MENU

石油ストーブは危険?事故の傾向と安全に使う基本とは

石油ストーブによる火災・一酸化炭素中毒・灯油漏れの危険性と、正しい設置場所や換気など安全に使うための基本を解説するイラスト
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

「石油ストーブは危ないと聞くけれど、実際にはどんな事故が起きているのか」「何に気をつければ安全に使えるのか」と気になる人は多いです。
この記事では、NITE(製品評価技術基盤機構)、消費者庁、栃木県の資料と、トヨトミの取扱説明書で確認できた内容をもとに、石油ストーブの事故の傾向と、安全に使う基本を整理します。
あわせて、対流式・反射式・FF式・煙突式・石油ファンヒーターで、気をつける点に違いがあるかも確認します。

目次

石油ストーブは危険なのか

石油ストーブは、火を使って灯油を燃やす暖房器具です。
そのため、火災ややけど、一酸化炭素中毒への注意が欠かせません。

確認した事例の原因は、給油時の取扱い、ガソリンの誤給油、洗濯物、スプレー缶など、使い方に関わるものが中心でした。取扱説明書や注意喚起の内容を守ることが、事故を防ぐ基本になります。

主なリスク内容
火災給油ミス、ガソリンの誤給油、洗濯物の落下、スプレー缶の過熱など
一酸化炭素中毒換気不足による不完全燃焼
やけど本体や天板への接触、ストーブ上のやかんの転倒など

確認できた事故の傾向

事故件数と原因の割合

NITEが公表した資料(2009年11月30日時点)に、暖房器具の事故件数が載っていました。

項目数字
暖房器具の事故(平成16〜20年度の冬)1,953件
うち電気ストーブ857件
うち石油ストーブ727件
石油ストーブのうち「誤使用や不注意」によるもの511件(約7割)

この資料は2009年のもので古く、石油ストーブの件数や割合が現在も同じとは限りません。
また、石油ファンヒーターなどの件数は、資料の数字が読み取れませんでした。直近の件数は、NITEなどの最新の公表資料で確認してください。

数字を計算で読み解く

資料の数字から、割合を計算してみます(当サイト計算)。

スクロールできます
項目計算結果
電気ストーブの割合857 ÷ 1,953約43.9%
石油ストーブの割合727 ÷ 1,953約37.2%
電気ストーブ+石油ストーブ(857+727) ÷ 1,953約81.1%
石油ストーブのうち誤使用・不注意511 ÷ 727約70.3%
石油ストーブのうち、それ以外727 − 511 = 216件約29.7%

暖房器具の事故のうち、電気ストーブと石油ストーブで約8割を占めていました。石油ストーブの事故のうち約7割は、誤使用や不注意によるもので、取扱説明書どおりの使い方で防げた可能性がある、という見方もできます。
ただし、この数字は2009年時点のものです。
製品の安全装置や、使い方の周知も進んでいると考えられるため、現在の数字とは異なる可能性があります。

事故が多い時期

栃木県の注意喚起では、石油ストーブなどの火災事故は、シーズン初めの毎年11月頃から多く発生しているとされています。
久しぶりに使うときの点検が大切です。
久しぶりの点検は、久しぶりに使うときの点検を解説した記事で整理しています。

火災につながる主な原因

NITEの資料で確認できた事例を、表にまとめます。

スクロールできます
原因事例の内容
給油時の消火忘れ・キャップの閉め忘れカートリッジタンクのキャップが完全に閉まっておらず、灯油がこぼれてストーブにかかり、火災になった(千葉県・新潟県の事例)
ガソリンの誤給油ガソリンを入れたため異常燃焼して火災になり、死亡事故につながった事例がある(兵庫県など)
洗濯物ストーブの上に干していた洗濯物が落下して着火し、住宅が全焼、死亡事故になった事例がある
スプレー缶ファンヒーターの熱でスプレー缶が破裂し、噴射剤に引火した事例がある(富山県)

火災の原因ごとの詳しい対策は、火事・爆発を防ぐ方法を解説した記事で整理しています。
ガソリンの危険は、ストーブにガソリンを入れる危険性を解説した記事をご覧ください。

事故の原因と防ぐ行動を対応させる

事例の原因ごとに、取扱説明書の案内に沿った「防ぐ行動」を対応させると、次の表のようになります。

事故の原因防ぐ行動
給油時の消火忘れ給油の前に、必ず消火して、本体が冷えていることを確認する
キャップの閉め忘れ給油後、キャップを確実に締め、傾けても漏れないか確認する
ガソリンの誤給油灯油用の容器にラベルを貼り、ガソリンと分けて保管する
洗濯物の落下ストーブの上や近くに干さない。乾燥にも使わない
スプレー缶の破裂ストーブの上や周囲に置かない。スプレーを使うときは消火して換気する
前シーズンの灯油持ち越さず、新しい灯油を使う

どの行動も、特別な道具は必要ありません。事故の多くは、1つの行動を省いたときに起きていると考えると、点検の習慣が大切だと分かります。

一酸化炭素中毒とやけど

一酸化炭素中毒

NITEの資料には、換気をしないと酸素不足による不完全燃焼で一酸化炭素が発生し、中毒のおそれがあることが記載されていました。開放式は、使用中に定期的に窓を開けて換気してください。
詳しくは、一酸化炭素中毒を解説した記事をご覧ください。

