「石油ストーブと石油ファンヒーターは、どちらが灯油代が安いのか」。
よくある疑問ですが、先に結論を言うと、今回確認した仕様では、同じ熱量を出すのに必要な灯油の量は、ストーブとファンヒーターでほとんど変わりませんでした。
差が出るのは、どれだけ火力を絞れるか、電気代がかかるか、そして使い方です。
この記事では、トヨトミ・コロナの取扱説明書や仕様表の数値を使って、灯油代の違いを整理します。
構造や暖まり方の違いは石油ファンヒーターと石油ストーブの違いを解説した記事で、ファンヒーターとエアコンの比較は石油ファンヒーターとエアコンの比較記事で紹介しているため、ここでは「ストーブとファンヒーターの灯油代」に絞ります。
同じ熱量なら、灯油の量は同じ?
暖房出力÷燃料消費量
| 機種 | タイプ | 暖房出力(kW) | 燃料消費量(L/h) | 出力÷消費量 |
|---|---|---|---|---|
| トヨトミ RB-G2524(RB-25C) | 対流式ストーブ | 2.5/1.25 | 0.243/0.122 | 約10.3 |
| トヨトミ RS-G3024 | 反射式ストーブ | 3.01/2.41 | 0.294/0.234 | 約10.2〜10.3 |
| コロナ FF-AG6823H | FF式ストーブ | 7.79/2.26 | 0.757/0.220 | 約10.3 |
| コロナ FH-VX3626BY | 石油ファンヒーター | 3.60/0.59 | 約0.35/約0.057 | 約10.3 |
※FH-VX3626BY の燃料消費量は、販売店ページに記載がないため、タンク容量7.2L ÷ 連続燃焼時間(強20.6時間/弱126.3時間)から計算した値です。
ストーブの数値は、取扱説明書または販売店ページの仕様表(一部)です。
どのタイプも、暖房出力÷燃料消費量が約10.3で並びました。つまり、「ファンヒーターだから灯油の消費が少ない」「ストーブだから多い」ということは、確認できた範囲ではありませんでした。灯油1Lから出る熱量は同じで、暖房出力が大きい(熱をたくさん出す)機種ほど、灯油を多く使います。
熱1kWhあたりの灯油代
この「約10.3」を使うと、暖房として得られる熱1kWhあたりの灯油代が計算できます(当サイト計算)。
| 灯油の単価 | 計算 | 熱1kWhあたりの灯油代 |
|---|---|---|
| 100円/L | 100円 ÷ 10.3 | 約9.7円 |
| 120円/L | 120円 ÷ 10.3 | 約11.7円 |
| 140円/L | 140円 ÷ 10.3 | 約13.6円 |
つまり、ストーブでもファンヒーターでも、熱1kWhあたりの灯油代は、灯油の単価でほぼ決まることが分かります。
比較するときは、「どちらが得か」よりも、「その部屋に必要な熱量を、無駄なく出せるか」を見るのが現実的です。
強火力・弱火力の1時間あたり灯油代
灯油の単価は、買う場所や時期で変わります。
ここでは、100・120・140円/Lの3通りで計算します(実際の価格を示すものではありません)。
1時間あたりの灯油代
| 機種・火力 | タイプ | 消費量 | 100円/L | 120円/L | 140円/L |
|---|---|---|---|---|---|
| RB-G2524 最大 | 対流式 | 0.243L/h | 約24円 | 約29円 | 約34円 |
| RB-G2524 最小 | 対流式 | 0.122L/h | 約12円 | 約15円 | 約17円 |
| RS-G3024 最大 | 反射式 | 0.294L/h | 約29円 | 約35円 | 約41円 |
| RS-G3024 最小 | 反射式 | 0.234L/h | 約23円 | 約28円 | 約33円 |
| FH-VX3626BY 強 | ファンヒーター | 約0.35L/h | 約35円 | 約42円 | 約49円 |
| FH-VX3626BY 弱 | ファンヒーター | 約0.057L/h | 約6円 | 約7円 | 約8円 |
| FF-AG6823H 最大 | FF式 | 0.757L/h | 約76円 | 約91円 | 約106円 |
| FF-AG6823H 最小 | FF式 | 0.220L/h | 約22円 | 約26円 | 約31円 |
強火力(最大)では、出力が近い機種どうしで、灯油代はほぼ同じです。差が大きく出るのは、弱火力(最小)のときです。たとえば、今回確認したファンヒーターの弱火力(約0.057L/h)は、対流式ストーブ RB-G2524 の最小(0.122L/h)の半分以下です。
最小火力の出力も見る
最小火力の消費量が小さいのは、その分、出す熱も小さいからです。
| 機種 | 最小火力の出力 | 最小火力の消費量 |
|---|---|---|
