給湯器のリモコンに「820」や「82」、あるいは「P1」が表示されて動かない。
引っ越し先に給湯器を持っていった、中古の機器を設置した、といった場面で出会うことが多いコードです。
これらは、機器が自分の対応ガス種を正しく認識できていない状態を示しています。
そして結論から言えば、ガス種そのものを後から変えることはできません。
この記事では、番号ごとの意味、出やすい場面、変更できない理由、そして取れる選択肢を整理します。
ガス機器は都市ガスとLPガスで別物
ガス機器は、使うガスの種類に合わせて設計されています。
都市ガスとLPガス(プロパンガス)では、同じ量あたりの発熱量も、供給される圧力も違います。
そのためバーナーの穴の大きさや、ガスを送る部品の仕様が根本的に異なります。
給湯器の内部には、その機器がどのガス種向けに作られているかを示すコネクタやデータが組み込まれています。
機器は起動時にこれを読み取り、対応する制御を行います。
読み取れない、あるいは想定と違う値が返ってくると、燃焼を始めずにコードを表示します。
ガス種の異なる機器をそのまま使うと、不完全燃焼や過大な燃焼を招き、一酸化炭素中毒や火災につながります。
このコードは、それを未然に防ぐための仕組みが働いた結果です。
番号ごとの内容
| コード | パロマでの内容 | 確認先として挙げられているもの |
|---|---|---|
| 82・820 | ガス種別制御データ異常 | ガス種コネクタ・ガス種データの交換、または電装基板の交換 |
| 821 | 給湯ガス種切替コネクタ異常 | 同上 |
| 823 | 暖房ガス種切替コネクタ異常 | 同上 |
| 82(旧型) | ガス種切替コネクタ異常 | ガス種切替コネクタの確認・交換 |
| P1 | ガス種コネクタ異常 | ガス種コネクタの確認・交換 |
P1は数字ではなくアルファベットを含む表示で、旧型の機種で使われている番号です。
821と823の末尾は他のコードと同じく系統を示し、1が給湯、3が暖房です。
このコードが出やすい場面
| 場面 | 起きていること |
|---|---|
| 引っ越し先へ給湯器を移設した | 転居先のガス種が以前と違う |
| 中古品やオークションで購入した機器を設置した | 対応ガス種が住宅の供給と合っていない |
| 都市ガスとLPガスの転換工事があった | 供給側が変わり、機器が対応していない |
| 設置・交換工事の直後 | コネクタの差し込み不足や配線のかみ込み |
| 修理で基板やコネクタを交換した直後 | 取り付けや設定に誤りがある |
| 長年使っていた機器で突然表示された | コネクタの接触不良や基板の劣化 |
もっとも多いのは、機器と住宅のガス種が合っていないケースです。
給湯器は見た目では都市ガス用かLPガス用かを判別しにくく、型番の末尾や本体の銘板に記載されたガス種表示を見なければ分かりません。
中古品を購入する際は、必ず本体の銘板でガス種を確認してください。
出品情報に記載がないまま購入し、設置してから使えないと分かるという流れは珍しくありません。
ガス種は後から変更できるのか
結論として、利用者が変更することはできません。
ガス種の違いは、コネクタやデータだけの問題ではなく、バーナーやノズルといった燃焼部の構造そのものの違いです。
コネクタを差し替えて表示を消しても、機器の中身は元のガス種向けのままです。
その状態で運転すれば、燃焼が正常に行われません。
都市ガス用の機器をLPガスで使えば熱量が過大になり、不完全燃焼や過熱を招きます。
逆にLPガス用の機器を都市ガスで使えば、必要な火力が出ません。
ガス機器の改造は法令上も認められておらず、事故が起きた場合の責任も使用者に及びます。
インターネット上には変更方法として紹介されている情報が見られることがありますが、行わないでください。
ガス種が合っていないと分かった場合、選択肢はその住宅のガス種に対応した機器へ買い替えることになります。
給湯器の設置はガスの資格を持つ事業者が行う必要があるため、購入と設置をまとめて相談するのが確実です。
長年使っていた機器で突然出た場合
ガス種は変わっていないのに820が表示されたというケースもあります。
この場合に疑われるのは次の点です。
- ガス種コネクタの接触不良(振動や経年による緩み)
- コネクタ端子の腐食
- 電装基板側の読み取り回路の不具合
- 小動物や虫による配線の損傷
パロマの確認内容でも、コネクタの交換と並んで電装基板の交換が挙げられています。
つまり、コネクタが正常でも基板側が読み取れなくなっていれば同じ表示になります。
この場合はガス種が間違っているわけではないため、部品の交換で復旧できる可能性があります。
設置してから何年使っているかを伝えたうえで、点検を依頼してください。
家庭で確認できること
- 本体前面の銘板で、対応ガス種の表示を確認する(都市ガス/LPガスの別、都市ガスなら13Aなどの種別)
- 契約しているガス会社に、住宅の供給ガス種を確認する
- 両者が一致しているかを照合する
- 給湯器本体の電源プラグを抜き、数分待ってから差し直す
- 設置や修理の作業を最近受けていないか思い出す
銘板の表示と住宅のガス種が違っていれば、その時点で原因は確定です。
この場合は修理ではなく、対応する機器への買い替えを検討する流れになります。
一方、次の作業は行わないでください。