やけど

消費者庁の注意喚起では、暖房器具による子どものやけどの事例が紹介されています。

年齢事例の内容(ストーブ関連)
10か月柵につかまり立ちした際に、ストーブの上のやかんが倒れ、熱湯が下半身にかかって入院
1か月ガスファンヒーターの熱風が当たり続けて、水ぶくれになった
4歳ファンヒーターに腰が触れて、線状のやけどになった

直接触れなくても、温風が当たり続けるとやけどになることがあります。
石油ストーブとストーブガードの考え方は、ストーブガードの選び方を解説した記事をご覧ください。

使用前の5つのチェック

栃木県の注意喚起で紹介されている、使用前のチェックポイントです。

#チェック内容
1内部のほこりを取り除く
2対震自動消火装置が正常に作動するか確認する。石油ストーブは燃焼筒が正しく付いているかも確認する
3新しい灯油を使い、前シーズンの灯油は避ける。ガソリンの誤給油を防ぐ
4カートリッジタンクの給油口のふたが、しっかり閉まり、漏れがないか確認する
5機器と周囲の壁や可燃物の間に、十分な距離があるか確認する

安全に使う基本

トヨトミの取扱説明書(RB-251)で確認できた、基本の注意をまとめます。

スクロールできます
項目取扱説明書の内容
給油必ず消火して、ストーブの温度が十分に下がってから、火の気のない所で行う。油量計の「満」まで
周囲の空間図で「上方1m以上」「周囲50cm以上」と案内(機種により異なる)
洗濯物衣類などの乾燥には使わない
スプレー缶・ボンベストーブの上や周囲に放置しない
可燃物カーテン・布団・毛布など燃えやすいもののそばでは使わない
子ども・高齢者周囲の人が十分に注意する
傾斜・振動のある場所使わない(対震自動消火装置の誤作動のおそれ)
地震で消火した後周囲の可燃物の転倒、機器の損傷、灯油のこぼれを確認してから再点火

就寝中や外出時は必ず消火してください。

地震のときの安全装置

メーカー・機種取扱説明書の記載
トヨトミ震度約5以上の地震や強い振動で、対震自動消火装置が自動で消火する
コロナ SX-CE280Y100〜195ガルで作動

対震自動消火装置があっても、地震の直後は、周囲の可燃物の転倒や、灯油のこぼれがないかを必ず確認してください。
装置が作動したあとでも、においやすすが出ることがあります。

毎日の使い方で意識したい習慣

タイミング習慣
点火前周囲の可燃物、洗濯物、スプレー缶がないか目で確認する
点火後炎の状態を確認する
使用中1時間に1〜2回、窓を開けて換気する
その場を離れるとき短時間でも消火を検討する
給油必ず消火して、冷えてから行う
就寝前・外出前消火したことを目で確認する

タイプ別の違い

スクロールできます
タイプ気をつける点
対流式開放式。換気が必要。燃焼中は高温部や天板、ガードに触れない(取扱説明書)。周囲の距離を守る
反射式開放式。換気が必要。周囲に空ける距離は機種ごとの取扱説明書で確認
石油ファンヒーター温風が当たり続けるとやけどのおそれがある(消費者庁)。スプレー缶の事例あり
FF式室内の空気を使わず、屋外とつなぐ方式。周囲の距離や排気の設置は取扱説明書で確認
煙突式煙突の設置や点検は取扱説明書で確認

どのタイプでも、開放式は使用中に1時間に1〜2回を目安に窓を開けて換気してください。就寝中や、長時間その場を離れるときは必ず消火し、給油は消火して冷めてから行ってください。ガソリンは絶対に入れないでください。

よくある質問

Q1. 石油ストーブは危険ですか?

火を使うため、火災ややけど、一酸化炭素中毒への注意が必要です。
確認できた事例は、給油ミス、ガソリンの誤給油、洗濯物の落下、スプレー缶の過熱など、取扱いに関するものが中心でした。

Q2. 事故の原因でいちばん多いのは何ですか?

2009年の資料では、石油ストーブの事故727件のうち511件(約7割)が「誤使用や不注意」によるものでした。
最新の件数は、NITEなどの公表資料で確認してください。

Q3. 事故が多いのはいつですか?

栃木県の注意喚起では、シーズン初めの毎年11月頃から多く発生しているとされています。

Q4. 子どもがいる家庭で気をつけることは?

消費者庁の注意喚起では、床置きタイプは子どもの手が届かない場所に置くか、安全柵などで囲むこと、ストーブの上でやかんを使える製品でも、子どもが小さいうちは置かないことが案内されています。

Q5. 地震のときはどうなりますか?

トヨトミの取扱説明書では、震度約5以上の地震や強い振動で、対震自動消火装置が自動で消火するとされています。
作動したあとは、周囲の可燃物や機器、灯油のこぼれを確認してから再点火します。

まとめ

石油ストーブの事故は、使い方を守ることで防ぎやすくなります。
最後に、この記事のポイントを整理します。

ポイント内容
主なリスク火災・一酸化炭素中毒・やけど
事故の傾向2009年の資料で、石油ストーブ事故の約7割が誤使用や不注意
多い時期シーズン初めの11月頃
火災の原因給油ミス、ガソリン誤給油、洗濯物、スプレー缶
使用前ほこり、対震自動消火装置、灯油、タンクのふた、周囲の距離の5点を確認
基本給油は消火して冷めてから。就寝・外出時は消火。洗濯物は干さない

まずは、お持ちのストーブの取扱説明書で、「安全上のご注意」と「周囲に空ける距離」を確認してみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

目次