| FH-VX3626BY(弱) | 0.59kW | 約0.057L/h |
| RB-G2524(最小) | 1.25kW | 0.122L/h |
| FF-AG6823H(最小) | 2.26kW | 0.220L/h |
| RS-G3024(最小) | 2.41kW | 0.234L/h |
FH-VX3626BY の弱火力(0.59kW)は、RB-G2524 の最小(1.25kW)の半分以下の熱量です。小さな出力で十分な部屋(断熱がよい、狭い)では、最小出力の低い機種が灯油代を抑えやすく、出力の大きな部屋では、最小でも大きな出力が必要になるという関係です。
1シーズンの灯油代と電気代
1シーズンの比較(150日・毎日8時間、120円/L)
最大火力と最小火力で、それぞれ使い続けたと仮定して、1シーズンの灯油代を計算します(当サイト計算。
実際は火力が変わり、この範囲の中に収まります)。
| 機種 | 最大火力 | 最小火力 |
|---|---|---|
| RB-G2524(対流式) | 約292L/約35,000円 | 約146L/約17,600円 |
| RS-G3024(反射式) | 約353L/約42,300円 | 約281L/約33,700円 |
| FF-AG6823H(FF式) | 約908L/約109,000円 | 約264L/約31,700円 |
| FH-VX3626BY(ファンヒーター) | 約420L/約50,400円 | 約68L/約8,200円 |
火力の幅が大きいFF式やファンヒーターは、最大と最小の差が大きく、使い方で金額が数倍変わります。
一方、反射式 RS-G3024 は、最大と最小の差が小さく、金額の幅も狭くなります。
電気代の違い
| タイプ | 電気代 |
|---|---|
| 電池点火の対流式・反射式 | かからない(電池代はかかる) |
| 電池レス(手回し点火) | かからない(機種による) |
| FF式 | かかる。コロナ FF-AG6823H は運転時23W(1時間あたり約0.7円、31円/kWhの場合) |
| 石油ファンヒーター | かかる。コロナ FH-VX3626BY は運転時 強9.5W/弱4W(1時間あたり約0.3円/約0.1円、31円/kWhの場合) |
※電力量料金の単価は、計算のために31円/kWhと仮定しています。
契約によって異なります。
点火時の消費電力は別にかかります(FF-AG6823H は点火時860W。
FH-VX3626BY は「秒速点火ON」の状態で平均約80Wと販売店ページに記載)。
電気代は、灯油代と比べて、1時間あたり1円に満たない金額です。電気代の計算方法は石油ストーブの電気代を解説した記事で紹介しています。
1シーズンの電気代
運転中の消費電力だけで、150日・毎日8時間(計1,200時間)運転した場合の電気代を計算します(当サイト計算。
31円/kWh)。
| 機種 | 運転時の消費電力 | 1,200時間の電力量 | 電気代 |
|---|---|---|---|
| FH-VX3626BY 強 | 9.5W | 約11.4kWh | 約353円 |
| FH-VX3626BY 弱 | 4W | 約4.8kWh | 約149円 |
| FF-AG6823H | 23W | 約27.6kWh | 約856円 |
灯油代(数千円〜10万円)と比べると、電気代は1シーズンで数百円です。灯油代の差を決める要因ではなく、わずかな上乗せと考えて問題ありません。
灯油代が変わる条件
同じ熱量の灯油を使うなら、灯油代の違いは「どれだけ熱を出すか」で決まります。
その違いを生む条件は、次のとおりです。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 火力の幅 | 最小火力が小さい機種ほど、暖まったあとに低い火力で運転でき、灯油が少なくて済む |
| 自動制御(温度センサーなど) | 室温に合わせて火力を自動で調節する機種は、ムダな燃焼を抑えやすい(機種による) |
| 暖め方の違い | 対流式・ファンヒーターは部屋全体の空気を暖める。反射式は前方を暖める。人のいる場所だけ暖めたいときは、反射式のほうが少ない火力で足りる場合もある(一般的な考え方) |
| 点火・消火の頻度 | 消火後は再点火まで待ち時間がある(トヨトミ約5分、コロナ6〜7分)。ファンヒーターの自動制御・タイマーの有無は機種による |
| 部屋の条件 | 広さ、断熱、窓の冷気、天井の高さ。同じ機種でも、灯油の使用量は変わる |
| 維持管理 | 芯にタールが付く、燃焼筒がずれると、燃焼が乱れる。フィルターの汚れ |
| 風のあたる場所 | 炎が乱れ、異常燃焼のおそれ(取扱説明書で使用禁止) |
