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灯油ボイラーの節約方法とは|貯湯式・直圧式でコツが違う理由を解説

貯湯式・直圧式の灯油ボイラーを比較しながら、設定温度の見直しやお湯の使い方、ボイラーに合った使い方、定期的なメンテナンスなど節約方法を紹介するイラスト。
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

灯油代が上がり続けるなか、「うちの灯油ボイラー、もう少し灯油の減りをおさえられないだろうか」と感じていませんか。
冬の長い北海道では、給湯と暖房にかかる灯油の量が本州とは比べものにならず、ちょっとした使い方の差が一冬で大きな金額の違いになって表れます。

ただ、灯油ボイラー(石油給湯器)の節約方法は、じつは「どの機種でも同じ」ではありません。
ご家庭のボイラーが貯湯式(減圧式)なのか、それとも直圧式(水道直圧式)なのかによって、灯油をムダにしているポイントも、効く節約のコツも変わってきます。
ここを知らないまま「よく聞く節約術」をそのまま試しても、効果が出にくいことがあるのです。

この記事では、まず貯湯式と直圧式の仕組みの違いを整理したうえで、それぞれのタイプに合った灯油の節約方法を具体的に解説します。
あわせて、どちらのタイプでも共通して効く習慣や、根本から灯油代を下げる交換という選択肢、そして凍結に注意が必要な寒冷地ならではのポイントもまとめました。
今日から無理なく始められることばかりなので、ご自宅のボイラーを思い浮かべながら読み進めてみてください。

目次

まず結論|節約のコツは「タイプ」で変わる

青空と白い雲を背景に、「節約」と書かれた白い旗を手で掲げている様子を横長で撮影したイメージ写真。

先に要点をお伝えします。
灯油ボイラーの節約は、次の考え方で整理すると分かりやすくなります。

  • 直圧式は「使うときだけ着火する」タイプ。
    だからこそ、お湯の出し方・設定温度・使う量をムダなくすることが効きます。
  • 貯湯式は「タンクのお湯を保温し続ける」タイプ。
    だからこそ、保温にかかる待機の灯油をどう減らすかが最大のポイントになります。
  • 共通して効くのは、節水・入浴の工夫・浴槽のフタなど、お湯そのものを減らす習慣です。
  • 使い方の工夫で足りない場合は、高効率タイプ(エコフィール)への交換で根本から灯油の使用量を減らす方法もあります。

ポイント
「電源はこまめに切ったほうが節約になる」とよく言われますが、これは主に貯湯式に当てはまる話です。
しかも北海道の冬は、電源を切ると凍結予防が働かず配管が凍るおそれがあります。
タイプと季節を踏まえた判断が欠かせません。

それでは、まずご自宅のボイラーがどちらのタイプかを整理していきましょう。

灯油ボイラーの2タイプ|貯湯式と直圧式の仕組み

灯油ボイラーの「直圧式」と「貯湯式」の仕組みを比較した図。左は直圧式で、水道水が熱交換器を通過して瞬時に加熱され、お湯として供給される構造を示している。右は貯湯式で、タンク内に貯めたお湯をバーナーで加熱・保温し、必要に応じて給湯する構造を示している。それぞれのメリット・注意点もあわせて比較できるインフォグラフィック。

石油給湯器(灯油ボイラー)は、お湯のつくり方によって大きく「直圧式」と「貯湯式(減圧式)」の2種類に分かれます。
まずはそれぞれの仕組みを押さえておくと、あとの節約方法がぐっと理解しやすくなります。

直圧式(水道直圧式)とは

直圧式は、蛇口やシャワーをひねると同時に、その瞬間にバーナーが着火し、通り抜ける水道水を一気に温めて給湯する仕組みです。
ガス給湯器の「瞬間式」と同じイメージで、必要なときに必要な量だけお湯をつくります。

