「石油ストーブは危ないと聞くけれど、実際にはどんな事故が起きているのか」「何に気をつければ安全に使えるのか」と気になる人は多いです。
この記事では、NITE(製品評価技術基盤機構)、消費者庁、栃木県の資料と、トヨトミの取扱説明書で確認できた内容をもとに、石油ストーブの事故の傾向と、安全に使う基本を整理します。
あわせて、対流式・反射式・FF式・煙突式・石油ファンヒーターで、気をつける点に違いがあるかも確認します。
石油ストーブは危険なのか
石油ストーブは、火を使って灯油を燃やす暖房器具です。
そのため、火災ややけど、一酸化炭素中毒への注意が欠かせません。
確認した事例の原因は、給油時の取扱い、ガソリンの誤給油、洗濯物、スプレー缶など、使い方に関わるものが中心でした。取扱説明書や注意喚起の内容を守ることが、事故を防ぐ基本になります。
| 主なリスク | 内容 |
|---|---|
| 火災 | 給油ミス、ガソリンの誤給油、洗濯物の落下、スプレー缶の過熱など |
| 一酸化炭素中毒 | 換気不足による不完全燃焼 |
| やけど | 本体や天板への接触、ストーブ上のやかんの転倒など |
確認できた事故の傾向
事故件数と原因の割合
NITEが公表した資料(2009年11月30日時点)に、暖房器具の事故件数が載っていました。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 暖房器具の事故(平成16〜20年度の冬) | 1,953件 |
| うち電気ストーブ | 857件 |
| うち石油ストーブ | 727件 |
| 石油ストーブのうち「誤使用や不注意」によるもの | 511件(約7割) |
この資料は2009年のもので古く、石油ストーブの件数や割合が現在も同じとは限りません。
また、石油ファンヒーターなどの件数は、資料の数字が読み取れませんでした。直近の件数は、NITEなどの最新の公表資料で確認してください。
数字を計算で読み解く
資料の数字から、割合を計算してみます(当サイト計算)。
| 項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 電気ストーブの割合 | 857 ÷ 1,953 | 約43.9% |
| 石油ストーブの割合 | 727 ÷ 1,953 | 約37.2% |
| 電気ストーブ+石油ストーブ | (857+727) ÷ 1,953 | 約81.1% |
| 石油ストーブのうち誤使用・不注意 | 511 ÷ 727 | 約70.3% |
| 石油ストーブのうち、それ以外 | 727 − 511 = 216件 | 約29.7% |
暖房器具の事故のうち、電気ストーブと石油ストーブで約8割を占めていました。石油ストーブの事故のうち約7割は、誤使用や不注意によるもので、取扱説明書どおりの使い方で防げた可能性がある、という見方もできます。
ただし、この数字は2009年時点のものです。
製品の安全装置や、使い方の周知も進んでいると考えられるため、現在の数字とは異なる可能性があります。
事故が多い時期
栃木県の注意喚起では、石油ストーブなどの火災事故は、シーズン初めの毎年11月頃から多く発生しているとされています。
久しぶりに使うときの点検が大切です。
久しぶりの点検は、久しぶりに使うときの点検を解説した記事で整理しています。
火災につながる主な原因
NITEの資料で確認できた事例を、表にまとめます。
| 原因 | 事例の内容 |
|---|---|
| 給油時の消火忘れ・キャップの閉め忘れ | カートリッジタンクのキャップが完全に閉まっておらず、灯油がこぼれてストーブにかかり、火災になった(千葉県・新潟県の事例) |
| ガソリンの誤給油 | ガソリンを入れたため異常燃焼して火災になり、死亡事故につながった事例がある(兵庫県など) |
