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リフォームで石綿調査は必須?義務化された事前調査とは

リフォーム現場で作業員が天井の建材を確認し、石綿の事前調査について示したサムネイル画像
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

「うちは工場でも大きなビルでもない、ただの一戸建てなのに、アスベスト調査なんて必要なの?」——リフォームの見積もりに「石綿事前調査費用」という項目を見つけて、驚いた方もいるのではないでしょうか。

実は、この事前調査は、個人の住宅リフォームであっても、原則としてすべての工事で必要とされています。知らずに見積もりを見ると「余計な費用」に感じてしまうかもしれませんが、これは法律で定められた義務であり、省略できるものではありません。

この記事では、住宅リフォームにおける石綿(アスベスト)の事前調査について、対象となる工事・調査の流れ・費用負担の考え方を、環境省の資料をもとに整理して解説します。

目次

なぜ個人宅のリフォームにもアスベスト調査が必要なのか

アスベストは、断熱性・耐火性に優れることから、かつて建材に広く使用されていましたが、健康被害のリスクが明らかになり、現在は使用が全面的に禁止されています。
ただし、2006年(平成18年)9月以前に建てられた住宅には、アスベストを含む建材が使われている可能性があります。
解体・改修工事によってこうした建材を傷つけると、アスベストの繊維が飛散し、工事関係者や周辺住民の健康に影響を及ぼすおそれがあるため、法律によって事前の調査が義務づけられています。

令和4年から始まった報告義務化

大気汚染防止法の改正により、令和4年(2022年)4月1日以降に着手する工事から、石綿の事前調査結果を行政に報告することが義務化されました。

📎 出典:4月1日から石綿の事前調査結果の報告制度がスタートします|環境省

この制度の対象には、個人宅のリフォームや解体工事も含まれます。
事前調査そのものは、工事の規模にかかわらず、原則としてすべての解体・改修工事で必要とされていますが、行政への報告義務が生じるのは、一定規模以上の工事に限られます。

報告義務が生じる工事の規模

行政への報告が必要になるのは、次のいずれかに該当する工事です(令和4年4月1日以降に着手するもの)。

工事の種類報告義務が生じる規模
建築物の解体工事解体部分の床面積の合計が80㎡以上
建築物の改修工事(リフォーム)請負代金の合計額が100万円以上(税込)
工作物の解体・改修工事請負金額が一定額以上等、工作物の種類ごとに基準がある

「請負代金の合計額」には材料費も含まれるため、水回り設備のリフォームなど、比較的まとまった規模の工事では、この基準に該当することが少なくありません。
なお、報告の対象規模に満たない小規模な工事であっても、事前調査自体は省略できない点に注意しましょう。逆に言えば、便座の交換など数万円程度の小さな工事であっても、法律上は事前調査の対象になり得るということです。

有資格者による調査が必須に

令和5年(2023年)10月1日からは、事前調査を行う人にも要件が定められました。
特定建築物石綿含有建材調査者、一般建築物石綿含有建材調査者、一戸建て等石綿含有建材調査者のいずれかの資格を持つ人が調査を行うことが義務化されています。
以前は、施工会社の担当者が書面・目視で簡易的に確認するだけでも認められていましたが、現在はこうした有資格者による確認が必須です。
リフォーム会社に依頼する際は、この調査を実施できる体制が整っているかを確認しておくと安心です。
自社に有資格者が在籍していない場合でも、提携する調査専門会社に依頼する形で対応している施工会社も多く見られます。いずれの形であっても、最終的に「誰が」「どの資格に基づいて」調査を行うのかを、契約前に確認しておくとよいでしょう。

調査の流れと結果の見方

事前調査は、一般的に次のような流れで進みます。

  1. 図面調査:建築確認資料等から、使用されている建材を確認する
  2. 目視調査:実際に現地を確認し、図面との整合性や建材の状態を確認する
  3. 必要に応じて分析調査:目視だけで判断できない場合、建材のサンプルを採取し、分析機関で成分を調べる
  4. 調査結果の報告:一定規模以上の工事の場合、電子システム等を通じて行政に報告する

また、調査の結果、アスベストが含有されていないことが確認できれば、通常どおりの工事を進められます。
一方、含有が確認された場合は、飛散を防止するための特別な工法・養生が必要になり、工期・費用に影響が生じることがあります。

費用負担の考え方

事前調査にかかる費用は、一般的にリフォームの見積もりの中に含まれる形で提示されます。
調査費用は、建材の種類や調査範囲によって変動するため、見積もり段階で内訳を確認しておくことをおすすめします。
また、調査の結果アスベストが確認され、除去等の特別な対応が必要になった場合、当初の見積もりより費用が増加する可能性があります。
築年数が古い住宅のリフォームを検討している場合は、こうした追加費用が発生し得ることを念頭に、予算に一定の余裕を持たせておくと安心です。予算の立て方については、リフォームの予算はどう決める?失敗しない立て方で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

