灯油タンクに灯油を補充したのに、オイルサーバーが動いても灯油が上がってこない。
そんなとき、見落とされがちなのが呼び油(呼び灯油)です。
呼び油は、オイルサーバーを使い始めるときや、中が空になってしまったときに、必ず入れなければならない作業です。
オイルサーバー全体の仕組みはオイルサーバーとは?仕組み・動かない時の確認・呼び油の必要性で解説しています。この記事では、呼び油に絞って、量やタイミング、手順を詳しく見ていきます。
- 呼び油が必要な理由と、必要になる場面
- 入れる量の目安と、注入をやめる判断のしかた
- 入れすぎたとき、入れても上がらないときの対処
結論|呼び油は「新設時」と「中が空になったとき」に必ず必要
呼び油は、新設したときと、オイルサーバー内が空になったときに、毎回必ず入れる作業です。呼び油がなければ復旧できません。
| 場面 | 呼び油 | 理由 |
|---|---|---|
| 新しく設置した直後 | 必要 | ポンプの中が空気だけで、吸い上げる力が出ない |
| 灯油タンクを空にしたあと | 必要 | 本体内の灯油が減り、空運転防止装置が働いて止まっている |
| 長期間使わなかったあと | 必要になることがある | 本体内の灯油が減っている場合がある |
| 配管や本体の交換・修理のあと | 必要 | 入口側の配管に空気が入っている |
| 普段の運転中 | 不要 | 自動で灯油が補われる |
日常の運転では、呼び油を入れる必要はありません。
入れるのは、本体の中の灯油がなくなって、ポンプが空気を抱えてしまった状態から立ち上げ直すときです。
呼び油が必要な理由|ポンプは空気を押し上げられない
オイルサーバーのポンプは、液体である灯油を吸い上げることを前提に作られています。
内部に灯油が満たされているときは、モーターが回れば灯油が引き上げられます。
ところが、内部が空気だけの状態では、モーターが回っても空気を動かすだけで、タンクの灯油を引き上げる力が生まれません。
そこで、あらかじめ灯油を入れてポンプの中を満たしておき、吸い上げの「呼び水」にします。
これが呼び油(呼び灯油)です。
呼び油でポンプが動き出せば、あとは配管内の空気が自然に押し出され、タンクの灯油が上がってきます。
入れる量とやめる判断|サンポットの取扱説明書の例
呼び油の量と手順は、機種によって異なります。
ここでは、サンポット(現在は長府製作所のブランド)のオイルサーバーOS-302・OS-303を例にします。
この取扱説明書では、使いはじめの呼び灯油は約1.5Lとされています。
注油口にロートを付けて灯油を注ぎ、制御ユニットの表示ランプが切り替わったところで注入をやめます。
OS-302では、黄色の「0」ランプが緑の「運転1」ランプに変わったら、注入をやめる合図です。
| 機種 | 呼び油の量の目安 | 注入をやめる合図 |
|---|---|---|
| OS-302系 | 約1.5L | 黄の「0」ランプが緑の「運転1」ランプに変わる |
| OS-303系 | 約1.5Lずつ入れる | 黄の「油切れ」ランプが消える |
量はあくまで目安で、ランプの表示で判断するのが基本です。
他のメーカーや古い機種では、量や合図が異なる場合があるため、必ず手元の取扱説明書を確認してください。
呼び油の手順|OS-302を例に

OS-302の取扱説明書に沿った、使いはじめの流れを整理します。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 据付けと配管が正しいことを確認し、電源プラグは抜いておく |
| 2 | 本体のカバーを外す |
| 3 | 流出弁フックを「閉」の位置にする |
| 4 | 制御ユニットに付いているフロートのひもを、静かに引き抜く |
| 5 | 電源プラグを差し込み、黄色の「0」ランプが点灯するのを確認する |
| 6 | 注油口にロートを付け、約1.5Lを目安に呼び灯油を注ぐ |
| 7 | 緑の「運転1」ランプが点灯したら注入をやめる(モーターが回り始める) |
| 8 | 10〜15分ほど運転し、モーターが止まるまで待つ |
| 9 | 配管を含めて油漏れがないか確認し、流出弁フックを「開」にしてカバーを付ける |
手順4のひもは、新品のオイルサーバーのみについているものです。
