冬の停電や災害のとき、「石油ストーブなら使えるのか」「電池がなくても点火できるのか」と気になる人は多いです。
ただ、石油ストーブは、タイプによって停電時の動きが違います。
電気を使うかどうかで、使える機種と使えない機種が分かれるためです。
この記事では、トヨトミ・コロナの取扱説明書、経済産業省・消防庁・自治体の資料で確認できた内容をもとに、停電時のタイプ別の考え方と、災害時の使い方・備えを整理します。
対流式・反射式・FF式・石油ファンヒーターを分けて解説し、備蓄量の考え方は仮定を置いた計算例で示します。
停電時のタイプ別の考え方
停電時にどうなるかは、タイプによって異なります。
| タイプ | 停電時の考え方 |
|---|---|
| 対流式・反射式(乾電池点火式) | 点火は乾電池。電池が使えないときは、マッチや点火用ライターで点火する手順がある。 |
| FF式 | 電源(100V)が必要。停電すると停止する安全装置があり、通電後に再点火の操作が必要。 |
| 石油ファンヒーター | 電源を使う機種が多いため、取扱説明書で停電時の動作を確認 |
| 煙突式 | 機種により異なる。取扱説明書で確認 |
自治体(鶴岡市)の消防のパンフレットには、震災後に、停電時対策として反射式石油ストーブや石油こんろを使う家庭が多いことが書かれていました。ただし、停電時の安全な使い方そのものは、確認した資料に記載がありません。
平常時と同じく、取扱説明書の注意を守ってください。
電気の使い方で見る分類
停電時に使えるかどうかは、「燃焼に電気が必要か」「点火に電気が必要か」で変わります。
確認できた範囲で整理します。
| 電気を使う場面 | 該当するタイプ(確認できた範囲) |
|---|---|
| 点火だけに電池を使う | 乾電池点火式の対流式・反射式(トヨトミ RB-25E) |
| 運転に100V電源が必要 | FF式(コロナ FF-AG6823H)。停電安全装置あり |
| 送風・制御に電源を使う | 石油ファンヒーターは電源を使う機種が多い。取扱説明書で確認 |
| 電気を使わない | 点火に電池を使わない機種の記載は確認できず |
「停電でも使える」とされる機種があっても、取扱説明書に停電時の使用可否が書かれていないことがあります。
購入前や備蓄の前に、取扱説明書で電源の使い方を確認してください。
乾電池点火式の石油ストーブの点火方法
トヨトミ RB-25E(乾電池点火式)の取扱説明書で確認できた内容です。
| 項目 | 取扱説明書の内容 |
|---|---|
| 点火方法 | 単二形乾電池2個で、点火ヒーターを赤熱させて点火 |
| 電池が使えないとき | しん調節つまみを「燃焼」の方向に完全に止まるまでゆっくり回す。扉を開け、外炎筒つまみを持ち上げ、マッチまたは市販の点火用ライターでしんに火を着ける |
| 点火後 | 燃焼筒が正しくセットされているか、しんの上にのっていないかを確認。扉を閉める |
| 禁止 | たばこ用ライターでの点火は禁止 |
| マッチの燃えかす | しん付近やストーブ内に落とさない。置台の上に置かない |
点火の手順は機種ごとに違います。必ず、お持ちの機種の取扱説明書で確認してください。点火の方法は、点火の方法を解説した記事でも整理しています。
電池なしで点火する手順の流れ
取扱説明書の記載を、手順ごとに整理します。
| 順番 | やること | 注意 |
|---|---|---|
| 1 | 消火状態で、ストーブが水平で安定していることを確認 | 傾いた場所では使わない |
| 2 | しん調節つまみを「燃焼」の方向に、完全に止まるまでゆっくり回す | 勢いよく回さない |
| 3 | 扉を開け、外炎筒つまみを持ち上げる | 高温部ではないことを確認 |
| 4 | マッチまたは点火用ライターで、しんに火を着ける | たばこ用ライターは使わない |
| 5 | 燃焼筒が正しくセットされているか、しんの上にのっていないか確認 | 位置がずれていると不完全燃焼のおそれ |