ここで比べているのは、取扱説明書や仕様表に載った数値です。実際の部屋で、ストーブとファンヒーターを同じ条件で使って、灯油の使用量を測った結果ではありません。
暮らし方別の考え方
| 暮らし方 | 考え方 |
|---|---|
| 1日数時間、短時間で暖めたい | 暖まりが早い機種。短時間なら、灯油代の差は小さい |
| 長時間、在宅で使う | 火力を絞れる機種が有利。最小火力の消費量を見る |
| 小さな部屋で、暖まったあとは弱火 | 最小火力が小さい機種(ファンヒーターやFF式の一部)が向く |
| 人のいる場所だけ暖めたい | 反射式。ただし、前に可燃物を置かない |
| 停電に備えたい | 電池点火・電池レスの対流式・反射式。ファンヒーター・FF式は電源が必要 |
| 電気代を少しでも抑えたい | 電池点火・電池レスのストーブ(電気代がかからない)。ただし、差は小さい |
石油ストーブの選び方は、燃費のいい石油ストーブの選び方を解説した記事、1時間あたりの灯油代の計算は石油ストーブの燃費を解説した記事で整理しています。
比較の注意点
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 出力の違い | 機種ごとに暖房出力が違う。出力が大きい機種は、灯油の消費も大きい |
| 単価の前提 | 灯油の単価は仮定。実際の価格は、買う場所や時期で変わる |
| 最大の数値 | 最大火力の数値は、実際の使用では出にくい。実際の灯油の使用量は、火力や運転時間で変わる |
| 機種の個体差 | ここで示した数値は、確認できた機種のもの。他の機種で同じとは限らない |
| 他社の機種 | 今回、取扱説明書や仕様表の数値を確認していない。他社の機種は、仕様表で確認 |
| 暖かさの違い | ストーブの輻射熱と、ファンヒーターの温風では、体感が異なる |
| 安全 | 開放式のストーブ・ファンヒーターは、どちらも換気が必要 |
どのタイプでも、開放式は使用中に1時間に1〜2回を目安に窓を開けて換気してください。就寝中や、長時間その場を離れるときは必ず消火し、給油は消火して冷めてから行ってください。ガソリンは絶対に入れないでください。
よくある質問
Q1. 石油ストーブと石油ファンヒーターでは、どちらが灯油代が安いですか?
今回確認した仕様では、暖房出力÷燃料消費量がどちらも約10.3で、同じ熱量を出すのに必要な灯油の量はほぼ同じでした。
差が出るのは、火力の絞り方や使い方です。
火力を大きく絞れる機種ほど、暖まったあとの灯油代を抑えられます。
Q2. ファンヒーターは電気代がかかる分、ストーブより高いですか?
電気代は、確認した機種で運転中に1時間あたり1円に満たない金額でした(31円/kWhの場合)。
灯油代の1時間あたり数円〜数十円と比べると、電気代の差はわずかです。
Q3. 弱火力で使うなら、どちらが安いですか?
最小火力の消費量は、機種によって大きく違います。
確認できた範囲では、ファンヒーター FH-VX3626BY の弱(約0.057L/h)が最も小さく、対流式 RB-G2524 の最小は0.122L/h、反射式 RS-G3024 の最小は0.234L/h でした。
ただし、最小火力の出力も違うため、暖かさは同じではありません。
Q4. 「ファンヒーターは省エネ」と聞きますが、本当ですか?
今回確認した範囲では、ファンヒーターだからといって、同じ熱量を出す灯油が少なくなるわけではありませんでした。
省エネに寄与するのは、火力を絞れることや、自動制御がある機種であることです。
機種ごとに確認してください。
Q5. 停電のとき、どちらが使えますか?
電池点火や電池レスの対流式・反射式のストーブは使えます。
ファンヒーターやFF式は電源が必要で、基本的に使えません。
使える場合でも、換気は必ず行ってください。
まとめ
石油ストーブと石油ファンヒーターの灯油代は、同じ熱量なら大きく変わりません。
最後に、この記事のポイントを整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 出力÷消費量 | ストーブ、FF式、ファンヒーターとも、確認した機種で約10.3 |
| 熱1kWhあたり | 灯油代は単価で決まる(120円/Lで約11.7円) |
| 強火力 | 出力が近ければ、灯油代はほぼ同じ |
| 弱火力 | 機種の火力の幅で差が出る。最小火力の消費量と出力を見る |
| 電気代 | ファンヒーター・FF式は運転中1時間に1円未満。電池点火のストーブはなし |
| 停電 | 電池式・電池レスのストーブは使える。ファンヒーター・FF式は基本的に使えない |
| 注意 | 仕様値による比較。実際の部屋で測定した結果ではない |
まずは、候補の機種の仕様表で、「暖房出力(最大・最小)」と「燃料消費量(最大・最小)」を並べて確認してみてください。