急に引くとフロートを傷めます。必ず静かに引き抜いてください。
運転を始めた直後は、入口側の配管内の空気が抜けるため、ボコボコといった音がします。
空気が抜けると音は静かになります。これは異常ではなく、正常な立ち上がりの音です。
油切れのあとに呼び油を入れる場面
灯油タンクを空にしてしまったあとの復旧でも、呼び油が必要です。
タンクが空になると、本体内の油面が下がり、空運転を防ぐ安全機能が働いて運転が止まります。
| 機種 | 空運転を防ぐ安全機能の表示 | 復旧の流れ |
|---|---|---|
| OS-302系 | 黄色の「0」ランプが点灯して停止 | 灯油を補充して通電し、約1.5Lの呼び灯油を入れて再運転 |
| OS-303系 | 油切れが約20分続くと黄ランプが点滅して停止 | 灯油を補充し、約1.5Lの呼び灯油を黄ランプが消えるまで入れて再運転 |
どちらの機種でも、灯油タンクに灯油を補充することが大前提です。
タンクが空のまま呼び油だけを入れても、すぐにまた油切れで止まってしまいます。
油切れ後の流れについては、オイルサーバーが油切れした時の復旧手順|灯油切れ後の呼び油でも詳しく解説しています。
呼び油に使える灯油と、注意すること
| 使えるもの | 使えないもの |
|---|---|
| きれいなJIS1号灯油 | ガソリンなど、揮発性の高い油 |
| 取扱説明書で指定された灯油 | 水が混じった灯油 |
| 長く保管して変質した灯油 |
ガソリンや混合油は絶対に入れないでください。火災のおそれがあります。
呼び油をこぼしたときは、周囲に火気がないことを確認してから、すぐに拭き取ってください。
注入のあとは、注油口のキャップを確実に閉めます。閉め忘れると、空気を吸い込んだり、油が漏れたりする原因になります。
呼び油を入れすぎたとき
呼び油を入れすぎると、本体内の油面が上がりすぎて、あふれを防ぐ安全機能が働きます。
赤い「アラーム」ランプが点灯または点滅して、運転が止まります。
| 機種 | 入れすぎたときの対処 |
|---|---|
| OS-302系 | 燃焼機器を使って油面を下げる、または水抜き栓から3L以上入る容器に抜き、「運転1」の位置まで下げて、電源プラグを抜き差しする |
| OS-303系 | 水抜き栓の下に容器を当てて約1Lを抜き、リセットボタンを押す |
抜いた灯油は、きれいな状態であれば、燃焼機器で使えます。
入れすぎを防ぐには、ランプの表示を見ながら、少しずつ入れるのが確実です。
本体の傾きや地震の揺れでも同じアラームが出るため、呼び油を入れすぎていないのに赤いランプが点灯したときは、傾きや揺れの影響を疑いましょう。
呼び油を入れても吸い上げないとき
呼び油を入れても、灯油が上がってこないときは、次の点を確認します。
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 灯油タンクの灯油と元栓 | タンクが空でないか、元栓が開いているか |
| 流出弁フック | 「閉」のままになっていないか |
| 入口側配管の空気漏れ | 継ぎ目や継手から空気を吸っていないか |
| 吸い上げ高さ | 油タンクの流出口から本体までの高さが、機種の上限を超えていないか |
| フィルターの詰まり | ゴミが詰まって灯油が通りにくくなっていないか |
呼び油を入れてもモーターが回るだけで吸い上げない場合は、入口側の配管が空気を吸っていることが多いです。
自分で配管を触るのは避け、設置業者に点検を依頼してください。
吸い上げない症状全般の確認の順番は、オイルサーバーが灯油を吸い上げない時のチェック順と見分け方で解説しています。
自分でできる範囲と、業者に任せる範囲
| 自分でできること | 業者に依頼すること |
|---|---|
| 取扱説明書に沿った呼び油の注入 | 配管の継手の締め直し・やり直し |
| ランプの表示確認 | 油漏れの原因調査 |
| 灯油タンクの残量・元栓の確認 | モーター・制御ユニットなどの電気部品の交換 |
| 入れすぎた灯油の抜き取り | 新設・移設・分解を伴う作業 |
据付け・点検・修理・移設は、販売店や専門業者に依頼するよう、取扱説明書にも示されています。
分解や改造は行わないでください。
よくある質問
Q1. 呼び油は毎回の使用前に必要ですか?