| 6 | 扉を閉める | 炎が安定するまで目を離さない |
| 7 | 点火後に落ちたマッチの燃えかすがないか確認 | しん付近・ストーブ内・置台の上に残さない |
暗い中で作業すると、燃焼筒のセットや燃えかすの確認が難しくなります。
停電に備えて、手元を照らす懐中電灯なども用意しておくと安心です。
FF式は停電でどうなるか
コロナのFF式(アグレシオ FF-AG6823H)の取扱説明書では、次のように案内されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 電源 | 100V 50/60Hz。停電時の運転継続についての明示的な記載なし |
| 停電安全装置 | 働くと運転を停止する。通電後に自己診断モニタが表示される |
| 再点火 | 通電後に点火操作をする。ストーブの温度が一時的に上がっているため、4〜5分冷却してから点火 |
| 設定 | 停電があるとタイマー運転と速暖モードが解除される。時刻はバックアップ電池で記憶 |
| 災害時の暖房用途 | 避難所利用や、非常時の使用方法についての記載なし |
FF式の仕組みは、FF式石油ストーブの記事をご覧ください。
トヨトミのFF式のエラー表示(E-0)やコロナのエラー表示(EE)についても、当サイトに解説記事があります。
停電から復旧したときの流れ(FF式)
| 順番 | 状態 | 対応 |
|---|---|---|
| 1 | 停電で運転が停止 | 停電安全装置が働いた状態。慌てて操作しない |
| 2 | 通電が復旧 | 自己診断モニタが表示される |
| 3 | 4〜5分待つ | ストーブの温度が一時的に上がっているため、冷却する |
| 4 | 点火操作 | 通常の手順で点火する |
| 5 | 設定の確認 | タイマー運転と速暖モードが解除されているので、必要なら再設定 |
停電は、時間帯によっては気づきにくい場合があります。
特に就寝中は消火して寝るのが基本ですが、外出中に停電が起きた場合も、帰宅後に上記の流れで確認してください。
石油ファンヒーターの考え方
石油ファンヒーターは、今回の資料では停電時の動作を確認できませんでした。
電源を使って送風する機種では、停電すると使えなくなるのが一般的と考えられます。
トヨトミのファンヒーターのエラー表示(F-0)なども、当サイトで解説しています。
お持ちの機種が停電時に使えるかどうかは、取扱説明書で確認し、停電時の暖房手段を別に用意しておくと安心です。
停電時の暖房手段を用意する考え方
| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| 電池点火式の石油ストーブがある | 予備の乾電池、マッチ・点火用ライター、新しい灯油を用意 |
| ファンヒーターしかない | 停電時は使えない前提で、防寒着・毛布など別の手段を用意 |
| FF式しかない | 電源が必要な機種は、停電時は使えない前提で考える |
| どのタイプでも | 窓を閉め切らず、換気しながら使う |
停電時に石油ストーブを使うかどうかは、取扱説明書と、お住まいの地域の消防の案内を確認したうえで判断してください。
地震のあとの点検
災害では地震が起きることがあります。
| 場面 | 取扱説明書の内容 |
|---|---|
| 対震自動消火装置が作動したあと(トヨトミ) | 周囲の可燃物の倒れ、機器の損傷、灯油のこぼれを確認。消火後約5分間は再点火しない |
| 地震などでFF式に振動・衝撃が加わったあと(コロナ) | 運転前に、給排気筒まわりの外れや漏れ、灯油配管からの漏れ、ストーブの損傷を点検 |
| 灯油用の容器 | 地震で転倒したり、落下物で破損したりしないようにする(消防庁) |
灯油がこぼれているときや、機器が損傷しているときは、再点火しないでください。地震時の消火の考え方は、火事・爆発を防ぐ方法を解説した記事もご覧ください。
地震のあとの点検チェックリスト
| チェック項目 | 確認 |
|---|---|
| 燃焼中だった場合、消火されているか | □ |
