リモコンに「F11」または「H93」と表示され、お湯が沸かなくなって困っていませんか。
このふたつは表示こそ違いますが、どちらも沸き上げ回路に温水が十分に循環していない状態を知らせるコードとして案内されており、確認すべき場所はほぼ共通しています。
利用者側で確認できるのは、バルブの開閉・配管の凍結・空気かみの3点で、それ以外は配管や部品の点検が必要な領域です。
この記事では、パナソニック製エコキュートのF11とH93が示している状態を整理したうえで、自分で確認できる範囲、リセットの手順、業者に依頼する境目までを解説します。
F11とH93が示している状態
エコキュートは、貯湯ユニットの水をヒートポンプユニットへ送り、温めて戻すという循環を繰り返してお湯を沸かします。
この循環が成り立たないと、いくら運転しても狙った温度のお湯を作れません。
F11とH93は、その循環がうまくいっていないことを示す表示です。
| 表示 | 示している状態 | 共通する背景 |
|---|---|---|
| F11 | 熱交換器の出湯温度が上がらない | 沸き上げ回路に十分な温水が流れていない |
| H93 | ヒートポンプ配管の系統に温水が循環しない | 同上 |
案内されている対処も、配管系統の点検(空気抜き、水側バルブの開閉、詰まりや凍結の確認)、タンク上部のノズルの詰まり、循環ポンプの点検と、ほぼ同じ内容が並びます。
そのため、どちらが表示されていても、最初に見る場所は変わりません。
エラーコード全体の分類を確認したい場合は、パナソニック エコキュート エラーコード一覧|原因と対処法を簡単解説もあわせてご覧ください。
なお、表示の条件や意味は機種によって異なる場合があります。
お使いの機種の取扱説明書に記載がある場合は、そちらの内容が優先です。
止まっているのは「沸き上げ」だけ
F11やH93で停止するのは、タンクのお湯を沸かす運転です。
タンクにお湯が残っていれば、蛇口やシャワー、お湯はりはそのまま使えるのが一般的です。
ただし新たに沸かせないため、残湯を使い切ると水になります。
復旧までの間は、次のように使い方を抑えておくと1日を乗り切りやすくなります。
- シャワーは短めにし、こまめに止める
- お湯はりの湯量を普段より少なめに設定する
- 追いだきや長時間の保温を控える
- 復旧したら早めに沸き増しをする
蛇口から水も出ていない場合は、給湯だけでなく給水側にも原因があります。
その切り分け方はオール電化でお湯が出ない原因は?故障かお湯切れかを切り分けて解説で整理しています。
自分で確認できる3か所
1.水側バルブと給水元栓が開いているか
ヒートポンプ配管には水側バルブが設けられており、これが閉じていると水が循環しません。
取扱説明書でも、異常表示に対する確認項目としてヒートポンプユニットの水側バルブが閉まっていないか、給水元栓が閉まっていないかが挙げられています。
点検や水抜き、外構工事のあとに閉めたままになっているケースが典型です。
どちらも左に回すと「開」になるのが一般的です。
2.配管が凍結していないか
冷え込んだ日の朝に表示された場合は、給水配管やヒートポンプ配管の凍結が疑われます。
日中に気温が上がれば自然に解けて復旧することがあるため、まずは時間を置いてください。
凍結した配管に熱湯をかけると、急激な温度変化で配管が破裂するおそれがあります。
急ぐ場合でも、タオルを巻いた上からぬるま湯をゆっくりかける方法にとどめてください。
また、凍結のおそれがある時期は、配線用しゃ断器・漏電しゃ断器・凍結予防ヒーターの電源を切らないでください。
通電を止めると凍結予防運転が働かず、被害が広がります。
3.水抜き後の空気抜きが済んでいるか
長期不在で水抜きをしたあとや、設置直後は、配管内に空気が残っていることがあります。
空気をかんだ状態では水が循環せず、沸き上げを始めた時点で停止します。
リモコンのメニューから空気抜き運転を行い、ヒートポンプユニットの水抜き栓から勢いよく水が出ることを確認してください。
手順は取扱説明書の「準備する」に記載されています。
リセットの手順と、消えないときの止め方
確認と処置を済ませたら、次の手順でリセットします。
- バルブの開閉、凍結、空気抜きを確認して原因を取り除く
- 貯湯ユニットの漏電しゃ断器を「切」にする
- 約1分待つ
- 漏電しゃ断器を「入」に戻す
- 沸き上げが再開し、残湯量が増えていくかを確認する
原因が残ったままリセットしても、沸き上げを始めた時点で同じ表示に戻ります。
処置を先に済ませるのが順番です。
表示が消えない場合、取扱説明書では、給水元栓を閉め、配線用しゃ断器と貯湯ユニットの漏電しゃ断器を「切」にしたうえで販売店に連絡するよう案内されています。
ただし冬場は例外で、凍結のおそれがある時期はしゃ断器や凍結予防ヒーターを切らずに、そのまま連絡してください。
ここから先は点検が必要な領域
バルブも開いていて、凍結もなく、空気抜きも済ませたうえで表示が続く場合は、機器内部や配管施工に原因があります。
