンを組まないと使えませんか?
A. いいえ。「投資型減税(住宅特定改修特別税額控除)」という制度があり、自己資金でリフォームした場合でも、耐震・バリアフリー・省エネなど一定の工事であれば控除を受けられます。
Q. 投資型減税にはどんな種類がありますか?
A. 耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修、多世帯同居改修、耐久性向上改修、子育て対応改修の6区分があります。それぞれ対象となる工事内容・控除額の上限が異なります。
Q. ローン型と投資型減税、両方受けられますか?
A. いいえ。両方の要件を満たす場合でも、いずれか一方を選択して適用する仕組みになっており、重複して受けることはできません。
Q. 投資型減税はいつ確定申告すればいいですか?
A. リフォーム工事を行った翌年に確定申告を行います。計算明細書、増改築等工事証明書、工事費用を証する書類などが必要です。
Q. 投資型減税の控除額はどれくらいですか?
A. 対象工事の標準的な費用額の一定割合(おおむね10%程度が目安)が、その年の所得税額から控除されます。区分ごとに上限額が定められており、正確な金額は国税庁の最新情報で確認する必要があります。
Q. 耐久性向上改修工事だけを行っても減税を受けられますか?
A. 受けられません。耐久性向上改修工事は、省エネ改修工事または耐震改修工事とあわせて行う場合に限り対象となる区分です。単独での工事は対象外です。
Q. 子育て対応改修工事とはどんな工事が対象ですか?
A. 転落防止のための対策、開口部の防犯性を高める工事、収納の増設など、子育て世帯・若者夫婦世帯が行う一定のリフォームが対象です。比較的新しく設けられた区分のため、詳細な要件は国税庁の最新情報で確認しましょう。
まとめ
リフォームの減税には、ローンを利用する「住宅ローン控除」と、自己資金でも使える「投資型減税」の2つのタイプがあります。
投資型減税は、耐震・バリアフリー・省エネなど6つの区分に分かれており、それぞれ対象工事や控除額の上限が異なります。
ローン型と投資型減税はいずれか一方の選択適用となるため、自分の工事内容・資金計画に合わせて、どちらが有利かを事前に確認しておくことをおすすめします。
どちらの制度も、契約前の段階で「増改築等工事証明書」を発行してもらえるかどうかが手続きの分かれ目になります。リフォーム会社に相談する際は、減税の利用を予定している旨を早めに伝えておくとよいでしょう。