水道の水圧をそのまま利用するため、シャワーの勢いが強く、2階の浴室や複数箇所での同時使用にも比較的強いのが特徴です。
タンクを内蔵しない分だけ本体が軽く、設置の融通も利きます。
また、水道水をそのまま温めて出しているため、飲用にも使えるとされています。

節約の観点で大事なのは、お湯を使っていないときは基本的に着火しない=待機中の灯油消費が少ないという点です。
裏を返せば、お湯を「出したり止めたり」するたびに着火するため、こまめすぎる少量使いはかえってムダになりやすい、という性格を持っています。

貯湯式(減圧式)とは

貯湯式は、ボイラー内部にお湯をためておくタンクを持っています。
あらかじめタンクの水をバーナーで温めてお湯をつくり、貯めておいたお湯を給湯する仕組みです。
水道の圧力を減圧弁で下げてタンクに入れるため「減圧式」とも呼ばれます。

タンクにお湯を貯めておくので、お湯を出したり止めたりしても温度が安定しやすく、着火の頻度が少なめで動作音も静かになりやすい傾向があります。
本体価格は、同等の能力なら直圧式よりやや割安な傾向で、導入コストをおさえやすい場合があるのもメリットです。

一方、節約面での注意点がはっきりしています。
タンクの湯温を使える温度に保つため、お湯を使っていないあいだも灯油を消費します(待機消費)。
これが「使っていないのに灯油が減る」と感じる主な原因です。
また、水圧は減圧される分だけ弱くなります。
なお、貯湯式でも通常の使い方でお湯が完全に切れることは基本的にありませんが、短時間に大量のお湯を使い続けると、一時的に湯温が下がることがあります。

直圧式・貯湯式のちがい早見表

比較項目直圧式(水道直圧式)貯湯式(減圧式)
お湯のつくり方使用時に加熱タンクのお湯を加熱・保温
水圧(シャワーの勢い)強いやや弱い
複数箇所での同時使用強く快適タンク容量に左右される
待機中の灯油消費少ないタンクの湯温維持のため消費する
設置形態壁掛け・据置きなど機種が豊富主に据置きタイプ
本体価格の傾向同等能力ではやや高価な傾向やや安価な傾向
お湯切れ基本的になし基本的になし(※)
節約の最重要ポイント給湯量・温度を適切に設定保温と設定温度を適切にする

※大量のお湯を長時間連続で使用すると、一時的に湯温が下がる場合があります。

自宅のボイラーがどちらか見分ける方法

見分け方の目安は次のとおりです。
判断に迷うときは無理をせず、本体の型番からメーカーの仕様を確認するのが確実です。

  • シャワーの勢いが強く、本体が壁掛けなど比較的コンパクト → 直圧式の可能性が高い
  • シャワーの勢いがやや弱く、本体が大きめの床置き → 貯湯式の可能性が高い
  • 型番・銘板シールで確認 → メーカーのカタログや公式サイトで「直圧式/貯湯式(減圧式)」の記載を確認できます

型番はボイラー本体側面の銘板シールに記載されています。
読み取れない、判断がつかないという場合は、写真を撮って専門業者に相談すれば、タイプの判別から適切な節約方法まで案内してもらえます。

灯油代が安いのはどっち?直圧式と貯湯式のランニングコスト

「そもそも、どちらのタイプが灯油代を安くおさえやすいのか」も気になるところでしょう。
ランニングコスト(毎月の灯油代)という視点では、一般に待機中の保温消費がない直圧式のほうが有利とされています。
貯湯式は使い勝手や静かさにメリットがある一方、タンクを保温し続ける分だけ灯油を多く使う傾向があるためです。

ただし、これはあくまで一般的な傾向です。
実際の灯油代は、家族の人数やお湯の使用量、入浴スタイル、住まいの断熱性、そしてそのときの灯油価格によって大きく変わります。
「貯湯式だから必ず高い」というわけではなく、使い方の工夫しだいで差は縮められます