- 給湯器の前面カバーを外してコネクタを差し替える(ガス配管や電装部があり、感電やガス漏れのおそれがあります)
- ガス種を変更する方法を試す
- 表示が消えるまで電源の抜き差しを繰り返す
業者に連絡するときに伝えること
- 機器の型番と、銘板に記載された対応ガス種
- 住宅の供給ガス種(都市ガスかLPガスか、都市ガスなら種別)
- 設置してからの年数
- 表示されたコード(820か82か、821・823・P1ではないか)
- 最近、引っ越し・移設・設置工事・修理を行ったか
- 中古品や譲り受けた機器かどうか
ガス種の不一致が疑われる場合、その情報だけで対応の方向が決まります。
設置直後に出たのであれば、工事を行った業者に連絡するのが早い解決につながります。
お湯が出ない症状は点火不良でも起こります。
表示された番号を確認したうえで、パロマ給湯器のエラー11・111|点火不良の原因と自分で確認できることもあわせてご覧ください。
修理で足りるか、買い替えを考えるか
パロマは給湯器の設計上の標準使用期間を10年としており、使用開始から9〜11年が経過した時点で点検を受けることをすすめています。
修理用の部品は製造終了から7年間(BL認定部品は10年間)保有されるとされています。
| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| 銘板のガス種と住宅の供給が違う | 修理では解決しない。対応機種への買い替え |
| 設置・修理の直後に出た | 作業した業者に連絡する。費用の扱いも確認する |
| コネクタの接触不良で、設置から7年未満 | 部品交換で使い続けられる |
| 電装基板が原因 | 部品代が大きい。本体交換と比較する |
| 設置から10年以上 | 本体交換を含めて検討する |
このコードで特徴的なのは、原因によっては修理という選択肢自体がない点です。
ガス種が合っていない機器は、どれだけ費用をかけても正しく使えるようにはなりません。
一方、長年使ってきた機器で突然出た場合は部品の問題である可能性が高く、修理で復旧できます。
まず銘板と供給ガス種の照合を済ませておくと、その後の話が早くなります。
実際の費用は機種・設置条件・地域で変わるため、点検時に見積もりで確認してください。
10年前後で表示される点検時期のお知らせについては、パロマ給湯器のエラー888(88)で解説しています。
パロマのコード全体の位置づけはパロマ給湯器のエラーコード一覧にまとめています。
よくある質問
Q1. 引っ越し先に給湯器を持っていったら820が出ました。使えませんか?
転居先のガス種が以前と違う場合、その機器は使えません。
本体前面の銘板に記載された対応ガス種と、転居先の供給ガス種を照合してください。
都市ガス用とLPガス用ではバーナーやノズルの構造が異なり、後から変更することはできません。
一致していないのであれば、転居先のガス種に対応した機器を用意する必要があります。
Q2. コネクタを差し替えればガス種を変更できると聞きました。本当ですか?
行わないでください。
コネクタはあくまで機器にガス種を認識させるためのもので、差し替えても燃焼部の構造は変わりません。
ガス種の合わない状態で運転すると、不完全燃焼や過大な燃焼を招き、一酸化炭素中毒や火災につながります。
ガス機器の改造は法令上も認められておらず、事故が起きた場合の責任も使用者に及びます。
Q3. 自分の給湯器が都市ガス用かLPガス用か、どこで分かりますか?
本体前面にある銀色の銘板に記載されています。
都市ガス用であれば「13A」などの種別、LPガス用であれば「LPG」や「プロパン」といった表示があります。
型番の末尾で判別できる機種もありますが、確実なのは銘板の確認です。
住宅側の供給ガス種は、契約しているガス会社に問い合わせれば分かります。
Q4. 10年使っている機器で急に820が出ました。ガス種は変わっていません。
コネクタの接触不良や電装基板の不具合が疑われます。
経年による端子の緩みや腐食で、ガス種の情報を読み取れなくなることがあります。
パロマの確認内容でも、コネクタの交換と並んで電装基板の交換が挙げられています。
ガス種が合っているのであれば部品交換で復旧できる可能性があるため、点検を依頼してください。
Q5. 中古の給湯器を買う前に、何を確認すればいいですか?
本体の銘板に記載された対応ガス種を必ず確認してください。
都市ガス用とLPガス用は見た目が似ていますが互換性はなく、購入後に変更することもできません。
あわせて、製造年と設置後の使用年数、部品の供給状況も確認しておくとよいでしょう。
設置作業にはガスの資格が必要なため、施工まで請け負ってもらえるかも確かめてください。
まとめ
パロマの給湯器で820・82・P1が出たときの要点です。
- これらは機器が自分の対応ガス種を認識できていない状態を示すコード
- 都市ガス用とLPガス用は燃焼部の構造が異なり、後から変更することはできない
- 引っ越しでの移設、中古品の設置、ガス種の転換工事をきっかけに出やすい
- まず本体の銘板で対応ガス種を確認し、住宅の供給ガス種と照合する
- 不一致であれば修理では解決せず、対応機種への買い替えになる
- ガス種は変わっていないのに出た場合は、コネクタや電装基板の不具合が疑われる
- コネクタの差し替えによるガス種の変更は行わない
まずは銘板の確認から始めてください。
そこで原因が確定すれば、その後の判断は迷わずに済みます。