| 周囲に倒れた家具・落下物がないか | □ |
| ストーブ本体に傷・変形がないか | □ |
| 灯油がこぼれていないか(床、タンク、容器まわり) | □ |
| 灯油のにおいが強くないか | □ |
| FF式は、給排気筒まわりの外れや漏れがないか | □ |
| 灯油配管からの漏れがないか(FF式) | □ |
| 消火後、約5分間は再点火していないか(トヨトミ) | □ |
異常がある場合は、使用を中止し、メーカーまたは販売店に相談してください。
災害時の換気と一酸化炭素
停電時は寒さをしのぐため、窓を閉め切って使いたくなりますが、開放式は換気が必要です。
経済産業省の資料でも、換気が不十分だと一酸化炭素中毒のおそれがあるため、窓を開けるなどして十分に換気するよう案内されています。
NITEの資料には、2009年12月に、石油ストーブを閉め切った寝室で長時間使い、就寝中に一酸化炭素中毒で死亡した事例が紹介されていました。就寝中は消火してください。
詳しくは、一酸化炭素中毒を解説した記事をご覧ください。
換気の目安は、1時間に1〜2回が取扱説明書の案内です。
寒い停電時に起きやすい失敗
| 失敗 | 理由 | 対策 |
|---|---|---|
| 窓を閉め切って使う | 寒さをしのぎたい | 換気の時刻を決め、1時間に1〜2回は窓を開ける |
| 寝るときもつけたままにする | 寒くて消せない | 就寝中は必ず消火。寝具で保温する |
| 暗い中で給油する | 見えにくい | 消火して冷めてから、明かりをつけて給油 |
| 洗濯物や濡れた衣類を近くで乾かす | 濡れたものを乾かしたい | 取扱説明書で禁止されている。離して乾かす |
| 灯油が足りなくなって別の燃料を入れる | 手元にない | ガソリンは絶対に入れない |
寒さで判断が鈍くなると、普段ならしない失敗が起こります。
あらかじめ、「換気」「就寝時は消火」「給油は冷めてから」を家族で確認しておくと安心です。
備えておくもの
確認できた資料にもとづく備えを、表にまとめます。
| 備え | 内容 |
|---|---|
| 灯油 | 新しい灯油を。前シーズンから持ち越した灯油は避ける(経済産業省)。保管は灯油の保管を解説した記事をご覧ください。使用期限は当サイトの解説記事もあります |
| 灯油の容器 | 金属製、またはポリエチレン製で、推奨マークや認定証があるもの。栓をしっかり締める。火気から遠ざけ、直射日光を避けた冷暗所に保管(消防庁) |
| 乾電池 | 乾電池点火式は、予備の乾電池を用意(機種の規格で) |
| マッチ・点火用ライター | 電池が使えないときの点火手順がある機種で。たばこ用ライターは禁止(トヨトミ RB-25E) |
| 取扱説明書 | 紛失しないよう、ストーブの近くで保管 |
| 換気 | 窓を開けられる状態にしておく |
| 明かり | 暗い中での操作に備えて懐中電灯など |
灯油の備蓄量に関する決まりは、自治体の火災予防条例で異なる場合があります。多めに備蓄する場合は、お住まいの地域の消防署に確認してください。
備蓄量の考え方
備蓄する灯油の量は、使う時間と燃費で決まります。
以下は、仮定を置いた計算例です(当サイト計算。燃費は例であり、実際は機種の取扱説明書に記載の消費量を使ってください)。
仮定
| 項目 | 仮定 |
|---|---|
| 燃料消費量 | 1時間あたり0.3L(例) |
| 1日の使用時間 | 8時間(日中・夕方・夜の使用) |
| 備える日数 | 3日(例) |
計算
| 日数 | 計算 | 必要量 |
|---|---|---|
| 1日 | 0.3L × 8時間 | 2.4L |
| 3日 | 2.4L × 3日 | 7.2L |
| 7日 | 2.4L × 7日 | 16.8L |
この例では、3日分で約7.2L、7日分で約16.8Lです。
灯油の携行缶は一般的に容量が決まっているため、容器の数も併せて考えてください(容量ごとの数は、容器の仕様で確認)。
備蓄の注意
| 注意 | 内容 |