視点直圧式貯湯式
毎月の灯油代(ランニング)おさえやすい傾向保温分がかかりやすい
本体の導入コスト同等能力ではやや高価な傾向やや安価な傾向
節約でいちばん効くこと温度・量・出し方の見直し待機消費(保温)と設定温度の見直し

ポイント
今が貯湯式で、灯油の減りがどうしても気になるなら、次の交換のタイミングで直圧式や高効率タイプ(エコフィール)に切り替えるのも有力な選択肢です。
導入コストと毎月の灯油代の両方を見て、長い目で判断するのがおすすめです。

【直圧式】灯油ボイラーの節約方法

直圧式灯油ボイラーの節約方法を解説したイラスト。給湯温度を40〜42℃前後に設定する、お湯をまとめて使う、追い焚きより足し湯・高温差し湯を活用する、シャワーで湯船を張らない・節水シャワーヘッドを使うなど、灯油代を節約するポイントを図解で紹介している。

直圧式は「使う分だけ着火する」ため、待機消費はもともと多くありません。
だからこそ、1回ごとの給湯をどれだけムダなく使うかが節約の勝負どころになります。

給湯温度を「使う温度」に近づける

直圧式は、リモコンで設定した温度までお湯を一気に沸かします。
設定温度が高いほど、それだけ多くの灯油を使って加熱していることになります。

台所や洗面で高温設定のお湯を出し、蛇口側で水をたくさん混ぜて温度を下げて使っているなら、それは「沸かしすぎて水で薄めている」状態でムダが出ています。
日常づかいでは、実際に使う温度に近い設定(普段づかいなら40〜42℃前後が目安)にしておくと、余計な加熱をおさえられます。

ポイント
冬の北海道は水道の水温が非常に低く、同じ40℃のお湯をつくるにも本州より大きく水温を引き上げる必要があります。
つまり設定温度を1〜2℃見直すだけでも、灯油の削減効果は本州より大きく出やすいのです。

お湯は「まとめて」使う

直圧式はお湯を出すたびに着火します。
食器洗いのあいだに何度もお湯を出したり止めたりを繰り返すと、そのたびに着火のロスが生じます。
洗い物はためてまとめて洗う、シャワーは出しっぱなしにせずこまめに止める——このメリハリが、着火ロスと使用量の両方をおさえます。

追い焚きより「足し湯・高温差し湯」を活用する

浴槽のお湯がぬるくなったとき、浴槽全体を温め直す「追い焚き」より、熱いお湯を少し足す「足し湯(高温差し湯)」のほうが、加熱する量が少なく済み灯油をおさえられる場合があります。
ぬるくなり方が軽いうちは、足し湯で調整するほうが効率的です。

シャワーで湯船を張らない・節水シャワーヘッド

湯船にためるお湯を減らすほど、加熱する灯油は減ります。
ひとり暮らしや入浴が短い日は、湯船を張らずシャワーで済ませるだけでも大きな節約になります。
シャワーを多用するご家庭なら、節水シャワーヘッドに替えることで、お湯の使用量そのものを2〜3割前後カットできるケースもあります。

【貯湯式】灯油ボイラーの節約方法

貯湯式灯油ボイラーの節約方法を解説したイラスト。長時間使わない時間帯はおやすみモードや電源オフを検討すること、保温温度を上げすぎないこと、大量のお湯を連続使用して再加熱を増やさないことなど、待機消費を減らす節約ポイントを図解で紹介している。寒冷地では凍結防止のため、冬季は安易に電源を切らないよう注意点も掲載。

貯湯式の最大のムダは、使っていないあいだもタンクを保温し続けることにあります。
したがって、この待機消費をいかに減らすかが節約の核心です。

長時間使わない時間帯は「おやすみ」や電源オフを検討

深夜の就寝中や、日中に家族全員が外出している時間帯など、まとまってお湯を使わない時間帯は、タンクを高温に保ち続ける必要がありません。
リモコンの「おやすみモード」を使う、あるいは電源を切ることで、保温のための灯油消費をおさえられます。

