お正月が近づくと、石油ストーブの上で餅を焼いてみたくなる人もいます。
ただ、「網やアルミホイルを敷いてよいのか」「天板に直接置いてもよいのか」「安全に食べるには何に気をつけるか」と迷う人は多いです。
この記事では、天板の条件と餅による窒息事故の数値をふまえて、石油ストーブで餅を焼くときの注意点と、餅を安全に食べるための基本を整理します。
なお、石油ストーブは、餅を焼くための機器ではありません。
取扱説明書の条件を守れる範囲で、各自で判断することが前提です。
窒息事故の数値や、焼く前のチェックリスト、応急手当まで具体的にまとめます。
天板に置くときの条件
天板に置くときの条件は、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 餅・アルミホイル | 想定されていない |
| 調理を目的とした使い方 | 想定されていない |
| 天板にのせるもの | やかんやなべをのせた場合は細心の注意。天板からはみ出すような大きななべ、鉄板などはのせない。不安定なやかん、なべなどは使用しない |
| 空だき | なべ、やかん、フライパンなどは空だきしない |
| 天板の温度 | 一定ではない。燃焼中や消火直後は、高温部、天板、ガードに手などふれない |
| 可燃物 | ストーブの上方や周囲、置台の上に、布類や紙やマッチなど、可燃物がないことを確認する |
調理全般の考え方は、石油ストーブで料理ができるかを解説した記事でまとめています。
網・アルミホイルの考え方
餅焼きは想定された使い方ではないため、ここでは安全の条件から導ける範囲の考え方を整理します。
| 方法 | 考え方 |
|---|---|
| 天板に直接置く | 餅を直接置くことは想定されていない。天板の形状は機種により異なる |
| 網を置く | 天板からはみ出さず、安定していることが条件になる |
| アルミホイルを敷く | ホイルが天板の穴や、空気の通り道をふさがないかを機種ごとに確認 |
| 鍋・フライパンを使う | フライパンや鉄板は置かない |
天板に穴がある機種では、穴をふさぐ置き方は避けてください。天板の穴は、機種によって役割が異なります。取扱説明書で確認してください。
置き方ごとの気をつける点
| 置き方 | 気をつける点 |
|---|---|
| 餅を天板に直接 | 餅が溶けて天板に付着する。後の掃除が難しくなる可能性 |
| 網の上に餅 | 網が動いて落ちないか。網が天板からはみ出さないか |
| ホイルの上に餅 | ホイルが穴や隙間をふさがないか。ホイルが熱で動かないか |
| 小さな鍋・器に入れる | 天板に収まる大きさか。空だきにならないか |
餅は焼くと柔らかく膨らみます。
膨らんだ餅が天板の外にはみ出して落ちたり、周囲に触れたりしないよう、余裕をもって置いてください。
焼く前のチェックリスト
餅を焼く前に、次の点を確認します。
| チェック項目 | 確認 |
|---|---|
| この機種の取扱説明書で、天板に物を置いてよいか確認した | □ |
| 網・ホイルが天板からはみ出さない | □ |
| 天板の穴や空気の通り道をふさがない | □ |
| 天板の上方1m以内に棚や布類がない | □ |
| 周囲に布類・紙・スプレー缶などがない | □ |
| 取り出し用のトングや菜箸を用意した | □ |
| 子ども・ペットが近づかない | □ |
| 窓を開けて換気する準備ができた | □ |
| 食べる人が餅を小さく切って食べられる状況である | □ |
ひとつでも「いいえ」があれば、餅を焼くのを見直してください。
焼くときの注意
| 注意 | 内容 |
|---|---|
| 目を離さない | 就寝時や、長時間その場を離れるときは必ず消火。調理中も、餅が落ちたり焦げたりしないよう見ている |
| 餅が天板から落ちる | 周囲に可燃物(布類、紙)がないことを確認 |
| 高温部にふれない | 燃焼中や消火直後は、天板にふれない。トングや菜箸を使う |
| 周囲 | 天板の上方の棚などとは1m以上離す。スプレー缶やカセットこんろ用ボンベを置かない |
| 子ども | ストーブを柵で囲む。小さいうちは、ストーブの上にものを置かない |
焼き加減は、餅の大きさや、ストーブの火力、天板の温度で変わります。
天板の温度は一定ではないため、時間の目安は示せません。
餅の状態を見て判断してください。
焦がしたときの対応
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 餅が焦げて煙が出た | 餅を取り除く。窓を開けて換気 |
| 餅が天板に付着した | 消火して冷めてから、取り除く。無理にこすると傷つく可能性 |
| 焦げたにおいが続く | 使用をやめて、換気し、原因を取り除く |
| 炎が不安定になった | 使用をやめ、販売店・メーカーに相談 |
火災の原因や対策は、火事・爆発を防ぐ方法を解説した記事で整理しています。
餅の窒息事故を防ぐ
餅で最も気をつけたいのは、窒息です。
餅の窒息事故については、次のことが分かっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事故の傾向 | 令和4年の「気道閉塞を生じた食物の誤えん」による死亡者は4,696人で、うち65歳以上が4,297人 |
| 時期 | 高齢者の餅による死亡事故の半数近くは1月に発生し、とくに正月三が日に多い |
| 予防(小さく切る) | 食べやすい大きさにする |
| 予防(よく噛む) | ゆっくりとよく噛んでから飲み込む |
| 予防(一口の量) | 無理なく食べられる量にする |
| 予防(食前の水分) | 食べる前にお茶や汁物などで喉を潤す |
| 見守り | 周りの人が高齢者の食事の様子に注意を払い、見守る |