|---|---|
| 量 | 自治体の火災予防条例によって、保管できる量の決まりが異なることがある |
| 容器 | 推奨マークや認定証のある容器を使う(消防庁) |
| 場所 | 火気から遠ざけ、直射日光を避けた冷暗所に保管(消防庁) |
| 古い灯油 | 前シーズンから持ち越した灯油は避ける(経済産業省) |
| 地震 | 容器が転倒・破損しないようにする(消防庁) |
燃費の実際の数値は機種ごとに違います。燃費の考え方は、石油ストーブの燃費を解説した記事で整理しています。備蓄量は、実際の機種の数値で計算し直してください。
どのタイプでも、開放式は使用中に1時間に1〜2回を目安に窓を開けて換気してください。就寝中や、長時間その場を離れるときは必ず消火し、給油は消火して冷めてから行ってください。ガソリンは絶対に入れないでください。
平時のうちにやっておくこと
停電や災害は、いつ起きるか分かりません。
次の点を、使い始める前に確認しておくと安心です。
| やること | 内容 |
|---|---|
| 取扱説明書の確認 | 停電時、電池が使えないときの項目を読んでおく |
| 試しに点火 | 電池なしの点火手順を、明るい時間に試しておく(取扱説明書の手順で) |
| 備品の置き場所 | 乾電池、マッチ・点火用ライター、懐中電灯をまとめておく |
| 灯油の新しさ | シーズンの初めに新しい灯油を入れる |
| 家族への共有 | 換気、就寝時の消火、給油の手順を共有する |
| 点検 | 久しぶりに使う前に、点検をしておく |
試しに点火するときも、換気を行い、周囲に可燃物がない状態で行ってください。
よくある質問
Q1. 停電でも石油ストーブは使えますか?
タイプによって異なります。
トヨトミ RB-25E は乾電池で点火し、電池が使えないときはマッチや点火用ライターで点火する手順がありますが、停電時の使用可否は取扱説明書に直接の記載がありません。
コロナのFF式は電源が必要で、停電すると停止する安全装置があります。
Q2. 電池がなくても点火できますか?
機種によります。
トヨトミ RB-25E の取扱説明書では、電池点火が使えないときの手順が記載されています。
お持ちの機種の取扱説明書で確認してください。
Q3. 停電から復旧したあと、FF式が止まっているのはなぜですか?
コロナの取扱説明書では、停電安全装置が働いて運転を停止するためと案内されています。
通電後に点火操作をします。
ストーブの温度が上がっているため、4〜5分冷却してから点火します。
Q4. 災害時に窓を閉め切って使ってもよいですか?
開放式は、換気が不十分だと一酸化炭素中毒のおそれがあります。
使用中は、窓を開けるなどして十分に換気してください。
Q5. 灯油はどれくらい備えればよいですか?
資料では、量の目安を確認できませんでした。
この記事の計算例(1時間0.3L・1日8時間)では、3日分で約7.2Lです。
備蓄量に関する決まりは、自治体の火災予防条例で異なる場合があるため、消防署に確認してください。
まとめ
停電時は、タイプごとに動き方が違います。
平時のうちに、取扱説明書で確認しておくことが大切です。
最後に、この記事のポイントを整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 乾電池点火式 | 電池が使えないときの点火手順がある機種がある(トヨトミ RB-25E) |
| FF式 | 電源が必要。停電安全装置があり、通電後に再点火。4〜5分冷却 |
| 石油ファンヒーター | 資料では確認できず。取扱説明書で確認 |
| 地震のあと | 周囲、機器、灯油のこぼれを確認してから再点火 |
| 換気 | 閉め切らない。就寝中は消火 |
| 備え | 新しい灯油、予備の乾電池、マッチ・点火用ライター、懐中電灯 |
| 備蓄量 | 仮定の例では、3日分で約7.2L(当サイト計算) |
まずは、お持ちのストーブの取扱説明書で、「停電時」「電池が使えないとき」の欄を確認してみてください。