具体例で見る調査から工事完了までの流れ

具体的なイメージをつかむため、築30年の戸建て住宅で、浴室を含む水回り全体のリフォーム(請負代金150万円)を行う場合を例に考えてみましょう。
まず、請負代金が100万円を超えるため、この工事は事前調査結果の報告義務が生じる規模に該当します。
施工会社は、有資格者による事前調査を実施し、図面調査と現地での目視調査を行います。
浴室まわりの一部に、成分がはっきりしない建材が見つかった場合、サンプルを採取して分析機関に送り、含有の有無を調べる追加調査が行われることもあります。
この分析には一定の日数がかかるため、調査結果が出るまで着工できない、というケースもあります。
調査の結果、アスベストが含まれていないことが確認されれば、通常どおり工事を開始できます。仮に含有が確認された場合は、飛散防止の措置を講じたうえで、除去等の作業を行うことになり、当初の想定より工期・費用がかかる可能性があります。
このように、古い住宅のリフォームでは、着工までのスケジュールに、調査・分析にかかる期間もあらかじめ見込んでおくことが大切です。特に引っ越しや入居の予定が決まっている場合は、この調査期間も踏まえて余裕のあるスケジュールを組んでおくと安心です。

事前調査を省略する会社には要注意

「うちは大丈夫」「昔からある家だから今更調べなくても」といった理由で、事前調査を省略しようとする施工会社には注意が必要です。
事前調査は法律上の義務であり、正当な理由なく省略することは違反にあたります。
見積もりの中に石綿事前調査に関する記載が一切ない場合は、契約前に施工会社へ確認することをおすすめします。
事前調査を実施しなかったり、虚偽の報告をしたりした場合には、罰則が科される可能性もあります。石綿障害予防規則に基づく調査義務違反、大気汚染防止法に基づく報告義務違反には、それぞれ罰金が定められています。
「知らなかった」では済まされない法律上の義務であることを、施主側も理解しておくことが大切です。
信頼できる会社選びの視点については、リフォーム会社の選び方|「安さ」より先に確認すべき7つのポイントもあわせて参考にしてください。

よくある質問

Q. 個人の住宅リフォームでもアスベスト調査は必要ですか?
A. はい、必要です。工事の規模にかかわらず、原則としてすべての解体・改修工事で事前調査が義務づけられています。行政への報告義務が生じるのは一定規模以上の工事に限られますが、調査自体は小規模な工事でも省略できません。

Q. どんな工事で行政への報告が必要になりますか?
A. 建築物の解体工事で解体部分の床面積が80㎡以上、または改修工事(リフォーム)で請負代金の合計額が100万円以上(税込)の場合に、報告義務が生じます。

Q. 誰でも事前調査を行えますか?
A. いいえ。令和5年10月1日以降は、特定建築物石綿含有建材調査者等の有資格者が調査を行うことが義務化されています。リフォーム会社が対応できる体制を持っているか確認しましょう。

Q. アスベストが見つかった場合、追加費用は発生しますか?
A. 発生する可能性があります。飛散防止のための特別な工法や養生が必要になり、当初の見積もりより費用・工期が増える場合があります。

Q. 見積もりに石綿調査の記載がない場合、どうすればいいですか?
A. 契約前に施工会社へ確認することをおすすめします。事前調査は法律上の義務であり、省略することはできません。記載がない場合は、実施予定があるかどうかを明確に確認しましょう。

Q. 事前調査を行わなかった場合、罰則はありますか?
A. あります。石綿障害予防規則に基づく調査義務に違反した場合や、大気汚染防止法に基づく報告義務を怠った・虚偽の報告をした場合には、それぞれ罰金が科される可能性があります。

まとめ

住宅リフォームにおける石綿(アスベスト)の事前調査は、令和4年の法改正により報告義務化が始まり、令和5年からは有資格者による実施が必須となっています。
個人宅のリフォームであっても対象になるため、見積もりに調査費用が含まれているかを確認し、古い住宅では追加費用が発生する可能性も念頭に置いて予算を検討することをおすすめします。
事前調査を省略しようとする会社には注意し、法令を正しく守って対応してくれる信頼できる施工会社を選ぶことが、安全なリフォームの第一歩です。
「見積もりに調査費用が入っているから高い」と感じるかもしれませんが、これは自分や家族、そして工事に関わる職人の健康を守るために欠かせないプロセスです。費用の内訳を正しく理解したうえで、安心してリフォームを進められる会社選びを心がけてください。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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