焼いた餅も、小さく切り、ゆっくりよく噛んで食べてください。特に高齢者や小さな子どもと食べるときは、周りの人が様子を見守ってください。
数値を読み替える
上の数値から、割合を計算します(当サイト計算)。
| 項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 65歳以上の割合 | 4,297 ÷ 4,696 | 約91.5% |
| 65歳未満の人数 | 4,696 − 4,297 | 399人 |
この数値は、餅に限らず、食物の誤えんによる死亡者の合計です。
餅だけの数ではありません。
ただし、約9割が65歳以上である点から、高齢者が食べるときに特に注意が必要なことが分かります。
食べる場面での工夫
| 場面 | 工夫 |
|---|---|
| 食べる前 | お茶や汁物で喉を潤す |
| 食べるとき | 小さく切る。一口の量を控えめに |
| 食べている間 | 周りの人が様子を見守る。会話や急かしを避ける |
| 食後 | 席を離れず、落ち着いて過ごす |
| 子どもと食べる | 大人がそばで見守る |
焼いた餅は、熱いうちは粘りが強く、口の中で伸びて喉に詰まりやすい性質があります。
食べやすい温度になってから、小さくして食べてください。
窒息したときの応急手当
窒息時の対応は、次のとおりです。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 窒息が疑われるサイン | 苦しそう、顔色が悪い、声を出せない、喉をつかむ動作(チョークサイン) |
| まず確認 | 声を出せるか確認。可能なら強く咳をしてもらい、自力で出すよう促す |
| 声や強い咳ができない | 窒息と判断。大声で助けを求め、119番通報とAEDの搬送を依頼 |
| 救助者が1人の場合 | 反応があるうちは、119番より餅の除去を優先 |
| 反応がない | 直ちに心肺蘇生を開始。まだなら119番する |
| 背部叩打法 | 手のひらの付け根で、左右の肩甲骨の中間あたりを、数回以上力強く叩く |
| 腹部突き上げ法 | 背部叩打法で出てこない場合に、上腹部を手前上方に強く突き上げる。内臓を傷める可能性があるため、救急隊に伝えるか、速やかに医師の診察を受けさせる。乳児、妊婦、高度肥満の人には行わない |
窒息は一刻を争います。迷わず119番通報してください。
向く機種と向かない機種
| 機種 | 考え方 |
|---|---|
| 天板のある対流式・反射式 | やかんやなべをのせる場合の注意はあるが、餅焼きを想定した使い方ではない |
| 上に物を置かないよう案内されている機種 | 避ける |
| 石油ファンヒーター・FF式 | 吹出口・空気取入口をふさがない。餅焼きには向かない |
天板があっても、機種ごとに上に物を置いてよいかが違います。お持ちの機種の取扱説明書で、必ず確認してください。
やけどへの注意
ストーブ周辺でのやけどに備えます。
やけどの応急手当は、次のとおりです。
| 場面 | 応急手当 |
|---|---|
| やけどをした | 流水や、水をためた容器で10分以上冷やす。水道水やシャワーを患部に直接当てない |
| 服の上から熱湯がかかった | 脱がさずに、服の上から冷やす |
| 手のひら以上の範囲や水ぶくれ | 水ぶくれを潰さずに受診 |
| 顔や全身の広い範囲 | すぐに救急車を呼ぶ |
事故の傾向は、事故の傾向を解説した記事にまとめています。
小さな子どもがいる家庭は、ストーブガードの選び方を解説した記事も参考にしてください。
焼き芋など他の料理は、当サイトの焼き芋の記事でも整理しています。
どのタイプでも、開放式は使用中に1時間に1〜2回を目安に窓を開けて換気してください。就寝中や、長時間その場を離れるときは必ず消火し、給油は消火して冷めてから行ってください。ガソリンは絶対に入れないでください。
よくある質問
Q1. 石油ストーブの上で餅を焼けますか?
石油ストーブは餅を焼くための機器ではなく、網やアルミホイルを使う方法も想定されていません。
天板に置く場合の条件(はみ出さない、安定、可燃物がない)を守れる範囲で、各自で判断してください。
Q2. アルミホイルを敷いてもよいですか?
想定された使い方ではありません。
天板の穴や空気の通り道をふさがないかを、機種ごとに確認してください。
Q3. 網を使ってもよいですか?
想定された使い方ではありません。
天板からはみ出さず、安定していることが前提です。
Q4. 餅を食べるときに気をつけることは?
小さく切る、よく噛む、一口の量を無理のない量にする、食べる前にお茶や汁物で喉を潤す、周りの人が見守る、ことが予防になります。
Q5. 餅が喉に詰まったら?
声や強い咳が出ないときは窒息と判断し、助けを呼び、119番通報とAEDの搬送を依頼します。
救助者が1人で、反応があるうちは、119番より餅の除去を優先します。
まとめ
石油ストーブでの餅焼きは、メーカーが推奨している方法ではありません。
取扱説明書の条件と、餅の窒息事故の予防の両方に気を配ります。
最後に、この記事のポイントを整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 位置づけ | 餅焼きを想定した機器ではない |
| 天板 | はみ出さない、安定、可燃物がない。穴をふさがない |
| 向かない機種 | 石油ファンヒーター、上に物を置けない機種 |
| 窒息 | 小さく切る、よく噛む、見守る。高齢者は正月三が日に多い |
| 数値 | 食物誤えんの死亡者の約9割が65歳以上(当サイト計算) |
| 応急手当 | 声や強い咳が出なければ119番、背部叩打法 |
まずは、お持ちのストーブの取扱説明書で、「天板」と「やかん・なべ」の欄を確認してみてください。