| 洗濯物 | ストーブの上に干していた洗濯物が落下して着火し、住宅が全焼、死亡事故になった事例がある |
| スプレー缶 | ファンヒーターの熱でスプレー缶が破裂し、噴射剤に引火した事例がある(富山県) |
火災の原因ごとの詳しい対策は、火事・爆発を防ぐ方法を解説した記事で整理しています。
ガソリンの危険は、ストーブにガソリンを入れる危険性を解説した記事をご覧ください。
事故の原因と防ぐ行動を対応させる
事例の原因ごとに、取扱説明書の案内に沿った「防ぐ行動」を対応させると、次の表のようになります。
| 事故の原因 | 防ぐ行動 |
|---|---|
| 給油時の消火忘れ | 給油の前に、必ず消火して、本体が冷えていることを確認する |
| キャップの閉め忘れ | 給油後、キャップを確実に締め、傾けても漏れないか確認する |
| ガソリンの誤給油 | 灯油用の容器にラベルを貼り、ガソリンと分けて保管する |
| 洗濯物の落下 | ストーブの上や近くに干さない。乾燥にも使わない |
| スプレー缶の破裂 | ストーブの上や周囲に置かない。スプレーを使うときは消火して換気する |
| 前シーズンの灯油 | 持ち越さず、新しい灯油を使う |
どの行動も、特別な道具は必要ありません。事故の多くは、1つの行動を省いたときに起きていると考えると、点検の習慣が大切だと分かります。
一酸化炭素中毒とやけど
一酸化炭素中毒
NITEの資料には、換気をしないと酸素不足による不完全燃焼で一酸化炭素が発生し、中毒のおそれがあることが記載されていました。開放式は、使用中に定期的に窓を開けて換気してください。
詳しくは、一酸化炭素中毒を解説した記事をご覧ください。
やけど
消費者庁の注意喚起では、暖房器具による子どものやけどの事例が紹介されています。
| 年齢 | 事例の内容(ストーブ関連) |
|---|---|
| 10か月 | 柵につかまり立ちした際に、ストーブの上のやかんが倒れ、熱湯が下半身にかかって入院 |
| 1か月 | ガスファンヒーターの熱風が当たり続けて、水ぶくれになった |
| 4歳 | ファンヒーターに腰が触れて、線状のやけどになった |
直接触れなくても、温風が当たり続けるとやけどになることがあります。
石油ストーブとストーブガードの考え方は、ストーブガードの選び方を解説した記事をご覧ください。
使用前の5つのチェック
栃木県の注意喚起で紹介されている、使用前のチェックポイントです。
| # | チェック内容 |
|---|---|
| 1 | 内部のほこりを取り除く |
| 2 | 対震自動消火装置が正常に作動するか確認する。石油ストーブは燃焼筒が正しく付いているかも確認する |
| 3 | 新しい灯油を使い、前シーズンの灯油は避ける。ガソリンの誤給油を防ぐ |
| 4 | カートリッジタンクの給油口のふたが、しっかり閉まり、漏れがないか確認する |
| 5 | 機器と周囲の壁や可燃物の間に、十分な距離があるか確認する |
安全に使う基本
トヨトミの取扱説明書(RB-251)で確認できた、基本の注意をまとめます。
| 項目 | 取扱説明書の内容 |
|---|---|
| 給油 | 必ず消火して、ストーブの温度が十分に下がってから、火の気のない所で行う。油量計の「満」まで |
| 周囲の空間 | 図で「上方1m以上」「周囲50cm以上」と案内(機種により異なる) |
| 洗濯物 | 衣類などの乾燥には使わない |
| スプレー缶・ボンベ | ストーブの上や周囲に放置しない |
| 可燃物 | カーテン・布団・毛布など燃えやすいもののそばでは使わない |
| 子ども・高齢者 | 周囲の人が十分に注意する |
| 傾斜・振動のある場所 | 使わない(対震自動消火装置の誤作動のおそれ) |
| 地震で消火した後 | 周囲の可燃物の転倒、機器の損傷、灯油のこぼれを確認してから再点火 |
就寝中や外出時は必ず消火してください。