ただし、これには寒冷地ならではの重大な注意点があります。
詳しくは後半の「札幌・寒冷地の注意点」で解説しますが、厳冬期は凍結予防のため、安易に電源を切らない判断が必要です。
冬以外の時期や、凍結の心配が少ない条件のときに活用するのが基本と考えてください。

タンクの保温温度を上げすぎない

保温する温度が高いほど、それを維持するための灯油も多くかかります。
必要以上に高い温度でキープしていないか、リモコンの設定を一度見直してみましょう。
使う温度に対して過剰な保温は、そのまま待機消費のムダにつながります。

大量の連続使用による「湯温の低下」を避ける

貯湯式は通常の使い方でお湯が切れることは基本的にありませんが、短時間に大量のお湯を使い続けると、一時的に湯温が下がり、追いつくために余分な加熱が生じることがあります。
家族の入浴を続けて済ませる、お湯を大量に使う作業を集中させすぎないなど、使い方にメリハリをつけると、非効率な再加熱をおさえられます。

ポイント
「保温にお湯を使っていないのに灯油が減る」のは貯湯式の宿命です。
使い方の工夫には限界があるため、灯油の減りが気になるなら、後述の高効率タイプへの交換が根本的な対策になります。

【共通】どちらのタイプでも効く節約習慣

タイプ別の対策に加えて、貯湯式・直圧式どちらでも効果が出る、お湯そのものを減らす習慣も押さえておきましょう。

浴槽にはフタをする

湯船を張ったらこまめにフタをするだけで、お湯の冷めるスピードは大きく変わります。
フタをしておけば、追い焚きや足し湯の回数そのものを減らせます。
ちょっとした一手間ですが、毎日積み重なると灯油の差は小さくありません。

家族はできるだけ続けて入浴する

家族の入浴時間がバラバラだと、そのたびにお湯がぬるくなり、追い焚きや足し湯の回数が増えます。
できるだけ続けて入浴することで、温め直しの回数を減らせます。
連続で入れば、貯湯式でも湯温が下がりにくく、安定して使えます。

自動保温(自動運転)は必要なときだけ

浴槽のお湯を自動で温め直してくれる自動保温機能は快適ですが、次に入る人がしばらくいない場合は、そのあいだも温め直しを続けてしまいます。
次の入浴まで間が空くときは、自動保温を一度オフにするほうがムダをおさえられます。

シャワーと蛇口の「出しっぱなし」をやめる

お湯を出したまま体を洗う、歯みがきや洗い物のあいだも出しっぱなしにする——こうした「かけ流し」は、灯油と水道代の両方をムダにします。
使わない瞬間はこまめに止める習慣が、いちばん確実で費用ゼロの節約です。

とくにシャワーは、お湯を使う量が家庭のなかでも大きい部分です。
シャワーの時間を1〜2分短くする、体を洗っているあいだは止める、といった小さな工夫でも、毎日・家族の人数分を積み重ねると、一冬で無視できない量の灯油を減らせます。
手元でお湯を止められる「止水スイッチ付きのシャワーヘッド」に替えると、こまめな開け閉めの手間が減り、無理なく続けやすくなります。

給湯・お風呂・暖房の主な節約習慣まとめ

習慣効果対象タイプ
給湯温度を使う温度に近づける過剰な加熱をおさえる直圧式で特に有効
使わない時間帯はおやすみ/電源オフ保温の待機消費を削減貯湯式で特に有効(冬は要注意)
浴槽のフタをする冷めにくくし追い焚きを減らす共通
家族が続けて入浴する温め直しの回数を減らす共通
自動保温を必要時だけにするムダな再加熱を防ぐ共通
節水シャワーヘッド・出しっぱなし防止お湯の使用量を削減共通