必要ありません。呼び油が必要なのは、新しく設置したときと、本体内の灯油がなくなって空になったときです。普段の運転では、本体内の油面が下がると自動でポンプが回り、灯油が補われます。長期間使わなかったあとにも、必要になることがあるため、シーズンの初めに取扱説明書で確認しておくと安心です。
Q2. 呼び油は何リットル入れればよいですか?
サンポットのOS-302・OS-303では約1.5Lが目安とされています。ただし、量よりも、ランプの表示で判断することが大切です。OS-302では黄色の「0」ランプが緑の「運転1」に変わったら、OS-303では「油切れ」の黄ランプが消えたら、注入をやめます。他のメーカーや機種では異なるため、取扱説明書を確認してください。
Q3. 呼び油を入れすぎて赤いランプが点いたらどうしますか?
油面が上がりすぎて、あふれを防ぐ安全機能が働いた状態です。燃焼機器を使って油面を下げるか、水抜き栓の下に容器を当てて灯油を抜き、機種に応じて電源プラグの抜き差し、またはリセットボタンの操作で復帰させます。灯油を抜くときは、火気がないことを確認し、こぼさないよう注意してください。
Q4. 呼び油を入れたのに、ボコボコと音がします。故障ですか?
故障ではありません。運転を始めた直後は、入口側の配管内の空気が押し出されるため、ボコボコといった音が出ます。取扱説明書にも、空気が抜けると静かになると記載されています。10〜15分ほど運転して、モーターが止まれば、汲み上げが完了した状態です。音が長く続く場合は、配管から空気を吸っている可能性があります。
Q5. ガソリンスタンドの灯油を呼び油に使っても大丈夫ですか?
きれいなJIS1号灯油であれば使えます。ただし、水が混じった灯油や、長期間保管して変質した灯油は避けてください。ガソリンや混合油は、火災のおそれがあるため、絶対に入れないでください。迷うときは、灯油販売店や設置業者に確認するのが安全です。
まとめ
呼び油は、新設時と、オイルサーバー内が空になったときに必ず必要な作業です。
最後に、この記事のポイントを整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 必要な場面 | 新設時、本体内が空になったとき(油切れ後) |
| 量の目安 | サンポットのOS-302・OS-303では約1.5L |
| やめる判断 | OS-302は黄色の「0」が緑の「運転1」に変わったら、OS-303は「油切れ」の黄ランプが消えたら |
| 使える灯油 | きれいなJIS1号灯油のみ。ガソリンは厳禁 |
| 入れすぎたとき | 灯油を抜いて油面を下げ、機種に応じた方法で復帰させる |
| 上がらないとき | 灯油タンク・元栓・配管の空気漏れ・フィルターを確認する |
呼び油がないと復旧できない、という点を覚えておくだけで、油切れのあとの対応がスムーズになります。
まずは、手元のオイルサーバーの型番を確認し、取扱説明書の呼び油のページを一度開いておくところから始めてみてください。