地震のときの安全装置
| メーカー・機種 | 取扱説明書の記載 |
|---|---|
| トヨトミ | 震度約5以上の地震や強い振動で、対震自動消火装置が自動で消火する |
| コロナ SX-CE280Y | 100〜195ガルで作動 |
対震自動消火装置があっても、地震の直後は、周囲の可燃物の転倒や、灯油のこぼれがないかを必ず確認してください。
装置が作動したあとでも、においやすすが出ることがあります。
毎日の使い方で意識したい習慣
| タイミング | 習慣 |
|---|---|
| 点火前 | 周囲の可燃物、洗濯物、スプレー缶がないか目で確認する |
| 点火後 | 炎の状態を確認する |
| 使用中 | 1時間に1〜2回、窓を開けて換気する |
| その場を離れるとき | 短時間でも消火を検討する |
| 給油 | 必ず消火して、冷えてから行う |
| 就寝前・外出前 | 消火したことを目で確認する |
タイプ別の違い
| タイプ | 気をつける点 |
|---|---|
| 対流式 | 開放式。換気が必要。燃焼中は高温部や天板、ガードに触れない(取扱説明書)。周囲の距離を守る |
| 反射式 | 開放式。換気が必要。周囲に空ける距離は機種ごとの取扱説明書で確認 |
| 石油ファンヒーター | 温風が当たり続けるとやけどのおそれがある(消費者庁)。スプレー缶の事例あり |
| FF式 | 室内の空気を使わず、屋外とつなぐ方式。周囲の距離や排気の設置は取扱説明書で確認 |
| 煙突式 | 煙突の設置や点検は取扱説明書で確認 |
どのタイプでも、開放式は使用中に1時間に1〜2回を目安に窓を開けて換気してください。就寝中や、長時間その場を離れるときは必ず消火し、給油は消火して冷めてから行ってください。ガソリンは絶対に入れないでください。
よくある質問
Q1. 石油ストーブは危険ですか?
火を使うため、火災ややけど、一酸化炭素中毒への注意が必要です。
確認できた事例は、給油ミス、ガソリンの誤給油、洗濯物の落下、スプレー缶の過熱など、取扱いに関するものが中心でした。
Q2. 事故の原因でいちばん多いのは何ですか?
2009年の資料では、石油ストーブの事故727件のうち511件(約7割)が「誤使用や不注意」によるものでした。
最新の件数は、NITEなどの公表資料で確認してください。
Q3. 事故が多いのはいつですか?
栃木県の注意喚起では、シーズン初めの毎年11月頃から多く発生しているとされています。
Q4. 子どもがいる家庭で気をつけることは?
消費者庁の注意喚起では、床置きタイプは子どもの手が届かない場所に置くか、安全柵などで囲むこと、ストーブの上でやかんを使える製品でも、子どもが小さいうちは置かないことが案内されています。
Q5. 地震のときはどうなりますか?
トヨトミの取扱説明書では、震度約5以上の地震や強い振動で、対震自動消火装置が自動で消火するとされています。
作動したあとは、周囲の可燃物や機器、灯油のこぼれを確認してから再点火します。
まとめ
石油ストーブの事故は、使い方を守ることで防ぎやすくなります。
最後に、この記事のポイントを整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 主なリスク | 火災・一酸化炭素中毒・やけど |
| 事故の傾向 | 2009年の資料で、石油ストーブ事故の約7割が誤使用や不注意 |
| 多い時期 | シーズン初めの11月頃 |
| 火災の原因 | 給油ミス、ガソリン誤給油、洗濯物、スプレー缶 |
| 使用前 | ほこり、対震自動消火装置、灯油、タンクのふた、周囲の距離の5点を確認 |
| 基本 | 給油は消火して冷めてから。就寝・外出時は消火。洗濯物は干さない |
まずは、お持ちのストーブの取扱説明書で、「安全上のご注意」と「周囲に空ける距離」を確認してみてください。