札幌・寒冷地ならではの注意点|「電源オフ」と凍結

ここまで「使わない時間帯は電源を切る」という節約を紹介しましたが、北海道・札幌のような寒冷地では、これを鵜呑みにすると思わぬトラブルにつながることがあります。

多くの灯油ボイラーには、外気温が下がると自動で作動する凍結予防運転(凍結防止ヒーターやポンプの循環)が備わっています。
これは電源が入っていることで働く機能です。
真冬にお湯の節約のつもりで電源を完全に切ってしまうと、凍結予防が働かず、ボイラー内部や外部配管が凍結・破損するおそれがあります。
修理や交換には、節約した灯油代をはるかに上回る費用がかかりかねません。

ポイント
「節約のための電源オフ」は、あくまで凍結の心配がない時期・条件での話です。
厳冬期は電源を入れたままにし、凍結予防を働かせておくのが安全です。
長期間の留守などで電源を切る場合は、水抜き(凍結防止のための水抜き運転)を正しく行う必要があります。

寒冷地では、このほかにも外部配管の保温材の劣化や、屋外設置機器まわりの雪の吹き込みなど、灯油の効率と安全の両方に関わるポイントがあります。
水抜きの手順や凍結予防の設定に不安がある場合は、無理をせず地域の設備業者に確認することをおすすめします。

📎 出典:寒波・凍結・積雪の場合|ノーリツ アフターサポート

給湯だけでなく「暖房ボイラー」の灯油も見直す

北海道の戸建てでは、給湯だけでなく、温水パネルヒーターや床暖房などのセントラルヒーティング(温水暖房)を灯油ボイラーでまかなっているご家庭が少なくありません。
冬場の灯油消費は、じつは給湯より暖房のほうが大きいことも多く、暖房側の使い方を見直すと、給湯の節約以上に効いてくることがあります。

こまめなオンオフより「控えめな連続運転」を意識する

温水暖房は、いったん室温や躯体が冷えきってしまうと、また温め直すのに多くの灯油を使います。
寒い時間帯に完全に切って、また一から温め直すより、設定温度を少し控えめにしたまま運転を続けるほうが、トータルの灯油をおさえられる場合があります。
とくに断熱性の高い住宅ほど、控えめな連続運転が向いています。

部屋ごと・時間帯ごとにメリハリをつける

使っていない部屋のパネルヒーターは、バルブやサーモスタットで温度を下げておくと、その分の灯油をおさえられます。
就寝中や外出中は全体の設定を少し下げるなど、時間帯でメリハリをつけるのも有効です。
ただし前述のとおり、厳冬期は凍結予防の観点から完全に止めきらないことが前提です。

パネルヒーターの前に物を置かない

パネルヒーターの前に家具や洗濯物を置くと、暖かい空気の対流がさまたげられ、部屋が暖まりにくくなります。
結果として設定温度を上げがちになり、灯油のムダにつながります。
ヒーターまわりは空けておくことも、地味ですが効果のある節約です。

暖房ボイラーの節約ポイントねらい
控えめな温度で連続運転冷えきってからの温め直しを防ぐ
使わない部屋は温度を下げる不要な加熱をなくす
ヒーター前に物を置かない対流をさまたげず効率よく暖める
厳冬期は止めきらない凍結予防を働かせ故障を防ぐ

効率を落とさないための日常メンテナンス

給湯器の内部を点検・修理する作業員の様子を描いたイラスト。工具を使って配線や内部部品を点検し、給湯器のメンテナンスを行っているイメージ。

同じ使い方をしていても、ボイラーの状態が悪いと灯油の効率は落ちます。
長く効率よく使うために、次の点を習慣にしておきましょう。

まず、灯油タンク(ホームタンク)の水抜きとストレーナーの清掃です。
タンク内に水やゴミがたまると、燃焼不良や故障の原因になり、効率が落ちます。
定期的な水抜きや、ゴミを取り除くストレーナーの点検で、安定した燃焼を保てます。