| 状況 | 考えられること | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 気温に関係なく沸き上げのたびに停止する | ヒートポンプ配管の詰まり・折れ | 販売店またはメーカーへ点検依頼 |
| 設置・移設の直後から出ている | 配管の逆接続や、循環を妨げる部材の取り付け | 工事店へ確認依頼 |
| 沸き上げは始まるが残湯量が増えない | 循環ポンプの能力低下、タンク上部のノズルの詰まり | 点検依頼 |
| ほかの表示も一緒に出る | 機器内部の不具合 | 使用を中止して点検依頼 |
判断の目安は、気温が上がってもバルブを開けても再発するかどうかです。
条件を整えて2回以上繰り返すなら、自己対処の範囲を超えていると考えて点検を依頼してください。
設置・移設の直後に出たときは施工側を疑う
引っ越しやリフォームで機器を移設した直後、あるいは新規設置の直後に表示が出た場合は、使い方ではなく施工に起因している可能性があります。
ヒートポンプ配管の往きと戻りが入れ替わっている、配管が折れている、循環の妨げになる部材が取り付けられている、といったケースです。
この段階で利用者ができることは多くありません。
機器の不具合として修理を呼ぶ前に、まず工事を担当した施工店へ連絡し、配管の接続状態を確認してもらってください。
繰り返さないための備え
- 露出している給水配管・ヒートポンプ配管の保温材を点検し、破れていれば補修する
- 冬期は漏電しゃ断器を「入」のままにして、自動の凍結予防運転を働かせる
- 強い冷え込みが予想される夜は、リモコンの給湯温度を「水」に設定し、給湯栓から1分間に200ml程度の水を出しておく
- 1か月以上使わないときは、取扱説明書の手順で水抜きをする
給湯温度を「水」にしておけば、タンクのお湯を減らさずに配管内の水を動かせます。
機種によっては「水」設定ができない場合があるため、取扱説明書もご確認ください。
設置から10年前後が経過していると、ポンプの能力低下やスケールの堆積が背景にあることも増えます。
修理費用と残りの使用年数を比べる考え方はエコキュートの寿命は何年?10年が目安と言われる理由と交換を考えるタイミングにまとめています。
よくある質問
Q1.F11とH93は、どちらが重い故障ですか。
A.表示の重さで優劣をつけるより、同じ原因群を指していると考えるほうが実用的です。どちらも沸き上げ回路に温水が十分循環していない状態を示しており、案内されている確認項目も配管の空気抜き、バルブの開閉、詰まりや凍結、ポンプの点検とほぼ共通しています。したがって、まず確認する場所は同じで、その結果で修理が必要かどうかが決まります。
Q2.表示が出ている間、お湯は使えますか。
A.止まっているのは沸き上げ運転のため、タンクにお湯が残っていれば給湯やお湯はりに使えるのが一般的です。ただし補充されないので、使い切れば水になります。残湯量表示を見ながら、その日はシャワーを短めにする、お湯はりの湯量を減らすといった使い方に切り替えてください。復旧したら早めに沸き増しをしておくと、翌日に響きません。
Q3.リセットを繰り返して使い続けても問題ありませんか。
A.おすすめできません。循環が足りないまま沸き上げを試みる状態が続くと、熱交換器やポンプに負荷がかかります。リセットは原因を取り除いたあとの仕上げの操作であって、対処そのものではありません。バルブを開ける、凍結の解消を待つ、空気抜きをするといった処置をしても再発する場合は、点検を依頼してください。
Q4.水抜きをしたあとから表示が出ています。何を確認すればよいですか。
A.まず水側バルブと給水元栓が開いているかを確認し、次にリモコンの空気抜き運転を行ってください。ヒートポンプユニットの水抜き栓から勢いよく水が出るかも確認ポイントです。空気が残ったままだと水が循環せず、沸き上げの開始直後に停止します。手順どおり空気抜きをしても解消しない場合は、配管側に別の要因がある可能性があります。
Q5.修理と交換、どちらを選ぶべきですか。
A.点検の結果によります。配管の詰まりやバルブの調整で済むなら修理で十分です。一方、循環ポンプや熱交換器まで交換が必要となると費用がかさみ、設置から10年前後であれば交換のほうが妥当になることもあります。点検時に、どの部品が原因で費用はいくらか、他に劣化している部品はないかを確認し、残りの使用年数と比べて判断してください。
まとめ
F11とH93は、どちらも沸き上げ回路に温水が十分循環していない状態を知らせる表示です。
利用者側で確認できるのは、水側バルブと給水元栓の開閉、配管の凍結、水抜き後の空気かみの3点です。
処置を済ませてから漏電しゃ断器を「切」にし、約1分後に「入」に戻して表示を解除してください。
条件を整えても繰り返す場合は、配管の詰まりやポンプの不良が考えられるため、無理に運転を続けず販売店またはメーカーに点検を依頼しましょう。