次に、燃焼の様子に異常がないかの確認です。
すすやにおい、異音、点火しづらいといった症状は、燃焼効率が落ちているサインのことがあります。
放置すると灯油をムダに使うだけでなく、不完全燃焼などの安全面のリスクにもつながります。
気になる症状があれば、早めに点検を依頼してください。

灯油ボイラーの寿命は一般に10年前後が交換の目安とされます。
年数が経った機種は、効率の低下や故障のリスクが高まります。
「灯油の減りが以前より早くなった」と感じたら、機器の劣化のサインかもしれません
点検や交換の相談をすることで、結果的に灯油代をおさえられることがあります。

ポイント
水抜きやストレーナー清掃の手順に不安がある場合、無理に自分で行う必要はありません。
凍結予防の設定とあわせて、地域の設備業者に点検を依頼するのが安全で確実です。

根本から灯油代を下げるなら「エコフィール」への交換

使い方の工夫には、どうしても限界があります。
とくに貯湯式で「保温の待機消費」が気になる場合や、ボイラーが古くなってきた場合は、高効率石油給湯器「エコフィール」への交換が、灯油の使用量そのものを下げる根本的な対策になります。

エコフィールの仕組み(潜熱回収)

従来の石油給湯器は、燃焼後の排気ガスの熱(約200℃)をそのまま外に捨てていました。
エコフィールは、このこれまで捨てていた排気の熱を回収して、あらかじめ水を温める「潜熱回収」の仕組みを持っています。
排気の温度を約60℃まで下げるほど熱を有効利用することで、少ない灯油で効率よくお湯を沸かせます。

どのくらい灯油を節約できるのか

エコフィールの熱効率は、従来型の約83%に対して約95%まで高められています。
一般社団法人日本ガス石油機器工業会(JGKA)やメーカーの公表値では、従来機種と比べて年間の灯油使用量を約13%、量にして約89L削減できるとされています。

もちろん、実際の削減量はご家庭のお湯の使用量や、そのときの灯油価格によって変わります。
とはいえ、水温が低く給湯・暖房の負荷が大きい北海道では、高効率化の恩恵を受けやすい環境だといえます。

比較項目従来型 石油給湯器エコフィール(潜熱回収型)
熱効率約83%約95%
排気ガスの温度約200℃約60℃
灯油使用量基準年間 約13%・約89L削減が目安
本体価格おさえやすい高め(ドレン配管工事も必要)

📎 出典:石油高効率給湯機エコフィール|一般社団法人 日本ガス石油機器工業会(JGKA)

導入時の注意点

エコフィールは本体価格が従来型より高めで、燃焼で発生する水(ドレン水)を排出するための配管工事が必要になります。
初期費用と、毎年の灯油の削減額のバランスで判断するのがポイントです。
ボイラーの寿命(一般に10年前後が交換の目安とされます)が近い場合は、次の交換のタイミングでエコフィールを検討すると、費用のムダが出にくくなります。

灯油ボイラーの節約でありがちな勘違い

灯油ボイラーの前に貯金箱と積み上げられたコインが置かれ、光る下向き矢印でランニングコストや灯油代の節約をイメージした温かみのあるイラスト。

最後に、良かれと思ってやっているのに、じつは節約になりにくい・逆効果になりやすいポイントを整理しておきます。
ご自宅のやり方と照らし合わせてみてください。

「設定温度は低ければ低いほど得」ではない
給湯温度を下げすぎると、必要な湯量を確保するために結局たくさんのお湯を使ったり、冬場は使い勝手が悪くなって不便になったりします。
大切なのは「使う温度に近づける」ことで、むやみに最低温度にすることではありません。

「こまめにお湯を止める」が直圧式では裏目に出ることも
直圧式はお湯を出すたびに着火します。
ほんの少しずつ何度も出し止めを繰り返すと、着火のロスが積み重なります。
使うときはまとめて使う、というメリハリが大切です。

「冬でも節約のため電源オフ」は危険
くり返しになりますが、北海道の厳冬期に電源を切ると凍結予防が働かず、かえって高くつくおそれがあります。
節約のための電源オフは、季節と条件を見極めて行いましょう。

「本体が古くても使えているから大丈夫」とは限らない
年数の経った機種は燃焼効率が落ち、同じお湯をつくるのに以前より多くの灯油を使っていることがあります。
「最近、灯油の減りが早い」と感じたら、使い方だけでなく機器の状態も一度見直すサインです。

まとめ|タイプに合った節約で、寒冷地の灯油代をかしこく

灯油ボイラーの節約は、まずご自宅が貯湯式か直圧式かを知ることから始まります。
直圧式は「使う量・温度・出し方のムダ取り」、貯湯式は「保温の待機消費を減らすこと」が効きどころです。
そして浴槽のフタや連続入浴、節水といった習慣は、どちらのタイプでも効果を発揮します。

一方で、北海道の冬は凍結予防のため電源を安易に切れないなど、寒冷地ならではの判断も必要です。
使い方の工夫で足りないと感じたら、潜熱回収型のエコフィールへの交換で、灯油の使用量そのものを下げる方法もあります。
ご家庭のボイラーのタイプや使用状況に合わせて、無理なく続けられる節約から取り入れてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 自分の灯油ボイラーが貯湯式か直圧式か分かりません。
どこで確認できますか?

A. シャワーの勢いが強く本体が比較的コンパクトなら直圧式、勢いがやや弱く本体が大きめの床置きなら貯湯式の可能性が高いです。
確実に知りたい場合は、ボイラー本体側面の銘板シールに記載された型番を、メーカーの公式サイトやカタログで確認してください。
判別が難しいときは、型番の写真を撮って設備業者に相談すれば、タイプに合った節約方法まで案内してもらえます。

Q2. 節約のために、こまめに電源を切ってもよいですか?
A. 貯湯式は保温で灯油を消費するため、長時間使わないときの電源オフやおやすみモードは有効です。
ただし北海道の冬は、電源を切ると凍結予防が働かず、ボイラーや配管が凍結・破損するおそれがあります。
厳冬期は電源を入れたままにし、長期の留守などで切る場合は正しく水抜きを行ってください。
凍結修理の費用は、節約した灯油代を大きく上回ることがあります。

Q3. 給湯温度は下げたほうが節約になりますか?
A. 直圧式では、高温に設定して蛇口で水を混ぜて使っていると「沸かしすぎ」のムダが出ます。
普段づかいなら実際に使う温度(40〜42℃前後が目安)に近づけると、余計な加熱をおさえられます。
ただし冬場は水温が低く必要な湯量が確保しにくいこともあるため、下げすぎて使いづらくならない範囲で調整してください。
用途に合わせた無理のない設定が節約の近道です。

Q4. お風呂は追い焚きと足し湯、どちらが灯油を節約できますか?
A. ぬるくなり方が軽いうちは、熱いお湯を少し足す「足し湯(高温差し湯)」のほうが加熱量が少なく済み、灯油をおさえられる場合が多いです。
あわせて浴槽のフタをこまめに閉め、家族が続けて入浴すれば、温め直しの回数自体を減らせます。
大きく冷めきってしまった場合は追い焚きが必要になることもあるため、冷めきる前の対応がポイントです。

Q5. エコフィールに替えると、どのくらい灯油代が下がりますか?
A. メーカーや工業会の公表値では、従来型と比べて年間の灯油使用量を約13%(約89L)削減できるとされています。
実際の削減量はお湯の使用量や灯油価格で変わりますが、水温が低く給湯・暖房の負荷が大きい北海道では効果を実感しやすい環境です。
本体価格やドレン配管工事の費用もかかるため、ボイラーの交換時期に合わせて検討すると費用のムダが出にくくなります。


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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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